「中絶手術は初診の日に受けられるのかな?」
「早く中絶手術を受けたい」
望まない妊娠をした女性のなかには、このようなお考えをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、医療機関によっては初診当日に中絶手術を受けられるところもあります。
ただし、術前には血液検査をおこなうほか、周りと十分に相談する時間も必要なことから、初診当日の中絶手術は推奨されていません。
本記事では中絶手術を初診当日に受けないほうがよい理由を詳しく解説します。中絶手術は心身ともに負担のかかる手術です。不安な気持ちに押しつぶされそうな方も一旦落ち着き、後悔しない選択をしましょう。
中絶手術は診察日当日に即日でできる?

妊娠12週未満であれば、初診当日に日帰りの中絶手術を受けられる場合があります。しかし、初診当日の手術は推奨されていません。
中絶手術を安全に受けるためには、以下のような事前準備が必要なため、診察日と手術日を別日に設定するのが一般的です。
- 医師からの十分な説明を受ける
- 中絶手術に伴う合併症のリスクを理解する
- 術前検査を受ける(超音波検査や血液検査など)
- 絶飲食
そもそも中絶手術は初期と中期に分けられ、初期中絶は妊娠11週6日まで受けられます。
一般的には、器具を使用して子宮内の内容物をかき出す掻爬術(そうは)でおこないます。12週からは中期中絶となり、人口的に陣痛を起こして流産する方法です。
初期よりも体への負担が大きく術後は入院が必要になるほか、実施できる医療機関が限られているため、初診当日に中絶手術を受けられるとは限りません。
また、医療機関には最終の来院時間が定められていて、遅い時間に受診した場合には手術を受けられない可能性もあります。
初診当日手術はやめたほうがいい理由

