乳首に違和感が生じる原因には何がある?摩擦や病気・その他の原因を紹介
「数日前から乳首に違和感があるけど原因はなんだろう?」
「痛みや痒みが続くということは重大な病が隠れているの?」
このように体の異変が何日も続くと、病気のサインなのではないかと不安になる方もいるでしょう。
この記事では、乳首に違和感を持ったときに考えられる原因を細かく解説します。
病気が関係していることもあるため、何日も症状が続いている人は注意が必要です。
原因を把握しておくと症状に合わせた適切な対処ができるため、ぜひ最後までご覧ください。
乳首に違和感がある場合に考えられる原因
乳首に違和感がある原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- 下着との摩擦
- 病気
- その他(ホルモンバランスの影響によるもの)
物理的な要因から病的、生理的な要因などさまざまです。
それぞれ詳しく解説します。
下着との摩擦
乳首の違和感は、下着との摩擦が原因で生じることがあります。
乳首は皮膚が薄く、非常にデリケートな部分です。
バストサイズに合っていない下着を身に付けると、体を動かすたびにずれて摩擦を起こします。
また、ポリエステルやポリウレタンなどの合成繊維は硬い素材であるため、敏感な乳首には刺激になることもあります。
下着が原因で違和感を生じていると考えられる場合は、まずは自分のバストにぴったり合ったブラジャーに変えてみましょう。
適正サイズはわからない人は、お店で測ってもらうことをおすすめします。
硬い素材でできた下着を使用していた人や敏感肌の人は、綿100%使用の肌に優しいものを試してみるのもよいでしょう。
乳首や乳房の病気
乳首の違和感は、乳首や乳房の病気によって引き起こされる場合もあります。下着との摩擦を減らしても改善しない場合、なんらかの疾患が潜んでいる可能性も考えられます。
乳首や乳房に関連する病気は、以下のとおりです。
- 皮脂欠乏症湿疹
- 乳頭炎
- 乳がん
- 乳腺症
- 乳腺炎
それぞれ解説します。
皮脂欠乏症湿疹
皮脂欠乏症湿疹とは、乳首に湿疹ができる疾患です。皮脂の分泌量が低下することで乾燥し角質がはがれ、バリア機能が低下することで発症します。乾燥が進むと強い痒みを伴い、秋冬など肌がカサつきやすい時期は発症率があがるため注意が必要です。
治療は、保湿をメインに行います。お風呂上がりに保湿剤を塗ったり、洗浄力が控えめなボディソープで皮脂を落とし過ぎないようにしたりして、潤いを持たせ乳首を守ってあげることが大切です。
保湿しても湿疹が改善しない場合や強い痒みがあるときは、ステロイド外用剤の塗り薬や抗アレルギー剤の飲み薬を使用します。
乳頭炎
乳頭炎は、乳首に湿疹やただれ、痛みや腫れなどの炎症がある状態を指します。
主な原因は、マラセチアやカンジダといった細菌感染によるものです。その他にも、乾燥でバリア機能が低下しているときに、摩擦や汗などの外的刺激を受け発症することもあります。
細菌感染の場合は、清潔な状態を保ちながら抗生物質が含まれている塗り薬で治療します。感染症の場合、症状がひどくなると化膿するおそれがあるため早めの治療が重要です。
乾燥による発症であれば、乳首への刺激を軽減させる目的で、肌に優しいオーガニック素材の下着への変更やに保湿ケアが効果的です。
乳がん
乳がんの影響で乳首に違和感を生じることもあります。
病気が進行すると乳首に湿疹やただれ、血が混じったような液体分泌がみられます。このような症状は、乳がんの初期段階では現れないため、異変を感じたら早めに婦人科を受診しましょう。
治療法は、病変部を取り除く外科手術が基本です。腫瘍が大きかったり複数存在したりしている場合は乳房全体を切除する場合もあります。
外科手術のほかには放射線治療があり、がん細胞の縮小や死滅の効果も期待できますが、主に再発防止が目的です。
手術や放射線治療の効果が見込めないほどのステージに進むと、症状を和らげるための薬物療法だけ行うこともあります。
乳腺症
乳腺症は、乳首から透明や乳白色の分泌物が出たり、乳房に痛みやしこりが生じたりする病気で、30~50代の女性が発症しやすい傾向にあります。
乳腺症の原因ははっきりと解明されていませんが、年齢によるホルモンバランスの乱れと考えられています。そのため、乳腺症は「病気」ではなく「生理現象」という認識が一般的です。
女性ホルモンの分泌が落ち着くとともに症状も治まるため、特別な治療は行いません。乳房に痛みを伴う場合は、鎮痛剤を服用し対処します。
経過観察の中で悪性の細胞が見られた場合は乳がん発症の危険性が生まれるため、継続的に医師の診察を受ける必要があります。
乳腺炎
乳腺炎とは、乳腺が炎症を起こすことで乳房に痛みや熱を生じたり、38.5℃以上の発熱を引き起こしたりする病気で、乳首から分泌液が出ることもあります。授乳をしている女性が発症するイメージが強いですが、授乳していない女性にもみられる疾患です。
乳腺炎は急性と慢性の2種類存在します。
