低用量ピルの副作用とは?太る?吐き気がある?

低用量ピルは、避妊法としてもっとも効果が高い方法です。避妊に加え、月経痛・月経血の軽減に期待が持てる低用量ピルですが、日本では使用率が低いのが現状です。

その背景には副作用が心配という声もあり、利用に足踏みをしている方も少なくありません。ここでは低用量ピルの正しい知識、おこりうる副作用についてみていきましょう。

低用量ピルのよくある副作用とは

低用量ピルを服用することでよくある副作用には、軽い吐き気や胸の張り、頭痛などがあります。

これらの副作用は妊娠初期におこる症状とよく似ており、言い換えると「つわり」のような状態です。ピル服用から数日で収まるケースもあれば、1~2か月程度続く方もいますので、心配な場合は医師に相談しましょう。

また、不正出血が続く、むくみが酷くなったと感じる患者さんもいます。これは、低用量ピルによってホルモンバランスが崩れたことでおこる症状で、服用を続けることによりホルモンバランスが整い症状が治まることがほとんどです。

副作用は個人差があるため、なかには症状がまったくでない人もいます。

主な副作用の一覧

  • 頭痛
  • ムカムカする、吐き気
  • 気分の落ち込み、イライラ、軽いうつ状態
  • 腹痛
  • 胸の張り
  • めまい
  • 頻尿
  • 眠気、だるい
  • 吐き気
  • むくみ
  • かゆみ
  • ニキビ、しみ
  • 不正出血
  • 血栓症

基本的に重篤な副作用(血栓症など)が現れるのは1%以下といわれています。

しかし、低用量ピルはいくつか種類があり、処方されるタイプによって体質に合わない場合もあるため、服用開始後、体調の変化が気になる方は医師に相談しましょう。

参照元:沖縄県薬剤師会「女性と薬

ピルを飲む前に知っておきたい「血栓症」リスク

低用量ピルを利用する際に注意しておきたいのは、血栓症のリスクが高まることです。

血栓症とは血中にできた塊が血管を詰まらせる疾患で、脳や心臓、肺といった重要な臓器にまで影響をおよぼし、脳梗塞や心筋梗塞を招く恐れもあります。

しかしながら、その発症リスクは、1万人の女性が1年間ピルを服用した場合に6~9人程度と頻度

ただし、以下の方は発症リスクが高まるため注意が必要です。

  • タバコを吸う(喫煙者)
  • 肥満
  • 40歳以上

喫煙は、脳梗塞や心筋梗塞などを発症する恐れがあることで知られています。ピルを服用している方が喫煙を続けている場合、血栓症のリスクがさらに高まるため禁煙が推奨されます。35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方は、ピルの処方を行うことができませんので、禁煙もしくは喫煙量を減らしましょう。

肥満の方もピルの服用により動脈硬化を招きやすく、血栓症のリスクが高まります。BMI25以上で3倍、BMI30以上で4倍となるため注意が必要です。

最後に、40歳以降はピルの処方を推奨していないクリニックも存在します。

理由として女性15~19歳の血栓症リスクを1.0とした場合、40~44歳は5.29倍、45~49歳では6.58倍という報告がありますので、加齢とともにリスクが高まるといって過言ではありません。そのため、40歳以降のピル処方は慎重に行う必要があり、服用中もきめ細かな管理が大切です。

低用量ピルの服用を希望する際は事前に問診を受けることが大切です。持病やタバコを吸う本数など、リスクを低減させるため正確に伝えましょう。

参照元:中野区医師会「低用量ピルとタバコのお話

日本産科婦人科学会「女と男のディクショナリー

警察庁交通局「平成29年中の交通事故の発生状況

低用量ピルの副作用は飲み始めたあといつから出る?

