生理不順に悩む女性にとって「いつ生理が来るのかわからない」「生理周期が安定しない」といった不安は、日常生活に大きな影響を与える問題です。
生理不順の原因には、重大な病気が隠れている場合があります。生理不順を改善し、病気のリスクを回避するためには、早めに検査を受け、原因を特定することが重要です。
本記事では、生理不順の検査方法や費用、受診のタイミングについて詳しく解説します。婦人科での治療法についてもお伝えするため、生理に関して不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
生理不順とは
生理不順とは、正常な生理周期から外れた生理のことを指します。
生理不順になると、生理周期が不規則で次の生理の予測がつかず、ストレスに感じる方も多いでしょう。
日本産婦人科医会のサイトによると、正常な月経周期は25~38日とされており、正常範囲を超える場合や、周期の変動が7日以上ある場合も生理不順と判断されます。
正常な生理の目安は、以下の表を参考にしてください。
<正常な生理の目安>
生理開始時期 | 12歳頃 |
周期 | 25 〜38日 |
変動日数 | 6日以内 |
持続日数 | 3 〜7日以内 |
経血量 | 20 〜140ml |
生理不順は、何らかの病気によって引き起こされている可能性もあります。生理期間が長い、生理周期が定まらないなどで悩んでいる方は、迷わず婦人科医に相談しましょう。
生理不順の検査方法
生理不順の検査では、おもにホルモン検査と超音波検査を実施します。
ホルモン検査は採血によって行われ、エストロゲンや卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンなど体内のホルモンバランスを調べるのに役立ちます。
超音波検査(エコー)では、子宮や卵巣の状態確認や子宮内膜の厚さなどの確認に有効です。2つの検査によって、生理不順の原因を特定し、適切な治療方針が立てられます。
また、子宮がんや性感染症などの病気によって生理不順が起こっていると考えられる場合、子宮がん検診や性感染症検査を行います。
生理不順の検査費用
生理不順の検査は保険適用となるため、比較的低コストで受けられます。
一般的な検査費用の目安は、3割負担の方で3,000〜5,000円程度です。ただし、費用は医療機関や検査項目によって多少の変動があります。初診料や再診料、お薬代やその他の検査費用は別途かかる旨は理解しておきましょう。
また、生理不順の原因によっては、追加の検査が必要となる場合もあるため、実際の総費用は個々の状況によって異なります。
ルナレディースクリニックの検査費用は、以下のとおりです。
項目 | 料金(税込) |
---|---|
ホルモン検査 | 約2,400円〜 |
卵巣の超音波検査 | 約1,600円〜 |
※2024年8月1日時点
比較的低コストで受けられる検査であるため、迷っている方は早めの受診をおすすめします。
生理不順の検査を受けるタイミング
生理不順だと感じていても、検査を受けるべきか迷ってしまう方も多いでしょう。
日本医療政策機構による「働く女性の健康増進に関する調査2018」では、約 50%もの人が、現在または過去に生理に関する異常症状(生理不順や不正出血など)があったと回答しています。
しかし、異常症状を自覚していたにもかかわらず、対処方法として「何もしていない」と回答した人が約45%と最も多い結果になっています。
引用元:「働く女性の健康増進に関する調査2018」|日本医療政策機構 P21
引用元:「働く女性の健康増進に関する調査2018」|日本医療政策機構 P21
生理不順は、重大な病気が潜んでいる可能性もあるため、異変を感じた場合は早めの検査がおすすめです。
生理不順で検査を受けるべきタイミングは、以下を参考にしてください。
- 生理が一週間以上遅れている
- 生理が3か月以上来ない
- 20歳以上で生理周期が安定しない
- 急な体重増減により生理が来なくなった
さらに、下記の症状がみられたら、早めに婦人科を受診してください。。
- 不正出血(生理期間以外の出血)
- おりものに異常(臭い・色・量など)
- 経血量の増加
- 生理痛の悪化
早期の受診は、病気の早期発見と早期治療につながります。生理に関して気になる症状がある場合は、迷わず早めに婦人科医に相談しましょう。
出典:「働く女性の健康増進に関する調査2018」|日本医療政策機構 P21
生理が遅れる主な原因
