排尿しようとすると激しい痛みがあってできない・・・。もし、性器にヒリヒリとした痛みや、ぶつぶつや水疱ができていたら、性器ヘルペスに感染しているかもしれません。
性器ヘルペスは、一度感染すると再発を繰り返す病気です。また、感染しても無症状であることも多く、知らないうちにパートナーへ感染させてしまうこともあります。
症状の悪化や再感染のリスクを下げるためには、検査を受けて適切な予防策を取ることが大切です。あなたや大切なパートナーのためにも、違和感があれば病院で検査を受けることをお勧めします。
本記事では、性器ヘルペスとはどのような病気なのか、具体的にはどんな症状が出るのか。また感染経路や症状の治療、予防法などを解説していきます。
性器ヘルペスとは?
性器ヘルペスとは、ウイルスへの感染により発症する性病の一つです。原因となるのは、「単純ヘルペスウイルス」の1型と2型であり、発熱や倦怠感、水疱、排尿時痛、鼠径リンパ節腫脹などの症状を伴います。下半身にできる性器ヘルペスと、口や顔面など上半身にできる口唇ヘルペス、炎症が生じている部位により分類されます。
性器ヘルペスではどんな症状が?
性器ヘルペスは、初めて感染した際には症状が重く、多くは激しい痛みを伴うことがあります。一方で、再発時には、多くの場合、初感染時よりも症状は軽減する傾向にあります。では、それぞれどのような症状が出るのか、詳しくみていきましょう。
性器ヘルペスでは性器付近に症状が現れます。外陰部や膣の入口、子宮頸管、お尻の付近、鼠径部(Vライン)に水疱ができ、腫れて強い痛みが生じることもあるでしょう。水疱は一部破れて浅い潰瘍といわれる窪みになります。
そのほか、38度以上の発熱や排尿時痛、鼠径リンパ節腫脹といわれる股関節周りにコリコリとしたリンパ節を触れることがあります。重症化すると髄膜炎に至る恐れもあります。
男性の場合は、ペニスや包皮、陰茎部、肛門などに症状が現れることがあります。発疹に加えて、強い痛みと発熱を伴うことは、女性と同様です。
性器ヘルペスは、再発を繰り返しやすい病気です。2回目以降は、体内の神経節に潜伏しているウイルスが活性化して症状が現れます。
疲労やストレスが溜まっていたり、風邪を引いていたりと、免疫力が低下している時に再発する可能性が高くなります。また、女性であれば月経周期による影響を受けることもあります。
生理前はホルモンバランスが乱れ、免疫力が低下することで、再発しやすくなるのです。さらに、性行為時の摩擦によっても、目に見えない小さな傷からウイルスが侵入し、再発してしまうこともあります。
再発症状としては、初感染時よりも軽いことがほとんどです。再発頻度は個人差が大きく、1か月に何回も再発する人から、数年に1回程度の人まで、幅があるといえます。
性器ヘルペスは、一度感染すると体内の神経節に潜伏して残存することが特徴です。一度感染すると完全にウイルスがなくなることは難しいといわれています。再発を予防するには、免疫力を低下させないことが重要です。ストレスを過剰に溜めないようにしたり、アルコールを控えたりする、糖尿病をしっかり治療するなど、生活習慣に気を配ってくださいね。
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性器ヘルペスの潜伏期間は?
性器ヘルペスについて注意すべき点として、潜伏期間があります。他の性病と同じように、性器ヘルペスにも感染してから症状が現れない期間があります。例えば、性行為直後には無症状であっても、1週間以上経ってから症状が現れる可能性があるのです。
初感染時には、感染してから2~10日間の潜伏期間を経て突然発病することが特徴で、急性型といわれます。性器の周辺が赤くただれて水疱ができ、発熱を伴うことなどの症状が急激に現れます。
性器ヘルペスの感染経路は?
