コンジローマのワクチンは感染後も効果がある? 尖圭コンジローマの症状や特徴についても解説

コンジローマのワクチンは、感染後も効果が期待できます。ただし、原則としてワクチンは予防を目的として作られており、治療には効果がないという知見も見られます。

本記事では、コンジローマを予防するワクチン接種や予防方法のほか、尖圭コンジローマの症状や特徴についても解説します。最後までご覧いただければ、コンジローマに対する正しい知識が身につき、適切なワクチン接種や治療が行えるでしょう。

コンジローマを予防するワクチン接種について

コンジローマはワクチン接種で予防が可能です。ここでは以下の項目に沿って、コンジローマを予防するワクチンについて解説します。

・コンジローマは「HPVワクチン」の接種で防げる

・感染後も接種することで再発防止は期待できる

「HPV」ワクチンが有効なその他の病気に関する内容も盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてみてください。

コンジローマは「HPVワクチン」の接種で防げる

コンジローマはHPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)の接種で防ぐことができます。コンジローマにかかる原因は、ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウィルスです。なお、HPVワクチンは男女問わず接種できます。

ヒトパピローマウイルスは、女性の8割が一生に一度は感染すると言われています。ウイルスに感染した人が必ずしも病気を発症するとは限りませんが、ワクチンを打っておけば発症リスクは減らせるでしょう。

「HPV」ワクチンが有効なその他の病気

ヒトパピローマウイルスはコンジローマ以外に、子宮頸がんを引き起こす可能性もあります。つまりHPVワクチンは、コンジローマと子宮頸がんの両方を予防する上で効果的です。

HPVワクチンには3つの種類があり、コンジローマと子宮頸がんの予防に役立つ型は以下のとおりです。

・コンジローマ:4価・9価

・子宮頸がん:2価・4価・9価

数字は予防できるHPV型の数、「価」はHPVワクチンの型を意味します。

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感染後も接種することで再発防止は期待できる

コンジローマに感染した後も、適切なワクチンの接種で再発防止は期待できます。16〜26歳の女性を対象にした臨床試験のデータによると、4価HPVワクチンの予防効果が非常に高いことが分かります。

疾患予防率(%)
未感染群子宮頸部上皮内腫瘍高度病変子宮頸部上皮内腺癌98.2
外陰上皮内腫瘍高度病変100
膣上皮内腫瘍高度病変100
コンジローマ96.4
既感染者や有病者を含む群子宮頸部上皮内腫瘍高度病変子宮頸部上皮内腺癌51.5
外陰上皮内腫瘍高度病変73.3
膣上皮内腫瘍高度病変85.7
コンジローマ79.5

参考:http://jsv.umin.jp/journal/v62-1pdf/virus62-1_79-86.pdf

既感染者や有病者を含む集団における臨床試験でも、4価HPVワクチンはコンジローマに対しておよそ8割の予防率を示しています。子宮頸部の疾患や外陰、膣の腫瘍に対しても予防効果がある点にも注目です。

ワクチンはあくまで予防で治療には効果がないとの知見も

HPVワクチンはあくまで、コンジローマの感染を予防することを目的としたワクチンです。すでに発症している症状を治療する効果はないとの知見もあります。

一般的には、過去にコンジローマに感染し、治療したことがある人のワクチン接種は推奨されていません。どうしてもワクチンの接種を希望する人は、医師と相談してみると良いでしょう。

コンジローマの予防方法は?

コンジローマの予防方法は以下のとおりです。

・ワクチンの接種

・コンドームの着用

・不特定多数の相手との性行為を控える

コンドームの着用もコンジローマの予防にはある程度の効果があると認められていますが、感染リスクを劇的に下げられるわけではありません。コンジローマをより確実に防ぎたいなら、ワクチンの接種がおすすめと言えます。

コンジローマとはどのような病気?

コンジローマについて、以下のテーマに沿って解説します。

・特徴

・感染経路

・発症する部位

・症状

コンジローマが発症する部位や症状は、男女の違いも見られます。早速、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

特徴

コンジローマは、性器や肛門周辺にイボのようなブツブツができる性病の一種です。色や形状、大きさなどの特徴をまとめます。

・色:白やピンク、褐色など

・形状:ニワトリのとさか状やカリフラワー状など

・大きさ:1〜3mm程度

形状が尖っている場合は尖圭コンジローマ、平であれば扁平コンジローマと呼ばれます。ただし、扁平コンジローマは厳密には梅毒の一種です。コンジローマという名称は共通していますが、実態は別物であると認識しておきましょう。

