男女ともに感染する性病として、「トリコモナス症」が挙げられます。主な感染経路は性交渉ですが、感染者が使用したタオル等から感染することもある病気です。この記事では、トリコモナス症の概要と検査方法および検査費用、治療と予防方法を解説します。「自分がトリコモナス症に感染したかも」、「どのように感染するのか」と疑問や不安を抱えている方は、ぜひご一読ください。
トリコモナス症とは?
トリコモナス症とは、主として性行為によって感染する性病です。男女ともに感染する恐れのある病気で、原因は「トリコモナス原虫」と呼ばれる寄生虫にあります。
感染者の使用したタオルの使用等でも感染する恐れがあるため、男女年齢問わず注意が必要です。
まずは、トリコモナス症の原因となる病原体とその潜伏期間、感染経路、併せてWHOより公開されている感染者数について見ていきましょう。
病原体と潜伏期間
トリコモナス症は、トリコモナス原虫と呼ばれる寄生虫が寄生することで発症します。
トリコモナス原虫は、肉眼では目視できないほど小さな(10~25㎛:0.01~0.025mm)寄生虫です。男性の場合は尿道や前立腺・精のうに寄生し、女性の場合は膣や子宮頚管・膀胱や尿道に寄生します。
トリコモナス症に感染しても症状が発生しない方は2~5割ほどおり、自覚症状がないことも珍しくありません。潜伏期間は「男性で10日前後」「女性で5~14日前後」といわれており、気付かないままに放置すると悪化し危険です。
感染経路
トリコモナス症の感染経路は、性行為が主です。
しかし、感染者が使用したタオルや下着、浴槽や便器からも感染する恐れがあり、性行為をしたことがない方(特に女性や幼児)でも注意は必要です。また、感染者の尿道にトリコモナス原虫が寄生していた場合、排尿することで原虫が流されてしまう場合もあります。
【感染が起こりやすい場面】
・パートナーが無症状でトリコモナス症に感染していた
・家族の誰かが感染していた
・感染している見ず知らずの方が公共のトイレで用を足していた
トリコモナス症の感染経路は無数に考えられます。「感染経路に心当たりがない」と思われる方も多いかもしれません。性交渉以外でも感染する恐れがあることを覚えておきましょう。
感染者数
2023年7月10日にWHOによって公開された情報によると、2020年時点でクラミジア・淋病・梅毒・トリコモナス症の性病4種類に、推定で3億7,400万人が感染しています。そのうち、トリコモナス症に感染しているのは1億5,600万人に達するとされ、代表的な4種類の性病の中でも最も感染者数が多い性感染症です。
参考:性感染症(STI)
また、トリコモナス症に感染しても女性の5割、男性の7~8割は無症候性(病気を有しているものの症状がない状態)といわれています。
トリコモナス症の症状
トリコモナス症に感染すると、無症状者を除き、男性と女性でそれぞれ異なる症状が発生します。
【男性の主な症状】
・排尿時に痛みが発生
・尿道から微量の分泌物が出る
・性器にかゆみが発生する
・排尿が困難になる
・頻尿気味になる
前立腺炎を起こすケースもあります。
【女性の主な症状】
・黄緑色で悪臭のする泡立ったおりものが出る(感染初期の症状)
・陰部が過敏になって痛みやすくなる
・排尿が困難になる
・頻尿気味になる
性交時に痛みが発生する場合もあるようです。膣炎や膀胱炎を起こすケースもあります。
トリコモナス症の検査方法
トリコモナスの感染が疑われる場合は、男性は「尿検査」を、女性は「膣分泌液の検査」を行います。
男性の場合、尿検査から5~7日後に感染の有無が判明しますが、女性ほど精度は高くないとされています。そのため、「パートナーの感染が判明した場合」や「問診の結果、感染が疑われる場合」などに治療を前提として検査を行うケースが多いようです。
