「おりものに白い塊が出るのは、なぜ?」
「妊娠や病気の可能性はある?」
白い塊が混ざったおりものが出ると、このような疑問や不安を抱える方もいるのではないでしょうか。この記事では、おりものに白い塊がまざる理由や病院を受診する目安について詳しく解説します。
白い塊のおりものが出ていて受診するか迷っている方は、適切な対処法をとれるよう参考にしてみてください。
そもそも、おりものとは?
おりものは子宮頸部・子宮内膜・膣から出る分泌物のことで、医学用語で帯下(たいげ)と呼ばれます。
おりものには女性の身体を守ったり妊娠しやすくしたりする働きがあるため、おりものが出ること自体は問題ありません。
ここでは以下3点に着目して、おりものについて詳しく解説します。
- おりものの役割
- 正常なおりものの特徴
- おりものの変化
それぞれ詳しく見てみましょう。
おりものの役割
おりものは、女性の体にとって以下のような役割を果たしています。
- 膣内のうるおいを保ち、粘膜を守る
- 汚れや老廃物を排出する
- 雑菌が膣に入るのを防ぐ
- 精子が子宮に入りやすくなる潤滑剤として働く
乳酸菌の集まりである「デーデルライン桿菌」の働きで、おりものは酸性に保たれています。
酸性に保たれたおりものの力によって、雑菌の侵入を防いで膣炎にならないようにしたり、老廃物を運び出したりして膣内をきれいにしているのです。
また、おりものは、排卵期に精子が子宮にたどり着くための潤滑剤としても役立っています。
このように、おりものは女性のカラダを健康に保ちながら、妊娠しやすい環境に整える役割があるのです。
正常なおりものの特徴
おりものが出ること自体は普通のことでも、正常であるかわからない方もいるでしょう。
正常なおりものの特徴は、以下のとおりです。
- 無色透明か乳白色
- サラサラしている
- ヨーグルトのような甘酸っぱい匂い
おりもの色や匂いは個人差があり、生理周期にともなうホルモンバランスで変化するため、常に一定ではありません。
生理前はおりものの分泌量が増えて、匂いが強くなる可能性もあります。
一方で、感染症や婦人科系の病気が疑われる際のおりものの色は、次のとおりです。
異常がある可能性のあるおりものの色
- 血が混ざった赤い色
- 黄緑色
- 灰色
上記のように色の付いたおりものが出たときは、淋菌感染症(淋病)やクラミジア感染症などの病気も考えられるため、早めに病院を受診しましょう。
\おりものの異常があれば性病検査をしましょう/
生理周期によっておりものは変化する
おりものの色や量は、生理周期で増減する女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の働きで変化します。
エストロゲンは「妊娠の準備」、プロゲステロンは「妊娠の成立や継続」をするホルモンです。
「生理期→卵胞期→排卵期→黄体期→生理前」のサイクルを繰り返す生理周期にともなって、おりものの状態は以下のように変わります。
生理周期 | おりものの状態 |
---|---|
卵胞期 | サラサラ・粘り気が少ない匂いは強め生理直後は経血の残りが混じって茶色っぽいことがある |
排卵期 | 卵白のような色水のような透明色のびがよい匂いは弱め |
黄体期 | 白色で透明度が低い空気に触れて時間がたつと黄色くなるドロッとして粘り気がある |
生理前〜生理期 | 量が増えて匂いが強くなるドロッとした粘り気のある状態が続く生理の数日前から少量の血液が混じるときがある |
生理周期によっておりものの色や量、粘りなどが異なるため、ご自身の生理周期を把握して変化を確認しましょう。
年齢によってもおりものは変化する
おりものの状態は、年齢によっても変わります。
おりものに影響を与えるエストロゲンの量が、年齢によって増減するためです。
以下の表に、年齢ごとに変化するおりものの特徴をまとめました。
年代 | おりものの状態 |
---|---|
