クラミジアが再発したら?

クラミジア(性器クラミジア感染症)とは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌への感染によって起こる性感染症のことです。基本的に自然治癒はしないため、治療にあたっては医師処方の抗菌薬(抗生物質)服用が必要とされています。

また、性感染症(STI)のなかでも患者数が多く、再発の恐れもあることが特徴です。時間をかけて治療をしても、「新しいパートナーとの性交」や「パートナーの検査、治療を怠っていたこと」などをきっかけに再発してしまうこともあります。男女ともに自覚症状に乏しいため、パートナーも含めて定期的に検査を受けるなど、再発を防ぐための予防を徹底して行うことが大切です。

今回はクラミジアの治療法や再発率、完治するために必要なことを中心に解説します。クラミジアの治療について気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

クラミジアの治療法

クラミジアは、20歳代前半の男女に多い感染症です。感染部位の粘膜との接触などにより人から人へ感染するのが基本で、その感染経路は「性行為」「出産時の母子感染」が主となっています。また、クラミジア陽性患者の約10%は、淋病も併発するといわれています。

ここでは、クラミジア(クラミジア感染症)への感染が疑われる場合の検査や治療について紹介します。

検査

クラミジアの検査方法は、「核酸増幅検査」「抗原検査」が主流です。それぞれの検査の概要は、以下の通りです。

核酸増幅検査遺伝子の核酸を抽出し増幅させ、増えた核酸を検出することで、その遺伝子の有無を確認する検査法です。精度が高く、検査検体に少数のクラミジアしか存在しなかった場合でも見逃すことはありません。ただし、検査に2〜4日ほど時間がかかるのが欠点で、通常は外部の検査機関に委託されています。
抗原検査クラミジアが保有する特有のタンパク質(抗原)を検出する検査法です。核酸増幅検査より精度は落ちますが、10分ほどで結果が分かります。

なお、クラミジアの潜伏期間は1〜3週間ほどです。男性は約半数、女性は8割ほど無症状であるといわれているため、検査を受けずに感染が広まってしまうこともあります。少しでも感染の疑いがある場合は、症状がなくても検査を受けるようにしましょう。

また、女性の場合は、クラミジア子宮頚管炎の検査も受けておきましょう。適切な治療を行わなかった場合、将来的に不妊となってしまう恐れもあります。

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治療

クラミジアの一般的な治療方法は薬の服用です。クラミジアの治療には、細菌を退治するアジスロマイシン、クラリスロマイシンといった抗菌薬(抗生物質)が使われます。抗菌薬を服用する上で大切なのは「決められた間隔と日数服用し続ける」という点です。抗菌薬は、感染原因に効果がある薬剤の血中濃度を一定以上に保つことで効果が出ます。

治療費は検査の種類や病院によって多少前後しますが、1,000円〜2,000円ほど(3割負担の場合)です。なお、クラミジアに対する薬はドラッグストアなどでは入手できません。必ず医療機関で医師の診察を受け、服薬を行う必要があります。

再検査

抗菌薬の服用後に重要なのは、再検査で薬剤に効き目があったのかを確かめることです。決められた用法用量で服薬したとしても、必ず治療が成功するとは限りません。クラミジアへの陰性(陰転化)が確認できれば、治療は無事終了です。症状が落ち着いたとしても、治ったかどうかを自己判断してはいけません。

統計的にも約10%の患者は、1度の服薬では陰性にならないというデータがあります。1度でうまくいかなかった場合は、ほかの薬剤に変更して再度服薬を行いましょう。確実に治療を行うためにも、服薬開始から約2週間は、医師の指示の下で再検査を受けてください。

クラミジアはしつこい?

