予期せぬ妊娠で人工妊娠中絶を考えているものの、費用を用意できずに悩んでいる方もいるでしょう。
中絶費用をすぐに用意できない場合でも、受診を先延ばしにすることは避けましょう。人工妊娠中絶は、妊娠週数によって受けられる処置や費用が変わるためです。
また、人工妊娠中絶を受けられるのは妊娠21週6日までです。厚生労働省の通知では、人工妊娠中絶の対象となる「胎児が母体外で生命を保持できない時期」の基準は、通常「妊娠満22週未満」とされています。
この記事では、中絶費用が払えないときにできることや、利用できる可能性がある制度、相談先について解説します。
中絶費用が払えないときは、まず医療機関に相談

中絶費用をすぐに用意できない場合でも、受診を先延ばしにしないことが大切です。
人工妊娠中絶は、妊娠週数によって受けられる処置や費用が変わります。費用の準備を待っている間に妊娠週数が進むと、初期中絶では対応できなくなり、中期中絶として処置を受ける必要が出る可能性があるため、注意が必要です。
中期中絶になると、初期中絶に比べて費用が高額になりやすく、身体への負担も大きくなります。さらに、中絶を受けられる期限は妊娠21週6日までであり、それ以降は人工妊娠中絶を受けられません。
費用面に不安がある場合も、まずは医療機関に相談し、以下を確認しましょう。
- 現在の妊娠週数
- 中絶にかかる費用の目安
- 手術費以外にかかる費用
- 利用できる支払い方法
- 支払い時期や相談の可否
受診前や予約時に費用面の不安を伝えておくと、支払い方法について確認しやすくなります。
下記記事では、妊娠週数ごとの中絶の期限について解説しています。あわせてご覧ください。
【医師監修】中絶できる妊娠週数はいつまで?費用や方法、過ぎた時の対処法を解説
中絶費用は妊娠週数によって異なる

中絶費用は、妊娠週数や医療機関、処置方法によって異なります。中期中絶では入院費や火葬・埋葬に関する費用が必要になるため、初期中絶より総額が高くなるのが一般的です。
【初期中絶と中期中絶の費用の違い】
| 妊娠週数 | 総額の目安 | 費用面のポイント |
|---|---|---|
| 妊娠11週6日まで(初期中絶) | 10万〜20万円程度 | 週数や処置方法によって費用が変わる |
| 妊娠12週0日以降(中期中絶) | 40万円程度~ | 入院や火葬・埋葬に関する手続きにより費用が高くなりやすい |
費用が不安な場合は、料金表に掲載されている金額だけで判断せず、総額の目安を医療機関に確認することが大切です。費用の準備ができていない場合でも、まずは受診して、妊娠週数と総額の目安を確認しましょう。
手術費以外にかかる費用
中絶費用は、手術費だけでなく総額で確認することが大切です。追加でかかる可能性がある費用として、以下のようなものがあります。
- 診察費
- 検査費
- 麻酔費
- 薬代
- 術後診察費
- 中期中絶の場合の入院費
- 中期中絶の場合の火葬関連費用
料金に含まれる範囲は、医療機関によって異なります。手術費が安く見えても、診察費や検査費、術後診察費などが別途必要になり、結果として総額が高くなることもあるため注意しましょう。
費用を確認するときは、手術費だけでなく、診察から術後診察までを含めた総額の目安を確認してください。
中絶費用が一括で払えない場合にできる4つのこと