10代 | ・エストロゲンの分泌量が増え始める ・初潮を迎える頃から、おりものの量が徐々に増える |
20~30代 | ・エストロゲンの分泌量がピークを迎える ・おりものの量がもっとも多くなる |
40代〜 更年期以降 | ・40~50代なかば:エストロゲンの分泌量が急激に減少し、おりものの量が減っていく ・60代以降:エストロゲンがほぼ分泌されなくなり、おりものの量が大幅に減る ・閉経後のおりものは、水っぽくサラサラしているか、ネバネバした黄色っぽいおりものがでることもある |
妊娠や出産をする年代は十分な量のおりものが分泌され、膣内がうるおっています。
一方、閉経後はおりものの量が急激に減るため、膣内のトラブルや不快感が起きやすくなるのです。
おりものに白い塊が混ざる原因
おりものの状態は生理周期や年齢で変化するものですが、なかには白い塊が混じる方もいます。
白い塊のおりものは「スライムみたい」「卵白のような」としばしば形容されます。
おりものに白い塊が混ざる原因は、以下のとおりです。
- 排卵期・生理前のおりものの変化によるもの
- 妊娠している
- 感染症や病気の可能性
排卵期や生理前にともなうおりものの変化は正常であり、心配はいりません。
しかし、おりものに白い塊が出るときは妊娠や病気の可能性もあるため、見逃さないことが大切です。
それぞれの原因について、詳しく説明します。
排卵期・生理前のおりものの変化によるもの
健康な人であっても、排卵日や生理前はホルモンバランスの変化によって、おりものの量が増えたり色が変わったりします。
【生理が始まるまでのおりものの変化】
- 色・・・透明度が高い→乳白色に近い→生理が終わると茶色っぽくなる
- 粘り気・・・サラサラしている→のびがよくなる→ドロっとして粘り気がある
おりものは、生理が近づけば粘り気が強くなりドロッとした白い塊のようになります。
この時期に見られる白い塊のおりものは、身体にとって問題ありません。
妊娠している
妊娠すると、雑菌の侵入を防ぐためにおりものの粘り気が強くなり、白色やクリーム色の塊となって出てくるケースもあります。妊娠超初期とも呼ばれる「妊娠0週(妊娠前の最後の生理初日)から3週ごろまで」に、白い塊のおりものが増えやすいでしょう。
妊娠しているときは、おりもの以外に次のような症状が見られます。
妊娠している可能性がある症状
- 周期的にきている生理が5~7日以上遅れている
- 下腹部の痛み
- 腰痛
- 熱っぽい・だるい・眠い
- 乳房が張って、重い
- 胃がムカムカする・食欲がない
- 気持ちが不安定になる
妊娠初期の症状は個人差があります。
本当に妊娠しているかはおりものの状態だけでは判断できないため、妊娠の兆候があるときは病院で検査を受けましょう。
感染症や病気の可能性
白い塊のおりものが混ざる原因として生理前や妊娠が考えられないときは、感染症や病気が潜んでいる可能性もあります。
病気によるおりものの変化は、以下のとおりです。
- 膣カンジダ症:ヨーグルト状やカッテージチーズ状の白い塊
- 膣トリコモナス症:白色から黄色の泡状、強い悪臭がする
- 細菌性膣炎:灰白色・黄色・黄緑色、生臭い匂い
- 子宮頚管炎・骨盤腹膜炎:膿のような色
それぞれの病気の特徴と、おりものの異変以外に見られる症状を解説します。
膣カンジダ症
膣カンジダ症は、真菌(カビ)の一種である「カンジダ」が、膣や外陰部に感染して起こる病気です。
膣カンジダ症は感染後すぐに発症するとは限らず、免疫力が落ちたときに症状が出やすい傾向にあります。
ほかにも、糖尿病やエイズなどの病気、薬の内服(ステロイドやがんの化学療法)が原因でなり得ます。
おりもの以外の症状や治療法は、表のとおりです。
おりもの以外の症状 | ・膣や外陰部の強いかゆみ ・性器の炎症(痛み・腫れ) ・性交痛 |
治療法 | ・抗真菌薬入りの軟こう、膣錠、内服薬の使用 |
