中絶費用は分割払いできる?お金がない場合の対処法を解説

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

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川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

中絶費用には保険が適用されないため、想定外の高額な費用負担にお悩みの方もいるでしょう。
中絶費用が払えない場合でも、分割払いや後払い、カードローンなどを利用する方法があります。
公的支援制度を利用できる条件に該当すれば、中絶における費用負担を大幅に下げられるかもしれません。

中絶手術にかかる費用相場や、払えない場合の対処法について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

中絶手術にかかる費用

中絶手術には保険が適用されず、中絶にかかる費用は各医療機関で異なります。

初期中絶(妊娠11週6日まで)にかかる費用の相場は7〜10万円程度で、中期中絶(妊娠12週~22週未満)の場合は40〜60万円程度です。

初期中絶(吸引法・掻爬法)中期中絶(陣痛促進剤)
初診料(問診・エコー検査など)1万円1万円
術前検査(感染症検査など)1万円1万円
手術(入院費・埋葬費を含む)7〜10万円40〜60万円

※上記は一般的な相場価格です。受診する際には各医療機関の費用を必ず確認してください

初期中絶よりも中期中絶の手術費用のほうがが高い理由には、手術の難易度が上がることや、入院費がかかることなどが挙げられます。

妊娠中期には胎児が大きく成長しているため、手術方法が複雑になり、身体への負担も大きくなります。

中絶にかかる費用は手術費だけでなく、検査費用や血液検査代、麻酔費などの諸経費もかかるのが一般的です。

中絶費用は保険適用外であるため、これらの費用は全額自己負担となります。

ただし例外として、下記のようなケースで中絶せざるをえない場合には、保険適用になることもあります。

<保険適用の対象となるケース>

  • 稽留流産(けいりゅうりゅうざん):母体内で胎児が亡くなる
  • 妊娠の継続が母体にとって危険だと判断された場合

中絶費用は分割払いが可能

中絶費用が高額で払えない場合、クレジットカードによる分割払いや、リボ払いを利用する方法もあります。

クレジットカードによる分割払いは、クレジットカード会社が医療機関に一括で支払ったあとに、利用者がクレジットカード会社に対して利用額を分割で返済する方法です。

多くの医療機関ではクレジットカードの分割払いに対応していますが、利用可能なクレジットカードの種類は各医療機関によって異なるため、あらかじめ確認しておくと安心でしょう。

また、医療機関によってはリボ払い(リボルビング払い)に対応しているところもあります。

リボ払いとは、利用金額に関わらず、毎月一定額を返済していく方法です。

高額な医療費が発生するような手術や治療を提供している医療機関の多くは、クレジットカードによる分割払いやリボ払いに対応しています。

現金での分割払いについては、基本的には医療機関では対応できないため注意しましょう。

医療機関は金融機関とは異なり、分割支払いの業務を行えないためです。

中絶費用を払えない場合の対処法

中絶費用を払えない場合でも、次のような対処法があります。

  • 医療費控除の利用
  • 公的支援制度の適用
  • カードローンの利用
  • 家族やパートナーへの相談
  • 医療機関への相談

中絶費用が手元になくて困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

医療費控除の適用

医師が母体保護法の規定に基づいて行う中絶手術は、医療費控除の対象となります。

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって一部のお金が還付金として戻ってくる制度です。

医療機関に支払う中絶費用自体は自分で用意する必要がありますが、あとから一部のお金が返ってくるため、中絶にかかる費用負担を減らせる点がメリットです。

医療費控除額は、以下の計算式で算出できます。

その年中に支払った医療費 - 保険金などで補てんされる金額 – 10万円又は所得金額の5% (どちらか少ない額) = 医療費控除額(最高200万円)

医療費控除の対象となる費用は手術費用だけでなく、手術前の検査費用や薬剤費、通院費用なども含まれます。

医療費控除を利用したい場合は、医療費控除の申請書や医療機関から受け取った領収書などを確定申告時(原則として翌年の2月16日~3月15日までの期間)に提出しましょう。

参照:国税庁|妊娠中絶の費用医療費を支払ったとき

公的支援制度の利用

中絶で利用できる公的支援制度には、「出産育児一時金」や「高額療養費制度」などが挙げられます。

「出産育児一時金」は通常の出産だけでなく、妊娠85日(約4ヶ月)以降の中絶や死産も対象とする制度であり、支給額は1児につき50万円です。

基本的にこの制度を利用すれば、公的医療保険から直接医療機関へ出産一時金が支払われるため、費用を立て替える必要はありません。

利用したい場合は、対応している医療機関において申請手続きを済ませましょう。

また、稽留(けいりゅう)流産(母体内で胎児が死亡)や母体保護などによって中絶手術が必要になった場合は、「高額療養費制度」の対象となることがあります。

高額療養費制度とは、1ヶ月(同じ月の1日~末日まで)の医療費が高額になって一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分の金額が返ってくる制度です。

高額療養費の支給を受けたい場合は、ご自身が加入している公的医療保険に高額療養費の支給申請書を提出することで利用可能です。

カードローンの利用

カードローンとは、銀行や消費者金融などからお金を借りるサービスです。

利用限度額の範囲内であれば借り入れが可能で、ローン会社に分割で返済できるメリットがあります。

金利に注意すべきではあるものの、「中絶費用が今手元になくて払えない」という場合には有益な対処法だといえるでしょう。

カードローンを利用する場合は金利の確認をし、返済計画を立てて無理のない範囲で借り入れを行いましょう。

家族やパートナーへの相談

中絶費用の用意がどうしても難しい場合は、一人で抱え込まず、家族やパートナーへ助けを求めましょう。

言いにくいかもしれませんが、家族やパートナーに相談することで、お金の面だけでなく、精神的な面でもサポートしてもらえる可能性があります。

中絶手術は心身に大きな苦痛をともなうため、周りのサポートが不可欠です。

いきなり家族やパートナーに伝えるのが難しい場合は、まずは信頼できる友人や保健室の先生などに相談してみるといいでしょう。

医療機関への相談


中絶費用の用意がどうしても難しい場合は、医療機関に状況を説明し、他の支払い方法の有無や後払いの可否などについて確認する方法もあります。

医療機関によっては、医療費を後払いできるサービスを導入している場合があります。

支払い方法にはクレジット決済や口座振替などがあり、決済(引き落とし)日は、各医療期間で導入しているサービスや、クレジットカードの種類などによってもさまざまです。

利用する医療機関で後払いサービスを導入している場合は、詳しい利用方法についてもあわせて確認しましょう。

まとめ

この記事では、中絶費用の支払いが難しい場合の対処法について解説しました。

医療機関によってはクレジットカードの分割払いや後払い、リボ払いなどに対応しているため、ホームページや電話問い合わせなどで確認しましょう。

妊娠から85日以降の中期中絶の場合は、公的支援制度である出産一時金を利用できる可能性もあります。

中絶費用の用意が難しくてお悩みの方は、この記事で紹介した方法ぜひ参考にしてみてください。