低用量ピルにはさまざまな種類があるため、「商品によって何が違うのか」「どのように分類されているのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
低用量ピルは、配合されているホルモンの種類や量の変化、使用目的などによって分類されます。一つの商品が複数の分類に当てはまる点が特徴です。
この記事では、低用量ピルの種類の違いを分類ごとに解説します。超低用量ピルやミニピル、中用量ピル、アフターピルについても紹介するので、種類ごとの違いを知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
低用量ピルはどのように分類されるのか

低用量ピルには、以下のように複数の分類があります。
分類方法 | 分類の基準 |
|---|---|
世代 | 配合されている黄体ホルモンの種類 |
1相性・3相性 | 1シート内の実薬に含まれるホルモン量の変化 |
避妊用・治療用 | 国内で承認されている使用目的 |
先発薬・ジェネリック医薬品 | 医薬品が開発・承認された経緯 |
服用方法 | 1シートの錠数や実薬を服用する日数、休薬期間など |
一つの商品が単独の分類だけに当てはまるのではなく、複数の要素を組み合わせて位置づけられる点が特徴です。
主な低用量ピル6種類の分類例は、以下のとおりです。
商品名 | 世代 | 1相性・3相性 | 使用目的 | 医薬品の区分 |
|---|---|---|---|---|
シンフェーズ | 第1世代 | 3相性 | 避妊用(OC) | 先発薬 |
トリキュラー | 第2世代 | 3相性 | 避妊用(OC) | 先発薬 |
ラベルフィーユ | 第2世代 | 3相性 | 避妊用(OC) | ジェネリック医薬品 |
マーベロン | 第3世代 | 1相性 | 避妊用(OC) | 先発薬 |
ファボワール | 第3世代 | 1相性 | 避妊用(OC) | ジェネリック医薬品 |
フリウェルLD | 第1世代 | 1相性 | 治療用(LEP) | ジェネリック医薬品 |
では、それぞれの分類についてくわしく解説します。
低用量ピルの世代別の分類一覧

低用量ピルの「世代」とは、配合されている黄体ホルモンの種類を、その成分が開発された時期に基づいて分けたものです。世代の数字は効果の強さや商品の優劣を示すものではありません。
第1世代から第3世代までの主な違いは、以下のとおりです。
世代 | 配合されている黄体ホルモン | 主な商品 |
|---|---|---|
第1世代 | ノルエチステロン | シンフェーズ、ルナベルLD、フリウェルLD |
第2世代 | レボノルゲストレル | トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ |
第3世代 | デソゲストレル | マーベロン、ファボワール |
国内では、ドロスピレノンを含むヤーズなどが第4世代と呼ばれます。ヤーズは超低用量ピルにも分類されますが、「世代」は黄体ホルモンの種類、「低用量・超低用量」はエストロゲンの量による分類です。
主に月経困難症などの治療に使用されるため、上記の低用量ピルの一覧には含めていません。
低用量ピルの1相性と3相性の違い

1相性と3相性は、1シート内の実薬に含まれるホルモン量が変化するかどうかによる分類です。1相性ではすべての実薬に同じ量のホルモンが配合されているのに対し、3相性は服用期間に応じて配合量が3段階で変わります。
比較項目 | 1相性 | 3相性 |
|---|---|---|
ホルモン量 | すべての実薬で一定 | 服用期間に応じて3段階で変化 |
主な商品 | マーベロン、ファボワール、ルナベルLD、フリウェルLDなど | シンフェーズ、トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユなど |
注意点 | 実薬と偽薬の区別や服用日数を確認する | 実薬の配合量が異なるため、シートに示された順番を守る |
3相性は、自然なホルモン分泌の変動に近づけるよう設計されています。錠剤によってホルモンの配合量が異なるため、順番を入れ替えずに服用することが大切です。
一方、1相性と3相性の区分は、避妊効果や治療効果の優劣を表しているわけではありません。使用目的や体質、服用のしやすさなどを踏まえ、医師が処方する種類を判断します。
低用量ピルの避妊用(OC)と治療用(LEP)の違い

低用量ピルは、国内で承認されている使用目的によって、避妊用のOCと治療用のLEPに分けられます。OCは「経口避妊薬」、LEPは「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」の略称です。
比較項目 | 避妊用(OC) | 治療用(LEP) |
|---|---|---|
主な使用目的 | 避妊 | 月経困難症などの治療 |
診療区分 | 自由診療 | 対象となる疾患の治療では保険診療 |
主な商品 | シンフェーズ、トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ、マーベロン、ファボワールなど | ルナベルLD、フリウェルLDなど |
OCとLEPには同じ種類のホルモンを配合した商品もありますが、国内で認められている使用目的は異なります。LEPは月経困難症などの治療薬であり、国内では避妊を目的とする使用は承認されていません。
OCとLEPの価格
OCは自由診療、対象疾患の治療として処方されるLEPは保険診療となる点が、価格に関する大きな違いです。
下記は、薬代のみの価格の目安です。
種類 | 診療区分 | 薬代の目安 |
|---|---|---|
避妊用(OC) | 自由診療 | 1シート約2,000~3,000円 |
治療用(LEP) | 対象疾患の治療では保険診療 | 低用量LEPは3割負担で1シート数百円程度 |
OCの価格は医療機関が設定するため、同じ種類の低用量ピルでも受診先によって異なります。薬代とは別に、診察料や検査料、オンライン診療の送料などがかかる場合もあるため、価格を比較する際は総額を確認しましょう。
LEPの自己負担額は、処方される薬や診療内容、自己負担割合によって変わります。
低用量ピルの先発薬とジェネリック医薬品の違い

