生理が来ないときやいつもより早く出血があったとき、「生理不順では?」と不安になる方が多いのではないでしょうか。また、心配というほどではなくても生理期間の長さや経血量など、少なからず生理について気になる方もいるかもしれません。
ここでは生理不順とはどのようなものか、生理不順の基準、種類、原因、病院に行く基準や費用の目安、生理不順の対策などを説明します。
正常な生理周期
正常な生理周期は25日〜38日と一般的に言われています。生理周期は毎回同じ日数でなくても、前後6日程度の差であれば問題ありません。ストレスや睡眠時間など、疲労度合いによって多少のズレが生じます。
目安としては24日以内であれば短く、39日〜89日であれば周期が長いと認識しておくとよいでしょう。
実は25日〜38日というデータは1950年代のアメリカでの調査をもとに定義されています。調査当時と現代では生活環境や人種も異なるため、現代の日本人女性に対して完全に当てはまるかというとそうではないかもしれません。
ルナルナと国立成育医療研究センターの調査結果からは、年代によって生理周期の平均が異なることが明らかになりました。この調査では、女性の生理周期は10代から年齢を重ねるにつれて長くなり、23歳で平均30.7日がピークになることがわかっています。また、それ以降は少しずつ短くなり、45歳で27.3日に、以降は長くなることがわかっています。
生理不順とは
では、どのような状態を生理不順(月経不順)と呼ぶのでしょうか。
ここでは生理不順の基準や、生理不順の種類についてご説明します。
月経不順の基準
次のいずれかが当てはまらない場合、生理不順(月経不順)となります。
- 周期が25日〜38日の間
- 周期のずれが6日前後
- 生理の日数が3日〜7日
これら以外の判断基準では、卵胞期(生理終了から排卵までの期間)や黄体期(排卵後から生理開始までの期間)の日数、経血量、初経や閉経のタイミングによっても生理不順となることがあります。
月経不順の種類
月経不順の種類には、稀発月経、頻発月経、過長月経、過短月経、過少月経、過多月経、更年期前の生理不順などが挙げられます。それぞれ一つずつ説明させていただきます。
稀発月経は、生理周期が39日以上と長い場合の生理不順です。
しかし、生理周期が長くても、定期的に月経があれば特に問題とならないこともあります。
頻発月経は、稀発月経とは逆に生理周期が24日以下と短い場合の生理不順です。
頻発月経の場合は1ヶ月に2回生理が起こることもあります。
過長月経は生理自体の期間が8日以上と長く、過短月経は生理自体の期間が2日以内と短い場合の生理不順です。
過少月経は経血量が少ない月経のことで、経血量が多いと過多月経と呼ばれます。
過少月経は過短月経と同時に起こっている可能性もあります。
更年期前の生理不順は閉経が近づくことでホルモンバランスに変化が起こることから、おもに30代後半以降にみられることがあります。
生理不順の原因
生理は、女性ホルモンである2種類のホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が乱れることで起こります。
ここでは生理不順の原因として、ストレス、過度なダイエット、病気の可能性、妊娠についてご説明します。
ストレス
女性ホルモンは視床下部・脳下垂体・卵巣がうまく働くことで分泌量のバランスが取れているのですが、ストレスがあると視床下部がうまく働かず、生理不順につながることがあります。
ストレスには、人間関係や環境の変化によるもの、働きすぎや寝不足、冷えなど様々な種類があるため注意が必要です。
過度なダイエット
体重や体脂肪は卵巣と密接な関係にあります。
過度なダイエットにより痩せすぎてしまうと女性ホルモンが充分に分泌されず、生理不順になることがあります。
具体的にはBMIが19あたりから月経不順となる可能性があり、BMIが16になると無月経になる可能性がるため注意が必要です。
体脂肪率については、15%以下で卵巣機能に障害が起こり、10%以下で卵巣機能が停止することがあります。
病気の可能性
子宮の病気が生理不順の原因となることもあります。
ここでは子宮筋腺症、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)、子宮筋腫の3つの例を説明します。
子宮腺筋症では子宮の筋層で出血が起こるため、月経時の経血量が増えて過多月経となったり、生理の期間が長くなって過長月経となったりします。
多嚢胞性卵巣症候群はホルモン分泌が正常にされないことが原因で起こる病気です。卵胞の成長が止まることで排卵がされず、嚢胞(のうほう)と呼ばれる小さな卵胞が卵巣に止まってしまいます。
排卵が規則正しく起こらないため、稀発月経や無月経の原因となります。
子宮筋腫は子宮に良性腫瘍ができる病気であり、できる場所によって名前が異なります。
