妊娠6週目、妊婦に起こりやすい症状や身体の変化は?

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

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川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

「妊娠6週で起こりやすい症状って何?」

「妊娠6週で気をつけることを知りたい」

このような疑問やお悩みをかかえていないでしょうか。

もし妊娠の可能性があるなら、やるべきことや注意するべき点も知っておきたいですよね。

この記事では、次のようなことを紹介しています。

  • 妊娠6週の赤ちゃんや妊婦さんの様子
  • 妊娠6週にみられる症状
  • 赤ちゃんのためにやること・やめること

妊娠6週目の赤ちゃんの状態や、妊婦さんに起こりやすい症状について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

妊娠6週はどんな時期?

妊娠6週目は、生理の遅れによって多くの方が妊娠の兆候に気づきはじめる時期です。妊娠週数に関しては、最終月経がはじまった日を「妊娠0週0日目」として数えます。

4週間ごとに1月ずつ増えていくため、妊娠6週目は妊娠2ヶ月にあたります。ここでは、妊娠6週目における赤ちゃんや妊婦さんの状態について解説します。

赤ちゃん(胎芽)の状態、大きさは?

妊娠6週時点での赤ちゃんは「胎芽(たいが)」と呼ばれる状態であり、大きさは5~7mm程度です。この時期には赤ちゃんの脳や脊髄などの神経組織が形成され、へその緒ができてきます。

また、超音波検査において、子宮内で赤ちゃんを包む袋である「胎嚢(たいのう)」がみられ、早ければ心拍を確認できるようになる時期でもあります。

妊婦の状態

妊娠6週目の妊婦さんでは、つわりや疲れやすさ、胸の張りなどの体調の変化を感じる方が増えます。この時期では子宮がそれほど大きいわけではないので、お腹のふくらみはまだ目立ちません。

お腹のふくらみが出てくるのは、妊娠16週目ごろからだとされています。この時期にはつわりもおさまり、安定期に突入するでしょう。

妊娠6週にみられる症状

症状の有無やあらわれ方には個人差があるものの、ここでは妊娠6週目でみられる代表的な症状を紹介します。

【妊娠6週目にみられる症状】

  • つわり
  • おりもの
  • 胸の張り
  • 体調の変化

妊娠初期に起こりうる症状について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

つわり

つわりとは、妊娠初期に起こる吐き気や嘔吐、食欲不振などのことです。妊娠5週ごろからはじまり、妊娠9週ごろに最も強くなりやすく、16週目ごろに消滅するケースが多いとされています。

つわりは通常朝に起こる傾向にありますが、1日中起こりうるものです。「つわり」と一言にいっても、人によっては味覚が変化したり、においに敏感になったりすることもあります。

つわりの原因は不明とされていましたが「成長分化因子15」と呼ばれるホルモンとの関連を示した論文が2023年12月に発表されています。

上記に関する研究が進めば、将来的につわりを軽減できるかもしれません。つわりは誰にでも起こりえますが、体重減少や脱水がみられる場合には「妊娠悪阻(にんしんおそ)」になっている可能性があります。

基本的に体重減少や脱水がなければ問題ありませんが、上記のように、つわりの状態がひどい場合は医療機関を受診しましょう。

おりもの

妊娠6週目は、女性ホルモンの分泌量が増えることで、おりものの量が増える傾向にあります。おりものの色は、血液の混じった茶色であることが多いでしょう。

鮮やかな赤色の出血が多くみられる場合には、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。着床時の出血で問題ないこともあれば、子宮外妊娠や流産などのトラブルの可能性もあります。

胸の張り

女性ホルモンの分泌量が増えることで乳腺が発達し、生理前と同じような胸の張りを強く感じる場合があります。胸の張りは、安定期に入る5ヶ月ごろまで続くことが多いでしょう。

対策としては、締めつけの少ない下着や、マタニティ用のゆったりしたブラジャーを活用することがおすすめです。また胸の張りに加えて、ホルモンバランスが変化することで乳首の色が黒ずんだように濃くなる傾向があります。