真菌の増殖を防ぐためにも、外陰部を清潔に保ち、吸湿性のよい綿の下着を着用するといった工夫をしましょう。
膣トリコモナス症
膣トリコモナス症は、トリコモナス原虫が膣に感染する病気です。
性行為での感染が主ですが、性交経験のない方でも下着やタオル・浴槽・便器などへの接触で感染します。
症状がなくても、治療をしないとほかの人に感染する可能性もあるため、体の変化に細心の注意を払いましょう。
妊娠中の感染は、早産になる原因のひとつです。
膣トリコモナス感染症になった場合、おりもの以外の症状や治療法は以下ようになります。
おりもの以外の症状 | ・外陰部のかゆみや痛み ・性交痛 ・排尿時の痛み ・無症状の方も半数程度いる |
治療法 | ・抗トリコモナス剤の内服、膣錠 ・パートナーも同時に治療する |
コンドームの使用は、一定の感染予防効果があると考えられています。
公衆浴場やプールなどに入った場合は陰部をきれいに洗い流し、タオルの共用は控えましょう。
細菌性膣炎
細菌性膣炎は、大腸菌・ブドウ球菌・その他の雑菌などによって起きる感染症です。
膣にはもともと多くの菌が生息しており、体調不良やストレスなどでバランスが崩れると細菌性膣炎を発症します。
性行為のときに不潔な手で陰部に触れたり膣内に指を入れたりすると、細菌性膣炎になる可能性があるため気をつけましょう。
性行為以外では、子宮内避妊具(IUD)の使用や膣周囲の便汚染なども発症リスクとなり得ます。
おりもの以外の症状や治療法は、表のとおりです。
おりもの以外の症状 | ・むずがゆさ ・ヒリヒリとした痛み ・無症状のケースもあり |
治療法 | ・膣内の洗浄 ・抗菌薬の軟こう、内服の使用 |
治療で治ったとしても、不潔な状況での性行為によって細菌性膣炎を繰り返すおそれがあるため、性行為の前後は手指を石けんと流水でよく洗いましょう。
子宮頸管炎・骨盤腹膜炎
子宮頚管炎とは、子宮の下部で膣につながっている細い部分(子宮頸部)の炎症です。
淋病やクラミジアなどの感染が原因で子宮や卵管に炎症が起き、骨盤の腹膜に広がると「骨盤腹膜炎」となります。
感染症だけでなく、糖尿病や子宮内避妊具の長期装着も子宮内の炎症が起こりやすい原因です。
子宮頸管炎になった場合の、おりもの以外の症状や治療法を見てみましょう。
おりもの以外の症状 | ・発熱 ・下腹部痛 ・吐き気、嘔吐 |
治療法 | ・抗菌薬の服用(外来治療) ・抗菌薬の点滴、針で溜まった膿を出す処置(入院治療) |
骨盤腹膜炎まで進行すると、血圧が危険なレベルまで下がって「敗血性ショック」におちいる可能性があるため、感染症の早期治療が重要です。
おりものに塊が出たら病院に行った方がいい?
おりものに白い塊が出る理由がわかったところで、病院に行くタイミングを知りたい方もいるはずです。
白いおりものに加えて、以下のような体の変化を感じたときには受診のタイミングといえます。
病院に行くかどうかの判断基準
- ヨーグルト状やカッテージチーズ状、悪臭のするおりものが出る
- 生理が2週間以上遅れている
- 膣や外陰部のかゆみ・痛み・腫れがある
- 排尿時に痛みがある
- 発熱がある
- 下腹部痛がある
- 吐き気や嘔吐がある
上記のような症状がある場合は妊娠や病気の可能性があるため、早めに婦人科を受診しましょう。
当てはまる症状がなく、一時的に白い塊が出ていたり生理の前後だったりするときは様子を見ても問題ありません。
まとめ
この記事では、おりものに白い塊が出る理由や、妊娠の可能性があるのかを解説しました。
おりものに白い塊が出る理由として、以下が挙げられます。
- 排卵期や生理前のホルモンバランス変化
- 妊娠の超初期症状
- 膣カンジダ症や膣トリコモナス症などの感染症や病気の可能性
ホルモンバランスの変化で一時的に白い塊が出ているときは、様子を見て構いません。
一方、妊娠や病気で見られる症状があるときは、病院に行って適切な対処をとりましょう。