毛ジラミ症とは、陰毛や体毛に寄生する小さなシラミが原因で起こる感染症の一種です。強いかゆみが続き、人前で話しづらいという悩みを抱える方も少なくないでしょう。主な感染経路は性行為とされていますが、タオルや寝具の共有によって広がる可能性も否定できません。
本記事では毛ジラミ症の潜伏期間や治療法はもちろん、日常で気をつけたい予防ポイントまで医師監修のもとで詳しく解説します。症状に心当たりがある方や予備知識を得たい方にも役立つかもしれません。
読むことで、もし感染した場合も冷静に対処しやすくなると考えられます。不安をやわらげ、自分に合った対応策を見つけるきっかけにしていただければ幸いです。
毛ジラミ症とは?
毛ジラミ症は、ケジラミという小さな寄生虫が陰毛や体毛などに寄生することで起こる感染症です。陰部の強いかゆみが代表的な症状ですが、眉毛や脇毛といった毛の生えているあらゆる箇所に寄生するケースも見受けられます。
毛ジラミ症の主な原因
毛ジラミ症は主に性行為が原因で発症する症状で、陰毛と陰毛が触れ合うことでシラミの一種である「ケジラミ」が感染します。いわゆる「性感染症」に分類される病気ですが、年齢問わず感染する可能性があります。ケジラミは約1mmほどの非常に小さな寄生虫ですが、潜伏期間中に1匹あたりが産みつける卵の数はなんと30〜40個にものぼります。
一度寄生されてしまうと非常に強い感染力で拡大してしまうため、感染した本人はもちろん、身の回りの方にも感染する可能性が高い危険な病気です。また、主に陰毛に感染して発症することの多い毛ジラミ症ですが、他にも脇毛・髭・すね毛・太もも・眉毛・頭髪など、毛が生えているあらゆる箇所にも感染してしまうことがあります。
また、毛ジラミ症は性行為以外の場面でも広がる可能性があります。たとえば、感染者が使用したタオルや布団、衣類などにケジラミが付着している状態で、それらを別の人が使うと知らず知らずのうちにうつる可能性があります。
毛ジラミ症の症状について
毛ジラミ症に感染してしまうと、陰部を中心とした感染部位に激しいかゆみが生じます。非常に激しいかゆみを伴うため、夏場などの蒸れる期間に発症してしまうと特に辛く感じてしまいます。かゆみは出るものの、湿疹などの皮疹が出ないことが特徴です。
また、茶色がかった粉末のようなものが下着に付着する場合があります。これは、毛ジラミの糞や血液が付着することが原因です。かゆみのみならず、見た目の不快感があるのも毛ジラミ症が嫌悪される理由といえます。
毛ジラミ症は放置してしまうと、掻破性湿疹・膿痂疹・毛嚢炎などの皮疹を伴う皮膚のトラブルを併発してしまう危険性があるため、かゆいだけだからと我慢したり放置したりしてはいけません。
毛ジラミ症に該当する症状や思い当たる節がある場合は症状が悪くなる前にすぐに治療しましょう。
毛ジラミ症の感染経路と潜伏期間
ここでは、毛ジラミ症の感染経路と潜伏期間について解説します。
毛ジラミ症の感染経路
毛ジラミ症は主に性行為によって感染します。しかし、性行為がなかったとしても感染することがあります。上述のように、毛ジラミ症は陰毛以外の毛根にも感染します。そのため、口と口が触れ合うことで髭を介した感染や、接触する機会の多い親子間や家族間で感染することがあります。
毛と毛が触れ合う行為全般がケジラミの感染経路となりうるといっても過言ではありません。かゆみのある箇所を手で激しく掻きむしり、その手で他者に触れてしまうことも感染の原因になる場合があるため、十分な配慮が必要です。
また、ケジラミは寄生している元の箇所から離れても48時間ほど生き残る特徴があるため、布団やタオルなどを経由した感染の可能性があるのも特徴です。
毛ジラミ症の潜伏期間
毛ジラミ症の潜伏期間は約1~2ヶ月間あるといわれています。ただし、約1~2ヶ月間という期間はあくまでかゆみを実感するまでの期間です。ケジラミが潜伏している期間としては毛と毛の接触があってから約15日が目安ともいわれており、かゆみの症状が出る前から他人に感染する可能性があります。
その他の感染症についても心配な方は、性病検査キットを使って自宅で簡単にチェックする方法があります。
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毛ジラミ症の治療と対策
毛ジラミ症は適切な治療と生活環境の見直しで再発を防げます。最後に毛ジラミ症を防ぐための対策や、万が一発症してしまった場合の治療法について解説します。
毛ジラミ症の主な治療法
毛ジラミ症は、通院での治療が可能です。毛ジラミ症の有無を確認するためには、皮膚科や婦人科へ行きましょう。また、毛ジラミ症は「スミスリン」という成分が配合されたパウダーとシャンプーを活用して治療ができます。ケジラミ自体への効果は高いものの、卵への効果は弱いため、期間をおいて繰り返し使用する必要があります。具体的には2日おきに3〜4回程度使用することが勧められています。
では、実際にスミスリン配合のパウダー・シャンプーを使用する際の用法や注意点について解説します。スミスリン配合のパウダーは、かゆみなどの症状がある箇所に適量を散布し、1~2時間ほど経ってから洗い落としましょう。シャンプーの場合、3~5mmほどの量を患部に塗り込み、5分ほど馴染ませてから洗い流します。
使用方法自体は簡単なものの、感染源となる寄生虫を殺せるほどの強さがあるため、過度な使用頻度や量はかえって身体にダメージを与えてしまいます。皮膚科でもらう場合も薬局などで市販薬購入する場合も、用法・用量を守って使用しましょう。
毛ジラミ症予防のための対策
毛ジラミ症はケジラミに感染している人との接触でうつるため、性行為などの密接なスキンシップを控えることが基本的な予防策といえます。もしパートナーが毛ジラミ症かもしれないと感じたら、感染拡大を防ぐためにもできるだけ早く検査を受けてもらうことが望ましいでしょう。
毛ジラミ症は相手がかゆみを自覚して初めて気づくケースも多く、完全に防ぐのが難しい面があります。そのため、毛ジラミ症が心配になってから行動を起こすというより、毛ジラミ症に限らずあらゆる寄生虫のリスクを遠ざけるよう常日頃から環境を清潔に保つ考え方を身につけておくと安心です。
とくに、感染源になりやすいタオルや布団、下着などはこまめに洗濯することが大切です。熱に弱いケジラミを撃退するには、50℃以上の湯で洗濯したり、乾燥機を使ってしっかり乾かす方法も効果的だといわれています。もし家族や同居人に感染の疑いがある場合は、寝具やタオルを共有せず、個別に管理すると感染拡大を抑えやすくなるでしょう。
まとめ
今回はケジラミの感染により激しいかゆみを生じる毛ジラミ症について解説しました。
感染力が強く、一度発症してしまうと自分だけでなく身の回りの方にも悪影響を与えてしまいます。放置してしまうと二次感染を引き起こす可能性もあるため、毛ジラミ症かもしれないと感じた場合はすぐに皮膚科や婦人科を受診しましょう。
毛ジラミ症に悩んでいる方はもちろん、毛ジラミ症について事前に知っておきたいという方にとって今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。
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参考文献
日本感染症学会:ケジラミ症 http://jssti.umin.jp/pdf/guideline2008/02-9.pdf