性行為後からしばらくして「喉の調子が悪い」「風邪と似た症状だけど、なかなかよくならない」など違和感を覚えている人の中には、不調の理由がわからず不安や疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
性病は性器だけでなく、喉や目などの粘膜にも感染する病気です。
ここでは、喉に感染する性病とその検査方法についてご紹介します。不調の原因を探るためにも、ぜひ参考にしてください。
喉に感染する性病にはどんなものがある?
性病は、性器だけでなく喉や目などの粘膜にも感染する病気です。
それぞれの性病は症状に特徴があり、感染経路や症状、治療法を知っておくことで「感染の予防」や「早期発見・早期治療」につながります。自然治癒しないものも多く、場合によっては不妊につながったり、中には命に関わるものもあります。
喉に感染する性病について解説していくので、自分の身を守るためにもぜひ参考にしてください。
クラミジア
クラミジアは粘膜や体液の接触で感染する、日本で最も感染者が多い性感染症です。
主に性行為によって感染するため、10代後半から30代にかけての若年層に多く確認されています。
症状として男性には排尿痛や尿道の不快感、かゆみなどが現れ、女性にはおりものの増加や下腹部痛、性交痛などです。喉に感染した場合には、喉の痛みや腫れなど風邪に似た症状が現れます。
ただ自覚症状が出ない場合も多く、男女ともに5%弱の人が感染に気付かないまま生活しているという調査結果もあるほどです。
クラミジアは自然治癒はできず、治療の際には抗生物質が必要になります。必ず処方されたものを飲み切ることが大切です。
また治療せずに放っておくと、不妊や肝周囲炎などの症状が出る場合もあるため早期の治療を心がけましょう。
淋病
淋病は、淋菌に感染することで炎症が起こる性感染症の一つです。主に性行為によって感染する病気で、女性よりも男性の方が症状がわかりやすいといわれています。
潜伏期間は2〜8日で、女性の場合にはおりものの増加などはあっても自覚症状が出ないことが多いため、感染に気付くのが難しい病気です。一方、男性は排尿時に膿のようなものが出たり、ひどい場合には性器が赤く腫れ上がったりするため気付きやすいでしょう。
喉に感染した場合は、喉の腫れや咳など風邪に似た症状を引き起こすため、男女ともに気付きにくい場合もあります。
男性が淋病に罹患し、尿道炎や精巣上体炎を引き起こし放っておくと不妊につながります。女性の場合は、子宮頸管(けいかん)炎や卵管炎、卵巣炎などになり、治療をしないままでいると男性同様不妊につながるため注意が必要です。
淋病もクラミジアと同じく自然治癒はせず、治療には抗生物質を使用します。投薬や点滴、筋肉注射など、治療法が複数あるので病院で相談するのがおすすめです。
梅毒
梅毒は、主に性行為によって感染する性感染症の一つです。
約3週間の潜伏期間があり、感染するとまずはしこりやできものが性器や口内にできます。しこりなどはその後に消えますが、1〜3ヶ月すると手や足をはじめ体中にブツブツができます。
梅毒は自然治癒ができず、治療にはペニシリン系の抗生物質が有効です。一度症状が落ち着いても進行する病気なので、感染が確認された場合には自己判断せず最後まで通院するように心がけましょう。
近年、梅毒の感染者数は増えており、男女ともに注意が必要です。感染した場合には、性行為をした同士が繰り返しうつしあう恐れがある「ピンポン感染」を防ぐためにも、性行為をしたパートナーと一緒に受診してください。
ヘルペス
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって引き起こされる病気です。ヘルペスには1型と2型があり、1型は幼少期に感染者の唾液などを通じて感染し「口腔ヘルペス」を引き起こします。
口腔ヘルペスは口唇(こうしん)ヘルペスともいわれており、唇のまわりに水ぶくれができるのが特徴です。大人になってから発症すると重症化しやすく、再発も起こりやすいといわれています。
また、2型は主に性行為によって粘膜や皮膚の小さな傷から感染し、水ぶくれや腫れなどの症状を引き起こします。性行為による小さな傷から感染するため、女性の方が感染の可能性が高いのも特徴です。