女性の場合、膣分泌液を綿棒で拭い、検体を採取して検査する手法を取ります。こちらも、感染の有無が判明するのは検査から5〜7日後です。トリコモナスに感染してから24時間が経過すると検査精度が高まるため、感染の疑いから24時間が経過してから受診しましょう。
トリコモナス症の即日検査
病院によっては即日検査が可能な専門機器を備えている場合があります。症状がなくても検査可能で、検査方法は以下の2種類です。
・PCR法
二重らせん構造になっているDNAを熱で分解し、分解された部分に酵素がくっつき、DNAを伸ばして増幅していく手法。
・TMA法
ターゲットとするのは数千個存在しているrRNA遺伝子で、rRNAに酵素がくっつき、DNAの合成・分解を繰り返してrRNAを増幅させる手法。
これらの検査で、当日〜翌日には感染の有無が判明します。
トリコモナスの検査費用
トリコモナス症の検査費用ですが、保険適用の場合は2,500円前後です。
しかし、性病検査は保険診療ではなく自由診療で行われる場合も多くあります。自由診療の場合は、病院ごとに費用が異なる点に注意しましょう。
自由診療には「匿名受診」、「無症状検査」、「スピーディーな検査結果確認」などのメリットがあります。一方、病院によっては高額な検査費用を設定しているため、確認が必要です。
検査に際しては、どの病院も専門機関であり、「安いから不安」、「高いから安心」ということはありません。
トリコモナスの治療
男性女性ともに、抗原虫薬(メトロニダゾールまたはチニダゾール)を10日間服用して治療します。再発や治りづらい場合は、女性のみ膣剤を使用することもあります。一方、妊娠中は胎児への影響を考慮して内服薬治療は原則行いません。
メトロニダゾールにはアルコールの摂取による副作用(吐き気・皮膚の紅潮・腹痛・頭痛・動悸など)があるため、服用期間にアルコールの摂取は控えましょう。
また、トリコモナス症の治療はパートナー間で同時に行う必要があります。どちらかが治癒しても、そのパートナーから再び感染する恐れがあるためです。なお、治療期間中の性交渉は感染拡大を防止するためにも必ず控えましょう。
トリコモナスは自然治癒する?
トリコモナス症に感染すると、自然治癒することはありません。
トリコモナス原虫は抗原虫薬を服用しない限り死滅しません。また抗原虫薬は市販薬ではないため、医師の処方箋が必要です。
治療せずに放置すると、男性の場合は「前立腺炎」や「精巣上体炎」を引き起こしたり、女性の場合は「卵管炎」や「骨盤内感染症」にかかったりしてしまう恐れがあります。
トリコモナス症を疑う症状が発生した場合には、必ず医師の治療を受けてください。
トリコモナスの予防方法
トリコモナス症は、以下のポイントを押さえておくことで予防できます。
・性交渉では必ずコンドームを適切に使用する
・複数または感染の疑いが不明瞭な相手と性交渉を行わない
・生理中の接触を控える(生理中はトリコモナス原虫が繁殖しやすいため)
・感染の疑いがある者の使用したタオルを共有したり、湯船に浸かったりしない
もちろん、感染の疑いが発覚した時点で、迅速に医療機関の受診を行うことも重要です。受診が早ければ早いほど、感染拡大の防止につながります。
まとめ
トリコモナス症は、代表的な性感染症の中でも最も感染者が多い病気です。自然に治癒することはないため、感染の疑いが判明した時点で必ず専門の医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
感染した際は、パートナーと同時に治療を行うこと、感染者の使用したタオルの共有や湯船の使用は避けること、生理期間中は接触を控えることが重要です。
また、そもそもトリコモナス症に感染しないように、不特定多数の相手と性交渉を行うこともできる限り避ける必要があります。「自分もトリコモナス症に感染しているかもしれない」と思った方は、なるべく早めに医療機関へ通院し、受診してください。
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