体調の変化

妊娠6週目は、疲れやすさや強い眠気、熱っぽさなどの体調の変化がみられることもあるでしょう。つわりで思うように家事や仕事ができない場合もあります。

体調不良で出勤が困難であれば、医師に相談し、母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)利用することも可能です。

必要な場合は、医師の指示事項を職場へ的確に伝えるために利用しましょう。

つわりにならない人もいる

「妊娠中は必ずつわりになる」というイメージをもつ方も多いかもしれませんが、5人に1人程度の割合でつわりがない方もいるとされています。

そのため、つわりがなくても過度な心配は必要ありません。また、つわりがあったとしても、次のような、つわりに気づきにくい環境にいるだけなのかもしれません。

【つわりに気づきにくい環境の例】

● 眠いけれど、家にいられるので眠ければ寝ていられる
● お腹がすくと軽い吐き気があるけれど、食べたい物を食べれば吐き気がおさまる

元々あったつわりが急になくなった場合は、赤ちゃんに何らかの変化があったサインである可能性もあるため、不安な場合は産婦人科へ連絡しましょう。

赤ちゃんのためにやること・やめること

妊娠6週目は、脳や脊髄などの赤ちゃんの重要な器官が形成される時期です。ここでは、健康的な妊娠生活のためにやること・やめることについて紹介します。

【妊娠6週目にやること・やめること】

  • 葉酸を摂取する
  • 自己判断での薬の服用をやめる
  • お酒やタバコをやめる

それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。

葉酸を摂取する

赤ちゃんの先天性の異常である「神経管閉鎖障害」の発症リスクを減らすために、妊娠中は葉酸を十分に摂取する必要があります。

神経管閉鎖障害が起こると、無脳症や、脊髄がうまく形成されない「二分脊椎」といった状態になる可能性があります。神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすためには、とくに妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月ごろまでの葉酸の摂取が大切です。

妊婦さんにおける葉酸の摂取量は、1日240μgが推奨されています。

日々の食事に、ブロッコリーやアボカド、さつまいもなどの葉酸が豊富な食材を取り入れるといいでしょう。妊娠中はつわりで思うように食事が摂れないことも多いため、葉酸サプリの活用もひとつの方法です。

ただし、葉酸の過剰摂取はビタミンB12欠乏の診断を困難にしてしまうため、1日1mg以上の摂取は不要です。「摂取すればするほどよい」というわけではないため、適量にとどめましょう。

自己判断での薬の服用をやめる

妊娠6週は赤ちゃんの奇形が生じやすい時期であるため、自己判断での服薬を控える必要があります。

また、妊娠が発覚したことで、これまで使用していた薬を自己判断で中断すると、病態が悪化して赤ちゃんや母体へ悪影響を及ぼすこともあります。

妊娠中の薬の使用については、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

お酒やタバコをやめる

妊娠中の飲酒や喫煙は、母体への影響だけでなく、赤ちゃんの低体重や脳障害などの悪影響を及ぼす場合があります。

少量の飲酒でも影響する可能性があるため、妊娠中の方は完全にお酒をやめるようにしましょう。また、喫煙している妊婦さんから生まれた赤ちゃんは、喫煙していない妊婦さんから生まれた赤ちゃんに比べて、低出生体重児となる頻度が約2倍高まるというデータも明らかになっています。

さらに、喫煙している妊婦さんは喫煙していない妊婦さんに比べて、早産や自然流産、周産期死亡※の危険性も高い傾向にあります。

※周産期死亡:妊娠28週以降の死産と、生後1週間以内の早期新生児死亡

まとめ

妊娠6週で起こりやすい症状には、つわりやおりもの、胸の張り、体調の変化などが挙げられます。つわりに関しては、体質的に起こりにくい方もいるため、つわりがなくても過度な心配は必要ありません。

妊娠がわかったら、母子ともに健康に過ごすために、飲酒やタバコはやめるようにしましょう。また、自己判断での薬の使用・中止にはリスクがあるため、妊娠中の薬の使用に関してはかかりつけの産婦人科に確認しましょう。