クラミジアは再発率が高く、しつこい病気といわれています。多くの人が無自覚のまま、性行為によって感染を拡大していくため、時間をかけて治したとしても、いつの間にか再感染してしまっていることもあります。再発率の高さの実態や、再発率に直結する理由の1つである「自覚症状のなさ」について詳しく見ていきましょう。

再発率が高い

クラミジアの再発率(再陽性率)の高さは問題視されており、感染者の15〜30%が再発しているといわれています。再発の原因としては、主に以下が挙げられます。

・パートナーが治療を受けていなかった

・治療後に新しいパートナーとの性行為を行った

また、疲れがたまって身体の免疫力が低下している状態にあるときは、より再発のリスクが高まります。女性の場合、再発を繰り返すことで骨盤内炎症性疾患などの複雑な性器感染症を発症し、不妊につながる恐れもあります。そのため、クラミジアへの感染が分かった際には、性行為を行ったパートナーとともに治療を行うことが得策です。

自覚症状がない・少ない

クラミジアは、発症しても自覚症状がない、もしくは症状が少ないケースがあるため要注意です。男性の場合は、多少の症状があっても尿道炎にかゆみが出る程度で、多くの場合は排尿痛、尿道不快感、腫れなどは伴いません。女性の場合は、おりものが増加する程度です。子宮頚管炎、骨盤内付属器炎、不妊、肝周囲炎などを起こす場合もありますが、多くのケースは軽微なものです。

自覚症状がなければ、感染している状態で性行為を行うこともあるでしょう。複数の方との性行為を行ったなど、思い当たる節がある方は、症状がなくても念のため検査を受けておくとよいでしょう。

なお、クラミジアの主な症状は、以下の通りです。以下の症状に覚えがある方は検査を検討しましょう。

主な症状
男性・尿道炎や尿道の不快感・かゆみがある・前立腺炎、精巣上体炎・陰茎から分泌物や膿が出る・陰嚢が痛む・陰嚢が腫れたり赤くなったりする
女性・腟から粘液や膿が出る・子宮頚管炎・尿の回数が多い・性交時に痛みがある ・膿うみのようなおりものがみられる・生理中以外に性器から出血がある・子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患・肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis 症候群)
男女共通・排尿時の痛み・不妊のリスク・発熱・喉の痛み・首のリンパ節の腫れ

クラミジアを完治するには

前述の通り、クラミジアは再発の可能性がある感染症です。再感染をしても、自覚症状がないケースもあります。再発を防ぐために、次に挙げる方法で再発を防ぐようにしてください。

定期的な検査をする

クラミジアは再発するケースも多いため、早期発見の意味でも定期的な検査が望まれます。以下にあてはまる方は、できるだけ定期的に検査を受けるようにしましょう。

【定期検査が望ましい方】

・24歳以下で性交歴がある方

・25歳以上でクラミジアを含む性感染症にかかったことがある方

・性的パートナーが変わった方

・複数の性的パートナーがいる方

・コンドームを使用しない性交の機会があった方

性感染症は感染しても発症までのウインドウ・ピリオドという潜伏期間があるため、1度の検査で感染の有無を確かめるのが難しいのが現状です。検査の間隔は医師と相談するのが望ましいですが、何か気になるようであればまず検査を受けてみましょう。

ちなみに女性の場合、生理中でも検査は可能です。ただし、尿検査では、のどや直腸、子宮頚管の感染が発見できないので覚えておきましょう。

パートナーと一緒に治療する 

身近に性的なパートナーがいる場合、自身がクラミジアに感染していることが分かったら、パートナーとともに治療するようにしましょう。クラミジアは1度の性行為で、約50%の確率で相手にうつるとされています。自分だけが治療を進めても、パートナーが感染したままでは、再発してしまいます。

また、性器や喉などに何か違和感を覚えた時点でパートナーに相談し、はじめから一緒に検査を受けておくという方法もあります。相手に症状が出ていなくとも、すでに感染している恐れもあるでしょう。

クラミジアの予防方法

クラミジアには予防接種がありません。また、感染して治った後も再び感染することがある感染症です。そのため、継続的に予防を心がけることが大切です。有効な予防方法は性行為を含む性的接触時に避妊具(コンドーム)を正しく使うことです。不特定多数の方との性行為もできる限り避けた方がよいでしょう。

まとめ

今回は国内での患者数も多いクラミジアについて、治療法や再発の可能性、完治のために大切なことなどを中心に解説してきました。クラミジアは感染しても自覚症状がないケースもあるため、感染のリスクが高いと感じる方は定期検査を受けるのもよいかもしれません。再発のリスクも高い感染症なので十分に注意し、必要に応じて検査はパートナーと一緒に受けるようにしましょう。また、日頃からコンドームの使用を徹底するなど予防に努めることも重要です。

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