生理不順(月経不順)とは?生理が来ない妊娠以外の原因を解説

ご自身の生理が「あれ?ひょっとしておかしいのかな?」「これって生理不順?」と思ったときに、病気なのか、それとも心配いらないのかは気になるところです。とはいえ友達や家族でも「生理のことは相談しにくい」という人も多くいます。

そこで、まず正常な生理とはどういうものかを知って、今の状態が生理不順なのかを知りましょう。この記事では、生理不順について詳しく解説します。受診の目安や、自分でできる対処法もあわせて紹介します。

生理不順(月経不順)とは、正常な月経周期(25~38日)・周期の変動(6日以内)、持続日数(3~7日)の条件から一つ以上当てはまらない場合をいいます。生理不順はホルモンバランスが乱れることで起こりますが、その原因はストレスや体重の減少などだけでなく、病気が原因になることも。

適切な治療が必要なケースも少なくありません。

正常な生理とは

女性の生理周期は、個人差があるもののだいたい1か月で繰り返します。

正常な生理(月経)
月経周期25~38日
周期の変動プラス・マイナス6日
月経の持続期間(何日続くか)3~7日
経血量20~140ml

経血量の多い・少ないは、わかりにくいかもしれませんが、生理の出血(経血)の量は、レバー状の塊が出ていたり、昼でも夜用ナプキンを使う場合は「多い」といえます。

ナプキンが少し汚れる程度や、おりものシートで十分まかなえる程度の出血は、「少ない」といえるでしょう。

10代と40代は生理不順になりやすい

10代は第二次性徴があり、初めての月経(初潮)があります。そのため数年間はホルモンバランスが安定せず、生理不順になりやすいのです。

また、閉経前である40代半ばや、プレ更年期にあたる30代後半~40代半ばの女性は、卵巣機能が徐々に低下するため、生理不順になりがちです。そのため成人前や更年期・プレ更年期にあたる方は、大きな心配はありません。

性成熟期にあたる20代~30代半ばの生理不順は、ストレス以外にも病気がかくれている可能性があります。そのため、「おかしいな」と思ったら受診してください。

生理不順(月経不順)の種類

正常な生理でないものが、生理不順にあたりますが、いくつか種類があります。

稀発(きはつ)月経:生理周期が長い

稀発(きはつ)月経とは、前の生理から39日以上経っても生理が始まらない状態をいいます。症状は、突然起こったり、徐々に起こる、間に正常な周期を挟むなど、さまざまです。

主な原因は、ホルモンバランスが崩れることですが、病気と関連していることもあります。ホルモンバランスの乱れは、ストレスや食生活の乱れ、疲れ、過度なダイエットや運動が原因で引き起こされることがあります。この場合は、よく寝て、生活習慣を見直すことが大切です。病気に関連している場合は、多嚢胞性卵巣症候群や下垂体腺腫、先天性副腎過形成症などのケースがあります。

稀発月経は、生理周期の状況を把握することが大切です。そのため、生理周期をチェックしてから診察を受けましょう。基礎体温表があるとよいですね。39日以上の生理周期であったとしても、規則正しく月経が訪れている場合は、問題ないこともあります。

頻発(ひんぱつ)月経:生理周期が短い

頻発(ひんぱつ)月経とは、前の生理から24日以内に生理が始まる、生理周期が短い状態のことです。周期が短いことで貧血気味になることもあります。ホルモンの分泌は安定していない性成熟期前の10代や、閉経前の更年期には起こりやすく、無排卵周期症の場合が多いです。経過観察で問題ないケースがほとんどです。

いっぽう排卵がある場合は、黄体機能不全の可能性があります。黄体機能不全は、不妊や流産の要因になるので治療を行います。

排卵の有無を確認するためにも、基礎体温の測定は重要なので、基礎体温のグラフを持参して婦人科を受診しましょう。

過長月経:生理の期間が長い

過長月経とは、生理の出血が8日以上続く状態です。生理が長く続くため、貧血気味になる方もいます。主な原因はホルモンバランスの乱れですが、子宮の病気の場合もあります。

