1日1錠を飲み続ける必要があるピルですが、飲み始め方やタイミング、飲み忘れがあったときにはどのような対処が必要なのでしょうか。毎日飲み続けるとなると、いつかは飲み間違えそうと思う方もいるかもしれません。
ここでは、ピルを飲み始めるタイミングや2シート目以降の飲み方、飲み忘れたときや、ピルを服用する際の注意点について説明します。
ピルを飲み始めるタイミング
ピルの飲み始め方にはいくつかありますが、おもには生理初日に飲み始める方法と、月経があった日の次の日曜日に飲み始める方法の2つがあります。
避妊効果や月経困難症・月経前症候群(PMS)の改善といったピルのメリットを得るためにも、自分に合った方法で服用をスタートしましょう。
生理初日
生理の初日から飲み始める方法で、Day1スタートともよばれます。生理が開始してから24時間以内に最初のピルを服用します。
飲み始めたときから避妊効果が期待できます。
月経後の日曜日
月経があった日の次の日曜日から飲み始める方法はSundayスタートとよばれています。月経初日が日曜日の場合はその日に服用を開始します。月経が週末に来ないようにできる点がメリットです。
Sundayスタートにすると休薬期間中の出血が火曜日か水曜日になるため、週末の予定が立てやすくなるでしょう。
2シート目のピルを飲み始めるタイミング
無事にピルを飲み始めることができた場合、次のシートを飲み始めるときはどのような流れになるのでしょうか。
21錠のピルと28錠のピル、それぞれについて説明します。
21錠タイプの場合
21錠タイプは3週間分の実薬のピルだけが入ったタイプです。お休みの1週間は服用するものがないため、服用の再開日を忘れないように注意が必要です。再開日にピルを服用できないと、妊娠してしまう可能性があります。
休薬の7日間が過ぎたら、忘れずに次のシートを1錠ずつ飲み始めましょう。再開日を間違えると避妊効果が薄れて、妊娠の可能性があります。カレンダーに書き込んだり、アラームが鳴るようにしておいたり、自分が忘れない方法で必ず再開できるようにしておく工夫が必要です。
28錠タイプの場合
基本的な仕組みは21錠タイプと同じく、1日1回、3週間にわたってピルの実薬を服用することになります。
28錠タイプでは、日数を数えやすくするために7日分の偽薬(プラセボ)も追加で含まれています。お休みの1週間はプラセボを服用するため、飲み忘れや日数の数え間違いをしそうな方は28錠タイプを選択するとよいでしょう。
休薬期間はプラセボを服用しますが、この間も避妊効果は持続しています。ただし、21錠タイプと同じく休薬期間のあとに実薬を飲み忘れると、排卵が起こって妊娠する可能性があるため注意が必要です。
28錠タイプは全ての錠剤を1日1錠ずつ飲み切るだけで飲み忘れを防げる点がメリットです。
現在21錠タイプのピルよりも28錠タイプのほうが多く処方されています。
ピルを飲み忘れた場合の対処法
ピルを飲み忘れたときは、1日の飲み忘れの場合と2日以上の場合とで対処方法が異なります。
1日以内の飲み忘れであれば、気付いたときに飲み忘れていた分の1錠を飲みましょう。その次の服用は、毎日飲んでいる時間帯に飲みます。結果的に1日に2錠飲むことになったとしても問題はありません。
ただし、1日飲み忘れるとピルから得られていた女性ホルモンがなくなり、生理が始まってしまう可能性があるため注意が必要です。
2錠分を飲み忘れてしまった場合は、ピルの服用を一度止めて、次の生理が来てから服用を再開するなどの対応が必要になります。
2日以上飲み忘れると、排卵が再開してしまい妊娠する可能性があります。2日以上飲み忘れた日から服用開始後1週間が経つまでは、ピルの避妊効果が不十分だと覚えておきましょう。
飲み忘れ以外にも、普段からお薬やサプリメントを服用している方は、それらと間違って服用しないように注意が必要です。
ピルに関する注意点
飲み忘れた場合に続いて、次はピルに関する注意点について紹介します。
避妊効果だけでなく月経困難症や月経前症候群の改善も期待できるピルですが、注意点についてもしっかりと理解しておきましょう。
避妊効果が得られるまでの期間を間違うと望まない妊娠につながってしまう恐れもゼロではなく、重大な副作用である血栓症の可能性も見逃せないものです。
