「避妊に失敗したけど、アフターピルを飲んだ方が良いか迷っているうちに72時間が経過しそう」という方は意外と多いです。
本来は、避妊に失敗したらすぐに医療機関を受診してほしいですが、「アフターピルの副作用などが怖い」、「病院に行くのが恥ずかしい」などの理由でタイミングを逃すことはよくあります。
今回はアフターピルの購入を検討している方に向けて、性行為後120時間以内なら効果のあるアフターピルをご紹介いたします。
アフターピルとは
アフターピルとは、妊娠を希望しないのに避妊に失敗した、または避妊しないで性行為をしてしまったというときに、妊娠の可能性を減らす薬です。緊急避妊薬、またはモーニングアフターピルなどと呼ばれることもあります。
受精卵の着床を防ぐもので、性行為後72時間以内、薬の種類によっては120時間以内に服用することで避妊作用が期待できます。
性行為後120時間以内に服用するアフターピル「エラ」とは
日本で一般的に使用されているアフターピルの「ノルレボ(レボノルゲストレル)」は、性行為後72時間以上経ってから内服すると、妊娠阻止率が急激に下がります。
性行為後72時間以上経ってしまったときに使えるアフターピルが、「エラ」です。安全性や高い有効性により、アメリカをはじめとした世界各国でアフターピルとして承認されている「エラワン」のジェネリック医薬品です。
日本では「エラ」「エラワン」ともに、まだ未承認となっています。
エラの有効成分は、選択的プロゲステロン受容体調節剤であるウリプリスタール酢酸エステルです。性行為後120時間以内に内服した場合の妊娠阻止率は85%以上となっています。ただし、エラの場合も、性行為から内服までが早ければ早いほど妊娠阻止率が高いことがわかっています。
ノルレボとの違い
ノルレボ(レボノルゲストレル)は、2011年に日本で初めて承認されたアフターピルであるノルレボのジェネリック医薬品です。性行為の72時間以内に内服した場合の妊娠阻止率は85%以上となっています。ただし、内服までの時間が短ければ短いほど、妊娠阻止率は上昇することがわかっています。24時間以内に内服できた場合の妊娠阻止率は95%と非常に高いです。
ノルレボとエラの違いは、含まれているホルモンです。ノルレボは合成黄体ホルモンとしてレボノルゲストレルが含まれていますが、エラの主成分であるウリプリスタール酢酸エステルは、選択的プロゲステロン受容体調節剤と呼ばれるものであり、卵胞から卵子が放出されるのを防ぐ働きと、受精卵の着床を防ぐ働きがあります。
また、エラは、ノルレボ(レボノルゲストレル)が効きにくい肥満の方でも十分な効果が得られます。
避妊効果以外で得られるエラの効果
エラで得られる効果は、避妊効果だけではありません。エラの主成分であるウリプリスタール酢酸エステルは、海外では子宮筋腫や過多月経の治療でも用いられています。ただし、エラに含まれる量と、子宮筋腫や過多月経の治療薬として用いられる量が異なる(エラは30mg、治療薬の治験は最大用量でも10mgまで)ので、エラを直接これらの治療薬として用いることはできません。
子宮筋腫を治療できる
海外では、エラと同じ成分で用量が異なる薬が子宮筋腫の治療薬として用いられています。ウリプリスタール酢酸エステルは、正常な子宮の細胞には影響を与えず、子宮筋腫の細胞のみに働き、増殖を抑える効果が確認されています。
日本でも実際の患者さんに投与し有効性や副作用などを確認する第三相臨床試験が行われていましたが、肝臓の移植を要する重い肝障害の患者さんが海外で出たため、日本での承認申請は取り下げられました。残念ですが、2022年6月時点では、日本での再申請の予定はないとのことです。
ちなみにエラの場合は、アフターピルとして緊急時に1回だけ内服するだけで、続けて内服するわけではないため、肝障害についてはさほど気にする必要はないと言われています。
月経過多を治療できる
エラの成分であるウリプリスタール酢酸エステルは、子宮筋腫の中でも特に過多月経を伴うタイプに効果があると言われています。同じ病態を治療する薬であるリュープリンと比べると、無月経になるのが早く、しかもリュープリンで見られるエストロゲン欠乏による副作用の出る確率が低いとされています。
エラの副作用
アフターピルの内服後、個人差はありますが以下のような症状が副作用として現れることがあります。
- 吐き気
- 腹痛
- 頭痛
- 倦怠感
- 眠気
- 下痢
- 熱感
上記のような副作用がひどい場合、胃腸薬、頭痛薬、解熱剤などを併用することも可能です。また、少量であればコーヒーや栄養ドリンクといったカフェイン入りの飲料を飲んでも問題はありません。
吐き気が強く出てしまった場合、服用した後すぐに吐いてしまうと薬の成分が吸収されずに体外に流出してしまうため、避妊の作用を期待できなくなります。
薬の成分が体内に吸収されるまでには2時間程度かかります。服用後2時間以内に吐いてしまった場合には、もう一度服用するため医療機関に相談することをおすすめします。
エラの価格
エラは多くの病院では10,000〜20,000円前後で処方されています。
エラを含めた緊急避妊薬は何度も繰り返し使用するものではなく、低用量ピルのように継続的に飲み続けるものでもありません。あまり安い価格にすると、「アフターピルがあるから大丈夫」と安易な性行為に走る人が増える可能性があるとのことで、やや高価な価格設定となっています。
エラの服用方法
エラは1回1錠を内服するだけです。対面診療で処方された場合は、多くの薬局で、飲み忘れがないようにその場で飲めるように手配してくれます。
エラの服用がおすすめな人の特徴
エラの服用がおすすめな人の特徴は、アフターピルを飲むかどうか迷っているうちに性行為から時間が経ってしまった人、具体的にいうと72時間(3日目)から120時間(5日目)経過してしまった人です。
また、ノルレボが効きにくい肥満の方や、もともと子宮筋腫がある方なども、エラの方がおすすめとなります。
エラに関するよくある質問
エラに関するよくある質問を集めました。
これ以外に不安な点や疑問がありましたら、お気軽に当クリニックまでご相談ください。
避妊効果はどのくらいある?
エラの避妊効果は、非常に高いです。72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は95%、120時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は85%となっています。
ちなみに日本で唯一承認されているアフターピルのノルレボ(レボノルゲストレル)の場合、24時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は95%、72時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は85%となっており、エラの方が性行為からの時間が経っている場合の妊娠阻止率が高いことがわかります。
性行為後120時間を超えると効果はない?
性行為後120時間を超えても一応避妊効果はありますので、諦めずにすぐに医療機関を受診しましょう。ある報告によると、120時間以上経ってから内服した場合の効果は75%くらいとされています。ただし120時間以内に内服できた場合と比べると、避妊効果は明らかに落ちることがわかっています。
まとめ
以上、性行為後120時間までに飲めるアフターピル「エラ」について、どんな薬か、どんな効果や副作用があるのか、どんな人におすすめかなど、基本的な事項についてまとめました。
エラを含めたアフターピルは、性行為から飲むまでの時間が短ければ短いほど、妊娠阻止率が上がります。アフターピルを使おうか迷っている方がもしいたら、迷っている時間がもったいないので、ぜひ当クリニックまでご相談ください。
アフターピルを使うことによる不安や疑問点、心配なことなどをしっかり解消いたします。飲んでいるお薬や持病などについてももれなく教えていただけると、エラも含めた緊急避妊法の中から最適なものをご提案いたします。
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