生理か遅れるおもな原因は、以下のとおりです。
- ホルモンバランスの乱れ
- ストレスや過度なダイエット
- 体重の急激な変化
- 生活習慣の影響
- 更年期の症状
- 病気の可能性
生理不順の原因について理解を深め、予防に役立てましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、生理が遅れる原因の一つです。
生理周期は、おもに脳内の視床下部と下垂体、卵巣が連携して調整するホルモンによって制御されているため、ホルモンバランスが崩れると生理周期に乱れが生じます。
とくに、ストレスや不規則な生活習慣、過度なダイエットなどは、ホルモンバランスを乱す原因です。
ホルモンバランスが乱れた状態が続くと、生理不順だけでなく不妊や骨粗鬆症などの重大な健康問題にもつながる可能性があるため、早めに原因を突き止め対処する必要があります。
ストレスや過度なダイエット
ストレスや過度なダイエットも、生理不順を引き起こす原因です。
強いストレスは、体内のホルモンバランスを乱し、生理周期に影響を与えます。また、急激な減量による体脂肪率の低下は、女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼし、生理不順が引き起こされるのです。
生理の遅れを防ぐためには、ストレス管理と健康的な食生活の維持が重要です。過度なダイエットを避け、心身のバランスを保つことで、安定した生理周期を維持できます。
体重の急激な変化
体重の急激な変化も、生理不順の原因として挙げられます。
極端な減量だけでなく、急激な体重増加も生理周期を乱す可能性があります。適正体重の維持が、生理周期を保つうえで重要です。
体重管理は、単に美容的な問題だけでなく、生殖機能の維持にも直結する重要な要素であるといえます。
適切な体重を維持し、無理なダイエットや急激な体重増加を避ければ、安定した生理周期を保つことにつながるでしょう。
生活習慣の影響
生活習慣も、生理に大きな影響を与え、健康的な生理周期を保つためには、規則正しい生活が不可欠です。
夜更かしや不規則な食事、運動不足が続くと、ストレスが増加し、体内のホルモンバランスに悪影響を与えます。結果、生理が遅れる、もしくは不規則になるケースが多くみられます。
安定した生理周期を維持するためには、規則正しい生活リズムを保ち、適度な運動と十分な睡眠が重要です。
更年期の症状
更年期に入ると、ホルモンバランスが大きく変化し、生理不順が起こりやすくなります。
更年期は女性の体にとって重要な変化の時期であり、ホルモンの減少が生理周期に大きな影響を与えるためです。
最後の月経から1年以上月経がない状態を閉経といい、閉経の前後5年ずつの約10年間が更年期といいます。日本人の平均閉経年齢は50.5歳であるため、一般的に45~55歳頃が更年期に該当し、生理が不規則になったり、完全に止まったりする場合があります。
生理不順は更年期の症状の一つとして自然なことですが、日常生活に支障をきたす場合は、医師への早めの相談がおすすめです。適切なケアや治療を受けることで、更年期の症状を軽減できるでしょう。
病気の可能性
生理不順が長期間続く場合は、何らかの病気の可能性も考えられます。
生理不順を引き起こす可能性のある病気は、以下のとおりです。
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 無排卵周期症
- 黄体機能不全
- 甲状腺機能障害
- 高プロラクチン血症
- 機能性子宮出血
それぞれの病気について、詳しく解説していきます。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣に多数の小さな嚢胞ができる病気で、排卵障害を引き起こし、生理不順の原因となります。
多嚢胞性卵巣症候群の原因は、ホルモンバランスの乱れによるもので、排卵が不規則になり、生理が遅れたり、無くなったりするのが特徴です。
また、多嚢胞性卵巣症候群は、長期間の生理不順も珍しくなく、体毛やニキビの増加、不妊などの症状がともなう場合もあります。
多嚢胞性卵巣症候群の治療には、ホルモン療法や生活習慣の改善が効果的です。適切な治療により、症状の改善と生理周期の正常化が期待できます。
無排卵周期症
無排卵周期症は、排卵が起こらないにもかかわらず、生理のような出血が発生する病気です。
無排卵周期症のおもな原因は、ホルモンバランスの乱れで、排卵が行われないために生理周期が乱れやすくなります。