女性ホルモンの乱れは、ストレスや疲れ、過度なダイエットや運動の場合もありますが、女性ホルモンを分泌する器官の異常が原因になることも。

また黄体機能不全などの、病気が原因の可能性もあります。

生理の出血する期間が長いのは1度きりで、次から正常だったなら経過をみてもよいですが、繰り返される場合は、医師の診断を受けましょう。

過短月経:生理の期間が短い

過短月経は、2日以内に生理が終わってしまう状態です。初潮を迎えたばかりの方や、更年期にはよくある症状なので心配ないケースが多いです。

しかし、いきなり生理の期間が短くなったり、成人を過ぎたのに生理期間が短い場合は、医師に相談しましょう。

原因は大きく分けて2つあります。

1つ目は機能性疾患で、ホルモンバランスが乱れるケースです。ストレスや無理なダイエット、過度な運動などでホルモンバランスが崩れる場合があります。

2つ目は器質性疾患です。器質性疾患とは、細胞や組織がなんらかの原因で変化を受けた結果、症状として現れることをいいます。

過短月経の場合は、黄体機能不全、甲状腺の異常などが原因です。また、子宮の発育不全や、子宮内膜が薄いことで起こる場合もあります。

ホルモン療法や手術など、原因にあわせた治療を行います。

過多月経:生理の量が多い

過多月経とは、生理の出血量が150ml以上の場合をいいますが、通常、月経量を測ることはないのでわかりにくいかもしれません。

昼でも夜用ナプキンを利用していたり、レバーのような血の塊が混ざったりすると過多月経の可能性があります。

出血量が多いため、貧血の症状が出る方も多くいます。

原因は大きくわけて3つあります:

1つ目は、婦人科器質性疾患です。子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜ポリープ・子宮内膜増殖症などが代表的ですが、子宮体がんや子宮頸がんのケースもあります。

2つ目は婦人科機能性疾患です。黄体機能不全・無排卵性周期症などから、過多月経になることもあります。

3つ目は内科的疾患です。血液の止血凝固機能の異常が原因で、過多月経を引き起こすこともあります。

原因によって治療法は異なりますが、貧血の治療や、低用量ピルなどのホルモン療法、漢方などを使ったりします。それでも出血量が多すぎる場合は、ミレーナ(子宮内避妊システム)を使うケースもあります。

過少月経:生理の量が少ない

過少月経とは、生理の出血量が20ml以下の場合をいいます。生理開始2日目以内なのに、ナプキンに血がうっすらとしか付かなかったり、おりものシートで間に合うようであれば、過少月経の可能性があります。

生理開始から3日目以降は出血量が減るのは、特に問題ありません。初潮を迎えて間もない方や、閉経が近い更年期の方は、生理の量が安定しないため経過観察を行うケースが多いです。また、月経量が少なくても、定期的な生理がある場合は、経過を観察するケースが多いです。

生理の量が少ない原因は、大きく分けて2つ:

1つ目は、ホルモンバランスの乱れなどの内分泌系疾患です。高プロラクチン血症・黄体機能不全・無排卵周期症・甲状腺機能異常などが原因で、これらの病気にあわせた治療が行われます。

2つ目は、器質性疾患です。子宮形態異常や子宮内腔癒着、子宮発育不全など、子宮の形状になんらかの異常があることが原因になるケースもあります。

ホルモン療法や、必要に応じた手術を行って治療を行います。

無月経:3か月以上生理が来ない

無月経とは、生理(月経)が3か月以上来ない状態です。初潮を迎える前・妊娠中・授乳中・閉経後の無月経は正常ですが、それ以外は注意が必要です。無月経の場合は、排卵されていないことが多く、妊娠ができません。

主な原因は、視床下部の機能不全・多嚢胞性卵巣症候群・甲状腺の機能不全・高プロラクチン血症・早期閉経・薬剤の副作用などです。まれに遺伝子性の疾患や先天異常がありますが、これは18歳以上になっても生理がきたことがない方の原因です。

無月経が続くと、体毛が濃くなったり、声が低くなったり、筋肉が増えたりなどの男性的な特徴が出ることも。また更年期と同じように、ホットフラッシュやイライラ、むくみなどの症状が出ることもあります。排卵されていないので、妊娠もできません。

