スリンダ(スリンダ錠28)は、低用量ピルの血栓症リスクや副作用が気になる人にとって、新たに検討しやすい経口避妊薬です。
エストロゲンを含まず、ドロスピレノンのみを有効成分とするため、喫煙・高血圧・肥満・授乳中などで従来のピルに不安がある人も医師に相談できます。
スリンダの特徴や注意点、飲み忘れ時の対応などを知っておくことで、その他の避妊方法と比較しやすくなります。スリンダを検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
スリンダの特徴
スリンダは、ドロスピレノンを有効成分とする経口避妊薬です。日本で初めて承認されたミニピルとされ、毎日1錠ずつ服用することで避妊効果を発揮します。
スリンダの特徴について解説します。
エストロゲンを含まず、ドロスピレノンを配合している
スリンダの特徴は、エストロゲンを含まない点です。
エストロゲンは、低用量ピルに使われることがある女性ホルモンの一種です。血栓症(血管の中に血のかたまりができる病気)のリスクや吐き気、頭痛、むくみなどに関わることがあります。
スリンダは、ドロスピレノンという黄体ホルモンの一種に似た成分によって、排卵を抑えたり、精子が子宮に入りにくい状態にしたりして妊娠を防ぎます。そのため、エストロゲンを含む薬に不安がある人も、医師に相談しながら検討できる避妊薬です。
1シートに4錠の偽薬が含まれている
スリンダは1シートが28錠で構成されています。24錠は成分を含む実薬、残り4錠は成分を含まない偽薬です。
実薬を24日間飲んだあとに偽薬を4日間飲み、毎日休まずに1錠ずつ飲み続けるのが特徴です。
偽薬の期間には、生理のような出血(消退出血)が起こることもありますが、出血がない場合もあります。28錠を飲み終えたら、出血の有無に関係なく、翌日から新しいシートをはじめます。
スリンダとほかの避妊法の違い
スリンダは、低用量ピルやミレーナ、従来のミニピルとは特徴が異なります。
| 避妊法 | 主な特徴 |
|---|---|
| スリンダ | ドロスピレノンのみを含む、毎日飲む経口避妊薬 |
| 低用量ピル | エストロゲンと黄体ホルモンを組み合わせた経口避妊薬 |
| ミレーナ | 子宮内に入れて使う避妊具 |
| ほかのミニピル | デソゲストレルなどの黄体ホルモンのみを含む経口避妊薬 |
これらの避妊法との違いについて、くわしく解説します。
低用量ピルとの違い
スリンダと低用量ピルの大きな違いは、エストロゲンを含むかどうかです。
エストロゲンは、低用量ピルで避妊効果や出血のリズムを安定させるために使われる女性ホルモンです。多くの人は問題なく服用できますが、喫煙の有無や健康状態によっては、血栓症に注意しながら処方が判断されます。
スリンダはエストロゲンを含まないため、低用量ピルの服用に不安がある方や、健康状態などから処方に慎重な判断が必要な人の選択肢となる場合があります。
ミレーナとの違い
スリンダとミレーナは、避妊の方法や使い方が異なります。
スリンダは経口薬であるのに対し、ミレーナは医師が子宮内に装着する避妊システムです。黄体ホルモンの一種であるレボノルゲストレルを少しずつ放出することで避妊効果を発揮します。
ミレーナは一度装着すると最長5年間効果が続きます。ただし、5年を越えて使用することはできません。
継続して使用する場合は交換、使用をやめる場合は除去が必要です。
毎日薬を飲む方法が合う人もいれば、長期間の避妊を希望してミレーナを検討する人もいます。どちらが適しているかは、体の状態や希望する避妊期間によって異なるため、医師に相談して選びましょう。
ほかのミニピルとの違い
現在、日本国内で承認されているミニピルはスリンダのみですが、クリニックによっては、スリンダ以外の未承認のミニピルを取り扱っている場合もあります。
スリンダには有効成分としてドロスピレノンが含まれていますが、ほかのミニピルではデソゲストレルなど別の黄体ホルモンが使われることがあります。
なかには、1シートすべてが有効成分を含む実薬で構成されているミニピルもあるため、偽薬や休薬期間の有無まで確認しておくと安心です。
スリンダを服用する3つのメリット
スリンダを服用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 低用量ピルよりも血栓症リスクを抑えやすい
