性交後に「中出しされた」と気づいた時、多くの方が強い不安を感じるでしょう。
結論として、排卵期以外の性行為でも妊娠の可能性はありますが、その確率は個人差が大きく、一般的には数%から10%程度とされています。
また、排卵期に膣内射精(中出し)された場合の妊娠確率は、最大で30%前後とされています。
膣内射精(中出し)された時の緊急避妊方法は、アフターピルの服用や銅付加IUD(子宮内避妊具)の装着をおすすめします。
性行為から72時間〜120時間以内にアフターピルを服用することで、避妊効果が期待できます。

膣内射精(中出し)の妊娠確率
膣内射精(中出し)があった場合、妊娠の可能性は月経周期のどのタイミングであったかによって変動します。
タイミング | 膣内射精(中出し)の妊娠確率 |
---|---|
安全日 | 約10%〜25% |
危険日 | 約30% |
- 安全日:性行為を行っても妊娠する確率が低いと考えられる期間のこと
- 危険日:1カ月の中で、最も妊娠する確率が高い期間のこと
安全日と危険日の定義や妊娠確率の詳細を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

安全日に膣内射精(中出し)をした場合の妊娠確率
一般的に「安全日」と呼ばれる月経周期の時期であっても、膣内射精(中出し)による妊娠の可能性はゼロではありません。
女性の月経周期は、ストレス、体調不良、ホルモンバランスの乱れなどで変動するため、排卵日を正確に予測することは医師であっても極めて困難です。
「安全日だと思っていたのに妊娠した」というケースは決して少なくありません。

危険日に膣内射精(中出し)をした場合の妊娠確率
排卵期(一般的に排卵日の前後約5日間)に膣内射精(中出し)があった場合、妊娠の可能性は高くなります。
これは、卵子が受精可能な期間と、精子が女性の体内で生存できる期間(最大約5日間)が重なるためです。
日本産婦人科学会の指針によると、この時期に避妊をせずに性交をすると、妊娠に至る確率は最大で30%前後に達すると報告されています。
参照元:日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)」
膣内射精(中出し)をされた時の避妊方法
万が一、膣内射精(中出し)をされてしまった場合、迅速かつ適切な行動をとることで、望まない妊娠を回避できる可能性があります。
医学的に効果が認められている主な緊急避妊方法について解説します。
アフターピルを服用する
膣内射精(中出し)後の緊急避妊として最も一般的なのは、アフターピル(緊急避妊薬)の服用です。
アフターピルの成分には黄体ホルモン(レボノルゲストレル)や、特定の受容体を調節するウリプリスタール酢酸塩が含まれています。排卵を抑えたり遅らせたり、子宮内膜の状態を変えて妊娠を防止します。
アフターピルの服用のタイミングは、性交後できるだけ早く、72時間(3日)以内に服用することで高い避妊効果が期待できます。
薬の種類によっては120時間(5日)以内まで効果が認められるものもあります。
薬剤名 | 服用できる時間 | 避妊成功率 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
レボノルゲストレル | 性行為後72時間以内 | 最大約95% (24時間以内) | 15,000円~ | ・国内承認 ・価格が比較的安い ・72時間以内に服用必要 |
エラ(エラワン) | 性行為後120時間以内 | 約98~99% | 17,000円~ | ・時間が経っても効果持続 ・排卵直前にも有効 ・未承認薬 |
ジョセイ | 性行為後120時間以内 | 約98~99% | 17,000円~ | ・エラのジェネリック ・効果は同等 ・やや安価 |
服用後は、吐き気や不正出血、頭痛、倦怠感などの副作用が起こることがあります。副作用が続く場合や強い症状が出た場合は、早めに医師に相談してください。
早急にアフターピルが必要な方はオンライン診療が便利です。ルナレディースクリニックはLINEで簡単にオンライン診療が可能です。

参照元:American Family Physician「BMI増加による女性における緊急避妊の有効性の低下」
日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)」
銅付加IUD(子宮内避妊具)を装着する
性交後5日(120時間)以内であれば、銅付加IUD(子宮内避妊具)の装着も非常に効果の高い緊急避妊法です。
銅付加IUDは、T字型の小さな器具を子宮内に挿入する方法。銅イオンが精子の運動を妨げたり、受精卵の着床を防いだりします。

銅付加IUD(子宮内避妊具)の妊娠阻止率は約99%以上と非常に高く、一度装着すると5年〜10年といった長期間の避妊効果が期待できます。
銅付加IUD(子宮内避妊具)の装着は産婦人科で医師による診察と施術が必要です。
また副作用として、装着後の軽い腹痛や出血、月経量の増加などが見られることがあります。
参照元:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)」
膣内射精(中出し)後のシャワーや洗浄は避妊効果がない
精子をシャワーや膣内洗浄で流すことはできず、妊娠リスクの低減には繋がりません。これらの行為に避妊効果はないため、使用は避けてください。
射精後、精子は数分という非常に短い時間で子宮頸管を通過し、子宮内へ進みます。そのため、物理的に洗い流すことは不可能です。
むしろ、石鹸やビデなどで膣内を過度に洗浄することは、膣内の自浄作用を弱め、細菌感染や炎症のリスクを高める可能性があります。
膣内射精(中出し)に関するよくある質問
ここでは、膣内射精(中出し)や妊娠に関して多く寄せられる質問にお答えします。
生理中に膣内射精をすると妊娠の?
生理中に膣内射精をしても妊娠する可能性は非常に低いですが、ゼロではありません。
一般的に生理中は妊娠しにくいと考えられています。
しかし生理周期が不規則だったり、生理と勘違いした不正出血が排卵期と重なることもあります。生理が長い場合や早発排卵があると、生理中でも妊娠することも。
精子は体内で数日間生存するため、注意が必要です。
コンドームが破れた時も避妊するべきですか?
はい、避妊するべきです。
コンドームの破損は、実質的に膣内射精(中出し)があった場合と同等の妊娠リスクがあると考えられます。
速やかにアフターピルの服用を検討するか、性交後5日以内であれば銅付加IUDの装着も選択肢となります。産婦人科医に相談し、適切な指示を受けてください。
アフターピル服用後に中出しをしても問題ないですか?
いいえ、問題があります。アフターピルは、服用時点以前の性行為に対して効果を発揮する緊急避妊薬であり、服用後の性行為には効果がありません。
服用後の性行為に対しては避妊効果はなく、新たに妊娠するリスクが発生します。
アフターピル服用後は、次の確実な避妊方法(コンドーム、低用量ピルの服用など)を開始するまで、避妊効果のある行動をとる必要があります。
膣外射精(外出し)で妊娠しないって本当?
膣外射精(外出し)は確実な避妊方法ではありません。
カウパー腺液(先走り汁)に精子が含まれている可能性があり、また射精のタイミングを完全にコントロールできないため、妊娠リスクは残ります。
射精前に分泌されるカウパー腺液には少量の精子が含まれている可能性があります。
また、射精のタイミングを正確にコントロールすることが難しく、一部の精液が膣内に漏れ出ることもあるため、膣外射精でも妊娠のリスクは残るのです。
まとめ
膣内射精(中出し)による妊娠の不安は深刻ですが、正しい知識を持ち、迅速かつ適切な行動をとることが何よりも重要です。
自己判断や誤った情報に惑わされず、医学的根拠に基づいた緊急避妊薬(アフターピル)の服用や銅付加IUDの装着といった選択肢を検討してください。
最も大切なのは、一人で抱え込まず、できるだけ早く産婦人科医などの専門家に相談することです。ルナレディースクリニックでは、LINEを使った簡単なオンライン診療サービスを提供しています。


