「ピルの副作用には何がある?」「重篤な副作用はある?」と、ピルの副作用について知りたい方はいませんか?
ピルを初めて服用する方は副作用が出やすいとされていますが、その中でもごく稀に重篤な副作用として「血栓症」を発症する可能性があります。
本記事では、ピルの重篤な副作用「血栓症」について、症状や発症確率はもちろん、血栓症になりやすい人の8つの特徴や予防方法を徹底解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ピルとは
ピルとは、私たち女性の卵巣から作られる卵胞ホルモン「エストロゲン」と黄体ホルモン「プロゲステロン」を含有した経口避妊薬です。
ピルの種類と期待できる 効果
ピルには以下の表の通り、5つの種類があります。
ピル | 用途 | エストロゲン含有量 | 黄体ホルモン配合 |
中用量ピル | ・緊急避妊 ・生理日移動 ・月経不順 ・月経困難症 ・子宮内膜症 ・月経過多の改善 | 50ナノグラム | 有 |
低用量ピル | ・PMS(月経前症候群) ・避妊 ・ニキビ ・月経痛 ・月経不順 ・月経過多子宮内膜症PMDD(月経前不快気分障害)の改善 ・生理日移動 | 50ナノグラム以下 | 有 |
超低用量ピル | ・月経困難症 ・子宮内膜症 | 30ナノグラム以下 | 有 |
ミニピル | ・避妊 ・子宮内膜症 | 0 | 有 |
アフターピル | ・緊急避妊 | 種類により異なる | 有 |
ピルは、避妊以外にも月経症状や子宮内膜症の改善、生理日移動や肌荒れ改善など服用する種類によって幅広い効果が期待できます。
ピルで起こり得る副作用
ピルで起こり得る副作用は「吐き気」「頭痛」「むくみ」「食欲増進」などが挙げられます。
この他にも乳房の痛みや、少量の不正出血が起こることも考えられるでしょう。
しかし、これらの副作用は、最初の4日~5日間に現れやすく、大抵はピルに体が慣れていくとおさまっていきます。
ピルの重篤な副作用「血栓症」について
次は、ピルの重篤な副作用「血栓症」について徹底解説していきます。
血栓症とは
血栓症は、血管内で固まって塊となった血液が血管を詰まらせる病気のことで、最悪の場合臓器に壊死を起こす可能性があります。
また動脈血栓症と呼ばれる病気は「心筋梗塞」や「脳梗塞」を引き起こすリスクが高く、静脈血栓症は「肺塞栓症」を引き起こすリスクが高いと考えられる病気です。
血栓症の症状
血栓症では以下のような症状が現れます。
- 片側だけ下肢にむくみ
- 突然の息切れ
- 四肢の脱力
- 激しい頭痛
- 胸部の痛み
- 急性視力障害など
上記のような症状を感じたらただちに使用を中止して、処方を受けた病院へ相談してください。
ピルと血栓症の関係
ピルに含有される2つのホルモンのうち、卵胞ホルモンであるエストロゲンは血液を固まりやすくする作用があります。
しかし、本来であれば卵胞ホルモンと体内にあるその他のホルモンがバランスを取り、血液が固まるのを防いでくれているのですが、ピルは人工的なホルモンを含有しているため、他のホルモンとバランスを取り合うことができません。
そのため、ピルの服用で血液が固まりやすくなり、血栓症リスクが高まると考えられているのです。
ピルで血栓症を発症する確率
血栓症はピルを服用していない場合でも年間1万人に1~5人の確率で発症するとされています。
そして、ピルを服用した場合、1万人に対して3~9人の確率で発症するとされており、数字から見ればピルを服用することにより発症する確率は低いと感じますが、日頃喫煙をしている方や40歳以上の方など様々な条件が揃うと血栓症リスクは高くなります。
ピルで血栓症を発症するタイミング
ピルで血栓症を発症するタイミングは、服用開始から3カ月以上~半年未満です。
この時期は特に血栓症リスクが高まるとされているため、注意が必要です。
血栓症になりやすい人の特徴
次は、血栓症になりやすい人の特徴を8つご紹介します。
①喫煙者
基本的に35歳以上で、1日15本以上の喫煙をする喫煙者がピルを服用する場合、血栓症リスクが高まるため、大半の病院ではピルの処方を断られるでしょう。
タバコの煙には約4000種類の化学物質と、約70種類の発がん性物質が含まれています。
特にニコチンは血管を収縮させ、血液が固まりやすくなる血栓形成のリスクを高めるため、ピルに含有される卵胞ホルモンのエストロゲンの血液を固まりやすくする作用とあわせて血栓症リスクを高めてしまう原因になるのです。
②糖尿病
糖尿病はインスリンの作用不足によって、高血糖状態が慢性的に続く病気です。
糖尿病によって高血糖の状態が続くと、血管の壁が傷つき、コレステロールが蓄積します。
このコレステロールは血管内にプラークと呼ばれる塊を形成し、プラークが破裂すると、血の塊として血管を塞いでしまうことで、血栓症を発症するリスクが高まるのです。
③40歳以上
40歳以上になると、血管年齢が上昇することで、心血管系障害が発生しやすくなるとされています。
そのため、ピルを服用することで血栓症のリスクを高めてしまう可能性があります。
