ウイルス性肝炎の症状とは?治療方法についても解説

ウイルス性肝炎にはどのような種類があり、どういう症状が現れるのかご存じでしょうか。肝炎ウイルスは我々の身近に潜んでおり、誰にでも感染のリスクがある病気です。なかには一度感染すると完治することはなく、徐々に体を侵食するものもあります。

感染予防や治療のためにも、ウイルス性肝炎の理解を深めることはとても大切です。この記事では、ウイルス性肝炎の種類や症状、治療法について解説します。

ウイルス性肝炎とは?

ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルスに感染することで起こる肝臓の病気のことです。肝炎ウイルスには、A型からE型までの種類があります。A型・E型肝炎ウイルスの主な感染経路は食べ物で、B型・C型・D型肝炎ウイルスの主な感染経路は血液です。B型・C型肝炎ウイルスは、感染により慢性の肝臓病になる危険性があります。

肝炎ウイルスは肝臓の細胞を壊すため、感染すると肝臓の働きが悪くなります。現れる症状は、倦怠感・食欲不振・吐き気・黄疸(眼球や皮膚が黄色くなること)などです。一方で、感染に気づかないほど症状が軽微なケース、症状が現れないケースもあります。

A型肝炎ウイルス(HAV)

A型肝炎ウイルス(HAV)は世界中に点在しています。特に発生しやすいのは、衛生環境が劣悪な地域や水道設備が整っていない地域です。近年、日本での感染者数は減少していますが、衛生管理が行き届いていない発展途上国からの輸入食品や、それらの国への渡航を原因とした感染報告が毎年数百件発生しています。

感染経路の多くは、糞便などで汚染された飲食物による経口感染です。一方で、性行為や輸血での感染も報告されています。潜伏期間は15~50日で、平均28日程度です。

B型肝炎ウイルス(HBV)

B型肝炎ウイルス(HBV)もA型同様、世界中に点在しています。世界のB型肝炎ウイルス感染者分布を見ると地域差が大きく、東南アジア・アフリカでは人口の8%以上が感染している国もあります。日本やヨーロッパなどの感染者が少ない国だと、人口の2%以下まで減少します。

感染経路は、注射針を使い回す、輸血時の不適切な医療行為(経皮的感染)、性交渉、分娩時の経粘膜感染などがあります。潜伏期間は60~150日で、平均90日程度です。

C型肝炎ウイルス(HCV)

C型肝炎ウイルス(HCV)も世界中に散在しています。日本の感染者はおよそ150万人から200万人です。ほとんどの国で感染者は人口の3%未満ですが、アフリカやアジアでは感染者が人口の15%を超える国もあります。

感染経路は、C型肝炎ウイルスに汚染された輸血用血液や医療器具からです。そのほか、入れ墨を彫る・ピアスを付ける・鍼治療などを行うとき、それらで使用する器具が汚染された状態で肌を傷つけると感染することもあります。潜伏期間は2週間~6か月です。

D型肝炎ウイルス

D型肝炎ウイルスも世界中に点在しています。このD型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスがなければ感染しません。感染するときはB型との重複感染となり、より重篤な症状を引き起こします。感染経路はB型肝炎ウイルスと同じで、ウイルスを含む血液などによる経皮的な感染や性的な接触による感染があります。

潜伏期間は30〜180日で、B型肝炎ウイルスとの同時感染がほとんどです。

E型肝炎ウイルス

E型肝炎ウイルスは、南アジア・東南アジア・中央アジア・北アフリカ・メキシコ・中国の新疆ウイグル自治区などでの感染報告が多いようです。日本国内での感染報告もされています。一過性の急性肝炎のため慢性化はしません。感染経路は、主に糞便などで汚染された飲食物による経口感染や水系感染です。

潜伏期間は2週間〜9週間で、平均6週間程度です。

ウイルス性肝炎の症状

A型からE型肝炎ウイルスの感染しやすい地域や感染経路、潜伏期間の説明をしました。では感染してしまうと、それぞれの肝炎ウイルスはどういう症状を引き起こすのでしょうか。ここからは、ウイルス性肝炎の症状を解説します。

A型肝炎ウイルス

A型肝炎ウイルスでは、主に食欲不振や倦怠感、腹痛、吐き気、発熱、下痢、黄疸が見られます。子どもの感染者は比較的症状が軽く、成人の感染者の多くは黄疸などの症状を引き起こします。

感染者のうち約1%の人が壊死を生じる劇症肝炎となり、それにより急性腎不全を発症します。A型肝炎は持続感染せず、慢性肝炎へ移行することもありません。

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスに感染すると、初期症状が1週間程続き、倦怠感・疲労感・食欲低下が見られます。その後、吐き気・腹痛・黄疸を発症する人が多数です。人によっては、紅斑・関節痛・関節炎などの症状を併発することもあります。