感染者の約6割が症状に気づかないことが多いことも、性器ヘルペスの大きな特徴です。感染力が高いと言われている性器ヘルペスですが、どのようにして感染が広がってしまうのでしょうか。
性器ヘルペスは、性行為によって感染することが多いです。症状が自覚できている時は、ウイルスが体外へ多量に出ている状態だといえるでしょう。ただ、無症状の場合も、陰部の皮膚や粘膜を通じてウイルスは排出されています。
WHOによると、性器ヘルペスの診断を受ける前に、感染の申告があった人は「全体の10~20%」です。ほとんどの人が、性器ヘルペスにかかっていることに気づきません。
特に感染リスクが高いのは、今までにヘルペスに感染したことがない人や、免疫力が低下している人です。無症状の感染者が、これまでに感染したことのない人に広げてしまいます。
性行為以外でも感染してしまうケースもあります。ヘルペスウイルスは感染力が強く、唾液や精液にウイルスが含まれていることがあるのです。そのため、キスや性器に触れた手で相手を触ってしまうと、感染を広げてしまう可能性があるので気をつけましょう。
また、性器にできるヘルペスだけではありません。口唇ヘルペスと呼ばれ、口や顔面などに症状が現れる場合もあるため、オーラルセックスでも感染してしまいます。
その他にも、感染している人が使用したタオルやトイレの便座、箸やコップの共有や感染の原因になりえます。
ただし、性器ヘルペスへの感染の多くは性行為によるものです。そのため、性行為時にはコンドームの着用を徹底することが有効な予防策だといえます。
また、オーラルセックスについても、行為を避けるか、コンドームを着用してください。ただ、感染の原因は性行為だけではありません。「感染しているかもしれない」という可能性を念頭に置いて、感染が疑われる状態でなくてもコンドームを必ず着用しましょう。
妊娠中に性器ヘルペスを発症すると、分娩の際に新生児にヘルペスが感染し「新生児ヘルペス」という病気になるリスクがあります。お母さんの発症時期や初発か再発か、抗体価によって感染リスクは異なります。場合によっては、帝王切開術を行う方針に切り替えることもあります。
1. 妊娠前や妊娠初期〜中期に感染した場合
お母さんの胎盤を通じて赤ちゃんに免疫ができるため、新生児への感染リスクは小さいです。
2. 妊娠後期や出産時に感染した場合
胎児がヘルペスに対する免疫を獲得していない可能性があるため、新生児ヘルペスとなるリスクがあります。場合によっては、帝王切開術を行う方針に切り替えることもあります。
性器ヘルペスの治療方法
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルス1型/2型によって発症する性感染症であり、ウイルスを体外に完全に排出するのは困難です。内服薬や軟膏により、ウイルスの活動性を抑え、ウイルスを陰部から消失させることが主な治療です。
発症早期もしくは発症前の予兆の段階での抗ウイルス薬による治療が効果的です。治療によって、症状を早期に改善することができます。症状が出現したら、すぐに医療機関を受診しましょう。
しかし、抗ウイルス薬を投与してもウイルスが神経内に潜伏し、再発を防ぐことはできません。
最もストレスなのは、再発を繰り返すことへの不安かと思います。再発頻度の高い方は、ウイルスの増殖を抑え、再発を防止する内服薬が使用されることもあります。
まとめ
- 性器ヘルペスの原因は単純ヘルペスウイルス1型/2型です。主な症状は、水疱や赤い発疹、灼熱感、発熱、強い痛みなどです。
- クラミジアについで2番目に多い性感染症といわれており、患者は増多傾向です。
- 初感染時は症状が比較的重くなります。重篤化すると、髄膜炎を併発したり、歩行困難となり入院が必要になることもあるので注意が必要です。
- 治療には抗ウイルス薬が有効ですが、根治できる可能性は高くなく、再発を繰り返します。発症早期もしくは発症前の予兆の段階での治療が効果的です。症状が出現したら、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 再発への不安は大きなストレスになるため、再発を抑制する薬を服用することもあります。
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参考文献:
- 産婦人科専門医のための産婦人科必修知識2020年度版:日本産科婦人科学会
- 産婦人科診療ガイドライン 産科外来編2020:日本産科婦人科学会
- 厚生労働省検疫所:単純ヘルペス、性器ヘルペス (ファクトシート)
- https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/02101305.html