無月経の治療は、原因に合わせてホルモン療法などを行います。「気づいたら3か月くらい生理がきていない」という場合は、早めに受診しましょう。

生理不順(月経不順)の原因

生理不順のもっとも多い原因は、ホルモンバランスの乱れです。ではなぜ、ホルモンバランスは乱れるのでしょうか。

ホルモンバランスが乱れる原因は、生活習慣によるものもありますが、病気が隠れている場合もあります。

ストレス・疲労

ストレスや疲労によって、生理不順になることがあります。女性ホルモンの分泌は脳の視床下部・脳下垂体・卵巣が連携して行っています。視床下部は、精神的な影響を受けやすい器官なので、ストレスや疲労などによって視床下部の働きが乱れ、結果的にホルモンバランスが乱れるのです。

ホルモンバランスが乱れた結果、無排卵周期症といい、スムーズに排卵が行われず生理不順になるケースがあります。よく寝て、規則正しい生活を行うことが大事です。

急激なダイエット(体重減少)・激しい運動

アスリートなどの激しいスポーツや審美系競技の急激なダイエットの場合は、食べることで摂取するエネルギーより、消費するエネルギーのほうが多くなりがちです。

そうなるとエネルギー不足が起こり、生理不順(無月経)、骨粗しょう症や免疫力の低下、発達が遅れるなどさまざまな症状が出てきます。

「生理がないと大会で生理にならなくて便利」と安易に思うかもしれませんが、将来的に妊娠をしにくくなったり、骨折しやすくなったりするため、早めに治療を開始する必要があります。

参照:日本産婦人科学会「体重減少性無月経」

更年期

更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)が低下することで、さまざまな更年期症状があらわれます。

生理不順も、更年期症状にひとつです。

  •   月経周期が短くなるor長くなる
  • 生理の日数が少なくなる
  • 出血量が減る
  • 少量の出血がダラダラと長く続く
  • 出血量が極端に増える  

人によって現れる症状は異なりますが、生理不順以外にホットフラッシュや冷え、疲れやすい、イライラするなどの更年期症状も合わせて出てくることがあります。

閉経前の更年期にある自然な症状とはいえ、つらいと感じる方も多いので、早めに医師へご相談ください。ホルモン療法などを行い、症状の緩和をします。

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)

多のう胞性卵巣症候群(PCOS:polycystic ovarian syndrome)とは、卵巣で男性ホルモンが多く作られていまい、排卵しにくくなる疾患です。自覚できる症状として、月経周期が35日以上、不規則な生理、にきびや毛深さ、肥満などがあります。

排卵しにくいということは不妊の原因にもなるので、妊娠を希望される方は、早めに診断を受けましょう。主な治療法は、排卵を誘発させる飲み薬(経口排卵誘発剤)や、性腺刺激ホルモン剤の注射などです。

高プロラクチン血症

プロラクチンとは、母乳を作るホルモンのことです。授乳中に妊娠してしまうと、母体への負担が大きいため、プロラクチンが活発だと体を妊娠しにくい状態にするのです。

しかし授乳期間でもないのに、プロラクチン値が高い場合は、生理不順や母乳が出るなどの症状が出ます。この状態を高プロラクチン血症といいます。原因は、下垂体腺腫や甲状腺機能低下症、ストレスなどです。

プロラクチンの量を下げる飲み薬で治療を行うことが主流ですが、下垂体腺腫が大きなものだったりすると手術になるケースもあります。

甲状腺機能障害

甲状腺機能障害とは、甲状腺から分泌されるホルモンが少なくなり、全身の代謝が低下している状態をいいます。生理不順も症状のひとつですが、ほかにも疲労感や体重増加、便秘、むくみ、無気力などさまざまな症状があらわれます。

原因は大きく分けると2種類あり、甲状腺そのものが原因であるものと、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が不足したことが原因になるものがあります。内服薬の服用を行って治療します。

黄体機能不全

黄体機能不全とは、排卵後の黄体期が10日以下になる場合をいい、不妊の原因のひとつです。 

原因は、脳視床下部下垂体系や卵巣・子宮内膜の異常などが考えられています。

治療法としては、ホルモン剤の内服薬を飲んだり、注射などを行いますが、しっかり栄養を摂って適度な運動をすることも大切です。

機能性子宮出血

機能性子宮出血とは、ホルモンバランスの異常が原因で出血する状態です。通常の生理の出血ではない出血のことです。

機能性子宮出血の症状は、生理の周期が24日以内と短くなったり、出血量が多くなったりします。また何度も生理以外に出血があり、それに伴って貧血症状がでることもあります。原因はホルモンバランスの異常なので、他の病気ではないかを検査します。