- 急性:うっ滞性乳腺炎、可能性乳腺炎など
- 慢性:肉芽腫性乳腺炎、乳輪下膿腫など
急性の乳腺炎は主に授乳中の女性が発症し、母乳の過剰分泌や、乳首の傷から細菌が侵入することが原因です。
慢性の乳腺炎は、授乳をしていない女性も発症します。乳輪下膿腫は細菌感染が原因といわれていますが、肉芽腫性乳腺炎は明確な原因が解明されていません。
母乳の詰まりで発症した場合、授乳や搾乳で解消します。乳首に傷を負った状態での授乳や、胸が張っている状態での搾乳は大きな痛みを伴うでしょう。一方、細菌感染のケースでは、抗生物質の投与で完治を目指します。
その他の原因
ここまで解説してきた下着の摩擦や病気以外にも、乳首に違和感を生じる原因はあります。
主にホルモンバランスが関係していおり、乳首の違和感や痛みなどは一時的なものであることが多いため、様子を見ておけば問題ありません。
更年期
更年期になるとエストロゲンという女性ホルモンの分泌が大幅に減少するため、乳首に違和感を感じる場合があります。エストロゲンの分泌量が減少すると、乳管への刺激がなくなり乳房が小さくなるからです。
更年期の乳首の違和感は明確な身体的原因がわからない不定愁訴の症状の一つであるとも考えられています。
更年期を迎えると、以下のような症状も現れます。
- 倦怠感や苛立ち
- 動機
- ほてりやのぼせ
- 抜け毛や薄毛
- 手足の冷え など
上記のような変化がみられたら更年期障害の可能性も考えましょう。更年期の症状は、ホルモン補充療法を用いてエストロゲンを補うことで対処できます。
妊娠
妊娠するとホルモンバランスが大きく変化するため、乳首の違和感を感じやすくなります。
特に、母乳の分泌を促進するプロラクチンというホルモンの影響が大きく、妊娠後期になると授乳のために乳腺や乳管を発達させます。乳房が大きくなるとともに乳首に違和感や痛みを覚えることがあるのです。
妊娠中は、以下のような症状も現れます。
- 眠気や倦怠感
- 吐き気や食欲不振
- 微熱
- おりものの変化
- 立ちくらみ など
体が大きく変化する妊娠期間は、さまざまな不調がダイレクトに体に出るものです。乳首の違和感以外にも、生理が来ないことや上記の症状が確認できた場合は妊娠している可能性があるため、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。
排卵
排卵前になるとエストロゲンの分泌が盛んになります。このホルモンが増えることで乳管への刺激が増え、胸が張ったり乳首に痛みを生じたりします。
排卵前後には以下のような症状が現れます。
- 腰痛や腹痛
- 眠気や倦怠感
- 情緒不安定
- 胸の張り
- 肌荒れ など
妊娠するための準備期間ともいえる排卵時期も、ホルモンバランスが大きく変化するため普段とは違う不調に陥りやすくなります。
腰痛や胸の張りなど体に現れる変化に疲れたり、些細なことでイライラしたり悲しくなったりと精神状態もうまくコントロールできなくなるものです。エストロゲンの分泌が落ち着く排卵日ごろには、乳首の違和感も軽減するでしょう。
生理
生理中は女性ホルモンの一種であるプロゲステロンが分泌されます。プロゲステロンは排卵後から一定期間、妊娠できる状態に整える役割を持ち、乳腺の発達を促します。その影響で胸が張り、乳首に違和感や痛みを覚えるという仕組みです。
生理中には以下のような症状が現れます。
- 食欲増進
- 眠気や倦怠感
- むくみ
- 腰痛や腹痛、頭痛
- 情緒不安定 など
排卵時期同様、心身ともに不調が現れる時期です。ストレッチや休息など自分を労わる時間を設けて穏やかに過ごせると、精神的にも楽に過ごせるでしょう。生理が終わりに向かうにつれて乳首の違和感も徐々に治まっていきます。
乳首の違和感の原因を自己判断することは難しい
乳首は非常にデリケートな部分です。乳首の違和感は、生理的な原因や物理的な要因もありますが、病気が潜んでいる可能性も大いにあります。
ホルモンバランスの影響だと思い治るまで放置していたら、実は乳がんが進行していた…ということも十分に考えられます。違和感や痒みがあるとつい触ってしまいがちですが、症状が悪化可能性があるため注意が必要です。
乳首の違和感は緊急性を感じないため、安易に判断しがちです。しかし、病気だった場合、適切な治療を早期に始めることが重要です。痛みや異変が長引く場合、決して自己判断せずに、婦人科で診てもらいましょう。
まとめ
女性はホルモンバランスの変化が激しいことやブラジャーを身に付ける習慣により、日ごろから乳首への違和感を生じやすくなっています。
いつもと同じ症状だと慣れてしまい放っておきがちですが、それは病気を見落とす危険な行為です。すぐ治ると安易な自己判断はせず、何週間と続くようならすぐに婦人科を受診しましょう。
発見が遅くなると最悪の場合、命に関わる病気に発展する可能性もあります。乳首の違和感という体からのサインを受け取って、できるだけ早めに医師の診察を受けることを心がけてください。