「排卵していない生理の特徴は?」
「無排卵性月経の治し方は?」
このような疑問や不安をかかえていないでしょうか。
なかなか妊娠しない原因として、無排卵性月経を疑っている方もいるでしょう。
この記事では、無排卵性月経の症状や特徴、治療法などについて解説します。
無排卵性月経のセルフチェックや、放置するリスクについても知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
無排卵性月経とは
無排卵性月経とは、生理のような出血がみられるものの、ホルモンバランスの乱れやほかの病気などの影響で排卵が起こらない状態のことです。
医学的には「無排卵周期症」と呼ばれています。
無排卵であることを自身で気づくのは難しく、生理不順や不正出血などの症状で医療機関を受診した際に判明することがほとんどです。
無排卵性月経の症状・特徴
無排卵性月経には、主に次のような症状や特徴がみられます。
【主な症状・特徴】
- 生理周期や期間が不安定
- 経血量が通常ではない
- 茶色やピンク色のおりものがある
- 基礎体温が二相性にならない
- 症状に気づきにくい
それぞれの症状や特徴について詳しくみていきましょう。
生理周期や期間が不安定
通常、生理周期は25~38日周期で、出血が続く期間は3~7日間ほどです。
無排卵性月経の場合は24日以内に生理がきたり、次回の生理が39日以上こなかったりと不安定なケースが多くみられます。
また出血がみられる期間に関しても、2日以内に止まったり8日以上続いたりする場合もあるでしょう。
経血量が通常ではない
無排卵性月経ではホルモンバランスの乱れにより、通常の生理と比べて出血量が少ない、もしくは多い場合があります。
経血がナプキンにかすれて付くほどの少量しか出なかったり、反対に1時間ごとにナプキンを変える必要があるほど多かったりする場合は、無排卵性月経、もしくはそのほかの病気になっている可能性が考えられるでしょう。
茶色やピンク色のおりものがある
通常のおりものは半透明~白っぽい色をしています。
しかし、無排卵性月経では不正出血するケースがあることから、少量の血液がおりものに混ざることで茶色やピンク色のおりものがみられる場合があるのです。
基礎体温が二相性にならない
基礎体温の「一相性」「二相性」とは、基礎体温の変化の有無をあらわす言葉です。
通常、生理周期は「低温期」と「高温期」に分かれており、排卵後から体温が上がり、生理がはじまるころから体温が下がるとされています。
排卵が起きることで基礎体温が低温期と高温期にわかれる状態が「二相性」です。
排卵が起こらない場合は、体温が上がらないため低温期の「一相性」となります。
日頃から基礎体温を計測している場合は、温度変化によって排卵の有無に気づきやすいでしょう。
症状に気づきにくい
無排卵であること自体に、自覚症状はありません。
そのため生理不順や不正出血などの症状があったとしても、排卵の有無は基礎体温の測定や超音波検査などをしてみないとわからないのです。
そのため、無排卵であることに気づかず放置してしまっているケースも多くあります。
無排卵性月経の原因
無排卵性月経になる原因には、主に次のようなことが挙げられます。
【主な原因】
- 過剰なストレスがある
- 体重の過度な増減がある
- 卵巣の病気の影響
- 高プロラクチン血症の影響
- 思春期や更年期の影響
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
過剰なストレスがある
過剰なストレスがかかると、女性ホルモンの分泌に影響することで、排卵が起きにくくなる可能性があります。
ストレスによる無排卵を改善するには、ストレス源から離れることが一番です。
しかし、ストレスをゼロにすることはなかなか難しいでしょう。
ストレスを感じたとしても解消できるように、散歩や入浴、読書などの自分なりのストレス発散方法を見つけておくことがおすすめです。
体重の過度な増減がある
過度なダイエットや過食などによって体重が大幅に増減すると、ホルモンバランスが崩れることで無排卵を引き起こす場合があります。
