人工妊娠中絶手術とは|手術の流れや費用について詳しく紹介

人工妊娠中絶とは、お腹の中の胎児が母体なしには生きられない早い時期に、人工的に胎児を母体の外に取り出すことをいいます。

中絶手術を受けられる時期は法律によって定められているため、望まない妊娠などにより中絶を考えている場合は、早めに医師に相談することが大切です。

この記事では、中絶ができる時期や中絶の方法、費用、中絶手術の具体的な流れについて解説します。

中絶(人工妊娠中絶手術)とは

人工妊娠中絶手術は母体保護法という法律のもとで、性被害などによる望まない妊娠や、健康上・経済上の理由によって受けられる手術です。

人工妊娠中絶の手術を行えるのは母体保護法指定医師に限られるため、手術が可能なクリニックを見つけることから始めましょう。

中絶手術が可能な時期は、母体保護法により妊娠22週未満と定められています。

ただし、妊娠12週目以降の手術はリスクが高くなるため、12週目未満までの手術が推奨されています。

当クリニックでは、妊娠12週目未満(妊娠11週6日)の方の中絶手術を行っています。

参照元:日本産婦人科学会「母体保護法

中絶できる妊娠週数について

中絶手術は、はやくていつからできるのでしょうか。

中絶ができる妊娠週数は、妊娠6週目〜22週目未満です。

中絶手術は妊娠初期に行う初期中絶と、妊娠中期に行う中期中絶に分けられます。

初期中絶(初期流産):妊娠6〜12週目未満(11週と6日)

中期中絶(後期流産):12〜22週目未満(21週と6日)

中絶手術を検討されているなら妊娠11週と6日目までに、中絶手術を行うことをおすすめします。

身体的・精神的・金銭的な負担が、妊娠中期になると大きく増すためです。

初期中絶手術の所要時間は15分程度で、日帰りできます。痛みも少なく、母体への負担や費用が少なく済みます。

一方、中期中絶手術は人工的な陣痛を起こす方法で行われるため、手術に1日程度かかり入院も必要です。また、通常の出産と同じような痛みを伴い、母体への負担も大きくなります。

さらに、妊娠12週以降の中絶の場合には、区役所への死亡届の提出および埋葬が必要となります。

これらのことを踏まえると、妊娠12週目未満までに中絶手術を行ったほうが心身共に負担が少ないといえるでしょう。

中絶方法の種類

中絶手術には、複数の方法があります。

初期中絶の吸引法と搔爬(ソウハ)法、中期中絶の陣痛促進剤による手術方法について、特徴やメリット・デメリットを解説します。

中絶手術は早いに越したことはありませんが、はやくていつから可能なのか、どの手術法を選ぶかなど参考にしてください。

 吸引法掻爬(ソウハ)法陣痛促進剤
いつから妊娠6週目妊娠6週目妊娠12週目
いつまで妊娠12週目未満妊娠12週目未満妊娠22週目未満
特徴子宮の内容物を吸い出す方法子宮の内容物を掻き出す方法人工的に陣痛を促し流産する方法 死亡届の提出が必要 埋葬が必要
メリット前処置不要 麻酔が使える 痛みが少ない 出血が少ない 手術時間が早い 日帰り麻酔が使える 痛みが少ない 日帰り 導入している医療機関が多い妊娠12週目以降でも中絶できる
デメリット導入している医療機関が少ない 1日に実施できる回数が少ない(電動のみ) 感染リスクの懸念(電動のみ)炎症や出血のリスクが高い 前処置が必要麻酔が使えない 通常の出産と同じ痛みを伴う 入院が必要 前処置が必要 手術時間が長い 費用が高い

吸引法とは

吸引法とは、ストロー状の器具を子宮内に挿入し、子宮内の胎児や胎盤などの内容物を吸い出す中絶手術の方法です。

WHO世界保健機構や世界産婦人科連合では、中絶手術の方法として吸引法を推奨しています。

当クリニックが扱っている中絶手術は、この吸引法です。

吸引法は掻爬(ソウハ)法と比べると、身体への負担や出血・炎症・痛みが少ない方法です。前処置が不要で手術時間も15分程度と短いため、日帰りでの手術ができる点がメリットです。

デメリットは、感染リスクです。多くのクリニックで採用されている電動真空吸引法(Electric Vacuum Aspiration:EVA)は、使用する用具の洗浄・滅菌に手間がかかり、機器に血液や組織が付着したままになりやすく、感染症のリスクがあるのです。

当クリニックでの中絶手術は、手動真空吸引法(Manual Vacuum Aspiration : MVA)という、もっとも子宮に優しく安全性の高い手術法で行います。

手術に用いる道具は滅菌された使い捨ての製品を1セット使い、使用後は破棄するため、感染リスクはありません。

参照元:WHO「安全な中絶のガイドラインとポリシー

掻爬(ソウハ)法とは

搔爬(ソウハ)法は、スプーン状の器具や鉗子を用いて子宮口を広げ、胎児や胎盤などの子宮内容物を掻き出す方法で行われる中絶手術です。子宮内の様子が医師の手に伝わるため、経験豊富な医師なら状況を把握しやすい方法といわれています。