ヘルペスは一度感染してしまうと体内から完全にウイルスを消すことができないため、免疫力が弱まっている時に再発します。治療法としては、抗ウイルス薬の内服や外服、点滴投与が中心です。
カンジダ
カンジダは、風邪やストレス、抗生剤の服用などで抵抗力が弱まっている時に、常在菌であるカンジダが引き起こす病気です。カンジダはカビの一種で、膣や口、消化管などに常に存在しています。
性行為で感染することもありますが、常在菌による自己感染が主な感染経路です。女性の方が感染は多く、白いおりものが出たり、かゆみや排尿時の痛みが現れたりします。
男性が感染した場合には、尿道の炎症やかゆみ、性器のただれや赤みなどの症状が現れます。口に感染した場合には、口腔粘膜が赤くなったり、粘膜や舌に白い苔のようなものが付着したりするのが特徴です。
カンジダは軽度なら自然治癒しますが、重症化すると自力では治せません。軽症の場合であっても受診した方が治りも早く、重症化する心配もないので、気になる症状がある場合には病院で診察を受けましょう。
マイコプラズマ
マイコプラズマというと、肺炎を思い浮かべることも多いですが、最近では性病のマイコプラズマが増加傾向にあります。
性病のマイコプラズマは、肺炎とは原因となる細菌の種類が異なるのが特徴です。肺炎は「マイコプラズマ・ニューモニエ」が原因菌ですが、性病では「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「マイコプラズマ・ホミニス」が原因菌です。
性病のマイコプラズマでは、尿道炎や子宮頸管炎、咽頭炎を発症します。初期症状としては喉の痛みや腫れ、性器周辺のかゆみなどが現れます。
男性の場合には尿道から膿が出ることもあり、女性と比べて症状がわかりやすいのも特徴です。
性病のマイコプラズマは、性行為だけでなくキスでも感染します。感染力が強い病気なので、少しでも気になる症状がある場合には早めに受診し、抗生物質を処方してもらいましょう。
ウレアプラズマ
ウレアプラズマは、主に性交渉などの粘膜接触によって感染する性病の一つです。細菌が粘膜と接触することで感染するといわれており、キスやフェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスでも感染します。
ウレアプラズマは1〜5週間の潜伏期間を経て尿道炎を発症し、性器の痛みやかゆみ、場合によっては膿が出ることもあります。
また喉に発症することもあり、痛みや腫れが起こるのが特徴です。風邪と似た症状であるため、性病と気付かない人も多くいます。
ウレアプラズマは、自然治癒できる病気ではありません。治すには病院で検査を受け、抗生物質を服用する必要があります。
重症化すると不妊や早産などにつながる恐れもあるため、早期の治療が大切です。適切な治療を受ければ完治する病気なので、気になる症状がある場合にはまずは検査を受けましょう。
アデノウイルス
アデノウイルスは、尿道炎を引き起こす病気です。性行為やオーラルセックスによって感染しますが、感染力が強いため飛沫や接触で感染することもあります。
アデノウイルスは、感染箇所によって発症する症状が異なるのが特徴です。
主な症状は、以下のとおりになります。
【アデノウイルスが感染した箇所ごとの症状】
・気管支→咳、発熱、痰
・喉→咽頭痛、発熱、頭痛
・胃腸→嘔吐、微熱、腹痛
・膀胱→頻尿、残尿感
・尿道→排尿時の痛み、膿、血尿
・目→充血、目やに、痛み
アデノウイルスは抗菌薬が効かず、特効薬もありません。症状に合わせた薬を服用し、ウイルスが完全に体の外に排出されるのを待つ必要があります。必ず医療機関を受診するようにしましょう。
\喉の性病の陽性結果が分かる/
喉の性病を検査する方法
性病の種類によっても異なりますが、喉の性病を検査する場合は主に「うがい検査」か「咽頭ぬぐい検査」を実施します。喉の性病は「耳鼻咽喉科」や「性病科」、女性の場合は「婦人科」で診察が可能です。
検査したい項目の数はもちろん、病院によっても検査費用が変わるため、事前に病院のHPで費用などを確認してから受診するのがおすすめです。
