毎月来る生理のたびに、重い生理痛に苦しんでいる女性はかなり多いです。
生理痛がつらすぎて、一時的に生理を止めたいと考えている方のために、生理を一時的に止める方法をいくつかご紹介します。また、生理痛を無くす薬や、生理痛を和らげるために自分で手軽にできる方法についてもわかりやすくまとめています。
生理がつらくて毎月寝込んでしまうような方や、仕事・学校をお休みしてしまう方におすすめの内容です。
生理を一時的に無くす方法
生理を一時的に無くす方法としては、以下の4つがあります。
- 超低用量ピルを服用する
- MEAを受ける
- リュープリン注射を打つ
- ミレーナを装着する
どの方法も非常によく効く方法ですが、どれも一長一短があります。それぞれの方法について解説いたします。
超低用量ピルを服用する
生理を一時的に無くす方法として最も身体の負担が少ないのが、超低用量ピルを服用する方法です。
2017年に発売されたヤーズフレックス配合錠は、子宮内膜症の症状が非常に重たい方を対象にしたお薬で、通常のピルとは異なり120日間の連続投与が可能です。薬を飲んでいる間は生理が来ないので、生理が来るのを120日おき、つまり4ヶ月に1度に減らすことができます。
通常のピルと同じように、飲むのをやめると生理が来るので、生理のタイミングを自分で調整できるのも大きなメリットです。また、ヤーズフレックス配合錠を飲んでいる間に来る生理は、体内の女性ホルモンが減少することで子宮内膜が剥がれ落ちて出血する消退出血と呼ばれ、いつもの生理よりも非常に軽い生理で終わるのも見逃せません。さらに、飲むのを止めると通常通り妊娠できる点もメリットの一つです。
ヤーズフレックス配合錠は、健康保険の適用となります。婦人科で診察を受けて処方してもらいましょう。
MEAを受ける
MEAとは、マイクロ波子宮内膜アブレーション(Microwave Endometrial Ablation)の略語です。MEAは、子宮内膜を子宮の中からマイクロ波で焼いてしまうことで子宮内膜の増殖を抑える方法です。毎月の生理の痛みや出血を大きく減らす効果が期待できます。
ピルなどを含めた薬の治療の効果が全く見られない方や、過多月経で貧血が進んでしまい身体に大きな負担がかかっている方などは、これまで子宮全摘術の適応とされてきましたが、MEAであれば子宮を取らずに症状を改善させることができます。
ただし、子宮内膜を焼いてしまうことで、基本的には治療後の妊娠は望めません。そのまま閉経してしまう方もおられます。また、大きな筋腫やがんがある方、子宮の内部が変形している方、子宮の筋肉が薄い方などは、この治療の適応とはなりません。
リュープリン注射を打つ
リュープリン注射は、別名「偽閉経(ぎへいけい)療法」と呼ばれる治療法です。リュープリンはGnRHアゴニストと呼ばれる薬の一種であり、脳下垂体に働いて排卵を止めるものです。排卵が止まるので、生理も止まります。
リュープリン注射によって卵胞から出る卵胞ホルモン(エストロゲン)の量も大幅に減るため、更年期障害と同じような症状が出ることがあります。また卵胞ホルモンが減ることによって骨の量も減るなどの副作用が大きいため、連続で使用できる期間は6ヶ月以内とされています。
ミレーナを装着する
子宮内避妊器具のミレーナは、挿入している間は器具に付加された黄体ホルモンが少しずつ子宮内膜に浸透するため、生理が止まったり、生理が遅れたりすることはよくあります。
ただし、婦人科を受診し子宮の中に器具を挿入する必要があるため、今回の生理だけをずらしたいという方には不向きです。出産経験のある方のうち、今後数年間にわたりずっと避妊をしたい方や、生理痛・過多月経など生理が重たくて辛い方におすすめすることが多いです。
生理痛を無くす方法
生理痛を無くすためには、まずは原因を特定して病気にあわせた治療を行います。それと併行して、生理痛そのものを軽くする治療を同時に行います。
主な方法としては、低用量または中用量ピルを内服する方法と、鎮痛剤を使用する方法です。この2つは同時に行っても全く問題ありません。
低用量・中用量ピルを服用する
ピルというと避妊のイメージが強いかもしれませんが、ピルを使って排卵を抑制し、女性ホルモンの量を安定させることで、生理痛を軽減できます。
また、低用量ピルは生理痛だけでなくPMS(生理前症候群)の症状を緩和させたり、ニキビの改善ができたりします。生理日の移動も可能なので、快適に生活できるのが特徴です。
子宮内膜の増殖を抑制させるため、子宮内膜症などの治療に使う場合もあるので、医師の診察を受けたうえで処方してもらいましょう。
鎮痛剤を使用する
鎮痛剤は、いわゆる痛み止めです。痛みが我慢できなくなってから服用するよりも、痛みを感じ始めたタイミングで服用してもよいでしょう。早めに内服することで、痛みの感じ方が少なくなるケースがあります。
市販の鎮痛剤を使用する場合は、用法・用量を守って正しく使いましょう。
今すぐできる生理痛を緩和する方法
生理痛は、病気が原因で治療が必要なケースもありますが、自宅でできるセルフケアも多くあります。生理期間はなるべくリラックスできるように心がけて、まずはできることから始めてみてください。
紹介する方法をいくつか組み合わせることで、毎月の不調を乗り切りましょう。
ツボを押す
東洋医学の思想から、ツボを刺激するのもよいでしょう。
WHO(世界保健機関)に定められている361のツボ から、生理痛を緩和すると言われているツボを紹介します。
① 気海(きかい)
位置:おへそから指1~2本下
「気が集まるところ」という意味の気海は、生殖機能に関係するツボです。生理不順・不正出血・生理痛・便秘・下痢によいと言われています。周辺に関元(かんげん)など他のツボもあるので、カイロや腹巻で温めるとよいでしょう。
② 三陰交(さんいんこう)
位置:足の内側にあるくるぶしの頂点から、指4本分上がったところにある、骨と筋肉の境目
三陰交は女性特有のトラブルによいと言われるツボです。生理痛・生理不順・更年期障害などや、下痢・便秘などの消化器系の不具合、冷えの改善によいと言われています。くるぶしの上まであるソックスや、レッグウォーマーを履いて冷やさないようにするといいでしょう。
体を温める
まず行ってほしいのは、冷えの改善です。カイロを下腹部や腰に貼ったり、腹巻・ひざ掛け・毛布などを利用したりして下腹部や骨盤まわりを温めましょう。
身体が冷えると血流が悪くなるため、生理痛を悪化させることにつながります。夏場などでも気付いたらクーラーで冷えていたということもあるので、意識的に温めてください。
また、入浴時はシャワーだけでなく、バスタブにお湯を張ってゆっくり浸かることもよいでしょう。湯船に浸かれないのであれば足湯を行ってみてください。
生理中だけでなく、日ごろから体を冷やさないように「温活」を取り入れることをおすすめします。
ストレッチをおこなう
生理中の激しい運動は控えたほうがよいですが、適度に体を動かすことで血行がよくなります。
運動不足や冷えは、生理痛を悪化するので、適度に体を動かすとよいでしょう。ストレッチや軽いヨガであれば、室内でできるのでオススメです。
まとめ
以上、生理を一時的に無くす方法と、生理痛を改善させる薬やセルフケアについてまとめました。
生理痛は、婦人科に相談していただくとかなり軽くなる症状の一つです。当クリニックでは、おひとりおひとりの年齢や症状、状態に応じて最も良いと思われる治療をご提案いたします。ぜひお一人で悩まず、お気軽にご相談ください。