感染経路

コンジローマの感染経路は、性行為や性行為に近い行為です。粘膜や傷口からHPVウィルスが侵入することで感染します。

また、母親がコンジローマに感染している場合、出産時に産道感染を引き起こすケースもあります。出産を控えている人は要注意です。

発症する部位

コンジローマが発症すると、性器や肛門などにイボのようなブツブツができます。細かな部位は性別によって異なるため、男女別でご覧ください。

男性

男性がコンジローマにかかると、以下のような部位に発症します。

・陰嚢

・会陰部

・尿道口

・肛門内

・肛門周囲

・亀頭の先端

・亀頭のカリ

・ペニス本体の皮膚

陰嚢はいわゆる金玉袋と呼ばれる部位です。会陰部は陰嚢と肛門の間を指します。性器本体から肛門のさまざまな部位にブツブツができるイメージです。

女性

女性の場合、次の部位にコンジローマが発症します。

・腟内

・腟前庭

・大陰唇

・小陰唇

・会陰部

・尿道口

・肛門内

・肛門周囲

・子宮頸部

腟前庭は腟の入り口付近のことです。陰唇は膣を取り巻く皮膚のひだを指します。膣から肛門のみならず、膣内や子宮頸部など、外から見えない部位にも発症するため非常に厄介です。

症状

男女に共通するコンジローマの症状は以下のとおりです。

・性器や肛門、口、喉などに1〜3mm程度のイボができる

・形状はトサカ状やカリフラワー状などさまざま

・痛みやかゆみなどの症状がない場合もある

・放置しているとイボが増えてくる

・放置しているとイボが大きくなる

最初はトサカ状の小さなイボですが、放置しておくと徐々に大きくなり、イボ同士がつながってカリフラワー状に成長します。

痛みやかゆみはないケースが多いものの、触れると硬いイボのような感覚があるため、心配になって病院へ足を運ぶ人が多いです。

診断・検査方法

「コンジローマかもしれない…」と感じたときの受診する科や検査方法についてご説明します。

・男女別に受診する科

・パートナー感染の可能性について

・検査される内容

コンジローマのウィルスは性交渉をきっかけに感染するため、パートナーにも配慮する必要があります。早速、それぞれの項目を見ていきましょう。

受診する科は男女で異なる

コンジローマの検査を受ける場合、受診する科は男女で異なります。性別ごとの違いを見ていきましょう。

なお、コンジローマは放置しておくと増殖・拡大し、放置すると不妊の原因になりかねません。異変を感じたらすぐ、病院へ行くことをおすすめします。

男性

男性がコンジローマを疑った場合、以下いずれかの科を受診してください。

・泌尿器科

・皮膚科

どちらの科を選ぶべきかわからない場合、病院へ訪れる前に電話で簡単に症状を説明し、適切な科を聞いておくと良いでしょう。

女性

女性がコンジローマの検査を受ける場合、婦人科を受診するのが基本です。婦人科であれば、外側から見えない膣や子宮頸部などの部位も含め、詳しくチェックしてもらえます。

パートナーの感染も可能性がある

性行為の際、コンジローマの原因となるウィルスがパートナーに感染する可能性があります。感染する割合や発症の可能性に関する一般的な目安は以下のとおりです。

・コンジローマと診断された人との性行為でパートナーに感染する割合は3人に2人

・ウィルスに感染してコンジローマを発症する人の割合は3%程度

・ウィルスの感染から発症するまでの期間は3週間〜8ヶ月程度

大多数の人は、ウィルスに感染しても自己免疫力で排除できます。ただし、あくまでも確率の話です。性行為の際は細心の注意を払わなければなりません。

少しでも不安な人は、事前に病院で診察を受けておくと良いでしょう。

検査される内容

コンジローマの検査内容は以下のとおりです。病院によっても異なりますが、おおよその検査方法は以下の3つを行います。

・視診

・触診

・低リスク型HPV検査

目視で確認できる箇所にイボがある場合、視診や触診で診断できます。コンジローマの原因となるHPVの有無を確認するには、低リスク型HPV検査が必要です。綿棒で陰部や膣を擦るというシンプルな検査方法で、結果が出るまでに1週間程度かかります。

期間や検査方法については、気になる場合は受診を検討している病院へ問い合わせを行うようにしてください。

治療について

コンジローマの治療は大きく、3つの方法に分類されます。

メリットデメリット
塗り薬・傷跡が残りにくい・再発しにくい・副作用で皮膚がただれやすい
液体窒素麻酔なしで行える・再発の可能性が高い・何度も繰り返し行う必要がある
外科的処置短時間でできる再発の可能性が高い

塗り薬による治療期間は8〜16週間ほどです。液体窒素で治療する場合は何度も通院する必要があり、治るまでの期間は個人差が大きいです。

レーザーや電気メスを用いる外科的処置は短時間で治療が終わりますが、再発の可能性が高い点には注意しておきましょう。病院によっては、外科的処置を受け付けていないケースもあります。

ただし、コンジローマの治療方法は多岐にわたります。本項で記載した内容は参考程度にしていただき、利用する予定の病院へ直接お問い合わせください。

まとめ

コンジローマの概要について様々な視点から解説しました。

コンジローマは、HPVワクチンの接種で防げます。HRVワクチンはコンジローマ以外にも、子宮頸がんの予防にも効果的ですが、あくまでも予防のみで、治療はできないとの考えもあります。

コンジローマは主に性行為がきっかけで感染します。感染すると性器や肛門などに1〜3mm程度のイボができるのが特徴です。放置していると増殖・拡大し、不妊の原因にもなりかねません。また、パートナーの感染も疑ったほうがよいでしょう。

少しでも異変を感じたらすぐに、病院で検査を受けてみてください。

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