また、これらの症状が見られなくても慢性肝炎が潜伏しているケースもあります。無症状でも治療を必要とする場合があるため、定期的な検査が大切です。重症化すると肝硬変を引き起こし、肝臓がんが発生することもあります。

C型肝炎ウイルス

C型肝炎ウイルスの感染者の約80%は無症状です。症状があるときは、食欲不振・腹痛・倦怠感・色の濃い尿などがよく見られます。感染者の約80%が慢性肝炎へ進展し、倦怠感などの症状が持続します。20から30年という長い時間をかけて肝硬変へ進行し、高確率で肝臓がんが発生します。

D型肝炎ウイルス

D型肝炎とB型肝炎の同時感染は、軽度から中程度の急性肝炎または劇症肝炎を引き起こします。D型肝炎の慢性化は、急性肝炎の5%未満でほとんどは回復します。

慢性的なB型肝炎感染者のうち、年齢に関係なく70~90%がD型肝炎と重複感染しています。これにより、重症化への進展が加速するため、B型肝炎のみの感染者よりも約10年速く肝硬変になります。加えて、線維化の進行も速まりますが、そのメカニズムは解明されていません。

E型肝炎ウイルス

E型肝炎ウイルス はA型肝炎と症状が似ており、黄疸・発熱・食欲低下・腹痛が見られます。無症状や軽症の方も多く慢性化はしませんが、劇症化することもあり、重症度と致死率はA型肝炎を超えます。特に、妊娠中に感染すると高確率で劇症化し、妊娠第3期における致死率は20~25%になると報告されています。

ウイルス性肝炎の治療法

続いて、それぞれのウイルス性肝炎の治療法を見ていきましょう。種類によって適切な治療法が異なるほか、治療が難しい場合もあります。

A型肝炎ウイルス

A型肝炎ウイルスの場合は、食欲不振などの症状に応じて薬を投与します。慢性化しないため、基本的には自然治癒します。感染後はウイルスの排泄を数週間行うため、他人に感染させないよう注意が必要です。予防接種があるので、感染リスクの高い地域へ行く予定がある方は、事前にワクチン接種を受けることを推奨します。

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスに対しては、ウイルスの活動を抑えるために薬物療法を行います。ウイルスを体内から完全に排除することは困難なため、投薬によって肝硬変への進展を遅らせ、肝臓がんの発生確率を下げることが重要です。B型肝炎には予防接種があるので、感染対策としてワクチン接種を受けるとよいでしょう。

C型肝炎ウイルス

C型肝炎ウイルスの治療も薬物療法によるウイルスの排除です。C型肝炎ウイルスの治療薬の進歩は目覚ましく、2023年現在は飲み薬だけで90%以上のウイルスを体内から排除できます。飲み薬だけでの排除が難しい一部の感染者に対しては、内服薬と注射を合わせた治療を行い、正常な肝機能を保ち進行を防ぐ「肝庇護療法(かんひごりょうほう)」を行うことがあります。

D型肝炎ウイルス

急性・慢性に関係なく、D型肝炎の治療法はありません。B型肝炎に対する核酸系抗ウイルス薬は、D型肝炎ウイルスに対して抑制効果がないのです。唯一、ペグインターフェロンαの有効性を示す例がありますが、治療期間が確立しておらず、治療中止後に再発することがほとんどです。劇症肝炎や肝炎末期に進展した場合、肝臓移植を検討することもあります。

E型肝炎ウイルス

A型肝炎と同様で慢性化しないため、基本的には自然治癒です。食欲不振などの症状に応じて薬を投与する場合があります。しかし、劇症化したときや妊婦が感染したときは入院が考慮されます。E型肝炎の感染者で免疫が抑制された人は、リバビリンや抗ウイルス薬での治療が有効です。なかには、インターフェロンを使用した特殊な例もあります。

まとめ

肝炎ウイルスは、主に飲食・血液や体液の接触・医療行為・性行為によってうつることがあります。感染対策として、下記のことに気を付けましょう。

  • 衛生状態がわからないものを摂取しない、食品や水の加熱・煮沸をしっかりする
  • 他人と剃刀や歯ブラシなどを共用しない
  • ゴム手袋などを着用し、他人の血液に直接触れない
  • 性行為の際はコンドームを着用する
  • 定期的に健康診断を受ける
  • 予防接種を受ける

感染してしまったときは、肝臓の状態に見合った健康管理に努めましょう。近年では医療の進歩により、完治が期待できる場合もあります。

初めにできることは、肝炎ウイルス検査を受けることです。これまで検査を受けたことがない方は、自身の健康管理のために一度は受けるとよいでしょう。

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