生理じゃないのに子宮が痛いのはどうして?考えられる原因と7つの病気・受診目安を徹底解説!

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

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川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

「生理は終わったのに、なぜか子宮が痛い」「何か病気なのかな?」と不安に思っている方はいませんか?本記事では生理じゃないのに子宮が痛い場合に考えられる原因と7つの病気、受診目安を徹底解説します。

生理じゃないのに子宮が痛い

生理じゃないのに子宮が痛いととても不安になりますよね。
ここでは「生理前」「生理後」に子宮が痛くなる原因と、子宮ではなく下腹部が原因で痛みを感じている可能性について徹底解説します。

生理前に子宮が痛くなる原因

私たちの子宮内膜の中では、生理予定日の少し前から生理の開始にかけてプロスタグランジンと呼ばれる物質が発生します。

このプロスタグランジンは、子宮を収縮させ、剥がれ落ちた子宮内膜を経血として体外へ排出するはたらきをしており、このプロスタグランジンの分泌量が多いと、子宮の収縮が過剰になり、下腹部痛や腰痛の原因になるのです。

そのため、生理前に子宮が痛くなっても、大半のケースだと問題のない痛みと言えます。
しかし、発熱を伴うなど、子宮の痛み以外にも症状が発生した場合は何らかの病気である可能性もあるため注意が必要です。

生理後に子宮が痛くなる原因

「生理が終わったのに子宮が痛い」という場合は、生理前から生理中に発生しているプロスタグランジンの分泌量が多いことが原因として挙げられます。

そのため、人によって生理が終わった後も、下腹部痛や腰痛、下痢などの症状を感じる方もいます。

子宮ではなく下腹部が何らかの原因で痛んでいる可能性も

プロスタグランジンが原因ではない場合、子宮ではなく下腹部が何らかの原因で痛んでいる可能性も考えられるでしょう。

例えば、便秘や腸が活発にはたらくことで蠕動痛と呼ばれる痛みを感じることもあります。
その他にも、ストレスを抱える方が多い現代社会では「過敏性腸症候群」と呼ばれる腹痛を伴う病気もあるため、子宮内膜で分泌されるプロスタグランジンが原因であるとは一概には言えないのです。

以上を踏まえて、生理ではないのに子宮が痛いと感じたら、これからご紹介する様々なケースを考えて原因を解明する必要があります。

生理じゃないのに子宮が痛い場合によくある原因

次は生理じゃないのに子宮が痛い場合によくある原因を4つ徹底解説します。

着床痛

着床痛とは、着床時期にチクチクやピリピリ、ズキンとした下腹部の痛みを感じることです。
これは、生理予定日の1週間~数日前に発生しやすく、妊娠初期症状の1つとされています。

着床痛には、下腹部の痛み以外にも「胃痛」「恥骨の痛み」「お腹や胸が張る」などの症状があわせて発生することもあるため、当てはまった場合は1度妊娠検査薬を使用してみてください。

排卵痛

排卵痛は、卵子が卵巣を破って外へと飛び出す際に感じる痛みと考えられており、排卵の前後1~2日間に腹痛が起こることを言います。

この時期は、排卵痛以外にも、卵巣が少し炎症を起こしている状態であるため、お腹が張ったような痛みや、子宮周辺の痛みを感じることもあります。

この排卵痛は、子宮内膜症がある方の場合、痛みが強くなる傾向にあるため、生理ではないのに強い痛みを感じる場合は子宮内膜症の可能性も疑う必要があるでしょう。

性交痛

性交痛は、膣への挿入時や完全に挿入されたときに感じる痛みのことです。
特に、深い挿入や激しい陰茎の動きがあった性交後に感じやすい痛みと言えます。

このとき、性交痛を伴う病気として「誘発性膣前庭炎」「萎縮性膣炎」「子宮内膜症」などが挙げられ、誘発性前庭炎は膣付近の感受性が高くなることで、少しの刺激でも痛みを感じやすくなり、萎縮性膣炎は、膣の乾燥による潤滑不足で痛みを感じやすくなります。