中絶費用を一括で用意できない場合、以下の方法を検討しましょう。
- 家族やパートナーに相談する
- クレジットカードの分割払いを利用する
- カードローンを利用する
- どうしても支払いが難しい場合は医療機関に相談する
利用できる方法は、本人の状況や医療機関によって異なります。費用を理由に受診を遅らせるのではなく、まずは使える方法を確認しましょう。
1. 家族やパートナーに相談する
可能であれば、家族やパートナーに費用について相談しましょう。自分だけで費用を用意するのが難しい場合でも、家族やパートナーに相談することで、費用面や精神面のサポートを受けられる可能性があります。
パートナーに相談できる場合は、中絶費用の負担について話し合います。妊娠の経緯や双方の状況によって、話し合うべき内容は異なりますが、一人で抱え込まないことが大切です。
未成年や学生の場合は、保護者に相談することも検討しましょう。保護者に直接話しにくい場合は、親戚や信頼できる大人に間に入ってもらう方法もあります。
2. クレジットカードの分割払いを利用する
クレジットカードに対応している医療機関であれば、カード会社の分割払いを利用できる場合があります。医療機関の窓口ではクレジットカードで一括決済し、その後、分割払いやリボ払いに変更できるケースもあります。
ただし、利用できる分割回数や手数料はカード会社によって異なるため、事前に確認が必要です。また、利用可能枠を超えている場合は、クレジットカードを使えないことがあります。
リボ払いは毎月の支払額を抑えやすい一方で、手数料が高くなりやすい支払い方法です。利用する場合は、返済総額も確認しましょう。
3. カードローンを利用する
カードローンは、必要な費用を借りて、あとから返済する方法です。ただし、利用には審査があります。
利用できる金額や金利、返済条件は契約内容によって異なります。
借入後は返済が必要になるため、利息や毎月の返済額を確認しましょう。返済の見通しが立たないまま借りると、月々の支払いの負担が大きくなる可能性もあるため注意が必要です。
4. どうしても支払いが難しい場合は医療機関に相談する
中絶費用の用意がどうしても難しい場合は、受診前や予約時に医療機関へ相談しましょう。
医療機関によっては、クレジットカード決済や後払いなど、利用できる支払い方法を案内してもらえる場合があります。ただし、対応できる支払い方法や条件は医療機関によって異なります。
すべての医療機関で後払いなどに対応しているわけではないため、予約時に確認しておくことが大切です。
中絶費用に公的制度を使える可能性があるケース
人工妊娠中絶は、原則として自費診療になることが多く、中絶費用を一律に補助する公的制度は基本的にありません。ただし、妊娠週数や妊娠の経緯、生活状況によっては、公的制度を利用できる可能性があります。
どのような場合に公的制度を使えるかについて、ケース別で紹介します。
妊娠の届出をしている場合
妊娠の届出をしている場合、「妊婦のための支援給付」を受けられる可能性があります。
妊婦のための支援給付は、妊婦の身体的・精神的・経済的負担を軽減するための制度です。人工妊娠中絶の場合も支給対象となります。
手術前に申請する場合は、医師による胎児心拍確認後、市区町村に申請を行う流れが一般的です。ただし、支給には一定期間かかるため、手術当日の支払いに間に合うとは限りません。
申請方法や支給時期は自治体によって異なるため、詳しくは住んでいる市区町村に確認しましょう。
すでに妊娠12週を過ぎている場合
すでに妊娠12週以降に入っている場合、条件を満たすと出産育児一時金の対象になる場合があります。健康保険では、妊娠85日、つまり4か月以降の出産・死産・人工妊娠中絶が「出産」として扱われるからです。
ただし、支給額や申請方法は、加入している健康保険によって異なります。詳しくは、加入している健康保険に確認しましょう。
なお、妊娠12週以降の中絶では、入院・死産届の提出・火葬・埋葬の手続きが必要になります。中期中絶は初期中絶よりも費用が高額になりやすく、出産育児一時金の対象になっても全額をまかなえるとは限りません。
身体への負担も大きくなりやすいため、初期中絶を受けられる時期であれば、出産育児一時金の対象になる時期まで受診を遅らせるのではなく、早めに医療機関へ相談しましょう。
性犯罪や性暴力による妊娠の場合
性犯罪や性暴力による妊娠の場合、人工妊娠中絶費用について公費負担を受けられる場合があります。
公費負担の対象や手続きは、地域や状況によって異なります。警察や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどに相談し、利用できる支援を確認しましょう。
一人で抱え込まず、支援窓口に相談することが大切です。
生活保護を受けている場合
生活保護を受けている場合は、担当のケースワーカーに相談しましょう。
医療扶助や自治体の対応によって、費用面の支援を受けられる可能性があります。自己判断で受診を遅らせず、早めに状況を伝えることが大切です。
相談時は、以下を確認しておくと話が進めやすくなります。
- 妊娠週数
- 受診予定の医療機関
- 中絶費用の見込み
- 支払い時期
- 医療機関から案内された手続き
| 【中絶費用は医療費控除の対象になる場合もある】 人工妊娠中絶にかかった費用は、医療費控除の対象になる場合があります。 医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって税負担を軽くできる制度です。 ただし、医療費控除は受診時の支払いが免除される制度ではありません。確定申告で手続きする制度のため、今すぐ中絶費用が払えない場合の直接的な解決策にはなりにくい点に注意が必要です。 申告に備えて、領収書や明細書は保管しておきましょう。 |
未成年・学生で中絶費用が払えない場合の相談先

