「おりものが続くのは正常?」
「前より量が増えて、ニオイが変わった気がする」
おりものが続く場合、このような不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
おりものは子宮や膣からの分泌物で、女性の体を守るために欠かせないものです。
しかし、大量のおりものが毎日でる場合や、色・ニオイに明らかな変化があった場合は、病気や感染症が隠れている可能性もあります。
本記事では、おりものの量が多い・増える理由を解説するとともに、病院に行ったほうがよいケースを解説します。
おりものの正常な変化と気を付けるべき変化を知り、適切に対応しましょう。
おりものの正常の量ってどのくらい?
おりものが出ること自体は正常な状態で、女性のカラダに対して以下の役割を果たしています。
- 膣内の清潔・うるおいを保つ
- 細菌などの侵入を防ぐ
- 妊娠しやすい状態に整える
分泌される量には個人差があるため、おりものの量に明確な基準はありません。
ただし、以下のようなケースは、通常よりもおりものの量が多いと考えられます。
- おりものシートだけでは足りない
- 生理ナプキンが必要
- 下着だけでなくズボンにまで染みている
生理ナプキンがないと衣類が汚れるほどのおりものがでる場合には、通常より多いと考えてよいでしょう。
\おりものの異常があれば性病検査をしましょう/
おりものの量が多い・増える理由
おりものの量が増える理由には、以下の4つがあげられます。
【おりものの量が多い・増える理由】
- 排卵日・生理前のホルモンバランスの変化
- 年齢によるもの
- 妊娠によるもの
- 病気の可能性
おりものは常に一定の量がでるのではなく、さまざまな要因によって変化します。
それぞれ解説します。
排卵日・生理前のホルモンバランスの変化
おりものの量は、エストロゲンといった女性ホルモンのバランスに応じて変化します。
そのため、排卵日や生理の周期に合わせて1ヶ月の中で量が増減するのは、正常な変化です。
おりものの量は、生理周期にともなって以下のように変わります。
■卵胞期
生理の直後のこの時期は、子宮に残っていた少量の血液がおりものに混ざることがあります。そのため、赤やピンク、茶色っぽくなることがあります。量は少なめで、さらさらした状態です。
■排卵期
とろみのある透明か白っぽいおりものが、多めに出ます。排卵性出血によって少量の血が混じることもあります。
■黄体期
おりものの量は徐々に減っていき、粘り気のある白く濁った状態になります。
■生理直前
生理が近くなると、粘り気のある白~黄色っぽく濁ったおりものが増えてきます。血液が混ざって茶色く見えることもあり、ニオイが少し強くなります。
卵胞期の後半から排卵期にかけてはエストロゲンの分泌が増えるため、それにともない一時的におりものの量が増えるのは正常の変化といえるでしょう。
年齢によるもの
おりものの量は、以下のように年齢によるエストロゲン分泌量の増減によっても変化します。
思春期 | エストロゲンの分泌量が増加初潮の少し前からおりものが出はじめるホルモンバランスや生理が安定するまでおりものの量は不安定 |
性成熟期 | 20~30代にエストロゲンの分泌量がピークエストロゲンの増加にともないおりものの量も増加 |
更年期 | 40代にはエストロゲンの分泌量が減ってくるエストロゲンの減少にともないおりものの量も減る50歳前後に閉経をむかえると、エストロゲンの量は急激に減少おりものの量も減っていき、ほとんど出なくなる |
そのため、20~30代におりもの量が増えるのは、年齢にともなう正常な変化といえます。
妊娠によるもの
妊娠した際にも、おりものの量が増えたと感じる場合があります。
通常、排卵期が過ぎるとエストロゲンの量とともにおりものの量は減りますが、妊娠が成立すると女性ホルモンが分泌され続けます。
そのため、おりものの量が減らず「量が増えた」と感じる方もいるでしょう。
おりものの量や感じ方には個人差があり、変化を感じない方もいるため、妊娠の可能性については以下の症状もあわせた確認をおすすめします。
妊娠している可能性がある症状
- 生理の遅れ
- 下腹部の痛み
- 腰痛
- 基礎体温の高温相の継続
- 身体の熱っぽさ、だるさ
- 乳房が張って重い感覚
- 胃のむかつき
おりものの変化のほかに、これらの症状がある場合には妊娠の可能性も考えられるため、早めに婦人科を受診しましょう。
病気の可能性