また、子宮内膜症は子宮周囲に癒着が起こることで、性交時に子宮が動くと周囲の臓器や神経が動くために痛みを感じやすくなります。

その他にも何らかの性病を発症している場合、痛みやおりものの変化、膿が出るなどの症状が現れる場合もあるため、注意が必要です。

更年期

更年期は、内臓の冷えが原因で、下腹部に痛みを感じる場合があります。
女性ホルモンの分泌が急激に低下する更年期はホルモンバランスが乱れやすく、血行不良による冷えが原因で、生理痛のような痛みを感じやすくなるのです。

生理じゃないのに子宮が痛い場合に疑われる7つの病気

次は生理じゃないのに子宮が痛い場合に疑われる8つの病気を徹底解説します。

①子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮体がんと呼ばれる悪性腫瘍に次いで発症率が高い女性特有の病気で、子宮の入り口部分にある子宮頚部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって起こる悪性腫瘍です。

この子宮頸がんは、次第に子宮の筋肉へしみ込み、膣や子宮周りの組織に及んだり、骨盤内にあるリンパ節や、膀胱、直腸や肺、肝臓、骨と転移したりするため、早期発見がとても重要になります。

しかし、子宮頸がんには初期症状がほとんどないため、気づいたときには症状が進行していることも多く、定期的な子宮頸がん検診を受けることが大切です。

子宮頸がんの特徴

  • 性行為による出血
  • 茶褐色・黒褐色のおりものが増える
  • 血尿
  • 足腰の痛み
  • 激しい下腹部痛

②子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋と呼ばれる筋肉組織が由来の良性の腫瘍です。
基本的に幅広い年齢層で起こりやすい病気ですが、無症状の場合もあり、健康診断で指摘されるまで気づかない方もいます。

しかし、症状が出る方は経血を排出する際の子宮収縮機能に異常が出たり、子宮内膜が厚く形成されたりすることによって出血が止まらなくなってしまい、貧血になる方も多いです。

この子宮筋腫は発生する部位によって「漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)」「筋層内筋腫」などに分類されています。漿膜下筋腫は、ねじれると激しい痛みを起こすことがあるため、耐えられない痛みを感じたら直ちにかかりつけの病院へ相談しましょう。

子宮筋腫の特徴

  • 生理が通常よりも長い
  • 経血の量が通常よりも増加している
  • レバーのようなプルプルとした血液の塊が出てくる
  • 頻尿
  • 貧血になりやすい

③子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に類似した組織が子宮平滑筋と呼ばれる組織の中にできる病気です。
この子宮腺筋症は、エストロゲンが症状を進展・悪化させるため、生理がある限りは進行が止まらないどころか、病気によって心身に変化があると、その部分の子宮筋層が厚くなります。

また子宮腺筋症が大きくなると、周囲にある臓器を圧迫してしまうため「便秘」「頻尿」などの症状が出現する可能性も高いです。加えて、不妊症や流産を繰り返す原因にも繋がる病気です。

子宮腺筋症の特徴

  • 生理が通常よりも長い
  • 便秘
  • 頻尿
  • 段々と症状が重くなる
  • 痛みが下腹部以外にも足や肛門へと放散する

④子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜症組織が子宮外で増加する病気です。
本来、子宮内膜は子宮の内壁の1番表面にあるものですが、子宮内膜症あると、卵巣や腸の腹膜で出血が起こり、卵巣や卵管、腸が癒着してチョコレートのう腫と呼ばれる卵巣のう腫ができます。

子宮内膜症は、病気が進行すると生理痛が段々と強くなり、生理時以外にも下腹部や腰が痛みを感じるようになります。特に、排便痛や性行為時の強い痛み、不妊は子宮内膜症特有の症状です。