- 低用量ピルの処方が難しい人も選択肢になる
- 授乳中の避妊方法として相談できる
これらのメリットについて、くわしく解説します。
1. 低用量ピルよりも血栓症リスクを抑えやすい
低用量ピルに含まれるエストロゲンは、血栓症のリスクをわずかに上げることがあります。
一方、スリンダはエストロゲンを含まず、ドロスピレノンのみを有効成分としているため、血栓症が不安な人にも選択肢となる可能性があります。
2. 低用量ピルの処方が難しい人も選択肢になる
スリンダは、喫煙の有無や健康状態などから、低用量ピルの処方が難しい人でも服用できる可能性のある薬です。
たとえば、以下のような人は、低用量ピルの処方に慎重な判断が必要になりますが、スリンダであれば処方可能な場合もあります。
- 喫煙習慣がある人
- 高血圧を指摘されている人
- 肥満傾向の人
- 前兆を伴う片頭痛がある人
ただし、スリンダが合うかは持病や服用中の薬も関わるため、医師へ正確に伝えることが重要です。
3. 授乳中の避妊方法として相談できる
スリンダは、授乳中の避妊方法としても、医師に相談できます。
低用量ピルは母乳の量に影響するおそれがあるため、授乳中は処方に慎重な判断が必要です。一方、スリンダはエストロゲンを含まないため、授乳中の避妊方法として検討されることがあります。
ただし、産後の時期や体調によって適した避妊法は異なるため、授乳中の場合は医師に相談しましょう。
スリンダを服用する前に知っておきたい3つの注意点
スリンダには事前に知っておきたい3つの注意点があります。
- 副作用が起こることがある
- 服用できない人・注意が必要な人がいる
- 併用に注意が必要な薬がある
安心して処方してもらうためにも、注意点を理解しておきましょう。
1. 副作用が起こることがある
スリンダの服用中は、以下のような副作用が起こることもあります。
- 不正出血
- 下腹部痛
- 月経異常
- 頭痛
- 腹痛
- 吐き気
- 下痢
不正出血は服用初期にみられやすい症状です。出血が長く続いたり量が多かったり、強い腹痛を感じたりする場合は注意が必要です。自己判断で飲み続けず、医師に相談しましょう。
2. 服用できない人・注意が必要な人がいる
スリンダは、すべての人が服用できる薬ではありません。
以下のような人は服用できない可能性があります。
- 成分に対して強いアレルギー反応が出る過敏症の人
- 乳がんや生殖器がんと診断されている人や疑いがある人
- 原因がわからない性器出血がある人
- 重い腎障害や肝障害がある人
- 妊娠中または妊娠の可能性がある人
また、うつ病やうつ状態の既往がある人、腎障害や肝障害がある人などは、服用に注意が必要です。診察時には、既往歴や現在の症状を正確に伝えることが大切です。
3. 併用に注意が必要な薬がある
スリンダには、併用に注意が必要な薬もあります。
たとえば、一部の抗てんかん薬や抗菌薬、HIV治療薬といった薬です。セイヨウオトギリソウを含むサプリメントや健康食品にも注意が必要です。
また、スリンダに含まれるドロスピレノンの作用により、血清カリウム値に注意が必要な薬もあります。
血清カリウム値とは、血液中のカリウムの量を示す数値です。ACE阻害薬やカリウム保持性利尿薬などを服用している場合は、血清カリウム値が高くなりすぎないよう注意が必要です。
現在服用している薬やサプリメント、健康食品がある場合は、診察時に必ず医師へ伝えましょう。
スリンダの服用方法で気を付けること
スリンダは、毎日同じ流れで飲み続けることが大切な避妊薬です。飲みはじめる日や飲む時間、シートの順番、偽薬の扱いを理解しておくと、飲み忘れや中断を防ぎやすくなります。
生理開始日に服用を開始する
スリンダは、基本的に生理が始まった日から飲みはじめます。生理開始日から服用すると、その日から避妊効果が期待できるとされています。
別の時期にはじめる場合や、ほかの避妊薬から切り替える場合は、避妊効果が途切れないよう医師に確認しましょう。自己判断で開始日をずらすと、避妊効果に影響する可能性があるため、注意が必要です。
毎日同じ時間に1錠服用する
スリンダは、毎日1錠をできるだけ同じ時間に飲むことが大切です。飲む時間が大きくずれたり、飲み忘れたりすると、避妊効果が下がる可能性もあるため、注意しましょう。
起床後の水を飲む時間や、夜の歯みがき後など、毎日続けやすい行動とセットにすると習慣化しやすくなります。リマインダーやアラームなどをセットしておくのもおすすめです。