ここでは、Sundayスタートの初期について、また副作用について説明します。
Sundayスタートピルは最初他の避妊法を併用する
Sundayスタートは避妊効果が得られるまで少し時間がかかることが注意点です。具体的には、ピルの服用を開始してから7日後に避妊効果が得られると考えてよいでしょう。
それまでは、性行為を避けることやコンドームの使用など、他の避妊方法を選ぶ必要があります。
副作用が出る場合がある
ピルの副作用として、飲み始めてから数ヶ月はホルモンバランスの変化により、下記の症状が現れることがあります。
● 吐き気
● 乳房の張り
● 頭痛
● 下腹部の痛み
● むくみ
● 不正出血
● 気分の変化や落ち込み
● 肌荒れ
また、ピルに含まれる卵胞ホルモンには血を固まりやすくする作用があることから、重大な副作用として血栓症リスクの増加が挙げられています。年間1万人のうち1~5人が血栓症になるといわれているところ、ピルを服用されている方だと3~9人の割合です。
もし血栓症の初期症状が現れる場合、服用開始から3~6ヶ月の間に注意が必要です。初期の血栓症でみられる症状には、足の痛み・痺れ・むくみ・頭痛・めまい・胸やお腹の痛みなどが挙げられます。
ピルによる血栓症は早めに治療することで命に影響しにくいものと考えられています。見逃さないようにしておいて、もし症状があったらすぐに医師へ相談できるように準備しておきましょう。
ピルに関するよくある質問
最後にピルに関するよくある質問について、ここではピルを飲み始めるタイミングと、ピルを飲む時間帯についての質問を紹介します。
ピルを飲み始めるタイミングはいつ?
Day1スタートとSundayスタート以外にも、飲み始めるタイミングはあります。
ピルは、基本的に生理開始後5日以内に服用を開始します。避妊効果は、飲み始めてから1週間で得られると考えておきましょう。
生理開始から5日以内に飲み始める理由としては、ピルの服用により卵子の成長をすぐに止めることができるタイミングであり、妊娠していないことがわかる状態だからです。
ピルはいつから飲み始めても良いものなので、できるだけ早く避妊を開始したい方は、その旨を医師に伝えましょう。
生理日に関係なく服用を開始する方法はクイックスタートともよばれています。クイックスタートの場合も妊娠していないことを確認する必要があるため、前回の生理から性行為が一度もない状態にしておく必要があります。
ピルを飲む時間がバラバラでも大丈夫?
服用はできる限り同じ時間帯にすることが望ましいです。アラームや管理アプリなどで飲み忘れない時間に固定してしまいましょう。
服用のタイミングは12時間以内のズレであれば問題はありませんが、それ以上の時間差は不正出血の原因や避妊効果が弱くなることにつながります。
不正出血が起こると次の生理が起こるまで服用を中止し、避妊効果が薄れることからコンドームの使用など他の避妊方法が必要になります。
飲む時間がバラバラだと飲み忘れをしてしまう恐れもあります。ピルを服用しているのに失敗したという方には、飲み忘れにより妊娠したという方が多いのも事実です。
また、もしピルの副作用により吐いてしまった場合は、服用から2時間以内であれば体に吸収されきっていないと考えられます。その場合はもう一度服用する必要があるため、注意しましょう。
まとめ
ピルを飲み始めるタイミングや2シート目以降のこと、飲み忘れたときや、ピルを服用する際の注意点について説明しました。
ピルはいつ服用を開始してもよいものですが、基本的には妊娠の有無が確認できる生理のタイミングに合わせます。飲み始める方法には、生理初日から飲むDay1スタート、生理があった次の日曜日から飲むSundayスタート、生理日に関係なく飲み始めるクイックスタートがありますので、自分に適した方法で飲み始めましょう。
2シート目以降は、21錠タイプでは特に休薬期間を数え間違えないように注意しましょう。飲み忘れがあった場合は、1日以内ならすぐに服用することで差し支えありません。2日以上の場合は、避妊効果が弱まっている可能性があるため、次の生理まで服用再開を待ちます。
副作用については、血栓症のリスク増加に注意が必要です。注意点についても理解したうえで、ピルの服用を検討しましょう。