また20代~40代の女性が子宮内膜症になりやすいとされているため、該当する年齢で生理痛が以前よりも重くなった気がする場合は、かかりつけの病院へ相談しましょう。

子宮内膜症の特徴

  • 腹痛
  • 腰痛
  • 以前よりも生理痛が強くなった
  • 排便時も痛みを伴う
  • 妊娠を望んでも叶わなかった経験がある

⑤子宮体がん

子宮体がんは、子宮内膜から発生することを踏まえて「子宮内膜がん」とも呼ばれる病気です。
多くの子宮体がんはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが深くかかわっているとされ、自覚症状として生理期間以外の出血や、閉経後に出血があった場合に、この病気が疑われます。

その他にも排尿時の痛みや性交時の痛み、下腹部の痛みなどを感じることもあるでしょう。
子宮体がんを放置すると最悪の場合、子宮を摘出しなければなりません。
しかし、早期発見すれば子宮を温存し、妊娠することもできます。そのため、悲しいリスクを避けるためにも定期的な検査が大切です。

子宮体がんの特徴

  • 生理期間外の出血
  • 閉経後の出血
  • 排便時の痛み
  • 比較的高齢の方に多い
  • 足腰の痛み

⑥子宮外妊娠(異所性妊娠)

子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、受精卵が子宮以外の部位に着床した妊娠のことで、最も多いのは卵管に着床するケースです。

基本的に妊娠検査薬で陽性反応が出ているにも関わらず、妊娠6週を過ぎても胎嚢と呼ばれる赤ちゃんを包む袋が確認できない場合、この子宮外妊娠が疑われます。

卵管に着床した場合、胎芽が成長すると卵管が破裂して大量出血を起こすリスクがあるため、そのまま妊娠を継続することはできません。

初期症状としては骨盤痛や、性器からの出血、頸部に痛みが移動するように感じることが挙げられるでしょう。

子宮外妊娠(異所性妊娠)の特徴

  • 妊娠検査薬は陽性なのに、妊娠6週になっても胎嚢が確認できない
  • 骨盤痛
  • 妊娠中の世紀からの出血
  • 軽い下腹部痛から激しい痛みを伴う下腹部痛になる
  • 卵巣妊娠、腹腔妊娠、頸管妊娠など

⑦骨盤腹膜炎

骨盤腹膜炎は、骨盤内にある膀胱や直腸、子宮や卵管などの表面を覆っている腹膜と呼ばれる部位に起こる炎症のことです。

主に淋菌やクラミジアが原因菌とされており、淋病やクラミジアになった場合に併発しやすい病気で、その他にも、子宮頸管炎や子宮内膜炎などから炎症が広がって発症するケースも多いとされています。

痛みは下腹部全体に持続的に発生し、それ以外にも悪寒や39度以上の高熱などが挙げられます。その他にも骨盤内の臓器が癒着を起こすこともあるため、注意が必要です。

また、下腹部の痛み方が虫垂炎と似ていることから、この2つはとても間違われやすいため、下腹部に痛みを感じたらまずは産婦人科へ相談しましょう。

骨盤腹膜炎の特徴

  • 最近淋病になった
  • 最近クラミジアになった
  • 下腹部とあわせて高熱が続いている
  • 性交時に出血した
  • 虫垂炎に症状が似ている

⑧クラミジア頸管炎

クラミジア頸管炎は、「クラミジアトラコマティス」と呼ばれる病原体が子宮頚部に感染し発生する炎症です。大半はクラミジアに感染した男性の尿道分泌物から感染するため、性行為での感染率が高いとされています。

クラミジア頸管炎は、感染から1~3週間経過するとおりものの増加や性行為時の出血などが起こりますが、無症状のまま気が付かれないことが多いです。

またクラミジア頸管炎に気づかずに出産を行うと、産道感染で新生児に「新生児結膜炎」と呼ばれる目の病気や肺炎がみられることもあります。

男性の場合、排尿時の痛みや尿道のかゆみ、尿道から膿や分泌液が出てくることで、何らかの病気だと気づくことが多いです。また、進行すると精巣上体炎に繋がるため、女性だけではなく男性も注意しましょう。

