【医師監修】細菌性膣症の半数は無症状だが「病気としてのリスク」は高い

細菌性膣症はおりものの増加、臭いの変化、下腹部痛、不正出血などの症状が出現する病気です。膣内には身体にとって良い菌も感染症の原因となる悪い菌もいますが、細菌性膣症は、良い菌が減少し、悪い菌が異常に増殖した状態のことです。

ただ、細菌性膣症にはおりものも含めて全く変化が見られないケースもあります。つまり「細菌性膣症ではあるが無症状」という場合です。比率としては半数程度が細菌性膣症であるにもかかわらず無症状です。

細菌性膣症は、子宮や卵管、骨盤内に炎症が波及したり、妊娠期間中であれば子宮への感染によって流産や早産の原因となることがあるため注意が必要です。無症状であっても進行している場合もあるため、気になる症状があった場合は、速やかに病院にて診察を受けてください。

なお、自然治癒する場合もありますが、再発しやすい病気であるため、完治かどうかの検査も必要です。

細菌性膣症の原因は?

「細菌性膣症」はトリコモナスやクラミジアなどの特定の菌が原因ではありません

膣内には乳酸菌の一種であるラクトバシラス属と言われる菌がいます。この菌は膣の中の環境を調節することで、病気の原因となる様々な菌が繁殖することを防いでいます。細菌性膣症はこのラクトバシラス属が減少することで、膣内の環境が変わり、そのほかの菌が異常増殖した状態です。

膣内環境の変化がこの病気の原因と言えるでしょう。膣内の環境が変化する原因としては、妊娠や糖尿病の悪化などです。

妊娠している女性は細菌性膣症に注意していただきたいです。細菌性膣症にかかると赤ちゃんを包んでいる膜に感染が広がることがあります。これにより、絨毛膜羊膜炎にかかる可能性が高まり、早産や流産の危険性が高まります。早産や流産の危険性としては妊娠24~37週では2.8倍、16週以内だと5.5倍高くなるという報告があります。

「おりものの変化」以外の症状は?

細菌性膣症の主な症状は、おりもの内で細菌が増殖し異臭を放つことです。炎症を起こしているわけではないので確率は低いですが、「膣やその付近のかゆみ」「おしっこのときに尿道が熱くなる」などの症状があらわれる場合もあります。

膣やその付近に痒みが生じている場合、あるいは排尿時に違和感を感じる場合は他の性感染症の可能性もあるため、病院の受診をおすすめします。

先述した通り、細菌性膣症にかかっていると妊娠に関して重大な問題が発生することもあります。特に妊娠を希望している場合、少しでも異変に気づいたら病院で診断を受けることをおすすめします。(もちろん当面妊娠の予定がない方でも、診察を受けることをおすすめします。)

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性行為と細菌性膣症の関係性

細菌性膣症は主に性行為によって起こります。特に細菌性膣症は、セックスパートナーが複数いる方に多くみられる病気です。

ただ、性行為がなくても細菌性膣症が発症する場合があります。それは、「生理期間中」や「忙しすぎて疲労しているとき」です。

正常なおりものは自浄作用をもつ乳酸菌の一種であるラクトバシラス属菌によって細菌の増殖を防いでいますが、ストレスやホルモンの影響等でラクトバシラス菌が減少してしまいます。そのような場合に細菌が増殖して細菌性膣症を発症してしまうことがあります。

性行為がなくても細菌性膣症になる場合もありますが、性行為が細菌性膣症の発症リスクを高めていることは間違いありません

性行為時の注意点

性行為によって膣内の菌のバランスが崩れる可能性があるため、性行為の際には必ずコンドームを装着してください。これには「HIVへの感染を防ぐ」効果もあります。

細菌性膣症にかかっている場合は、通常よりもHIVに感染する危険性が高くなります。そのため、妊娠を望んでいない場合はコンドームを使用してください。

細菌性膣症を防ぐために気を付けること

細菌性膣症は「疲れが蓄積している場合」に発症しやすくなります。そのため、まずは「生活リズムを整えて疲労を溜めない」ことが重要です

また、性行為との関連も示唆されています。妊娠を望んでいない場合は、性行為の際はコンドームの装着をしてください。男性の中には稀にコンドームの装着を拒む方もいらっしゃいます。そのような男性と関わることは、あなたが傷つくことになりかねません。

上記のことに注意すれば、細菌性膣症を過剰に心配する必要はありません。

神経質になりすぎるとかえってストレスが溜まってしまうため、気になる場合は病院で検査を受けてみることをおすすめします。

検査の手法としては、膣の分泌物を採取して細菌がいないかを検査します。病院にもよりますが、結果は1〜2日とすぐに判明します。細菌性膣症の可能性がある場合は、その他の性感染症に感染している場合もあります。そのため、検査項目は医師と相談してください。

細菌性膣症の潜伏期間

多忙によるストレスや生活習慣、性行為の乱れがある場合は、それらの改善により細菌性膣症が改善する可能性があります。しかし、ご自身だけで解決しようとせず、まずは病院での診察をおすすめします。

「膣の中の自浄能力が衰えているタイミングにおける下痢」なども細菌性膣症の引き金になります。「直近数週間でお腹を下したことがなかったか」を思い出してみてください。

感染性膣症は膣剤を用いることで早期の症状改善が望めます

膣の健康と乳酸菌サプリメント

「健康な場合の膣は、乳酸菌の一種であるラクトバシラス属菌によって酸性に維持されている」と考えられています。膣内を酸性に保つことにより細菌の繁殖を防いでいます。

乳酸菌サプリメントなどで乳酸菌を補うことで、膣の状態を整える効果が確認されています。体質によっては、膣のニオイの改善も期待できます。膣の状態が気になる方は一度お試しください。膣を過度に洗浄するのではなく、体の内側から整えることが大切です。

ただし細菌性膣症は再発しやすいため、ご自身だけで治療を行うのではなく、病院での診察と医師の指示に従って治療を行ってください

まとめ

細菌性膣症は膣内の菌のバランスが崩れ一部の菌が異常に増殖してしまうことで発症します。細菌性膣症の主な症状はおりものが異臭を放つことですが、半数は無症状で、病気にかかっていることに気づかない場合もあります。

しかし、細菌性膣症を放置すると悪化して重篤化する場合や、別の性感染症の場合もあるため、違和感があったら速やかに病院にて診察を受けてください。

とくに妊娠している女性にとっては早産や流産の原因になるので注意が必要です。

細菌性膣症は複数のセックスパートナーがいる場合や、忙しすぎてストレスが溜まっている場合にも発症する病気です。原因に心当たりのある場合は、通院にて治療を進めるとともにご自身の生活環境の改善も併せて考えてみてください。

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