アフターピルは薬局やマツキヨで買える?入手方法や値段を解説

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

この記事を監修した医師
Avatar photo
川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

アフターピルの避妊効果を得るためには、基本的に72時間以内に服用する必要があります。
そのため、「マツキヨなどの薬局やドラッグストアですぐに入手したい」と考える方も多いでしょう。
現在、原則としてアフターピルの市販化は実現しておらず、処方箋がなければ購入できません。
万が一のケースに備え、アフターピルの購入方法や値段相場などについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

アフターピルはマツキヨなどの薬局・ドラッグストアでは買えない

アフターピルは医療用医薬品に分類されており、入手するには医師の処方箋が必要です。
そのため、基本的には薬局やドラッグストアではアフターピルを購入できません。
アフターピルの販売方法については、国によってさまざまです。
たとえばアメリカでは、一部の州で処方箋が必要なケースはあるものの、基本的には薬局でアフターピルを購入できます。
日本と他国を対象にした、アフターピルの販売方法については次の表のとおりです。

アメリカ処方箋は『不要』薬局で販売(OTC化)
イギリス
ドイツ
フィンランド
処方箋は『不要』薬剤師の服薬指導が必要
インド処方箋は『不要』薬剤師以外の医療従事者でも販売可能
シンガポール
韓国
日本
処方箋が『必要』

参照:厚生労働省|緊急避妊薬に関する海外実態調査 結果概要

処方箋なしでアフターピルを購入できる国は複数あるもの、日本ではアフターピルの購入には原則処方箋が必要です。

アフターピルの市販化は現状未定

日本でもアフターピルの市販化を求める声は上がっているものの、実現には至っていません。
その理由としては、次のような課題や懸念事項の存在が挙げられます。

<市販化に向けた課題や懸念事項>

  • 転売
  • 性暴力への悪用
  • 誤用や乱用
  • 妊娠していた場合の対応の遅れ
  • コンドーム使用率の低下による性感染症リスクの増大 など

上記のような課題を解決するため政府は、薬剤師への適切な教育や、国民への正しい情報提供といった対策を進めています。

一部の薬局では試験販売を行っている

厚生労働省によって、2023年11月から薬局でのアフターピルの試験販売が実施されており、市販化に向けた課題や安全性などが検証されています。

2024年12月時点で、試験販売が行われているのは全国約340店舗です。

全国における薬局の店舗数が約60,000施設あることを考えると、薬局の試験販売で手軽にアフターピルを購入することは難しいといえます。

試験販売における購入条件や必要書類、購入の流れは次の表のとおりです。

購入条件・緊急避妊薬を購入しての服用を希望している(※無償提供ではない)
・16歳以上の女性である
・調査研究への参加に同意している
・研究への参加同意やアンケートに協力できる
必要書類
(持ち物)
・公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証など)
・本人のスマートフォン、メールアドレス
・緊急避妊薬の購入費用と妊娠検査薬の購入費用
・お薬手帳(持っている場合)
・現金 など
購入方法①研究について理解する
②薬局へ本人から電話をして事前相談する
③薬局で薬剤師と面談する
④薬に関する説明を受け同意する
⑤薬を購入して服用する
⑥アンケートへ回答する(1回目)
⑦約3週間後に妊娠検査薬または産婦人科受診により妊娠の有無を確認
⑧アンケートへ回答する(2回目)

一部薬局でのアフターピルの試験販売は、厚生労働省による調査研究であるため、購入を希望する場合は研究への同意やアンケートに協力する必要があります。

16歳以上18歳未満の未成年の場合は、本人の同意に加えて保護者の同意も必要です。

薬剤師との面談では主に、性交渉があった日時や避妊具の使用の有無などを確認されます。

また、服用したことを確認できるよう、薬剤師の目の前でアフターピルを飲む必要もあります。

一部の薬局で購入できるアフターピルの値段

一部薬局での試験販売の価格相場は、7,000~9,000円程度です。
アフターピルは保険適用外であるため、薬局で入手する場合でも手頃な価格では購入できません。
試験販売で扱っているのは、性行後より72時間以内で有効の「レボノルゲストレル錠」のみです。

また、アフターピルの購入費用に加え、妊娠検査薬の費用(1,000~1,500円程度)が追加でかかる場合もあります。

オンライン診療でアフターピルを入手する場合の費用には診察料も含まれるため、薬局での試験販売よりもやや高くなる傾向にあります。

Amazonなどの通信販売サイトでの購入はリスクあり

Amazonなどの通信販売サイトでアフターピルを購入することは危険です。
前提として、アフターピルを入手するためには医師の診察と処方が必要であるため、一般的な通信販売サイトでは販売されていません。
そのため、通信販売サイトでアフターピルが販売されていたとしても、偽物である可能性が極めて高いでしょう。
また、「副作用が出たとしても相談できない」「配達までに時間がかかる」といったデメリットも存在します。

偽物・粗悪品との見分けがつかない

Amazonなどの通信販売サイトで販売されているアフターピルには、偽物や粗悪品がまぎれている可能性があります。

偽物や粗悪品の場合、避妊効果が得られないだけでなく、健康を害する成分が含まれている場合もあり危険です。

偽造医薬品の場合、外見だけで見分けることはほぼ不可能であるため、次のような特徴がないか確認してみてください。

  • 値段が安すぎる
  • PTPシートに包装されていない
  • 薬剤識別コードがない
  • 日本語表記がない

緊急性が高い場面で偽物を使用しないためにも、一般的な通信販売サイトでの購入は避けましょう。

副作用や服用方法の相談ができない

通信販売サイトで販売されているアフターピルの大半は、海外製の個人輸入された製品です。
個人輸入したアフターピルを服用した場合、万が一副作用が出たとしても、迅速に対応してもらえない場合があります。
個人輸入した海外製の薬の成分や作用については、医師や薬剤師でも十分な知見をもたないケースがあるためです。

