HIV感染という病気をご存知でしょうか?
HIV感染症は、不治の病として恐れられた時期がありましたが、今日では様々な治療薬が開発され、寿命を全うすることが可能となりました。しかし、HIV感染症に対しての無知に起因する差別が問題になることもあります。
今回は、HIV感染症の症状や感染経路、対策法などを紹介します。
HIV感染症とは
HIV感染症とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症のことです。
HIV感染症と同じ様に扱われることが多いエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)は、HIV感染者が症状の進行により、免疫機能が低下し、23種類存在する合併症のうち1つ以上が発症した状態です。
HIVに感染しても合併症を発症していなければAIDSではないため、HIV感染症とは別物だといえます。
AIDSを発症すると免疫が働かなくなり、真菌症や原虫症、細菌感染症、ウイルス感染症、悪性腫瘍などの合併症が起きるため、AIDS発症を食い止めることがHIV感染症の治療目標です。
日本では、新規HIV感染者数は2016年に1448件報告され、調査開始から累計報告数が2.7万件を超えています。
HIV感染症の症状と潜伏期間は?
HIVに感染すると長い時間をかけて急性期、無症候期、AIDS発症期という経過を辿ります。
急性期であるHIVに感染して2〜3週間後には血中のHIV量がピークに達して発熱、喉の痛み、筋肉痛、皮疹、リンパ節の腫れ、頭痛などインフルエンザや風邪に似た症状を引き起こすことがあります。
この期間に無症状であることもあり、HIVに感染しても気づかないケースも多いので注意が必要です。血中HIVウイルス量は、半年後には低下します。その後、数年〜10数年ほどの無症候期という期間です。
無症候期は、自覚症状がないだけでウイルスが細胞を攻撃し、免疫力が低下していく期間です。無症候期を過ぎると繰り返す発熱、食欲不振、リンパ節の腫れなどが起きるAIDS症候群と呼ばれる症状があらわれ、23種類存在する合併症のうち1つ以上が起きることでAIDSが発症したと診断されます。
HIV感染症の感染経路は?
HIV感染症は、主に3種類の感染経路が存在します。
HIV感染症は、血液や体液の接触によって感染することが確認されています。
従来、出血したときに血が止まりにくくなる血友病という病気に対して、非加熱性血液製剤が治療に使用されていました。
1980年代には、製造中の処理が不十分であったためこの血液製剤にHIVが混入し、多くの血友病患者にHIV感染者を出しました。
現在では、献血由来の血液製剤は、加熱処理がされているためHIV感染リスクは限りなく低いです。その他にも、刺青や違法薬物の注射を使いまわすなど血液が付着している器具を使用する行為は、HIV感染のリスクがあるので注意が必要です。
現在、最も多い感染経路として性行為があります。HIV感染者の8割が性行為によるもので、HIVを含んだ精液や膣分泌液、血液などが性行為などで粘膜や傷口に直接触れることで感染します。
性行為の中でもHIVの感染リスクが高い行為として膣性交、肛門を介した性交、性器や肛門を舐める行為があります。
他の性感染症に感染している場合には、HIVの感染確率が上昇するためHIVだけでなく一般的な性感染症の対策を並行して行うといいでしょう。
HIV感染症は、母子感染によって感染することがあります。HIVに感染してから適切な対策をせずに出産をした場合には、約30%の確率で赤ちゃんへ感染するとされています。
しかし、妊娠初期に感染がわかって、適切な対策をすれば赤ちゃんへの感染確率は1%以下に減らすことも可能です。そのため、HIVの母子感染を予防するために妊婦検診は重要です。
ほとんどの産婦人科では妊娠3ヶ月ごろに初期検査を受けられ、HIVの検査を受けることも可能なので気になる場合には受けてみるといいでしょう。
日常生活では感染リスクはほとんどない
HIVは、人の細胞内でしか活動できないため、お風呂やプール、トイレなどの利用、食器の共用やペットボトルの飲み回し、キスなどによって感染することはありません。
また、HIVの感染経路として血液感染がありますが、蚊によっての媒介が起きないことから、日常生活においてHIVに感染するリスクはかなり低いです。
HIV感染症の対策法
HIVの感染経路として血液感染と性行為、母子感染があります。
血液感染に関しては、刺青や違法薬物などの注射の使い回しなど、血液が付着している器具を使用することでHIV感染リスクが上昇します。そのため、他人の血液が付着している可能性のある器具は使用しないことが対策法です。
また、HIVの主な感染経路として性行為があります。性行為によるHIVの感染を防ぐために、特定のパートナーとだけ性行為をする、コンドームを使用するなど他の性感染症と同様の対策が有効です。
母子感染に関しては、母体がHIVに感染していても早めに対策をすることで、子供のHIV感染を予防できます。そのため、妊婦検診の時にHIVの検査をすることがHIVの母子感染対策となります。
気になることがあれば医療機関へ受診する
HIVは感染しても自覚症状が少なく、感染に気づかない可能性もあります。早めの治療をすることでAIDS発症を防ぐことも可能なので、気になることがあれば医療機関でHIV検査をしてください。
まとめ
HIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで引き起こされる病気です。
HIVに感染すると発熱、喉の痛み、リンパ節の腫れ、頭痛などのインフルエンザに似た症状を引き起こすことがありますが、症状に気づかない方も多いです。
HIV感染症は、半年〜数十年の無症候期を経て、免疫の低下によりエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を発症します。そのため、HIV感染症は早期発見、早期治療をすることが重要です。
HIVの感染経路として血液感染、性行為、母子感染があります。性行為以外に日常生活における感染リスクは低いので、不特定多数と性行為をしない、コンドームを使用するなどがHIVの重要な対策法です。気になることがあれば医療機関で検査をしてみてください。
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参考文献
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/400-aids-intro.html
https://www.hok-hiv.com/knowledge/about/
https://www.std-lab.jp/stddatabase/hiv-aids.php