クラミジア頸管炎の特徴

  • おりものの増加
  • 性交時の出血
  • 下腹部痛
  • 右上腹部痛
  • 診察を受けてもクラミジア頸管炎だと気づかれにくい

生理じゃないのに子宮が痛いときの対処法

次は生理じゃないのに子宮が痛いときの対処法を徹底解説します。

子宮の痛み以外に何らかの症状がないかチェックする

生理じゃないのに子宮が痛いときは、子宮の痛み以外に何らかの症状が併せて発生していないかをチェックし、様子を見ても良いのか、すぐに病院を受診するべきかを判断してください。

婦人科を受診する

子宮の痛みを感じた場合、内科だと似たような病気と混同されて正しい病名が判明するまでに時間がかかる可能性があります。そのため、病院を受診しようと考えたらまずは婦人科を受診しましょう。

婦人科がお近くにない場合は、産婦人科でもOKです。

ストレス対処法を見つける

子宮の痛みは、過度なストレスが原因で起こる場合もあります。
特に、ストレスでホルモンバランスが乱れると、月経困難症や月経前症候群など子宮の痛みの原因になる病気を発症することもあります。

そのため、適度にストレスを解消できる方法を見つけておくことも子宮の痛みへの対処として有効です。

体を冷やさない

更年期に感じる子宮の痛みは体の冷えが原因です。
更年期以外にも、体を冷やすことは万病のもととも言われます。そのため、日常的に体を冷やさないよう対策を講じておきましょう。

生理じゃないのに子宮が痛いときの受診目安

次は生理じゃないのに子宮が痛いときの受診目安を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

場合によっては受診推奨

  • 生理痛だが鎮痛薬を飲めば我慢できる
  • 生理痛だが日常生活に支障はない
  • 痛みの理由がわかっている

診療時間内に受診推奨

  • 2~3日間痛みが続いている
  • 性器からの出血があった
  • 生理痛で日常生活に支障が出ている
  • 子宮の痛み以外に気になる症状がある
  • もしかするとパートナーから性病をもらったかもしれない

夜間・休日を問わず受診推奨

  • 生理ではないのに多量の出血がある
  • 痛みが激しい・持続的に続いている
  • 子宮の痛みが段々と強くなっている
  • 子宮の痛み以外の症状が悪化している

生理じゃないのに子宮が痛い場合によくある質問【Q&A】

次は生理じゃないのに子宮が痛い場合によくある質問【Q&A】を徹底解説します。

ストレスで子宮が痛くなることはありますか?
はい。あります。
ストレスでホルモンバランスが乱れると、月経困難症や月経前症候群など子宮の痛みの原因になる病気を発症することもあるため、できるだけストレスを溜めない・解消できる方法を見つけるなど、自分なりの対策を講じてくださいね。
常に痛みがあるわけではない場合、受診すべきですか?
生理痛の場合、日常生活に支障がなければ様子見でも良いかと思います。
しかし、痛みが激しい場合や、痛み以外に気になる症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあるため、常に痛みがなくても病院を受診してください。
生理じゃないのに子宮が痛いのを放置していたら不妊になりますか?
病気によっては、放置することによって不妊の原因に繋がることもあります。
特に、子宮内膜症やクラミジア感染による病気は注意が必要です。
子宮の痛み以外に、絶対に受診すべき症状ってありますか?
生理期間外の出血は、量が多くても少なくても受診すべき症状です。
その他にも、子宮以外の部位が激しく痛む場合や、吐き気・高熱を伴う場合もなるべく早く病院を受診しましょう。

生理じゃないのに子宮が痛くて不安なときはルナレディースクリニックへ相談

本記事を御覧になって、生理じゃないのに子宮が痛い……病気かもしれなくて不安など、誰にも聞けない悩みや不安をお持ちの方は、ぜひ当院へご相談ください。

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