また、海外製のアフターピルの場合、説明書が日本語表記でない場合が多いことから、服用量やタイミングなどを誤って使用する恐れがあります。

服用方法を誤ると、避妊効果を得られない可能性があるだけでなく、吐き気や頭痛などの副作用リスクも高まります。
アフターピルを安全に服用したい方は、医療機関を介してアフターピルを入手しましょう。

配達されるまでに時間がかかる

通信販売でアフターピルを購入する場合、自宅まで届けてくれるため、取りに行く手間がかからず便利です。
ただし、通信販売サイトで販売されているアフターピルは、ほとんどが海外から個人輸入されたものであり、手元に届くまでには数日~1週間程度かかります。

アフターピルは性行為から72~120時間以内に服用する必要があるため、通信販売サイトでの購入では間に合わない可能性が高いでしょう。

アフターピルを確実にすばやく入手するためにも、通信販売サイトは利用しないことをおすすめします。

アフターピルはどこで買える?適切な入手方法

正規のアフターピルを入手するには、「産婦人科や婦人科などを利用する」「オンライン診療を利用する」といった方法があります。
オンライン診療とは、オンライン上で医師の診察を受け、自宅や好きな場所にいながらアフターピルの処方が受けられるサービスです。
診察後には、最短即日でアフターピルが自宅へ郵送されます。

婦人科などの医療機関とオンライン診療における、入手方法のメリット・デメリットは次の表のとおりです。

入手方法メリットデメリット
産婦人科・婦人科・医師に対面で相談できる
・基本的にアフターピルを即日入手できる
・副作用への対応が早い
・通院の手間がかかる
・夜間対応している病院が少ない
オンライン診療・早くアフターピルを入手できる
・早朝や夜間でも診療してもらえる
・スマホがあれはどこからでも利用できる
・対面でのコミュニケーションができない
・身体的な状態を直接確認してもらえない

産婦人科や婦人科では受診できる時間や場所の制約があるものの、医師に直接相談可能で、万が一副作用が出た場合でも迅速に対応してもらえるメリットがあります。

一方のオンライン診療では、対面でのコミュニケーションは取れないものの、時間や場所を選ばず相談できるため、早朝や夜間でも自宅から利用可能です。

産婦人科・婦人科

産婦人科や婦人科でアフターピルをもらう場合、専門医による適切な診察と処方を受けられる点が大きなメリットです。
診療時間や場所の制約はありますが、基本的にはアフターピルを即日入手できます。
医療機関での処方の流れや診察時の必要書類、費用の目安は次の表のとおりです。

処方の流れ①予約・来院・受付
②問診表の記入
③医師による診察
④会計
⑤処方(院内処方の場合はその場で受け取れる)
必要書類(持ち物)・健康保険証
・お薬手帳(持っている場合)
・基礎体温表(ある場合) など
費用の目安約9,000~15,000円

確実にアフターピルを入手するためにも、受診する場合は営業時間や休診日を確認し、予約を取っておきましょう。
なかにはキャッシュレス決済が使えない医療機関もあるため、念のため現金を多めに持っておくと安心です。

オンライン診療


オンライン診療では医師と対面での相談はできないものの、時間や場所の制約がなく、早朝や夜間でも診察してもらいやすいメリットがあります。
オンライン診療における申込みから受け取りまでの流れ、診察時の必要書類、費用の目安は次の表のとおりです。

処方の流れ①診察の予約
②本人情報の登録
③WEB問診への回答
④医師による電話(ビデオ通話)
⑤診療決済
⑥アフターピルの発送
必要書類(持ち物)・本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
・クレジットカード
・スマートフォンまたはパソコン など
費用の目安約9,000~15,000円

オンライン診療では、電話やビデオ通話で医師の診察を受けます。
スムーズに診察を進めるためにも、安定したインターネット環境を準備しておきましょう。

アフターピルに関するよくある質問

ここからは、アフターピルに関する一般的な疑問点について解説します。

アフターピルの市販化はいつから?

アフターピルの市販化については、2023年の11月から一部の薬局で試験販売がはじまりました。
しかし、誤用・乱用の防止や薬剤師の教育といったさまざまな課題があり、市販化までの具体的なスケジュールは未定の状況です。

アフターピルは男性も購入できる?

男性はアフターピルを購入できません。
アフターピルの購入には原則として処方箋が必要であり、処方箋をもらうには、女性本人が診察を受ける必要があるためです。
また、男性だけで安易にアフターピルを購入できる状況になると、誤った使用方法や乱用につながる可能性もあります。

一部の医療機関では、付き添い自体も不可とされている場合があるため、付き添いたい場合は事前に医療機関に問い合わせましょう。一部の薬局で行われているアフターピルの試験販売でも、男性のみでは購入できません。

まとめ

アフターピルは、マツキヨのような薬局やドラッグストアでは購入できません。
アフターピルは医療用医薬品であり、入手するには原則処方箋が必要なためです。
2025年2月現在、一部の薬局でアフターピルの試験販売が行われていますが、まだ試験段階であり、全国的な市販化の目途はたっていません。

アフターピルを安全に使用する方法としては、婦人科の受診やオンライン診療がおすすめです。
アフターピルは自由診療のため、クリニックごとに値段に差はありますが、9,000~15,000円程度で入手できます。
忙しくてなかなか病院に行けない方や、対面での診察に抵抗がある方には、オンライン診療が向いているでしょう。

自宅にいながら、診察から決済、薬の入手まで完了するためとても便利です。
本記事を参考に、ご自身の状況に合ったアフターピルの購入方法を見つけてみてくださいね。