ピルの服用を考えているものの、実際の飲み方についてよくわからないという方は少なくないかもしれません。
毎日飲むことは知っていても、もし飲み忘れてしまったり、間違って多く服用してしまったりした時のことを考えると、少し不安になる方もいるのではないでしょうか。
ここではピルを飲み始める時期や方法、服用のサイクル、飲み忘れた時や飲み間違えた時の対処法から副作用などについてご説明します。
ピルの飲み方
まずはピルを飲み始める時期と飲む時間帯について、一般的なことからご説明します。
ピルはいつから飲み始める?
ピルは基本的に生理開始後5日以内に服用を開始します。1週間飲み続けることにより体が避妊できる状態になります。
生理5日以内に飲み始める理由としては、ピルの服用により卵子の成長をすぐに止めることができるタイミングであり、妊娠していないことがわかる状態だからです。
ピル自体はいつから飲み始めても問題はありませんので、できるだけ早く避妊を開始したい方は一度その旨を医師に伝えましょう。
また、飲み始めの方法には「Day1スタート」と「Sundayスタート」の2つがあります。
「Day1スタート」は月経初日(月経開始から24時間以内)から飲み始める方法です。
一方「Sundayスタート」は、月経があった日の次の日曜日から飲み始める方法です(月経初日が日曜日の場合はその日に服用開始)。避妊効果が得られるまで少し時間がかかるものの、月経が週末に来ないようにできるというメリットがあります。
ピルを飲むタイミング(時間)
ピルは毎日決まった時間に飲みます。どの時間に飲むかはご自身で決めてよいのですが、ピルは24時間周期で服用する必要があるため、飲むタイミングは固定しましょう。
就寝前や自分が飲み忘れにくい時間帯を選ぶことがポイントです。毎日同じ時間帯に飲むことで、より効果が得られやすく、また、早いうちに習慣化できると飲み忘れの防止にもつながるでしょう。
ピルを飲むサイクル
続いてピルを服用するサイクルについて、ここでは21錠タイプと28錠タイプに分けてご説明します。
ピルは飲み始めたら3週間にわたって1日1錠ずつ実薬を飲み続け、その後1週間は服用をお休みします。
このお休みの1週間に生理が来るようになっており、服用の3週間とお休みの1週間、合計4週間で1サイクルとなります。
21錠タイプの場合
21錠タイプは3週間分の実薬のピルだけが入ったタイプです。
お休みの1週間は服用するものがないため、服用の再開日を忘れないようにすることが大切です。
ピルのなかにはジェミーナという連続服用タイプのものもあり、28錠タイプのシートが2つと21錠シートが1つ処方される種類もあります。
28錠タイプの場合
現在多く処方されているのが28錠タイプです。
基本的な仕組みは21錠タイプと同じく、1日1回、3週間にわたってピルの実薬を服用することになります。
加えて28錠タイプでは、日数を数えやすくするために7日分の偽薬も追加で含まれています。お休みの1週間は偽薬を服用するため、飲み忘れや日数の数え間違いをしそうな方は28錠タイプを選択するとよいでしょう。
ピルを飲み忘れたときの対処法
毎日同じ時間に飲むことで効果が発揮されやすくなるピルですが、もし飲み忘れてしまった場合はどのような対処が必要なのでしょうか。
ここでは1日だけ飲み忘れてしまった場合と、2日以上飲み忘れた場合についてご説明します。
1日飲み忘れてしまった場合
1錠分の飲み忘れであれば気づいた時に1錠を飲み、その次の服用は毎日飲んでいる時間帯に飲みます。
この場合、結果的に1日に2錠飲むことになったとしても問題はありません。
また、服用の時間帯が2~3時間ほど前後してしまってもピルの効果に大きな影響はないため、気にせず服用しましょう。
ただし、1日飲み忘れるとピルから得られていた女性ホルモンがなくなり生理が始まってしまう可能性があるため、注意が必要です。
2日以上飲み忘れた場合
2錠分を飲み忘れてしまった場合は、一度医師に報告して対処法を確認しましょう。
ピルの服用を一度止めて、生理が来てから服用を再開するなどの対応が取られます。
ピルを2日飲み忘れると排卵が再開してしまい妊娠する可能性があります。
2日以上飲み忘れた日から服用開始後1週間が経つまではピルの避妊効果が十分とはいえないため、注意が必要です。
また、休薬期間の7日があけた後に実薬を飲み忘れてしまった場合(実薬服用から合計8日以上が空いた時)も卵子が成長して排卵が起こる可能性があります。この状態で性交渉をすると妊娠することがあるため、こちらも注意が必要です。
28錠タイプを服用されている方で、偽薬の期間に2日以上飲み忘れた場合はそのまま破棄することで問題ありません。この場合は、次のサイクルが始まる日を数え間違わないように注意しましょう。