体重が減りすぎてしまった方は、まずバランスのよい食事を摂り、体重を少しずつ戻しましょう。
急激に太ってしまった方も、食生活の改善や適度な運動などで標準体重を目指すことが大切です。
卵巣の病気の影響
「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」といった卵巣の病気も、無排卵性月経の原因になる場合があります。
多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣内で卵胞(卵子を包む袋)がうまく育たず、排卵が障害される病気のことです。
多嚢胞性卵巣症候群は一般的な不妊の原因であり、若い女性に多くみられます。
明確な原因はいまだ解明されていませんが、卵巣内の男性ホルモンが増加することで、ホルモンバランスが崩れて排卵が起こりにくくなると考えられています。
生理不順や不正出血などのほかも、体毛の増加やニキビ、体重増加といった症状がみられる場合は多嚢胞性卵巣症候群の可能性があるかもしれません。
対処法としては、医療機関で排卵を誘発する治療を受けたり、ホルモンバランスを整える治療を受けたりする方法があります。
高プロラクチン血症の影響
高プロラクチン血症とは、「プロラクチン」と呼ばれるホルモンの血中濃度が基準値よりも異常に高くなることです。
プロラクチンは本来、出産後に母乳を出すために分泌されるホルモンですが、一部の薬やほかの病気の影響で異常に分泌されることがあります。
プロラクチンの分泌量が高まると、出産や授乳をしていないのに母乳が出たり、排卵障害により無排卵性月経や無月経を引き起こしたりする場合があります。
プロラクチンには母乳の分泌を促すだけでなく、次の赤ちゃんをできにくくする作用もあるため、無排卵を引き起こすのです。
対処法としては、高プロラクチン血症の原因が薬剤性である場合は対象の薬の使用を中止し、原因となる病気が存在する場合はその治療をおこないます。
思春期や更年期の影響
卵巣機能が未成熟な思春期や、卵巣機能の低下がみられる更年期には、ホルモンバランスが安定しないことで無排卵性月経になることが少なくありません。
思春期の場合、初潮から1~2年は無排卵であることが多いとされていますが、成長とともに改善する場合が多いでしょう。
生理不順や不正出血、貧血などで日常生活に支障が出ている場合は治療するケースもありますが、閉経間近で卵巣機能が低下している場合には経過観察のみとする場合もあります。
無排卵性月経のセルフチェック
ここからは、自身が無排卵性月経かどうか知るための参考となるセルフチェック項目を紹介します。
【無排卵性月経のセルフチェック項目】
- 生理周期が24日以内と短い、もしくは39日以上と長い
- 不正出血がある
- 茶色やピンク色のおりものがある
- 基礎体温が低温期と高温期に分かれていない(一相性である)
- 避妊していないのに1年以上妊娠しない
上記の項目に1つでも当てはまる場合は、無排卵性月経の可能性があるかもしれません。
生理があったとしても、排卵がなければ妊娠にはつながらないため、妊娠を望む場合は早めに婦人科の医師に相談しましょう。
無排卵性月経を放置するリスク
無排卵性月経に気づかず放置していると、排卵が起こらないため不妊の原因になります。
また卵巣機能の低下によってホルモン分泌に影響し、動脈硬化や脂質異常症、骨粗鬆症などのリスクも高まる可能性があります。
妊娠を希望する方や、セルフチェックに該当する項目がある方は早めに婦人科を受診しましょう。
排卵の有無の目安を自身で調べたい方は、基礎体温を測ってみることがおすすめです。
排卵があれば、生理周期の基礎体温は低温期と高温期の「二相性」になりますが、無排卵の場合では低温期の「一相性」になることほとんどです。
無排卵性月経を治療する方法
無排卵性月経の治療法には、主に次のようなものが挙げられます。
【主な治療法】
- 漢方薬
- 排卵誘発法
- ホルモン療法
- 生活習慣の改善
それぞれの治療法について詳しくみていきましょう。