治療はホルモン療法を中心に行いますが、症状に応じて貧血の鉄剤や、出血をコントロールする止血剤を使用するケースもあります。

生理不順で病院を受診する目安

生理不順の場合、どんなときに受診すればよいのかわかりにくいかもしれません。

そこで、受診の目安を紹介します。

生理が一週間遅れている

妊娠の可能性が考えられる場合は、市販の妊娠検査薬を使用するとよいでしょう。

妊娠検査薬に陽性反応が出た場合は、妊娠している可能性があります。妊娠を望んでいる、望んでいないにかかわらず早めに受診しましょう。

もしも妊娠の可能性がない、または妊娠検査薬で陰性だった場合は、生理不順にあたります。続くようでしたら受診しましょう。

3か月以上生理が来ない

3か月以上生理がきていないときは、正常に排卵が行われていない可能性があります。半年以上生理がきていない場合は、ホルモンの分泌に異常があることも。

初潮を迎えてから2~3年の間は、周期が安定していないので様子を見てもよいですが、それ以外の方は早めに受診してください。

20歳以上で生理がいつも不規則

生理周期が安定せず、いつも生理不順の場合は受診しましょう。10代や40代半ば~後半は、問題ないことが多いのですが、それ以外の方は原因を把握するためにも、受診してください。

アスリートなど激しい運動や急なダイエットで生理が来なくなった

競技のために激しい運動を日常的に行っている場合や、急なダイエットで生理がこなくなった場合は、できるだけ早く受診しましょう。

大切な競技大会やイベントなどが、生理と重ならないように生理日を移動することもできます。

自分でできる予防と対策

基礎体温をつける

生理不順の原因を知るために、基礎体温のグラフは重要なデータになります。

基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のカロリーしか消費していない安静時の体温のこと。朝起きて、動きだす前に検温します。

基礎体温を記録し続けると、生理周期・排卵の有無・妊娠しやすい時期・低温期・高温期などがわかります。つまり基礎体温のグラフから、生理不順の原因がわかりやすくなるのです。

高温期(低温期)が長すぎたり短かったり、低温期や高温期がなく一定だったりするなら、基礎体温のグラフを持って受診するとよいでしょう。

基礎体温を測るときは、一般的な体温計ではなく、基礎体温計・婦人用体温計を使用しましょう。0.01単位(小数点第2位)まで測れるので、一般の体温計ではわからない僅かな体温の変化を測定できます。

基礎体温計は、スマホアプリと連動しているものが、自動でグラフ化できるので簡単でおすすめです。アプリ連携がない基礎体温計の場合は、基礎体温記録アプリや紙に記録しグラフ化しましょう。

自分に合わない方法だと、ついついやらなくなる…なんてこともあるので、自分にあった記録方式を選ぶとよいでしょう。

生活習慣を整える

女性ホルモンが乱れる原因は、病気だけではなく、ストレスや疲労からのケースが多くあります。とくに現代社会においてストレスと無縁の方は、少ないのではないでしょうか。環境の変化や、新しいことを始めたときはもちろん、日常生活においてストレスを感じることは少なくありません。

そこで生活習慣を改めて見直してみませんか。

  • 睡眠時間を多くとる
  • バランスのよい食事をとる
  • 適度な運動をする
  • リラックスする

ストレスや疲労を抱えている方に多いのは、睡眠不足です。しっかりとした睡眠は、心身ともにバランスを整えることにつながります。まずは、ゆっくり寝ることからはじめましょう。

バランスのよい食生活をし、適度に体を動かし、好きな趣味に没頭したり、リラックスタイムを設けることで、ストレスが下がり結果的にホルモンバランスが整い生理が安定することもあるのです。

もちろん病気が原因の場合は、治療が必要ですが、自分でできるセルフケアも合わせて行ってくださいね。

月経(生理)不順の治療

下記の症状でお困りの方は当院にご相談ください。

  • 生理が来ない
  • 生理に不正出血のようなものがみられる
  • おりものに異常がみられる

生理不順は、子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症などの病気の兆候の可能性があります。また、ストレス等による排卵異常がおこっているケースもあります。

いずれのケースでも、医師による適切な診断が必要になりますので、お早めに当院までご相談ください。

診療内容

※ 当院では、乳房に関すること・更年期障害治療・専門的な不妊治療は行っておりません