1シート28錠を順番どおりに服用する
スリンダは、1シート28錠を指定された順番どおりに飲み進める薬です。白い錠剤である実薬からはじめ、シートに沿って毎日1錠ずつ服用してください。
途中で順番を変えたり、自己判断で服用を止めたりすると、避妊効果が低下する可能性もあります。飲み間違いに気づいた場合は、放置せず医師に相談しましょう。
偽薬も忘れずに服用する
スリンダには、有効成分を含まない偽薬が4錠含まれています。偽薬は避妊効果を発揮する成分は含みませんが、毎日飲むリズムを保つために役立ちます。
28錠をすべて飲み終えたら、休薬期間を作らず翌日から次のシートをはじめましょう。自己判断で偽薬を飛ばしたり、休薬期間を伸ばしたりしないことが大切です。
スリンダを飲み忘れたときの対応
スリンダを飲み忘れた場合について、ケース別に対応を解説します。
翌日までに気づいた場合はすぐに服用する
飲み忘れに翌日までに気づいた場合は、気づいた時点ですぐに1錠を服用します。次に飲む時間が近い場合でも、飲み忘れた分を服用し、その後はいつもの時間に戻して続けましょう。
この場合、避妊効果は基本的に保たれるとされています。ただし、飲み忘れが何度も続くと効果に影響する可能性があるため、アラームや服薬習慣を見直しましょう。
2日連続で飲み忘れた場合はほかの避妊法を併用する
2日連続で飲み忘れた場合は、避妊効果が下がっている可能性もあります。気づいた時点で直近の1錠を服用し、翌日からはいつもの時間に1錠ずつ飲み続けます。
服用を再開してから7日間は、性交渉を控えるか、コンドームを併用しましょう。飲み忘れ中に性交渉があった場合は、医師に相談してください。
3日以上連続で飲み忘れた場合は服用を中止する
3日以上連続で飲み忘れた場合は、自己判断で残りの錠剤を続けず、いったん服用を中止します。その後は次の月経を待ち、新しいシートで再開してください。
再開のタイミングや、その間の避妊方法に迷う場合は、医師に相談してください。妊娠の可能性が不安な場合も、早めに受診して確認することが大切です。
スリンダの価格と処方の流れ
スリンダを検討している場合、どのくらいの費用がかかるか、どのように処方してもらえばいいのかといったことが気になる方も多いでしょう。
スリンダの価格相場や処方の流れを解説します。
スリンダ錠の価格相場
スリンダは、避妊目的で使う場合、保険が使えない自由診療として扱われます。薬代は1シートあたり約2,600円から3,850円が目安です。
価格はクリニックや処方のしかたによって異なります。
薬代とは別に診察料や初診料、オンライン診療であれば送料がかかる場合もあります。価格を比較するときは、薬代だけでなく総額で確認しましょう。
クリニック処方の流れ
クリニックで処方を受ける場合は、まず問診で以下のようなことを確認します。
- 既往歴
- 服用中の薬
- 月経の状態
- 妊娠の可能性
服用できると判断された場合は、飲み方や副作用などの説明を受けて処方されます。
オンライン処方の流れ
オンライン処方に対応しているクリニックでは、Web予約や問診のあと、電話やチャットなどで医師が診察を行い、スリンダを処方します。処方後は、自宅に配送されるケースが一般的です。
オンライン処方でも、医師の診察なしに薬だけを購入できるわけではありません。既往歴や服用中の薬によっては、オンラインではなく対面診療が必要になる場合もあります。
| 【安さだけで選ばないことが大切】 スリンダやミニピルは、個人輸入代行サイトや海外医薬品を扱う通販サイトなどに掲載されているケースもあります。 安く見える場合でも、医師の診察を受けずに購入すると、薬が自分に合っているか判断できず、品質や保管状態にも不安が残ります。 安全に服用するためにも、スリンダは医師の診察を受けたうえで処方してもらいましょう。 |
スリンダは低用量ピルの服用が難しい人にも選択肢となる場合がある
スリンダは、ドロスピレノンのみを有効成分とする経口避妊薬で、低用量ピルの血栓症リスクや副作用が不安な人も医師に相談しやすい選択肢です。
副作用や飲み忘れ時の対応、費用、処方の流れを事前に知っておくことで、自身に適していそうかを判断しやすくなります。喫煙・高血圧・肥満・授乳中などの事情も含めて相談すれば、自分に合う避妊方法を選びやすくなるでしょう。