漢方薬
無排卵性月経の治療法には、漢方薬を使用する方法もあります。
漢方薬による治療は対症療法ではなく、不調が起きにくいからだへの体質改善を目的としています。
具体的には血の巡りをよくしたり、からだを温めたりすることで複合的に不調へとアプローチしていくのです。漢方薬による治療は、主に次のような方に向いているでしょう。
【漢方薬による治療が適している人】
- 根本的な体質改善をしたい方
- 西洋薬による副作用が心配な方
- 無排卵以外にも複数の症状に悩んでいる方
漢方薬による治療の副作用はゼロではないものの、西洋薬よりも少ないとされています。
また、使う漢方薬の種類によっては、無排卵以外にも冷え性やイライラといった症状を総合的に改善できる場合もあります。ただし、漢方はじっくり作用していく薬であるため、効果が出るまでには数ヶ月程度かかるでしょう。
漢方薬はドラッグストアでも販売されていますが、漢方薬は個人の症状や体質に合わせて使用するものであるため、服用する際は医師の診察を受けることがおすすめです。
排卵誘発法
妊娠を希望する場合は、内服薬や注射で排卵を起こす「排卵誘発法」がおこなわれる場合があります。
代表的な方法としては、クロミフェン療法やゴナドトロピン療法、フェマーラ療法が挙げられます。
それぞれの治療法の特徴は次の表のとおりです。
方法 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
クロミフェン療法 | 比較的軽度の排卵障害に用いられる内服薬 | ・副作用が少ない ・通院の回数が少なく済む |
ゴナドトロピン療法 | 重症な排卵障害に用いられる注射薬 | ・内服薬による排卵誘導がうまくいかなかった場合に選択されることが多い ・頻繁な通院が必要 |
フェマーラ療法 | 乳がん治療を適応とする内服薬(排卵誘発剤としても使用される) | ・副作用が少ない ・通院の回数が少なく済む |
排卵誘発法をおこなえば無排卵や生理不順の改善が期待できますが、吐き気やイライラ、頭痛などの副作用が出る場合もあります。
ホルモン療法
妊娠を希望しない場合には、ホルモン療法がおこなわれることもあります。
ホルモン療法とは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」や「プロゲステロン(黄体ホルモン)」といったホルモン剤を服用することでホルモンバランスを自然な状態に整え、生理のような出血を起こす治療法です。
ホルモン療法の種類には、プロゲステロン製剤を投与する「ホルムストローム療法」や、エストロゲンとプロゲステロン製剤の両方を投与する「カウフマン療法」などがあります。
周期的な服用と休薬期間を繰り返すことで、やがて自然な排卵が期待できるでしょう。
ホルモン療法ではホルモンを人工的に調整することから、人によっては吐き気や腹痛、お腹の張りなどの副作用がみられる場合もあります。
生活習慣の改善
睡眠不足や暴飲暴食といった乱れた生活習慣を続けていると、ホルモンバランスの乱れにつながり、無排卵や生理周期の乱れを引き起こす原因となります。
無排卵を根本から改善したい方や、食生活の乱れや運動不足、睡眠不足などを感じている方は、まずは生活習慣の改善に取り組んでみるといいでしょう。
過度なダイエットや偏った食事は体重の過不足につながり、無排卵性月経の一因となるため、栄養バランスを考慮した食事を3食摂ることが大切です。
日頃から睡眠不足を感じている方は、寝る前のスマホやPCの使用を控えてみたり、寝具や睡眠環境を整えたりして睡眠の質を上げる方法もおすすめです。
まとめ
この記事では、無排卵性月経の症状や特徴、治療法などについて紹介しました。
生理不順があったり、避妊なしで1年以上妊娠しなかったりする場合は、無排卵性月経になっている可能性が考えられます。
無排卵性月経を治療せずに放置していると、不妊につながることに加え、卵巣機能の低下によるさまざまな病気につながる恐れもあります。
セルフチェックで当てはまる項目がある方や、不安を感じる方は早めに婦人科を受診しましょう。