「不正出血があったと思ったら妊娠してたって聞くけど、本当?」
「不正出血と着床出血を自分で見分ける方法はある?」
生理でもないのに出血が起きると、病気なのか妊娠の影響なのかわからなくて不安になる方もいるはずです。
本記事では、不正出血が起こる原因とともに、妊娠時に見られる着床出血との見分け方を解説します。
妊娠初期の出血は異常妊娠の可能性もあるため、病院受診のタイミングを逃さないためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
不正出血とは
不正出血とは、生理以外のタイミングで性器から出血することを指します。
排卵時やホルモンバランスの乱れによっても不正出血は起こり得るので、必ずしも病気が原因とは限りません。
女性特有の出血は、大きく分けて以下の2つです。
- 生理:約1ヶ月に1度、受精せずにいらなくなった子宮内膜が外へはがれ落ちる生理現象のこと
- 不正出血:生理以外の出血のこと。着床出血も含まれる
不正出血があった場合は、早めに病院を受診したほうがよいこともあります。
病院を受診するタイミングを知るためにも、次の章で不正出血が起こりうる原因を詳しく見てみましょう。
不正出血が起こる原因
不正出血が起こる原因は、大きく分けて3つです。
【不正出血の原因】
- ホルモンバランスの乱れ
- 病気の可能性
- 妊娠の可能性
ホルモンバランスの乱れや病気が隠れている場合、不正出血が起こることがあります。
また、妊娠も不正出血が起こる原因のひとつになるため、ぞれぞれ詳しく解説します。
ホルモンバランスの乱れ
不正出血が起こる原因のひとつが、ホルモンバランスの乱れです。
無理なダイエットや強いストレスなどが続くと、女性ホルモンのひとつである黄体ホルモンの分泌量が減り「黄体機能不全」になることがあります。
黄体機能不全の症状はさまざまですが、代表的なものが生理前に起こる少量の不正出血です。
また、女性ホルモンが含有されている「ピル」を飲み始めたころも、副作用として不正出血が起こることがあります。
低用量ピルの種類によって異なりますが、「服用してから1周期で11.6〜42.3%の方に不正出血があった」とのデータ結果が出ています。
参考:国立保健医療科学院「ピルの薬理と使用法について」P117
このように、一時的なホルモンバランスの乱れは不正出血の原因となり得るのです。
病気の可能性
不正出血があるときは病気が隠れている可能性もあるため、軽く考えてはいけません。
不正出血が起きたときに考えられる病気は、以下のとおりです。
【不正出血で考えられる病気の例】
- 萎縮性膣炎
- 子宮内膜炎
- 子宮筋腫
- 子宮頸部または内膜のポリープ
- 子宮頸がん、子宮体がん など
不正出血の原因は良性の病気もありますが、なかには子宮頸がんといった悪性の病気の可能性もあります。
生理以外で出血が続くときは、自己判断をせずに早めに婦人科を受診しましょう。
妊娠の可能性
妊娠初期に見られる不正出血は、「着床出血」の可能性も考えられます。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際、血管を傷つけたために起こった出血のことです。
生理予定日の1週間ほど前から始まり、2〜3日ほど少量の出血が続くことが多い傾向にあります。
着床出血は約4人に1人の割合で起こるといわれているため、妊娠したからといって全員が体験するわけではありません。
不正出血は病気以外にも妊娠の可能性もあるため、特に妊活中の方は婦人科の受診をおすすめします。
生理と妊娠による不正出血(着床出血)を見分けるポイント
生理と妊娠時の着床出血には、それぞれ異なる特徴があります。
出血の量 | 色 | 持続期間 | |
---|---|---|---|
生理 | 50〜100ml | 暗赤色 | 3〜7日ほど |
着床出血 | 生理のときより少ない | 薄いピンク、または茶色 | 2〜3日ほど |
経血の色や期間だけで着床出血であるかを見分けるのは難しいため、わからないときは、ひとつの判断材料として以下の方法を試してみるのがおすすめです。
【生理と着床出血を見分ける方法】
- 妊娠超初期の症状があるか
- 基礎体温をつける
ただし、これらはあくまでも目安であるため、自己判断で決めつけないことが大切です。
着床出血であるか不安なときは、必ず婦人科で診てもらいましょう。
ここでは、2つの見分ける方法について詳しく解説します。
妊娠超初期の症状があるか
妊娠の可能性があり、かつ不正出血が見られた場合には、以下にある妊娠超初期症状に当てはまるか確認してみましょう。
【妊娠超初期に見られる症状】
- 吐き気や食欲不振
- 便秘や下痢
- 胸の張り
- 顔や手足のほてり
- 腹部の違和感
- 水っぽいおりもの
- 頭痛
- だるさ
- 眠気
- 気分の落ち込み など
妊娠超初期症状は医学的な言葉ではありませんが、症状が出る期間としては、最後の生理初日から数えて2〜3週目に当たると考えられます。