低用量ピルの副作用は、飲み始めてから最初の数日の間に出ることがあります。

その時期によくある副作用は吐き気、胸の張り、頭痛、にきび、不正出血など妊娠初期症状に似ています。

副作用の程度や症状は個人の体質や、低用量ピルの種類によっても異なりますが、副作用が現れても2~3か月程度で収まるケースが多いです。

しかし、症状が重い場合や長引くときは、医師に相談しましょう。

不正出血は飲み始めにおこりやすい

低用量ピルによる不正出血は、飲み始めにおこりやすい症状です。

これはホルモンバランスの変化によるもので、出血量は少なく茶褐色(ちゃかっしょく:やや黒みを帯びた茶色)なのが特徴です。

一般的には1~2か月程度ピルを飲み続けることで収まりますが、大量の出血やいつまでも収まらない場合は早めに受診し、医師の診察を受けましょう。

ピルの服用中に生理がきたときは妊娠しているの?

ピルの服用中に生理がきたからといって、妊娠していることはありません。

妊娠の可能性があるのは、服用方法を間違えている、または飲み忘れの場合です。

ピルを正しく服用したときに妊娠する確率は0.3%で、飲み忘れを考慮した場合は8%となります。

ピル服用中であっても生理と似たような「消退出血」がおこります。一般的に休薬期間が始まってから2~3日以内に起こりますが、消退出血が2か月ない場合は妊娠している可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

低用量ピルには、21錠と28錠の2タイプがあります。

28錠タイプは飲み忘れ防止を考慮し、7日分の偽薬(プラセボ)が含まれています。

21錠タイプはこの偽薬が含まれていないため、7日間ピルを飲まない休薬期間が発生します。服用していない期間があると避妊効果が薄まる、または効かないと感じる方もいますが、休薬期間は排卵が終わったあとのため、妊娠する確率はほぼありません。

低用量ピルは開始日や服用方法が決まっていますので、医師の指示通りに服用しましょう。何度も飲み忘れた、3日以上服用していないなどの状態で性交渉を行った場合、ピルの効果が発揮されないケースも考えられますので、決められた用法・用量を守り正しく服用しましょう。

参照元:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

ピルの副作用に関するよくある質問(FAQ)

低用量ピルに関してはさまざまなうわさが飛び交い、間違った知識を持っている方も少なくありません。

ピルのウソ・ホントについてお答えします。

Q:ピルの副作用で太るのはウソ?

ピルを飲むと太るというのはウソです。

その理由はピルによって脂肪が増えることはないからです。

確かにピルを飲み続けることによって、空腹感を感じる方もいますが、一般的にピルを飲んで太ることはありません。

月経前症候群(PMS)によって食欲が異常に増えて食べてしまうという方は、ピルを飲むことで食欲が正常になり痩せるケースもあります。

まれに体重が1~2キロ増加することはありますが、これはピルの服用によって女性ホルモンが増え、体内の保水力が高まることによって引き起こされるむくみが理由です。

ピルの服用をやめたら痩せるわけではありませんが、むくみがとれることで痩せたと感じる人もいるようです。

ピルを飲んでいる間は、水分代謝をアップさせるように、カリウム(塩分排出)ビタミンE(血行促進)クエン酸(代謝促進)を意識的に摂取しましょう。

また血流をよくするために、ストレッチなどを行うとむくみの対策ができます。

Q:ピルの副作用でニキビが治るのはホント?

ピルでニキビが改善されます。

大人になってからできるニキビは、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)・男性ホルモンであるジヒドロテストステロンの分泌量が関係します。

プロゲステロンは排卵後~生理前に分泌量が増える女性ホルモンで、皮脂の分泌を促進し、ニキビの原因菌であるアクネ菌から肌を守る抗菌ペプチドを減らしてしまう働きがあるのです。だから生理前は肌が敏感になったり、ニキビが増えやすくなるんですね。

また男性ホルモンであるジヒドロテストステロンも皮脂の分泌を促進し、肌荒れに大きく関係します。

ピルを飲むことで、プロゲステロンの量をコントロールし、ジヒドロテストステロンの分泌を抑えられます。そのため、ニキビを改善できるのです。

Q:ピルをやめたらニキビが増える?

ピルをやめると、ニキビが増える可能性が高まります。

ニキビはホルモンバランスが関係しており、服用中はニキビの原因となる一部のホルモンが抑制されます。

そのためピルの服用を止めた場合、ニキビの原因となるホルモンが増加すればニキビが増える恐れがあるのです。ただし、ニキビは生活習慣も大きく関係しているので、規則正しい生活を心がけることも大切です。

Q:ピルをやめたら老ける?