先発薬は最初に開発・承認された医薬品です。一方、ジェネリック医薬品は、先発薬の特許期間などが終了したあとに承認される後発医薬品で、一般的に先発薬より費用を抑えやすい傾向があります。
ジェネリック医薬品には、先発薬と同じ有効成分が同量含まれており、同等の有効性や安全性が認められています。
低用量ピルにおける主な先発薬とジェネリック医薬品の組み合わせは、以下のとおりです。
先発薬 | ジェネリック医薬品 | 有効成分 |
|---|---|---|
トリキュラー | ラベルフィーユ | レボノルゲストレル、エチニルエストラジオール |
マーベロン | ファボワール | デソゲストレル、エチニルエストラジオール |
ルナベルLD | フリウェルLD | ノルエチステロン、エチニルエストラジオール |
有効成分の種類や量は同じでも、添加物、錠剤の形・色、包装などが異なる場合もあります。
ジェネリック医薬品を希望する場合は、処方を受ける医療機関で取り扱いの有無を確認しましょう。
低用量ピル以外のピルの種類一覧

ピルには低用量ピルのほか、超低用量ピル、ミニピル、中用量ピル、アフターピルがあります。
それぞれの種類の特徴は以下のとおりです。
種類 | 主成分の特徴 | 使用目的 | 主な商品 |
|---|---|---|---|
超低用量ピル | 低用量ピルよりエストロゲン量が少ない | 月経困難症などの治療 | ヤーズ、ジェミーナ、ルナベルULDなど |
ミニピル | エストロゲンを含まない | 避妊 | スリンダなど |
中用量ピル | 低用量ピルよりエストロゲン量が多い | 生理日の移動や治療 | プラノバールなど |
アフターピル | 黄体ホルモン、またはその働きに作用する成分を含む | 緊急避妊 | レボノルゲストレル、エラワン(国内未承認)など |
種類ごとの違いをくわしく解説します。
超低用量ピル
超低用量ピルは、低用量ピルよりも配合されているエストロゲン量が少ない薬です。一般的に、エチニルエストラジオールを20μg含むものが該当します。
月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みなどの治療に使われるため、LEPに分類されます。
【代表的な超低用量ピル】
- ヤーズフレックス
- ドロエチ
- ジェミーナ
- ルナベルULD
- フリウェルULD
服用方法には商品ごとの違いがあり、実薬を24日間服用したあとに偽薬を4日間飲むタイプのほか、長期間連続して服用できるものもあるのが特徴です。
エストロゲン量が少ないため、低用量LEPよりもエストロゲンに関連する副作用を抑えやすいとされています。一方、不正出血は低用量LEPより起こりやすい傾向があります。
低用量と超低用量のどちらが適しているかは、症状や体質などを確認したうえで医師による判断が必要です。
ミニピル
ミニピルは、エストロゲンを含まず、黄体ホルモンのみを配合した避妊薬です。低用量ピルとは、成分構成が異なります。
毎日継続して服用することで避妊効果を得る薬であり、健康状態によってはエストロゲンを含む低用量ピルが使用しにくい方の選択肢になります。国内で承認されているミニピルとして、スリンダがあります。
ミニピルやスリンダについてくわしく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
スリンダとは?国内初承認のミニピルの特徴やメリット・注意点を解説
中用量ピル
中用量ピルは、低用量ピルよりもエストロゲン量が多い配合薬です。主に生理日の移動や月経周期異常などの治療に使用されます。
代表的な商品はプラノバールです。
服用を始める時期や期間は、使用する目的によって異なります。
中用量ピルのプラノバールは、国内では避妊を目的とする使用は承認されていません。生理日の移動などの目的で処方された薬を、自己判断で避妊に用いないでください。
生理日の移動について知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
アフターピル
アフターピルは、避妊できなかった可能性がある性交後に服用する緊急避妊薬です。
国内で承認されているレボノルゲストレル製剤は、性交後72時間以内に、できるだけ早く服用します。海外では性交後120時間以内に用いるウリプリスタール酢酸エステル(エラワンなど)もありますが、国内では未承認です。緊急避妊が必要な場合は、できるだけ早く医療機関や緊急避妊薬を取り扱う薬局に相談してください。
アフターピルは緊急時に使用する薬であり、日常的な避妊方法の代わりとして服用するものではありません。
アフターピルについてくわしく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
アフターピル(緊急避妊薬)とは|効果や時間・副作用・種類・飲み方を解説
適切なピルの種類は医師が目的や健康状態を確認して判断する

適切なピルの種類は、服用する目的や症状、健康状態を踏まえて医師が判断します。同じ低用量ピルでも、配合されているホルモンや使用目的、服用方法などが異なり、世代の新しさや価格だけでは選べません。
受診時は、避妊や治療などの目的に加え、持病や服用中の薬についても医師に伝えましょう。必要な情報を共有したうえで、自分に合ったピルを処方してもらうことが大切です。
参考資料
- PMDA|マーベロン21・28 添付文書
- PMDA|シンフェーズT28錠 添付文書
- PMDA|ルナベル配合錠LD・ULD
- PMDA|プラノバール配合錠 添付文書
- PMDA|スリンダ錠28
- PMDA|ノルレボ錠1.5mg 添付文書
- EMA|ellaOne(海外承認情報)
資料確認日:2026年10月30日