子宮筋腫のうち、子宮内膜の内側にできる粘膜下筋腫と、子宮筋層に筋腫ができる筋層内筋腫では子宮内膜の表面積が増えるため経血量が多くなる場合や、塊のような血が出る場合があるため、過多月経となります。
妊娠
月経不順かと思ったら、原因が妊娠だったということもあります。
生理は、受精が起こらず不要となった子宮内膜を排出するために起こるのですが、妊娠すると受精卵が子宮内膜に着床するため排出する必要がなくなり、結果的に生理が来なくなります。
病院へ行く目安
生理不順で病院へ行くとき、基本的には生理が3ヶ月来ない場合が目安となります。3ヶ月生理が来ないことは無月経とも呼ばれ、排卵していない可能性や重い病気の初期症状の可能性も考えられます。
年齢によっても多少の目安は異なるのですが、3ヶ月以上生理が来ない方で20代以上の将来的に妊娠を考えている方、16歳以上の方は一度受診しましょう。
ただし、10代で初めての生理が来てから2年〜3年以内の方であれば、3ヶ月以上生理が来ていない場合でも様子を見てもよいかもしれません。
どのような方でも妊娠の可能性がある場合や、急激なダイエットや運動により生理が来ない場合は受診したほうがよいでしょう。また、6ヶ月以上生理が来ない場合は女性ホルモンの分泌に問題があるかもしれません。こちらも年代や妊娠の希望に関係なく、受診したほうがよいでしょう。
妊娠の可能性がある場合は、一度市販の妊娠検査薬を使用するのも手段の一つです。
病院で行う検査と費用の目安
生理不順により病院にかかったとき、問診・採血・超音波による検査などが行なわれます。
診察中は基礎体温を測ることで排卵の状態を調べ、採血からはホルモンの状態を調べます。
子宮筋腺症や子宮筋腫のように、子宮内膜の病気により過多月経や過長月経が引き起こされていることがあるため、超音波検査により子宮や卵巣の状態を調べることがあります。
費用の目安は検査や初診料、お薬代を含めると1万円前後と考えておくとよいでしょう。
生理不順の対策
生理不順の対策としては、以下の5つが挙げられます。
- ストレスをためない
- 睡眠をしっかりとる
- 過度なダイエットをしない
- 厳しい食事制限をやめる
- 激しい運動を控える
生理周期を規則正しくするためには、女性ホルモンの分泌を正常にすることが大切です。
強いストレスや睡眠不足、ダイエットによる栄養不足が続くと、脳の視床下部や脳下垂体から指令がうまく出ず、女性ホルモンの分泌に影響してしまいます。
激しい運動に関しては、ストレスになったり、エネルギー不足の原因となったりすることから生理不順の原因となります。適度な運動量に抑えましょう。
生理不順に関するよくある質問
ここでは、生理不順に関するよくある質問に回答していきます。
体調は悪くなくても6ヶ月以上生理が来ないときは受診すべき?
長い間生理が来ない状態を放置してしまうと妊娠しにくくなったり、ホルモンバランスを戻すのに時間がかかったりします。将来的に妊娠したいと思ったときのためにも一度受診をしたほうがよいでしょう。
生理周期が不規則で把握できないときはどうしたらいい?
まずは起床後に基礎体温を記録して、卵胞期や黄体期など生理周期のどの期間にあるかを把握しましょう。記録してもわからない場合や生理不順で悩む場合は医師に相談するほうがよいです。
生理中に吐き気や肩こりに悩まされるのはなぜ?
生理のときはプロスタグランジンという物質がはたらき、子宮だけでなく血流や腸にも影響します。吐き気や頭痛、肩こり、冷え、お腹のゆるみといった症状はプロスタグランジンのはたらきにより発生しますので、場合によっては月経困難症として治療が必要になります。
生理で気になる症状がある場合は病院へ
生理周期には一般的な定義がありますが、なかには多少長かったり短かったりしても特に問題がない方もいます。
生活習慣を改めることで改善することもあれば、ときには思わぬ病気が原因となっていることもありますので、生理で悩んだときは病院で診てもらったほうが安心です。
また、受診の有無に関わらず、自分の体を理解するうえでも基礎体温の記録はしておいたほうがよいでしょう。
まとめ
生理不順とはどのようなものか、基準や種類、原因、病院に行くときの費用目安、対策などを紹介しました。
生理不順には様々なタイプがあり、個人差はあるものの、いずれも女性ホルモンの分泌が原因です。
対策としては、日頃からのストレス発散、充分な睡眠、過度なダイエットや激しい運動を控えることが挙げられます。起床時の基礎体温を記録し、生理周期のどの期間にあるかを理解しておくことも大切です。
生理不順などの異常が見られたときに放置しておくと、将来的に「妊娠したい」と思ったときの妨げになることや、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。
気になったときは早めに病院で診てもらうようにしましょう。