ピルをやめたら急激に老け込むということはありません。

「老けたかも…」と感じた方は、ピルの作用で肌のコンディションが整えられていた場合、ピルをやめたことでニキビが増えたり、肌荒れした可能性があります。

このような肌の変化から、「老け」を感じるのかもしれませんが、ピルと老化は直接の関係はありません。

Q:ピルを飲むと副作用でがんになるのはウソ?

ピルを飲むとがんになるというのはウソです。

ピルを服用している期間、卵巣や子宮内膜は休んでいる状態のため、卵巣がんや子宮体がんになるリスクは約30%下がります。

ただし、子宮頸がんについては、ピルの服用期間によって発症リスクが増加するという報告があります。

子宮頸がんの主な原因とされる「HPV(ヒトパピローマウイルス)」は性交渉で感染するため、コンドームを適切に使用しましょう。

Q:ピルを飲み続けると妊娠しにくくなる?

ピルを飲み続けると妊娠しにくくなるというのはウソです。

その理由はピルの服用を中止すれば、避妊効果はなくなり、排卵が速やかに再開されるからです。

次の排卵日に妊娠する方もいますが、服用中から妊娠までにどのくらいの期間が必要かは個人差があります。

ピルの服用を中止しても、妊娠しない場合はもともとの体質や、何らかの婦人科の病気にかかっていることが考えられます。

Q:PMSにピルは効かないというのはウソ?

PMS(月経前症候群)にピルは効かないといううわさはウソです。

むしろ、PMSの理由は女性のホルモンバランスや排卵と関係しており、ピルの服用によって排卵を止めることで、PMS対策となります。

PMSにピルが効かないという方もいますが、そもそもPMSと思っている症状が女性ホルモンの低下とは関係ない場合もあります。

Q:ピルを飲んでいても脱毛サロンに行っていい?

ピルを飲んでいても、脱毛サロンやクリニックで脱毛の施術を受けていただいて問題ありません。

ピルを飲んだからといって、脱毛に関連する毛が生えるサイクルに変化はありません。

ただし、ピルを服用することで肌が過敏になったり、体毛の濃さや量に変化があるケースがあります。

とはいえ脱毛サロンやクリニックによっては、規約でピルを服用している場合は施術NGということもあるようなので、あらかじめ脱毛サロン・クリニックに相談しておきましょう。

Q:ピルの副作用で体毛は減って薄毛になるってホント?

ピルを飲むことで、多毛症の改善ができるので、体毛は減り、薄毛になる可能性はあります。

体毛と男性ホルモンは深く関係しています。

体毛が濃い多毛症の方は、ピルを飲むことで、男性ホルモンの働きが抑制されるため体毛は少なくなります。

しかし男性ホルモンが抑制されることで、予想以上に頭髪の抜け毛が増え、薄毛作用がもたされることもあります。

頭髪の抜け毛が気になったときは、シャンプーや洗髪の方法を見直し、ストレッチや運動などで血行をよくしましょう。また、ストレスを解消し、しっかりと睡眠をとることも大切です。

ピルの副作用を知ったうえで使うかを決めよう

低用量ピルは医薬品であるため、副作用が出るケースもあります。

代表的な副作用としては、腹痛、胸の張り、めまい、頻尿、眠気、だるさ、吐き気、むくみ、かゆみ、ニキビ、しみ、不正出血などです。

特に注意したいのは血栓症のリスクが高まることで、喫煙者・肥満や40歳以上の方などは処方が難しいケースもあります。

とはいえ副作用が全くでない人もいます。

望まない妊娠をして中絶をすると、金銭面だけでなく心身ともに大きな負担になります。アフターピルもありますが、確実な避妊をしたいなら、低用量ピルがおすすめです。

低用量ピルは避妊だけでなく、月経痛の軽減、ニキビの改善、月経日の移動など、女性へのメリットが多く存在しますので、あらかじめデメリットや副作用を知ったうえでピルの使用を検討してみましょう。

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