搔爬(ソウハ)法も吸引法と同じように、日帰り手術が可能です。日本で主流となっている方法のため、扱っているクリニック数が多いのが掻爬(ソウハ)法のメリットです。

いっぽう、前処置が必要なため吸引法より手術時間が長く、出血や炎症のリスクが高いことが掻爬(ソウハ)法のデメリットとして挙げられます。またドクターの経験不足によって母体を傷つけてしまう可能性もあり、深刻な事故を起こすリスクが吸引法より高いのです。

陣痛促進剤による中絶とは

中期中絶は、妊娠12週を超えた場合に行います。

まず経管拡張するために機械を使ってある程度広げたあと、子宮口を半日~1日かけて拡張します。人によっては2日程度かかることもあります。

次に、陣痛促進剤を使って陣痛を起こし、出産を引き起こして胎児を摘出するのです。陣痛は激しい痛みを伴います。微弱陣痛などによって1日で摘出できない場合は、翌日に陣痛促進剤を再開したり、子宮頚管の拡張をするなどの処置を行います。

また子宮や赤ちゃんの状態によっては、重篤な合併症リスクや大量出血などのリスクがあり、摘出後の回復に時間がかかります。

入院日数は個人差があり、手術費用もかなりの高額になります。費用に関しては、週数やクリニックによって異なりますが30~50万円程度の手術費用にくわえ、入院費用・胎児の届け出費用がかかります。出産育児一時金の申請はできますが、費用面も大きな負担といえるでしょう。

摘出した赤ちゃんは、死亡届と埋葬が必要です。心理的にも負担が大きく、心に大きな傷をかかえる方も少なくありません。

当クリニックでは中期中絶手術を行っておりません。望まない妊娠をした場合は、早めに医療機関を受診してください。

中絶にかかる費用

当クリニックの中絶手術にかかる費用は、総額で12万円+消費税です。

自費になりますので、健康保険の適用はございません。

当クリニックの金額

人工妊娠中絶(吸引法)の料金表
初診料0円
超音波検査0円
血液検査0円
手術費用120,000円
術後の診察(1回目)0円
術後の診察(2回目)0円
合計(税抜き)120,000円

中絶手術を受ける際に必要なもの

中絶手術を受ける際は、以下のものを準備しましょう。

  • 身元確認書類
  • 同意書(配偶者やパートナーのサイン・&印鑑があるもの)
  • 未成年の場合は保護者の承諾書
  • 夜用ナプキン3枚程度
  • 生理用ショーツ

本人の身元を確認できる書類や同意書のほか、手術直後の安静時やお帰りの際に、夜用ナプキンや生理用ショーツが必要となります。

同意書の準備

人工妊娠中絶手術を受ける場合、母体保護法という法律で同意書の提出が義務付けられています。

原則として、同意書には配偶者もしくはパートナー(胎児の父親)のサイン&印鑑が必要です。

また、中絶手術を受ける本人が未成年の場合には、親の同意書も必要となります。

ただし、以下のような場合には、同意書が必要ない場合もあるので、ご確認ください。

第14条 都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。

一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの

二 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。

引用:公益社団法人日本産婦人科学会「母体保護法 第14条1項2号

性被害にあった方に対して、警視庁は中絶費用の負担や相談窓口(#8103)の設置を行っています。

被害にあった方は、ひとりで悩まずにぜひ相談してください。

参照元:警察庁「性犯罪被害相談電話(全国統一)「#8103(ハートさん)」

身分証明書は保険証があると安心

中絶手術を受ける際は、本人確認のために身分証明書が必要です。

中絶費用は保険適用外ですが、身分証明書として保険証を提出することもできます。

保険証のほかには、免許証やパスポートも身分証明書として使用可能です。

また、性病などの感染が判明した場合、治療が必要となります。

感染症の治療は保険適用となるため、いずれにしても、保険証を持参することをおすすめします。

中絶手術までの流れについて

中絶手術は、基本的に以下のような流れで行います。

  1. 予約
  2. 初回診察
  3. 手術当日
  4. 術後診察1回目
  5. 術後診察2回目

まずは、お近くの中絶手術が可能なクリニック、もしくは希望する中絶方法を扱っているクリニックを調べて予約するところから始めましょう。

初回診療の流れ

当クリニックでの初回診療の内容は以下のとおりです。

中絶の初回診察時の流れ

  1. ご予約
  2. ご来院
  3. 受付(問診票の記載)
  4. 診察(超音波検査・血液検査)
  5. 手術内容の説明(同意書のご提出)
  6. 手術日の予約