ピルを飲み間違えたときの対処法
1日1錠飲み続けることが大切なピルですが、何らかの飲み間違いをしてしまう可能性もゼロではありません。
ここでは飲む順番を間違えたときと、1日に2錠飲んでしまったときについてご説明します。
飲む順番を間違えたとき
ピルには、21錠の実薬全てに同じ成分が含まれた1相性(そうせい)と呼ばれるタイプと、ホルモン量の配合比率が3パターンに段階分けされた3相性(そうせい)と呼ばれるタイプがあります。
1相性の場合は、実薬であれば成分は変わらないため、飲む順番を間違えても問題はありません。
28錠タイプで実薬と間違えて偽薬を服用したときも、実薬を飲めば問題はありません。この場合、偽薬が1つ減ることになるため、休薬期間の日数を数え間違わないように注意しましょう。
3相性の場合、同じ色の錠剤を飲んだ場合は成分が変わらないため問題はありません。違う色の錠剤を飲んでしまった場合は医師に報告・相談をしましょう。こちらも実薬と間違えて偽薬を飲んだ場合は服用していないのと同じになってしまうため、実薬を服用すれば問題はありません。
誤って1日2錠飲んでしまったとき
1日に実薬を2錠飲んでしまった場合、大きな問題はありません。ただし、翌日以降も1日1錠、決まった時間に飲むことが大切です。そのシートのピルを飲み切ったら7日間の休薬期間を経て、次のシートを飲み始めます。
2錠飲んでしまったからといって翌日は飲まなかったり、服用自体を中止したりすることがないようにしましょう。
1日2錠飲んでしまった場合は通常より実薬を1錠早く消化することになるため、予備のピルがあれば1日分を調整してもよいです。
サプリメントやビタミン剤などピル以外に日常から飲んでいる錠剤がある方は、それらと間違わないように注意が必要です。
ピルの副作用
生理周期が規則的になることや、望まない妊娠を避けられること以外にも、ピルの作用について理解しておく必要があります。
ピルの服用による主な副作用はこちらの通りです。
- 吐き気
- 乳房の張り
- 頭痛
- 下腹部の痛み
- むくみ
- 不正出血
- 気分の変化や落ち込み
- 肌荒れ
また、ピルに含まれる卵胞ホルモンには血を固まりやすくする作用があることから、重大な副作用として血栓症リスクの増加が挙げられています。割合としては年間1万人のうち1~5人が血栓症になるといわれているところ、ピルを服用されている方は3~9人になるといわれています。
一方、生理周期や避妊以外にも期待される作用がいくつかあります。こちらも確認しておきましょう。
- 月経の量が少なくなる
- 生理痛、PMS(月経前症候群)、貧血やニキビ、子宮内膜症の改善
- 卵巣がんや子宮体がん、リウマチ、骨盤内感染症などの予防、大腸がんリスクの低下
副作用がつらいときは病院へ相談を
ピルの副作用によりつらさを感じる方も少なくありませんが、1~3ヶ月ほど服用し続けると女性ホルモンのバランスが整うため、徐々に症状が穏やかになる方が多いです。
しかし、それでも副作用がつらかったり、ひどくなったりする場合は一度医師に相談しましょう。
ピルとの相性が良くないことや、思わぬ原因が他にあることも考えられます。
また、ピルの副作用により起こる血栓症の症状も見逃さないことが大切です。血栓症の副作用が起こる場合は、服用から3〜6ヶ月の間に起こりやすいといわれています。この期間、初期の血栓症でみられる足の痛み・痺れ・むくみ、頭痛やめまい、胸やお腹の痛みなどには注意が必要です。
ピルによる血栓症は早めの治療で命には影響しにくいものと考えられていますので、症状があったらすぐに医師へ相談できるよう準備しておきましょう。
まとめ
ピルを飲み始める時期や方法、服用のサイクル、飲み忘れた時や飲み間違えた時の対処法、ピルの副作用などについてご説明しました。
ピルを飲み始めるのは基本的に月経初日から5日までの間ですが、週末に生理が来ないようにしたい方にはSundayスタートという方法もありますので、こちらも覚えておきましょう。ピルは毎日固定の時間に飲むことで効果が期待できるため、飲み忘れない時間帯を選ぶことがポイントです。
また、ピルには21錠と28錠のものがありますが、どちらも実薬を飲むのは3週間です。これに休薬期間の1週間を加えた4週間でピルのサイクルは成り立っています。
もし飲み間違いがあったとしても、1日に2錠飲んだ場合は大きな問題はありません。飲み忘れがあった場合も、1日以内に1錠を飲んで、以降は固定の時間に服用を続ければピルの効果にも大きな影響はないでしょう。
今回ご紹介した内容から、ピルを服用する際のイメージがより明確になれば幸いです。