中絶後の不妊の可能性や、体への影響について疑問や不安をかかえていないでしょうか。
中絶したことを医師やパートナーに知られたり、中絶した記録が残ったりすることを懸念している方も少なくないでしょう。
この記事では、中絶手術による不妊リスクや、術後の後遺症、手術の履歴が残るのかなどについて解説します。
将来妊娠を望む方や、中絶手術に不安を感じている方はぜひ最後までご覧ください。
中絶手術による不妊リスクは極めて低い
結論から言うと、中絶手術が将来の妊娠に影響することは非常にまれです。
「中絶の回数と不妊リスクの関係」についての科学的根拠はいまだ明らかになっていませんが、一度の中絶手術で将来の妊娠が困難になることは考えにくいでしょう。
「中絶手術をすると妊娠しにくくなる」といわれている背景のひとつには、手術後に起こりうる「アッシャーマン症候群」が挙げられます。
アッシャーマン症候群とは、子宮内膜が深く傷つくことで癒着することで、不妊の原因のひとつです。
しかし、中絶手術後にアッシャーマン症候群になる確率は非常にまれであるため、過度な心配は必要ありません。
むしろ、中絶手術後は妊娠の確率が高まる傾向にあります。
中絶後に妊娠しやすくなる理由
中絶手術後に妊娠しやすい理由は、手術後に性交渉が可能になるタイミングが、排卵時期と重なる可能性が高いためです。
中絶手術から2週間程度経過すれば、子宮内膜の回復によって妊娠可能な子宮環境が整ってきます。
排卵時期は妊娠しやすい時期であるため、妊娠を望まない場合は、手術後も適切な避妊対策を行いましょう。
中絶手術後に起こりうる症状・後遺症
中絶手術後には、さまざまな症状や後遺症が生じる可能性があります。
手術後から数日~1、2週間程度は、出血や腹痛、発熱などの身体的な症状がみられることがあります。
また、精神的な後遺症である「中絶後遺症(PAS)」があらわれるケースもあるため、注意が必要です。
ここでは、中絶手術後に起こりうる症状や後遺症について詳しく解説します。
中絶手術後に起こりうる身体的な症状
中絶手術後には、出血や痛み、発熱、吐き気などの身体的な症状があらわれる可能性があります。
症状が続く期間や、医療機関を受診する場合の目安は次の表のとおりです。
症状 | 継続する期間の目安 | 医療機関に相談する目安 |
---|---|---|
出血 | 術後1週間 | ・出血が3週間以上続く ・大量の出血がみられる |
痛み | 術後1~2週間 | 発熱や、立っていられないほどの痛みがある |
発熱 | 術後1~2日 | ・38度以上の発熱が3日以上続く ・38度以下の発熱が5日以上続く |
吐き気 | 術後数十分 | 数日以上吐き気が続く |
上述した症状は通常、手術後から一定の期間を経て治まりますが、まれに症状がひどい場合や長く続くケースがあります。
ひどい腹痛や大量の出血、高熱などの体調不良が続く場合は、すみやかに医療機関に相談しましょう。
また、中絶手術後の最初の生理は、「早くきた・遅くきた」「経血量が多い・少ない」のように、いつもと異なる場合があります。
ただ、子宮の状態やホルモンバランスは手術後から徐々にもとに戻るため、数回の生理を経て通常の生理に戻っていきます。
中絶手術後の注意点についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
関連記事:中絶手術後の注意点|症状や後遺症、生理や妊娠について
中絶手術後に起こりうる精神的な後遺症
中絶手術を受けた方のなかには、精神状態が不安定になることで「中絶後遺症候群(PAS)」になる方もいます。
PASとは、中絶手術を経験したことで起こる、さまざまな精神症状のことです。
【中絶後遺症(PAS)の症状】
- 精神不安定
- 涙が止まらない
- 睡眠障害
- 集中力の低下
- イライラしやすくなる
- 孤独を感じる
- 子どもや赤ちゃんを避ける
- 自殺願望をもつ など
PASを放置すると、日常生活に支障をきたしたり、より深刻な病気に発展したりする可能性があります。
PASの症状の程度や継続期間には個人差があり、数か月で改善する場合もあれば長期間続く場合もあります。
中絶手術後に強い精神的苦痛を感じている場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、専門の医療機関を受診したりすることが大切です。
中絶手術の履歴は残るのか
中絶手術の履歴が残るかどうかは、手術の種類や状況によって異なります。
中絶手術は、多くの場合保険適用外となるため、基本的に国民健康保険や社会保険の記録に残ることはありません。
一方で下記のような、医療上の必要性があると判断されるケースでは保険が適用され、健康保険の記録に反映される可能性があります。
- 稽留(けいりゅう)流産:母体内で赤ちゃんが亡くなる
- 母体保護:母体の生命を脅かす危険があると判断されるケース
中絶跡は医師やパートナーに分かる?
多くの場合、外見だけで中絶手術を受けたかどうかを特定することは難しいでしょう。
中絶手術は子宮内で行うものであり、体の表面に傷跡が残ることはないためです。
子宮内膜が完全に回復する前であれば、超音波検査や内診によって医師に気づかれる可能性は否定できませんが、子宮内膜の状態が元に戻れば医師ですら中絶跡に気づく可能性は低いといえます。
同じように、パートナーにも外見で中絶経験を知られる心配はないでしょう。
ただし、手術直後の出血や腹痛といった身体的な症状や、手術後の精神的なダメージから「いつもと様子が違う」と気づかれる場合があるかもしれません。
パートナーに打ち明けることについてお悩みの場合は一人で抱え込まず、信頼できる友人に相談したり、専門機関のサポートを受けたりする方法も検討しましょう。
中絶履歴は保険証で親にバレる?
中絶手術は基本的に保険適用外であるため、保険証の記録に残ることはなく、親に知られる可能性は低いといえます。
ただし未成年者の場合は、中絶手術を受けるためには原則として親の同意が必要であり、同意書にサインをもらわなくてはなりません。
しかし、妊娠によって本人の命に危険がある場合や、精神的な健康を損なう恐れがある場合など、ケースによっては親の同意なしで手術を受けられる場合もあります。
事情によっては中絶にあたり同意書が必要ないケースもあるため、悩んでいる場合は医師に相談することがおすすめです。
まとめ
この記事では、中絶手術による不妊リスクや、手術後の後遺症、手術の履歴が残るのかなどについて紹介しました。
中絶手術による不妊リスクは極めて低く、むしろ手術後は妊娠しやすくなる可能性があります。
個人差はあるものの、手術後は出血や腹痛などの身体的な症状に加え、中絶後遺症(PAS)と呼ばれる精神的な症状があらわれる場合もあります。
外見から医師やパートナーに中絶したことを知られたり、保険証の記録で親にバレたりする可能性は低いため、過度な心配は必要ないでしょう。
中絶手術について不安やお悩みがある場合は、一人で抱え込まず、一度専門家に相談してみてくださいね。