この時期に不正出血とともに上記のような症状が見られるときは、妊娠時に起きる着床出血の可能性が考えられるでしょう。
基礎体温をつける
日頃から基礎体温をつけておくと、妊娠時の体温の変化に気づきやすくなります。
基礎体温とは、朝目が覚めてすぐに測った体温のことで、女性ホルモンの働きによって生理周期には「低温相」と「高温相」に分かれます。
通常であれば、約14日間の低温相が続いたあとに、14日間ほどの高温相が続いて生理が始まるメカニズムです。
妊娠している場合は、下記の図のように高温相が3週間以上続きます。
日頃から基礎体温を計ることで、不正出血があったときに妊娠の可能性があるか見分けやすくなるでしょう。
着床出血か妊娠超初期の異常かの見極めは難しい
妊娠による着床出血と、妊娠超初期の何らかの異常による不正出血の見極めは、素人には難しいのが現実です。
妊娠したときに何らかの異常で出血が起こった場合には、以下の病気が潜んでいる可能性があります。
- 絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)
- 子宮外妊娠
- 胞状奇胎(ほうじょうきたい)
妊娠の可能性があり、不正出血が続く場合には早めに婦人科を受診しましょう。
それぞれの病気について解説します。
絨毛膜下血腫
妊娠したときの不正出血には、絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)が原因のケースがあります。
絨毛膜下血腫とは、胎盤の中にある子宮壁と絨毛膜の間にできた血腫のことで、4〜22%の妊婦に見られる症状といわれています。
妊娠初期に見られる場合は安静にしていると自然に改善することも多いため、さほど心配はいりません。
出血が長引き、血腫が大きくなったときには、子宮収縮剤や抗生物質などを投与しながら慎重に経過観察を行うこともあります。
いずれにせよ、妊娠に伴う出血は胎児に影響を与える可能性があるため、自己判断はせずに早めに受診しましょう。
子宮外妊娠
卵管といった子宮内膜以外の場所に着床してしまう「子宮外妊娠」も、不正出血が起こる原因のひとつです。
子宮外妊娠になった場合、不正出血以外にも以下の症状が見られます。
- 下腹部の違和感
- 突発的な下腹部痛
- 出血による貧血
- 悪心・嘔吐 など
子宮外妊娠は100分の1の確率で発症するため珍しい症例ではありませんが、放っておくと卵管が破れて大量出血を起こし、母体が危険にさらされます。
子宮外妊娠がわかった場合、残念ながら胎児は育たないため、手術で摘出するか薬物治療を行います。
子宮外妊娠は早期発見の治療が重要なため、出血や差し込むような下腹部痛がある場合は迷わず病院へ行きましょう。
胞状奇胎
異常妊娠のひとつである胞状奇胎(ほうじょうきたい)の場合も、不正出血が起こります。
胞状奇胎とは、卵子と精子の異常な受精が要因となって、胎盤内にブドウのような粒が広がってゆく異常妊娠のことです。
胞状奇胎妊娠になると、不正出血のほかに以下のような症状が現れます。
- 腹痛
- つわり
- 血圧の上昇 など
これらの症状は妊娠初期のものと似ているため、胞状奇胎妊娠であるかの自己判断は容易ではありません。
婦人科にて、超音波検査や正常なホルモンの数値を調べる血液検査をして初めて、胞状奇胎妊娠であることがわかります。
胞状奇胎妊娠となった場合は、流産の処置と同じように「子宮内容除去術」を行います。
手術にて適切な処置を行わないと次の妊娠へ影響することがあるため、症状があるときは速やかに婦人科を受診しましょう。
不正出血で病院に行くべき目安
不正出血が3日以上続くときは、病院の受診をおすすめします。
ホルモンが影響する不正出血の場合は、経血も少量で2〜3日ほどしか続かないケースが多いです。
しかし「経血の量が多い」「出血が長引いている」といった症状があるときは、病気が潜んでいる可能性も考えられるため、早めに受診しましょう。
妊娠の可能性があるときは、着床出血のほかに以下の症状が現れる方も多い印象です。
- 吐き気や食欲不振
- 便秘や下痢
- 胸の張り
- 顔や手足のほてり
- 腹部の違和感
- 水っぽいおりもの
- 頭痛
- だるさ
- 眠気
- 気分の落ち込み など
異常妊娠である場合は、「出血量が多い」「突発的な腹痛が起きる」といった症状も現れます。
妊娠していて不正出血がある場合は早めの処置が必要なケースもあるため、自己判断はせずに必ず婦人科へ行きましょう。
まとめ
不正出血はホルモンバランスの乱れや病気だけでなく、妊娠が影響しても起こり得ます。
生理予定日の1週間ほど前に見られる「着床出血」である場合は、吐き気や頭痛、だるさといったほかの症状が現れる方も多く見られます。
ですが、不正出血は異常妊娠の可能性も秘めているため、決して自己判断をしてはいけません。
不正出血が3日以上続き、出血量が次第に増えるといったときは早急な対処が求められるケースもあるため、必ず婦人科を受診しましょう。