おりものは、体の成熟した女性の体を守るための大切な分泌液です。健康状態によって量や見た目・ニオイが大きく変わるおりものは、性病などの病気を知る手掛かりとなります。
この記事では、おりものの特徴や役割・生理周期による変化を紹介したうえで、性病の症状をチェックする方法をお伝えします。体調の変化や性病の有無が気になる方は、おりものをよく観察してみましょう。
おりものとは
おりものとは、女性の膣から出る粘度のある液体のことで、中身は子宮粘膜や子宮頚管・膣壁などの分泌物が主です。おりものの量や色・ニオイには個人差があり、生理周期や体調・病気により大きく変化します。特に性病にかかった場合は、状態が普段とは違うことが多くなります。おりものシートを活用することで、変化に気が付きやすくなるでしょう。
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おりものの役割
おりものには、主に2つの役割があります。
1つ目の役割は、体をバイ菌から守ることです。おりものが膣に潤いを与えて弱酸性を保つことで、膣粘膜で雑菌が繁殖するのを防ぎます。おりものに少し酸っぱいニオイがあるのは、弱酸性を保っているためです。
おりものが存在することで、雑菌は子宮内部に侵入できません。また、おりものが排出されるときに雑菌を押し流す役割もあります。これを自浄(じじょう)作用と呼びます。
おりものの、もう1つの役割は、妊娠しやすくすることです。おりものが精子を包み込むことで精子が守られ、卵子の元まで到達しやすくなるのです。そのため、排卵時期は、おりものの粘り気が強くなります。
正常なおりものの特徴
おりものの量や見た目・ニオイには個人差がありますが、一般的にほぼ無色透明から少し白味を帯びており、乾燥するとほんのり黄色くなります。わずかに酸っぱいニオイがしますが、強いニオイはありません。おりものの量においては個人差が大きいですが、パンティライナーで収まるなら一般的な量といえます。
おりものは生理周期に合わせて、量や見た目が変わるのが普通です。また、年代によっても変化が起きます。おりものの変化を知っておくと、自分の生理周期や健康管理に役立ちます。
生理周期に起きるおりものの変化
女性の体は、生理周期によって女性ホルモンの分泌量が変わり、それに合わせておりものの状態も変化します。
生理の終わりごろは、1か月の中で最もおりものが少ない時期であり、さらっとしたものが少量排出されます。その後、排卵期に向けて徐々に量と粘度が増えていきます。
生理開始日からおよそ14日後に、排卵期が来ます。最も妊娠しやすい時期の排卵期は、受精の補助となるためにおりものの量が最も多くなります。ゼリーのような粘液となり、よく伸びるおりものに変化する時期です。排卵出血が起こることもあり、その場合はおりものに少量の血が混ざります。
2~3日間の排卵期を過ぎると、量が徐々に減ります。この時期のおりものは、粘度が高く下着に汚れがつきやすくなります。粘度の高いおりものは生理直前まで続き、生理前になるとニオイが強くなります。生理の直前には、少量の血が混ざることもあります。
年代ごとに起きるおりものの変化
一般的におりものは、初潮の1年ほど前から徐々に増え始めます。小学校の中学年から高学年にかけて、おりものが出始める女性が多いです。
おりものの量は、女性ホルモンのエストロゲンの量と連動しており、20代から30代前半で最も多くなります。生理周期が整いやすく、おりものの状態も安定している時期であるため、妊娠に最も適した年齢です。妊娠中は、胎児をバイ菌から守るために、おりものが多くなります。
30代後半からエストロゲンの量が減り始め、40代にはおりものの減少を感じる方が多くなり、おりものと性周期が連動しにくくなります。膣の潤いが減り、性交痛を感じる方が増えます。
閉経すると、おりものはほとんど出なくなります。膣内が乾燥することで雑菌が繁殖しやすくなり、膣に炎症が起きやすくなります。膣炎を繰り返す場合には、エストロゲンを補充する治療が行われる場合もあります。
おりものの状態から性病症状チェック
おりものが普段と違うと感じたら、性病の症状がないか確認してみましょう。よくあるおりものの変化と考えられる感染症や疾患には、以下のものがあります。
白っぽい、ポロポロしたおりもの
豆腐やカッテージチーズのような白っぽくてポロポロするおりものや、ヨーグルトやクリームのようなおりものが出る場合は、カンジダ膣炎の可能性があります。カンジダ膣炎は、強い痒みがあり熱を持ったような症状を感じることもあります。
カンジダと呼ばれる人間にもともと生息している菌が、疲労や妊娠・抗生物質の使用により増殖することで発症します。性感染症だけではなく、おりものシートを長時間変えないことも発症の原因になります。
自然治癒する場合もありますが、悪化する可能性も高いです。早めに病院で抗真菌薬を処方してもらう方が、カンジダ膣炎を繰り返したり長引かせたりせずに済みます。
黄緑で泡状のおりもの
初期症状として腐敗臭のする黄色いおりものが出て、強い痒みを感じる場合は、トリコモナス膣炎の可能性があります。
トリコモナス膣炎はトリコモナス原虫による感染症であり、多くの場合は性交により感染します。潜伏期間が長いため、性交から数か月後に発症するケースも少なくありません。感染者とタオルを共有することで感染することもあります。悪化するとおりものが黄緑や緑になり、泡が混ざるようになります。強い痛みや発熱が伴うこともあります。
放置すると卵管炎を起こし、不妊症や流産を引き起こすことがあります。自然治癒はせず、抗原虫薬の服用や膣剤の使用によって治療可能です。
膿のような黄緑のおりもの