中絶手術を診察したその日に受けるのは推奨されていません。
前述したように、妊娠週数を正確に判断したり血液検査を受けたりする必要があるほか、相談する時間や経済的な負担を考えることが重要だからです。
- 検査やカウンセリングの時間が必要だから
- 手術を受けるか考える時間が必要だから
- 経済的な負担が大きくなるから
それぞれ詳しく解説するため、中絶手術を検討している方は参考にしてください。
検査やカウンセリングの時間が必要だから
中絶手術を安全におこなうためには、事前の検査やカウンセリングを念入りにおこなう必要があります。
万が一、性感染症にかかっている状態で中絶手術を受けると、合併症を引き起こす可能性があるからです。
本来、術前には血液検査をおこない、HIVや梅毒、クラミジアや貧血をチェックします。重度の貧血だと判断された場合は中絶手術で大量出血があった際に危険なため、薬や点滴などで改善してからおこなう場合もあるでしょう。
初診当日となれば、検査結果が出ないままに中絶手術することになる可能性もあり、リスクをともないます。
自分の身体を守るためにも、事前の検査やカウンセリングに充分な時間を割いている医療機関を選ぶことが重要です。
手術を受けるか考える時間が必要だから
中絶手術は診察を受けたあと、家族やパートナーとじっくり考える時間が必要です。
中絶は身体に負担がかかるのはもちろん、心理的なストレスもかかります。手術を受けるのは女性ですが、パートナーや家族と話し合い納得できる結論を導き出す必要があります。
焦りや不安からすぐに中絶手術を決めて、もう少し考えたらよかったと後悔しても時間は戻せません。悔いのない選択をするためにも医師のアドバイスを受け、改めてゆっくり考えることが大切です。
不安や心配を解消できるよう、患者に寄り添うカウンセリングをしてくれる医療機関を選びましょう。
経済的な負担が大きくなるから
診察を受けたその日に中絶手術できる場合、医療機関によって別途料金が加算される可能性があります。
費用目安は医療機関によって異なりますが、初期中絶は10〜20万円、中期中絶は20〜50万円と決して安くはありません。
さらに、中絶手術は保険適用外で全額自己負担のため、別途加算されると経済的負担がより大きくなるでしょう。なかには土日祝に中絶手術を受ける場合にも加算されることがあります。
中絶手術は手術費用以外にも検診費用や術後の投薬治療費が必要です。事前に医療機関の公式ホームページを確認し、料金体系を把握しておきましょう。
初診当日で中絶手術を受ける際に気をつけたいこと
初診当日に中絶手術を受けることは推奨されていません。しかし、もし初診当日に手術を受けるなら気をつけたいことがあります。
これから解説するポイントを守らなければ、安全に手術できないと判断され、中絶を受けられない可能性があります。初回の診察日に手術を考えている方は参考にしてください。
電話やネットで即日対応可能か確認する
受診する医療機関が初診当日の中絶手術に対応しているか確認します。すべての医療機関が診察したその日に中絶手術できるとは限りません。診察日と手術日を分けている医療機関もあるため、事前に調べておく必要があります。
その際、必要な持ち物や書類、生活面で気をつけることがあるか聞いておくと安心です。
初診当日の中絶手術を希望する場合、事前に電話で問い合わせるようWebサイトに記載している医療機関もあります。まずは、病院やクリニックのWebサイトをチェックしてみましょう。
必要な持ち物と書類を準備する
初診当日に中絶手術を受ける場合、以下のものを準備しておきましょう。
- 健康保険証
- お薬手帳
- 印鑑
- ボールペン
- 生理用ショーツ
- 夜用ナプキン2~3枚
- メガネ(コンタクトを着用している場合)
- メイク落とし(化粧をしている場合)
- 除光液(ネイルをしている場合)
- 問診票
- 手術同意書
初診当日の中絶手術に対応している医療機関では、Webサイトから問診票や同意書をダウンロードできる場合があります。あらかじめ書いておき、忘れずに持参しましょう。
メイクやネイルは自宅で落とし、コンタクトを使用している場合はメガネに替えてから受診するとスムーズです。
また、術後しばらくは出血が続きます。サニタリーショーツと大きめのナプキンがあると安心です。
術前は絶食・絶飲する
中絶手術の前には、絶飲・絶食が必要です。麻酔をかけた直後や麻酔中に嘔吐した場合、胃の内容物が気道や肺に入ると、肺炎や窒息を引き起こします。
手術の前に胃の中を空にしておく必要があるため、絶飲・絶食の指示はしっかり守りましょう。
一般的には、中絶手術が始まる6時間前から絶食、3時間前からは飲水も禁止です。医療機関によって絶飲食の開始時間が異なるため、事前に確認しておきましょう。
誤って飲食をしてしまうと、手術を受けられない可能性もあります。
マニキュアやジェルネイルは除去する
手術を受ける前にはマニキュアやジェルネイルは除去しておく必要があります。手術中は指先に装着する機器でバイタルサインといわれる脈拍や酸素飽和度を測定しますが、ネイルをつけたままだと正確な数値が得られません。
また、緊急時には爪の色の変化で体調を確認することもあるため、ネイルをしていると対応が遅れる可能性もあります。診察日までにネイルは除去しておきましょう。
中絶手術に関するよくある質問
中絶を検討する際、手術に関する疑問や不安な気持ちを抱くこともあるでしょう。
ここでは、中絶手術の流れと手術後の注意点について詳しく解説します。中絶手術を検討している方は、ぜひ参考にしてくださいね。
中絶手術の一般的な流れは?
中絶手術の一般的な流れは下記のとおりです(※吸引法の場合)。
- 予約
- 来院(初診日)
- 受付(問診表の記入)
- 診察(超音波検査・血液検査など)
- 手術内容の説明(同意書の記入)
- 手術日の予約
- 来院(手術当日)
- 着替え
- 点滴
- 麻酔
- 手術
- 数時間安静(麻酔が完全にさめて歩行できるまで)
- 薬の処方・注意点などの説明
- 会計
- 診察(後日)
中絶手術の方法や合併症のリスク、費用などについて医師から詳しい説明があります。疑問や不安なことがあれば、担当の医師に直接きいてみましょう。
また、中絶手術を受ける際は、基本的に相手の男性の同意書が必要です。未成年の場合は保護者の同意が求められる場合もあるため、事前に相談しておきましょう。
手術を受けることが決まったら、超音波検査で正確な妊娠週数を把握し、血液検査やおりもの検査などで母体の健康状態を確認します。
中絶できる期間や、中絶手術の種類などを知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:人工中絶手術にかかる費用や全体の流れ・注意点を解説!
中絶手術を受けた後の注意点は?
中絶手術後は、スムーズな回復を促すために以下の点にご注意ください。
- 中絶手術当日は車や自転車の運転を避ける
- 術後から3日は安静に過ごす
- 術後1週間は激しい運動を避ける
- 2週間は性交渉禁止
- 避妊する
- 激しい痛みや大量出血があったらすぐに受診する
- 術後1週間は入浴を避け、シャワーのみにする
中絶手術を受けた当日は、麻酔の影響で頭がぼんやりする場合があります。車や自転車の運転は避け、ご家族や付き添いの方に送迎してもらうとよいでしょう。仕事は休みをとっておくと安心です。
また、麻酔が切れると下腹部に痛みを感じるケースが多くあります。翌日あたりから徐々によくなっていくのが一般的ですが、子宮が元の状態に戻るまでには2週間ほど必要です。
以下のような症状がみられる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 生理2日目のような出血が3日以上続く
- 生活に支障をきたすような激しい痛みが続く
- 38.5℃以上の発熱が2日以上続く
妊娠12週未満の場合、日帰りの中絶手術が基本的ですが、心身ともに大きな負担がかかることに違いはありません。激しい運動や重い荷物を持つ作業は避け、できるだけ安静に過ごしましょう。
また、基本的に中絶手術から2週間は性交渉禁止です。痛みや出血がおさまっていれば性交渉を再開しても問題ありませんが、この時期は排卵時期と重なる場合も多く、生理が再開していなくても妊娠の可能性があります。
望まない妊娠をしないように必ず避妊する必要があります。もし避妊に失敗したら連続で妊娠する可能性があり、身体にも大きな負担がかかります。コンドームを正しく使用する、ピルを服用するなど、避妊についてパートナーとよく相談しておきましょう。
まとめ

中絶手術は初めて診察を受けたその日にできますが、推奨はされていません。事前の検査やカウンセリングを念入りにおこない、診察を受けてからゆっくり考える時間が必要です。
術前の血液検査で万が一、性感染症にかかっていることがわかれば合併症のリスクが高まるため、即日の手術は困難です。また、不安や気の焦りからすぐに中絶した場合、もう少し考えたらよかったと後悔する可能性もゼロではありません。
中絶にはある程度の費用が必要になるほか、身体への負担や心理的ストレスも大きい手術です。初診当日に受けるかどうかは医師と相談するのはもちろん、家族やパートナーとも話し合い納得する答えを出すことが大切です。