初回診察時の持ち物

  • 身分証明書(保険証・免許証など)
  • 同意書
  • 未成年の場合は親の同意書

初診では、母体に異常がないか、胎児の様子や妊娠の経過、中絶が可能かどうかの基本的な検査を行います。

そのうえで、中絶手術の具体的な内容を説明します。手術内容や注意点などを理解し、同意できれば手術の予約をするという流れです。

初回の診療時は、パートナーと一緒に足を運ぶことをおすすめします。

一緒に説明を受けたほうが手術についてしっかりと理解したうえで、パートナーの同意を得られやすいためです。

ただし、パートナーとの来院は必須ではないため、性犯罪被害などでパートナーがいない場合は、この限りではありません。

中絶手術(吸引法)当日の流れ

中絶手術の当日は、基本的に以下の流れで行います。

中絶手術当日の流れ

  1. ご来院
  2. お会計
  3. 点滴・麻酔
  4. 手術(15分程度)
  5. 手術後に2時間ほど休む
  6. 術後検診の予約

中絶手術当日のご来院からお帰りまでの時間は、3時間程度です。

手術そのものにかかる時間は15分程度で、術後の経過をみるために2時間ほどお休みいただきます。手術の際は麻酔を使用するため、術中の痛みはほとんどありません。

手術前には、以下のことを行っておきましょう。

手術前にしておくこと

  • 絶食(手術前6時間〜)
  • 水分を飲まない(手術前3時間〜)
  • 入浴(術後は不可なため)
  • マニキュアやジェルネイルは除去しておく

手術当日の持ち物

  • 夜用ナプキン3枚程度
  • 生理用ショーツ

手術当日の望ましい服装

  • 脱衣しやすい服

手術後の注意点

  • 入浴不可(シャワーのみ)
  • 静脈麻酔を使用するため運転はできない
  • できるだけ安静に過ごす

中絶手術に用いる麻酔は、静脈麻酔です。

そのため、胃の中に内容物がある状態で麻酔をすると、手術中、無意識のうちに嘔吐する可能性があります。最悪の場合には、嘔吐物による窒息なども考えられるため、手術前は絶飲食を守ってください。

また、手術中には脈拍や血圧などを確認する機器を指に装着します。

正しい数値を計測できるよう、マニキュアやジェルネイルは事前に除去しておいてください。

術後は、2時間程度安静に過ごしていただき、回復を待ちます。

問題なければ帰宅となりますが、車の運転は避けて気を付けてお帰りください。

中絶手術後の過ごし方と術後診察について

中絶手術後は、しばらくは安静に過ごしましょう。

お仕事の開始時期につきましては、お仕事の内容によって異なるため医師に相談してください。

手術後1週間後と2週間後を目途に術後検診を行い、子宮の状態・体調を内診・超音波検査などで確認します。

当クリニックでは、術後検診の費用は手術費用に含まれるため、追加で検診費用をお支払いいただく必要はありません。

また、術後は出血や発熱、生理痛のような腹部の痛みが出ることがあります。

いずれも時間の経過とともにおさまっていくものですが、激しい腹痛や高熱を発症した場合には、術後検診を待たずに速やかに受診してください。

中絶手術後の生理や妊娠について

中絶手術の後、次の生理開始や妊娠・避妊についてお伝えします。

中絶手術後に生理が来るタイミング

中絶手術後の生理は、手術後1〜2ヶ月で来るケースが多いです。

妊娠によるホルモンバランスの乱れにともない、生理周期も変化します。そのため、「経血量が多い・少ない」「生理期間が長い・短い」など、いつもの生理と違うことがあります。

場合によっては、手術後の後遺症としての不正出血や、術後の悪露と見分けがつかないこともあるでしょう。

生理の回復までにかかる時間には個人差があるため、3ヶ月ほど経過しても生理が来ない場合には、一度クリニックを受診しましょう。

そのほか、手術後の出血について不安を感じた場合には、術後検診のときにドクターに相談してください。

中絶手術の直後から妊娠は可能

中絶手術の後、避妊を行わずに性交渉を行えば、次の生理が来るまえに妊娠することもあります。

一般的に、性交渉を再開できる時期は、出血が止まったことを確認してからです。

術後の出血は2週間程度で止まる方が多いのですが、この時期はちょうど排卵日前後にあたります。排卵日前後は受精できる可能性が高いため、このときに性交渉を行うことで妊娠する可能性が高くなるのです。

そのため中絶手術後にまだ生理が来ていなくても、妊娠を望まないなら、性交渉の際に必ず避妊を行いましょう。

確実な避妊方法として、コンドームと低用量ピルの併用がおすすめです。

望まない妊娠をしたときは早めに相談しましょう

生理が遅れている、または妊娠検査薬などで望まない妊娠が分かった場合は、すぐにクリニックに相談することが大切です。

妊娠週数が進むと、当然ながら胎児は成長して日に日に大きくなります。

胎児が大きくなるほど、中絶手術で母体へかかる負担や費用が大きくなることを念頭に置いておきましょう。

特に妊娠12週を過ぎてからの中絶はリスクが高く、大きな痛みも伴います。さらに、妊娠22週を過ぎると、中絶手術を受けることができません。

中絶するか、出産するかを決めかねている場合でも、まずは診察を受けることをおすすめします。

妊娠は妊娠検査薬を使って最短で気がついたとしても、すでに妊娠5週目前後です。

また、自己判断で割り出した妊娠週数が正確ではない場合もあるので、正確な妊娠週数を把握するためにクリニックで診察を受けましょう。

また、望まない妊娠をしないためにも、低用量ピルを使用して普段から避妊しておくことをおすすめします。

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