生理や妊娠にともなうおりもの量の変化は、体の正常な反応です。
しかし、生理周期や妊娠と関係なくおりものの量が大きく増えている場合には、病気が隠れている可能性があります。
おりものの量が多いときに考えられる病気には、以下のようなものがあります。
【おりものが多い時に考えられる病気の例】
- 膣トリコモナス症
- 膣カンジダ症
- 細菌性膣症
- 子宮頸管症
- クラミジア感染症
- 尖圭コンジローマ
- 淋菌感染症
- 子宮頸がん など
病気が疑われるケースでは、おりものの変化に加えて以下のような症状が出る可能性があります。
- 下腹部の痛み
- 性交・排尿時の痛み
- 性器のかゆみ・腫れ
- 発熱
- 倦怠感 など
自覚症状を感じないまま進行する病気もあるため、少しでも体調の不安を感じたら早めに病院を受診しましょう。
おりものが多く病院に行った方がいいケース
おりものは正常な状態でも日々変化するため、量が多いことで病院に行くべきかどうか悩む人もいるはずです。
そこで、どのような場合に病院に行った方がよいかの目安・判断基準を紹介します。
【病院に行った方がいいケース】
- 思春期前でおりものが多い場合
- 更年期や閉経後でおりものが多い場合
- 生理周期に関係なく毎日大量のおりものが続く場合
- おりものの色やニオイが異常な場合
それぞれ解説します。
思春期前でおりものが多い場合
通常、思春期前の子どもには、おりものはみられません。
思春期とは、第2次性徴があらわれる前、つまり初潮を迎える前の時期をさします。
個人差はありますが、8歳ごろからエストロゲンの分泌量が増え始め、それにともないおりものの分泌量も増える仕組みです。
思春期前でおりものが多い場合には、以下のような病気や外因的な原因が隠れている可能性があります。
- 外陰部が細菌に感染した場合
- 膣に異物を入れた場合
- 衣類がこすれた場合
- アトピー性皮膚炎やその他、皮膚の病気の場合
思春期前の子どもの衣類がおりもので汚れていた場合には、病院を受診しましょう。
更年期や閉経後でおりものが多い場合
更年期、とくに閉経後はエストロゲンの分泌量が減少し、おりものの量も減っていきます。
しかし、更年期や閉経後にもかかわらずおりものが多い場合には、以下のような病気が隠れている可能性があります。
- おりものが黄色い・臭い:萎縮性膣炎・淋菌感染症・膣トリコモナス症
- おりものの量が多い・生臭い:細菌性膣症
- おりものが茶褐色・下腹部痛がある:子宮体がん
- おりものが濃い茶色・水っぽい・下腹部痛:子宮頸がん
- おりものが水っぽい・腹部の不快感:卵管がん
更年期・閉経後になってもおりものの量が増える、色やニオイに違和感がある場合は早めに病院を受診することをおすすめします。
生理周期に関係なく毎日大量のおりものが続く場合
おりものには女性の体を守るための自浄作用があり、毎日出るのは正常な状態です。
また、おりものはエストロゲンの量にともなって増えるため、生理周期にあわせて増減するのは普通のことであり心配はいりません。
ただし、おりものシートでは間に合わないくらい量の多いおりものが毎日出る場合には、何らかの異常が隠れている可能性があります。
色やニオイ、粘度も確認し、違和感があれば婦人科を受診しましょう。
おりものの色やニオイが異常な場合
正常なおりものには、以下のような特徴があります。
- 色:透明・白・白褐色・薄黄色
- ニオイ:無臭または少しすっぱいニオイ
生理前には一時的に薄いピンクや薄茶色になる場合もありますが、生理に関係なく以下のような色に変化する場合は注意が必要です。
正常でないおりものの色
- 黄緑色
- 茶色
- 灰白色
- 赤色
また、おりものから「生臭いニオイ」や「ツンとした悪臭」がする場合も、病気や感染症が原因である可能性が考えられます。
おりものの量・色・ニオイの異変は、不調のサインです。
個人差はありますが、量や色、ニオイに違和感がある場合は婦人科を受診しましょう。
まとめ
この記事では、おりものの量が変化する理由を解説するとともに、病院に行った方がよいケースについてもお伝えしました。
おりものが続くと不安になりますが、おりものは体を守るために大切なものであり、毎日出ること自体は正常です。
ただし、生理に関係なく大量のおりものが毎日続く場合や、色・ニオイに明らかな変化があった場合は、病気や感染症が原因となっている可能性もあります。
違和感がある場合には一度、婦人科を受診してみましょう。