膿のような黄緑のおりものが出る場合は、クラミジア感染症の可能性があります。クラミジア・トラコマティスという菌による感染症で、最も感染者が多い性感染症です。タオルやプールなどでは感染せず、感染者との粘液接触でのみ感染します。性器同士の接触のほか、オーラルセックスで喉に感染することもあります。
人によっては、無症状で感染に気が付かないケースも多く、わずかにおりものが増加することもあります。クラミジアの菌が多くなると不正出血や痛みが伴うこともあります。
自然治癒はしないため、早期に病院で治療する必要があります。1度の治療で治らない場合もあるため、クラミジア検査で陰性が確認されるまで通院することが大切です。
茶褐色〜ピンクのおりもの
茶褐色やピンク色のおりものが出る場合は、性感染症ではなく、子宮の病気の可能性があります。おりものが茶色やピンクになるのは、子宮付近からの不正出血があるためです。主な疾患としては、子宮がんや子宮頚管炎などが挙げられます。
排卵期や生理の前後にも、おりものに経血が混じって茶色やピンクになることがあります。そのため、排卵や生理日近くに数日間だけ色が茶色やピンクになる場合は、問題ありません。
何日間もおりものが透明に戻らなかったり、痛みがあったりする場合や、量も増えている場合には、早めに病院で相談しましょう。
濃黄でネバついたおりもの
濃黄でネバついたおりものが出る場合は、淋菌もしくは大腸菌などの雑菌による感染症の可能性があります。淋菌は主に性行為で感染し、感染者とのコンドームを介さないセックスでは20~50%が感染します。オーラルセックスで喉に感染するケースも増えています。
細菌性膣炎は、大腸菌やブドウ球菌など健康なときには影響がない雑菌により起こります。小まめにおりものシートを取り替えたり、排尿後に前から後ろへ拭いたりすることが予防になります。
細菌性膣炎は数か月かけて自然治癒しますが、淋菌との見分けがつきにくいうえにカンジダ膣炎など別の病気の原因にもなります。おりものの異常がある場合は、早めに検査を受けた方がよいでしょう。
悪臭のあるおりもの
悪臭のあるおりものが出る場合は、細菌性膣炎の初期症状の可能性があります。トリコモナス膣炎でもおりものに悪臭が出ますが、ニオイだけでなく見た目にも大きな変化が出て痛みも伴います。大腸菌など常在菌による細菌性膣炎の初期は、ニオイのみ変化するケースがあります。
通常のおりものにもニオイはありますが、薄く酸っぱいニオイがするのみです。細菌性膣炎の場合は、魚が腐ったようなニオイに変化します。
自然治癒しますが他の感染症の原因になる可能性がありますし、雑菌が子宮内に侵入すると子宮内膜炎などの大きな病気を引き起こすこともあります。おりもののニオイの変化に気が付いたら、病院で相談しましょう。
水っぽいおりもの
水っぽいおりものが出る場合は、クラミジア感染症の初期の可能性があります。クラミジア菌が増殖すると膿状で黄緑のおりものが出ますが、抵抗力がある人や感染の初期には水っぽいサラサラとしたおりものが出ます。
ただし、生理後から排卵期の前にかけても、粘り気の低い水っぽいおりものが出ます。数日かけて粘度が増す場合は、生理周期によるおりものの変化です。尿漏れと勘違いするほど出る場合や、何日も水っぽいおりものが続くときは、クラミジア感染症の可能性が高いでしょう。
クラミジアは簡単にパートナーに感染させてしまいます。不安がある場合は病院で検査を受けた方がよいでしょう。
おりものの量が多い
おりものの量が多い場合は、子宮や卵巣の病気の可能性があります。生理開始日から約2週間後の排卵期では、おりものの量が増えるのが通常です。しかし、その後も変わらずおりものが多いと感じる場合は、子宮がんや子宮内膜炎症・子宮粘膜下筋腫・卵巣がん・卵巣のう腫などの病気が隠れている可能性があります。
1日の中でパンティライナーを取り替えないとおりものが溢れると感じる場合は、量が多いといえます。おりものの量は個人差が大きいですが、子宮筋腫が少しずつ大きくなり、徐々におりものが増えるケースなどは特に気が付きにくいため、一度病院で検査を受けると安心です。
おりものが増えるだけではなく、色がついたりニオイがキツかったりする場合は、性感染症の可能性もあります。痛みや痒みがあるときも同様です。性感染症は放置すると急激に悪化することが多いため、早めに病院を受診しましょう。
おりものがない
おりものが出ない場合は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌異常の可能性があります。おりものの量はエストロゲンの量と連動しており、エストロゲンが減少する40代後半以降はほとんど出ない方もいます。
まだエストロゲンの分泌がある40代前半以前におりものが出ない場合は、エストロゲンの分泌量が不足している可能性が高いです。エストロゲンの減少は過剰なダイエットや過労・ストレスにより引き起こされがちです。
エストロゲンの不足は若年性更年期障害へ直結するため、おりものが出ない・無月経の場合は早めに婦人科で相談してください。
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まとめ
おりものは、女性の体に必要不可欠なものであり、生理周期や健康状態を知る大切なバロメーターとなります。普段の状態を観察しておくことで、異常に気が付きやすくなるでしょう。
特に性感染症は無症状のものも多いため、おりものの変化から早期に発見することが大切です。おりものを観察することは、子宮がんなど重大な病気に気が付くきっかけにもなります。
自分のおりものの周期や状態を把握し、健康管理に役立てましょう。
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おりものの異常がある、性病の心配がある方は一度検査してみることをお勧めします。
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