手足口病は夏に流行する子供の病気として有名ですが、大人に感染するケースもまれにあることをご存じでしょうか。手足口病は重篤な合併症を引き起こすこともあるため、予防できるに越したことはありません。こちらでは、手足口病の症状や感染経路といった基礎知識をはじめ、起こりうる合併症の症状や、治療・予防方法などを解説します。手足口病について広く知りたい方は、ぜひご一読ください。
手足口病とは
手足口病は、毎年初夏から秋にかけて流行する「夏型感染症」の一つで、咽頭結膜熱(プール熱)やヘルパンギーナと共に「三大夏風邪」に数えられます。コクサッキーA群ウイルスやエンテロウイルス71型など、複数種のウイルスが原因となるため、繰り返し発症することがあるのが特徴です。
では、手足口病は具体的にどのような病気なのでしょうか。ここからは、流行時期と大人の発症確率について解説します。
流行時期
手足口病は6~8月を中心に流行し、7月下旬にピークを迎えます。ただし近年は例外があり、2021年には秋~冬にかけて流行しました。
患者における大人の割合
手足口病の患者は、80~90%が5歳以下の乳幼児で、大人が感染することはあまりありません。
大人の発症確率が低い理由は、大人は過去に原因となるウイルスに感染しており、免疫がある場合が多いためです。しかし、大人が発症すると高熱や強い痛みなど、子供よりも症状が重く出やすいため、十分に注意しましょう。
手足口病の原因
手足口病の原因ウイルスは感染者の口内や腸で増殖し、唾液や便に排出されます。したがって主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。
飛沫感染は、感染者のくしゃみや咳で出た飛沫を吸い込むことで感染します。
接触感染は、感染者の唾液や鼻水、破れた水疱の内容物などに触れた手を介して、ウイルスが目や口に入ることによる感染経路です。また、おむつを交換する際などに、ウイルスを含んだ便に触れて感染する可能性もあるでしょう。
幼稚園や保育園では衛生観念の育っていない子供同士が近い距離で過ごすため、手足口病に集団感染するケースが多いのです。
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手足口病の症状
手足口病の代表的な症状は、感染から3~5日後に掌や足の裏、口の中などに2~3mm程度の水疱性発疹ができるというものです。発疹にかゆみや痛みを伴うことは珍しいですが、口内にできると喉の痛みで食事がしにくくなる場合があります。
3分の1程度の感染者には発熱もみられますが、高熱が続くことはほとんどありません。
このように大抵は症状が軽く、数日~1週間程度で回復するものの、その後もウイルスは長期にわたって便中に排泄され、2~4週間は感染源になりえます。さらに近年は、症状改善後の1ヶ月以内に手足の爪が剥がれ落ちるケースが報告されています。そのため、快癒後もしばらくは経過観察が必要です。
合併症
まれなケースですが、手足口病の原因ウイルス(特にエンテロウイルス71型)は、子供を中心に中枢神経系合併症を引き起こすことがあります。主な合併症は次の5つです。
- 髄膜炎
- 小脳失調症
- 急性弛緩性麻痺
- 脳炎
- ギランバレー症候群
以下に紹介するような症状が出た場合、経過を観察して早めに医療機関に相談しましょう。
髄膜炎
髄膜炎とは、脳や脊髄の周りを覆って保護している髄膜の炎症です。
髄膜炎には大きく分けて「細菌性」と「無菌性」の2種類があり、手足口病の合併症としては比較的症状の軽い無菌性髄膜炎が発症する可能性があります。
代表的な症状は38~40度の発熱・頭痛・嘔吐で、次のような症状が起こることも多いです。
- 羞明(光に過敏になる)
- 腹痛・下痢
- 倦怠感
- 項部硬直(首が硬くなる)
通常、医療機関で適切な処置を受ければ1~2週間程度で回復しますが、乳児の場合は機嫌の悪さや興奮しやすさといったささいな変化しかみられず病気に気付きにくいケースもあります。
治療が遅れると、発達の遅れなどの後遺症が残る可能性があるため注意してください。
小脳失調症
小脳失調症は、運動機能や平衡感覚、眼球運動の調節を司る小脳の機能に影響が出る病気です。
主な症状として、次の3つが挙げられます。
- 歩行時のふらつき
- 呂律障害
- 眼振(眼球の細かい揺れ)
重症化する例は少なく、80〜90%の患者は1〜2ヶ月で自然回復します。
急性弛緩性麻痺
急性弛緩性麻痺になると、筋肉を収縮させる機能が急激に失われます。
四肢や呼吸筋に次のような症状がみられ、麻痺のピーク時には手足がだらんと脱力して動かせなくなるのが特徴です。
- 筋緊張の低下
- 筋力の低下
- 筋萎縮
急性弛緩性麻痺は効果的・根本的な治療法が見つかっていないため、主に対症療法で改善を図ります。
脳炎
脳炎は、炎症により脳の働きにさまざまな障害が生じる病気です。一般的に発熱・頭痛・嘔吐などに始まり、病気が進行すると次の症状が出ることもあります。
- 意識障害
- けいれん
- 異常な言動
- 麻痺
国内で手足口病に起因するとされる脳炎による死亡例があるほか、運動障害や意識障害、認知機能障害などの後遺症が残る場合もあるため、早急な治療が必要です。
ギランバレー症候群
ギランバレー症候群は、全身に張り巡らされた末梢神経の障害によって引き起こされます。
手足口病などの感染症にかかると、本来は身体を守る免疫機構が活発になりすぎて末梢神経を攻撃してしまうことがあるのです。
主に手足の先のしびれや脱力がみられ、重症化すると以下のような症状が起こりえます。
- 手足・呼吸筋の麻痺
- 自律神経障害(重度の血圧変動、不整脈、排尿障害など)
症状のピークを迎えた後は徐々に回復していきますが、患者の約20%に後遺症が残るとされ、1%未満とはいえ死亡する可能性もあります。
治療法
手足口病の根本的な治療方法は特になく、感染者には解熱剤の処方や抗ヒスタミン剤の塗布をはじめとした対症療法が施されます。
なお発疹にかゆみが伴うことは少ないため、通常は外用薬として副腎皮質ステロイド剤は使用しません。手足口病においては、むしろステロイドの多用が症状を悪化させる可能性があるとされているためです。
口の中に発疹ができて痛みがある場合は、冷ましたおかゆやプリンなど、柔らかく薄味の食事と水分補給を心がけることも早期回復に役立ちます。
手足口病の予防方法
現在、手足口病予防に有効なワクチンや薬はありません。飛沫感染・接触感染しないようにするには、一般的な感染症と同様に日常生活で次のようなポイントに気を付けることが重要です。
- 手洗い・うがいをしっかりする
- 感染者の近くではマスクをつける
- おむつ交換後は排泄物を適切に処理し、ハンドソープで手洗いする
また、手足口病は便中へのウイルス排泄期間が長いため、家族が感染した場合は回復後もしばらく手洗いを徹底させ、タオルやコップの共用を避けることも予防につながります。
まとめ
手足口病は数種類のウイルスが原因で、手足や口内に水疱性発疹ができる病気です。感染者の9割近くは乳幼児ですが、大人の感染もありえます。多くの場合は1週間で自然に治るとはいえ、有効な治療法やワクチンはありません。脳炎やギランバレー症候群といった命にかかわる合併症を引き起こす可能性もありますので、単なる夏風邪と軽視しすぎず日頃の予防を心がけることが大切です。特に夏から秋の流行時期は家族で手洗い・うがいを徹底し、子供や自分の身を守りましょう。
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