加えて、既往歴がある方や、日常的に喫煙をしている方の場合、ピルの処方を断られることもあるでしょう。
④筋肉が衰えている
筋肉が衰えていると、血管周囲にある筋肉によるポンプ機能が弱まります。
それによって静脈の流れが悪くなり、血管内に血液が停滞してしまいます。そこにピルの副作用である血液を固まりやすくする作用が加わることで、さらに血栓症リスクが高まってしまう恐れがあるのです。
⑤高血圧症
高血圧症とは血圧が高い状態が続く病気で、高血圧状態が続くと、次第に脳の血管や心臓を取り巻く血管がもろくなり、血栓ができやすい状態になります。
そのため、高血圧症自体、血栓症リスクが高い病気なのですが、ピルの副作用も加わることでさらに血栓症リスクを高めてしまう原因に繋がります。
⑥片頭痛がある
片頭痛は、脳の血管が何らかの原因で急激に拡張して起きる病気です。
脳の血管が拡張して周囲にある三叉神経(さんさしんけい)を刺激することで、炎症物質が発生します。その物質がさらに血管を拡張することで、耐え難い痛みが起こります。
そして、片頭痛を持つ方は、血栓症のリスクが通常よりも2倍高いとされています。
加えて、前兆がまったくない片頭痛よりも、毎回前兆があって片頭痛が起こる場合はさらにそのリスクが高まるとされているのです。
⑦BMIが30以上
BMIが30以上のいわゆる肥満体型になると、血管内の内皮脂肪や脂肪細胞から分泌されるPAl-1(プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1)と呼ばれる成分の分泌が増加します。
このPAl-1は、rt-PA(組織プラスミノゲンアクチベーター)という薬のはたらきを阻害します。それによって血液を溶解する機能を制御しています。
肥満になると血栓を溶解するはたらきが弱まり、結果的に血栓症リスクが高まることに繋がるのです。
⑧長時間同じ姿勢でいることが多い
長時間同じ姿勢でいると、血流が滞って血栓ができやすくなります。
加えて、ピル服用中は血液が固まりやすいこともあり、血栓症リスクを高めてしまいます。
血栓症の予防方法
次は、血栓症の予防方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
こまめな水分補給
水分補給を怠ると、血液がドロドロして固まりやすくなります。
そのため、季節を通してこまめな水分補給を忘れずに行いましょう。
着圧ソックスを着用する
長時間同じ姿勢でいることが多いデスクワークの方は、着圧ソックスを着用することで足のむくみを改善する効果が期待できるため、おすすめです。
また、着圧ソックスを着用したまま、定期的に軽く足首を上げ下げしたりすることもよいでしょう。
喫煙を控える
喫煙は血栓症のリスクを高めるため、ピル服用中は禁煙をすることが条件で処方する病院もあるほどです。
1日数本なら……と考える方もいると思いますが、ピル服用中は自身の健康のためにも喫煙をしましょう。
家庭用血圧計で血圧をチェック
高血圧の親族が多い方や、高血圧が心配な方は自宅で手軽に血圧チェックが行える家庭用血圧計の導入がおすすめです。
運動習慣をつける
運動不足は筋力の低下を招くため、軽いウォーキングなど適度に運動習慣をつけましょう。
健康的な食事を心がける
脂肪分が多い食べ物や塩分濃度が高い食べ物は肥満や高血圧症に繋がる恐れがあります。
たまに食べる程度ならよいですが、毎日の食事は健康的でバランスよいものを心がけてください。
ピルと血栓症に関するよくある質問【Q&A】
次は、ピルと血栓症に関するよくある質問【Q&A】に回答していきます。
- ピル服用中だけ禁煙していれば血栓症リスクは低くなりますか?
- ピルを服用していなくても、喫煙自体に血栓症リスクがあるため、ピル服用中だけ禁煙をしてもさほどリスクは変わりません。
- どんな症状が出たらすぐに病院を受診すべきですか?
- 「片側だけ下肢にむくみ」「突然の息切れ」「四肢の脱力」「激しい頭痛」「胸部の痛み」「急性視力障害など」 これらの症状を感じたらただちに使用を中止して、処方を受けた病院へ相談してください。
- 血栓症はどのような治療を行うのですか?
- 血栓症の治療では薬物療法を第一選択として行います。 重症の場合や薬が合わない場合には外科手術やカテーテル治療で血栓を取り除きます。
- ミニピルなら血栓症リスクが低いって本当ですか?
- ミニピルには、エストロゲンが含有されていないため、血栓症のリスクはほとんどないと言ってもよいでしょう。ただし、副作用として飲み始めに不正出血や肌トラブルが起こる可能性があります。
ピルと血栓症についてさらに詳しく知りたい方はルナレディースクリニックへ
今回は、ピルの重篤な副作用「血栓症」について、なりやすい人の8つの特徴と予防方法を徹底解説しました。ルナレディースクリニックはお客様一人ひとりの悩みに寄り添い、ベストな対処法を提案させていただきます。今回の記事も、参考になれば幸いです。
カウンセリング予約はこちら
ルナレディースクリニック 横浜駅前院
ルナレディースクリニック 川崎駅前院
ルナレディースクリニック 新橋銀座口院