うがい検査
「うがい検査」は、口腔や咽頭の性病を調べる際に実施される検査の一つです。うがい検査の方法は、以下のとおりになります。
【うがい検査の方法】
- 減菌生理食塩水を15〜20ミリリットル口に含む
- 顔を上げて約20秒うがいをする
- うがい液をカップに入れ、検査をしてもらう
菌が検出しやすいよう、検査の2時間前には食事や歯磨き、ガムなどを控えるのがよいでしょう。
咽頭ぬぐい検査
「咽頭ぬぐい検査」は、喉のクラミジアや淋菌を検査時に実施される検査の一つです。
咽頭ぬぐいでは喉の粘膜を採取するため、咽頭扁桃という部位を綿棒でこすり、検体を採取します。咽頭扁桃は、上あごの裏あたりにある部位です。
検査をする際は、うがい検査と同様、菌を検出しやすいように2時間前から食事や歯磨き、うがいなどを控えましょう。
性病を予防するには
性病の予防には、「コンドームの使用」や「特定の人に限定した性行為」が効果的です。
性病は、種類によって自然治癒しないものや重症化すると不妊や失明、最悪の場合には命に関わるものもあります。もちろん治療法も確立されているため、早期に受診できれば安心ですが、中には自覚症状が出にくいものもあるため、予防するに越したことはありません。
それぞれの予防法について、見ていきましょう。
コンドームを使用する
性病予防に有効な方法の一つに、「コンドームの使用」が挙げられます。
性病の多くは粘膜や体液の接触によって感染するため、性行為の際にコンドームを使用すれば、直接的な接触を回避し感染リスクを下げることが可能です。
ただし、コンドームの付け方が間違っていると感染リスクは変わらないため「行為の最初からつける」「根元までしっかりつける」など、正しい使い方をするよう心がけましょう。
また性病によっては体液からうつる場合もあるため、使用済みのコンドームを触る際にも注意が必要です。もし感染者の体液が手についた状態で目をかいてしまうと、目が感染してしまう場合もあります。
性病は目に感染すると結膜炎などを引き起こし、最悪の場合失明することもあります。さまざまなリスクを回避するためにも、触ったあとは必ず手を洗うようにしてください。
不特定多数の人と性行為に及ばない
不特定多数の人と性行為に及ばないことも、性病を予防するうえで重要な要素の一つです。
性感染症の多くは、粘膜や体液の接触で感染するため、不特定多数と行為に及ぶことで接触機会が増え、感染リスクが高まってしまいます。
性病によっては自覚症状が出ない場合も多く、相手が「大丈夫」と話していても知らず知らずのうちに感染してしまう可能性もあります。一時の快楽のためにした行為が、不妊や失明、時には命にまでリスクをもたらすこともあるのです。
また不特定多数と性行為をすることで、気付かないうちに他人を感染させてしまう可能性も考えられます。その場合、経路の特定が難しく感染が大規模に膨れ上がることもあるでしょう。
感染リスクを下げるためにも、性行為は特定の相手とするのがおすすめです。
まとめ
喉に感染する性病の種類や検査方法について解説してきました。
フェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスが一般化したことにより、性病は喉の粘膜にも感染することが増えています。
唇に水ぶくれができる「ヘルペス」や口内にできものができる「梅毒」のように特徴的なものもありますが、喉にできる性病のほとんどは咳や喉の腫れなど風邪と似た症状です。そのため、性病だと気付かないケースも多くなっています。
性病は、放っておくと不妊や失明を引き起こすこともあり大変危険です。最悪の場合死に至る病気もあり、早期の受診が求められます。
喉の性病は「耳鼻咽喉科」や「婦人科」「性病科」で診察が可能です。何か気になる症状が出ている場合には、早めに受診し治療を受けるようにしましょう。
検査費用は、検査項目や病院によって異なります。事前に、いくつかの病院を調べてから行くのがおすすめです。
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