未成年や学生の場合、自分だけで中絶費用を用意することが難しい場合もあります。保護者に話せない不安から、受診や相談をためらう方もいるでしょう。
ただし、妊娠週数が進むほど選択肢が限られ、費用や身体への負担が大きくなりやすくなります。費用を用意できない場合でも、一人で抱え込まず、相談できる先につながることが大切です。
どのようなところに相談すべきかについて解説します。
保護者や信頼できる大人に相談する
未成年の場合、医療機関によっては保護者の同意や同伴を求められることがあります。親に話しにくい場合は、親戚やそのほか信頼できる大人に相談できないか検討しましょう。
費用面だけでなく、受診先の選び方や手続きについて助けてもらえる場合があります。
保護者に直接話すことが難しい場合でも、まずは信頼できる大人に状況を伝えることで、受診につながる方法を一緒に考えやすくなるでしょう。
妊娠SOSなどの相談窓口を利用する
家族に相談できない場合は、妊娠SOSなどの相談窓口を利用することも検討しましょう。
費用面の不安や受診先の探し方などを相談できる場合があります。相談方法は窓口によって異なり、電話、メール、LINEなどに対応しているところもあります。
性犯罪や性暴力による妊娠の場合は、専門の支援窓口を案内してもらうことも可能です。家族に話せない場合でも、一人で判断せず、利用できる相談先を探しましょう。
中絶費用は男女でどう負担する?
中絶費用の負担について、法律上必ず折半になると決まっているわけではありません。
パートナーと話し合える場合は、以下のようなことを踏まえて、中絶費用をどのように負担するか相談しましょう。
- 妊娠の経緯
- 双方の収入
- 関係性
- 今後の対応 など
中絶では、費用の負担だけでなく、女性側に身体的・精神的な負担もかかります。そのため、単純に半分ずつ負担するかどうかだけでなく、状況に応じて話し合うことが大切です。
費用の範囲を確認してから話し合う
費用負担を話し合う前に、中絶にかかる費用の範囲を確認しましょう。手術費だけでなく、以下のような費用も含めて考える必要があります。
- 診察費
- 検査費
- 薬代
- 麻酔費
- 術後診察費
- 交通費
- 中期中絶の場合の入院費
- 中期中絶の場合の火葬・埋葬に関する費用
領収書や明細書を保管しておくと、費用を共有しやすくなります。費用の話し合いをする際は、実際にかかる費用を確認したうえで話し合いましょう。
費用負担の話し合いが進まない場合でもまずは受診する
パートナーと費用負担について話し合いが進まない場合でも、受診を先延ばしにしないことが大切です。
相手と連絡が取れない、費用負担を拒否される、話し合いがまとまらないなどのケースもあります。しかし、話し合いに時間がかかっている間にも妊娠週数は進みます。
相手から費用を受け取れない場合は、自分が使える支払い方法や制度を確認し、まずは医療機関で妊娠週数を確認しましょう。
なお、人工妊娠中絶には母体保護法にもとづき、原則として本人と配偶者の同意が必要です。未婚の場合も、医療機関によっては胎児の父親の同意を求められます。
相手と連絡が取れない、同意が得られないなどの事情がある場合は、対応が医療機関によって異なるため、受診前に相談しておきましょう。
中絶費用が払えなくても避けるべきこと
中絶費用が払えないときでも、以下のことは避けましょう。
- 費用のために受診を先延ばしにする
- 費用だけを見て受診先を決める
- 違法な借入をする
それぞれ避けるべき理由を解説します。
費用のために受診を先延ばしにする
費用を用意できるまで受診を待つと、妊娠週数が進んでしまいます。中期中絶になると、費用や身体への負担が大きくなるだけでなく、対応している医療機関も限られるため、注意が必要です。
費用が不安な場合も、まずは医療機関で妊娠週数を確認しましょう。支払い方法や制度を検討するためにも、現在の妊娠週数を把握することが大切です。
費用だけを見て受診先を決める
人工妊娠中絶は身体に関わる処置です。費用面の不安があっても、受診先を安易に決めないようにしましょう。
受診先を選ぶときは、費用だけでなく、以下も確認しましょう。
- 母体保護法指定医がいる医療機関か
- 対応している妊娠週数
- 対応している処置方法
- 診療体制
- 術後フォロー
- 緊急時の対応
- 支払い方法
費用が不安な場合は、受診前や予約時に支払い方法も相談しましょう。
違法な借入をする
費用を用意するために、闇金や違法な貸付業者を利用しないようにしましょう。
違法な借入を利用すると、不当な金利や取り立てにより、返済に苦しむ可能性があります。借入を検討する場合は、正規に登録された貸金業者かどうかを確認することが大切です。
また、SNSで知り合った個人や、身元が分からない相手からお金を借りることも避けましょう。費用を用意する方法に迷う場合は、医療機関や公的な相談窓口に相談してください。
中絶費用に不安がある場合は一人で抱え込まず相談を

中絶費用が払えない場合でも、受診を先延ばしにしないことが大切です。妊娠週数が進むと、費用や身体への負担が大きくなり、初期中絶では対応できなくなる可能性があります。
中絶費用を一括で払えない場合は、家族やパートナーへの相談・クレジットカードの分割払い・カードローン・医療機関への相談などの方法を検討しましょう。状況によっては、公的制度を利用できる可能性もあります。
未成年や学生で費用を用意できない場合は、保護者や信頼できる大人、妊娠SOSなどの相談窓口につながりましょう。パートナーとの費用負担の話し合いが進まない場合でも、まずは医療機関で妊娠週数を確認することが大切です。
費用に不安がある場合は、一人で抱え込まず、早めに医療機関へ相談しましょう。