また、無排卵周期症の女性は、生理が定期的にきていても実際には排卵が行われていないため、妊娠が難しい状態にあります。
無排卵周期症の治療には、ホルモン療法や生活習慣の改善が必要です。
黄体機能不全
黄体機能不全は、生理不順や不妊の原因となる病気です。排卵後に形成される黄体からのホルモン分泌が不十分で、生理が正常に進行しません。
黄体は排卵後に重要な役割を果たし、妊娠をサポートするホルモンを分泌するため、黄体の機能が低下すると、生理が遅れたり、不規則になったりする場合があります。
さらに、黄体機能不全は不妊症の一因ともなり得るため、早期の診断と治療が必要です。
治療法としては、ホルモン療法が一般的であり、ホルモンバランスを整えることで生理周期の安定が期待できます。
甲状腺機能障害
甲状腺機能障害は、生理不順や不妊の原因となる可能性がある病気です。甲状腺ホルモンの分泌異常によって引き起こされ、体全体の代謝やホルモンバランスに大きな影響を与えます。
甲状腺ホルモンは、体内のさまざまな機能を調整する重要な役割を果たしており、分泌量が多すぎたり少なすぎたりすると、生理周期が乱れやすくなります。
甲状腺機能障害にみられる症状は、以下のとおりです。
- 生理不順
- 疲労感
- 無気力
- 体重増加
- 便秘
- むくみ
また、甲状腺機能障害の症状が進行すると、不妊のリスクも高まります。
甲状腺機能障害の治療は、ホルモンのバランスを整える薬物療法が中心です。早期の適切な治療で、生理不順や不妊のリスクを軽減できます。
高プロラクチン血症
高プロラクチン血症は、プロラクチンというホルモンの過剰分泌によって引き起こされます。
プロラクチンは、おもに母乳を生成するためのホルモンです。通常よりも多く分泌されると、生理不順や排卵障害が発生しやすくなり、不妊の一因となる場合もあります。
高プロラクチン血症の治療は、プロラクチンの分泌を抑える薬物療法です。適切な治療により、ホルモンバランスを整え、生理不順や排卵障害の改善が期待できます。
機能性子宮出血
機能性子宮出血は、子宮や卵巣などに異常がない場合に起こる不正出血(生理期間以外の出血)のことです。
通常、子宮内膜は月経周期に合わせて規則正しく剥がれ落ちますが、ホルモンバランスが崩れると、プロセスが乱れ、不規則な出血が生じます。
また、機能性子宮出血がある場合、月経が長引いたり、周期が不安定になったりする場合があり、生理不順につながります。
機能性子宮出血の治療は、ホルモン療法が中心です。ホルモンバランスを整え、出血のコントロールや生理周期の正常化にを目指します。
産婦人科での生理不順の治療
産婦人科での生理不順の治療は、検査結果や妊娠希望の有無、年齢などによって異なります。
生理不順は多くの場合、ホルモンバランスの乱れが原因となるため、一般的にはホルモン療法が行われます。
生理不順の際に用いられるおもな治療方法は、以下を参考にしてください。
<生理不順の治療法>
排卵誘発剤 | 卵胞(卵子)を発育させ、積極的に排卵を促す治療中に排卵が起こるため、避妊希望の方には向いていない |
ホルモン療法 | 黄体ホルモンやエストロゲン(女性ホルモン)などを投与し、ホルモンバランスを整える |
漢方治療 | 比較的症状が軽く、ホルモンによる治療を望まない場合に用いられる場合がある |
ピルの服用 | 避妊の効果があるため、妊娠を望んでいない場合に適している重い生理痛やニキビ、多毛にも効果が期待できる |
生理不順で産婦人科を受診する前に、基礎体温の記録をつけておくのがおすすめです。
基礎体温の変動は、ホルモンバランスを反映しており、情報を医師に提供すれば、より正確な診断と適切な治療につながります。
また、生活習慣の改善も重要な治療の一環とされています。生理不順の治療効果は個人差が大きいため、医師と相談しながら最適な治療法を検討しましょう。
まとめ
生理不順は、さまざまな原因によって引き起こされ、多くの女性が悩む症状です。疲れや睡眠不足など軽微なものから、深刻な病気の兆候まで幅広い可能性が考えられます。
病気は、早期発見と早期治療が改善の鍵となるため、検査による早めの原因特定が大切です。自身の体調の変化に敏感になり、必要に応じて専門医に相談することが、女性の健康維持には欠かせません。
生活習慣を整え、なるべくストレスを溜め込まないように心がければ、将来的な病気のリスク低減にもつながります。 健康的な生活を送るために、少しでも気になる症状がある場合は、躊躇なく医療機関を受診しましょう。