どうして生理が終わらないの?5つの原因とよくある質問を解説

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

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川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

「なぜか生理が終わらない」「生理が長引いていたら病院に行くべきなの?」とお悩みの方はいませんか?
いつもより生理が長引くと不安になることでしょう。

そこで本記事では、生理が終わらない5つの原因やよくある質問などを解説します。

生理の基礎知識

生理の正式名称は「月経」で平均11~13歳頃に初潮を迎える方が多いです。基本的に約1カ月の間隔で起こり、経血と呼ばれる赤~暗赤色をした出血がおおよそ7日程度性器から排出されます。

この経血には、妊娠のために成熟していた子宮内膜が含まれており、ホルモンのはたらきによって子宮収縮が起こることで、子宮内膜が剥がれ、血液とともに体外へ排出される仕組みです。

生理には「生理期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの期間があり、生理が来るようになったということは、体が赤ちゃんを受け入れる準備ができたというサインなのです。

生理のサイクルで分泌される2つのホルモン

生理の周期中は「エストロゲン」「プロゲステロン」と言う2つのホルモンが分泌されます。

エストロゲンは生理期~卵胞期にかけて分泌量が増加し、生理や妊娠、出産はもちろん皮膚や骨、内臓などのはたらきに大きな影響を与えています。

一方、プロゲステロンは卵胞期~黄体期に分泌量が増加します。基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させたり、乳腺を発達させたりするなど、体を妊娠に備えるためのホルモンです。このプロゲステロンは妊娠しなかった場合、排卵の1週間後くらいから減少していきます。

生理が長期間終わらない「過長月経」とは?

「過長月経」とは、生理が8日以上ダラダラと続くケースのことです。女性ホルモン分泌に関する器官である視床下部や脳下垂体、卵巣などに何らかのトラブルが生じることが原因とされています。

この場合、体が何らかのSOSを出している可能性が高いです。そのため、毎月の生理が8日以上続く場合は病院を受診する必要があります。

生理が終わらない5つの原因

原因①:ホルモンバランスの乱れ

生理が長引く原因として、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのバランスが乱れていることが考えられるでしょう。

エストロゲンとプロゲステロンは生理をつかさどるホルモンであるため、この2つのバランスが乱れると生理が終わらない原因に繋がります。

この場合、過度なストレスや生活習慣の乱れが関係している可能性があります。ストレスの解消や生活習慣の見直しで改善することが大半ですが、それでも生理が長引く場合は、一度病院を受診しましょう。

原因②:黄体機能の不全

黄体機能不全とは、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が、視床下部下垂体や卵巣、子宮内膜の異常によって不十分になることです。
この黄体機能不全によって、生理が長引くことも考えられます。特に閉経前の方に多いケースです。

原因③:更年期

更年期になると、ホルモンバランスが乱れやすくなるため、少量の出血がダラダラと続いたり、一度に大量に出血したりするなど症状は不安定になります。

また、全ての更年期を抱える女性が生理が長引くわけではなく、中には過短月経のように経血量が少なく生理の日数も短いという方もいます。

原因④:ピルの影響

ピルを服用していると休薬期間と呼ばれる時期に消退出血と呼ばれる生理のような出血が起こります。このとき、約20%の方は副作用として不正出血が起こるとされており、これにより生理が終わらないと感じるケースも多いです。

この不正出血は、3シートほど服用し続けると改善されるため、飲み続けても特に問題はありません。しかし、どうしても不安な方は処方を受けた病院へ相談してみましょう。

原因⑤:病気

生理が終わらない場合、何らかの病気を発症していることも考えられるでしょう。ここでは、生理が長引く症状が含まれる病気を6つご紹介します。

①無排卵周期症

無排卵周期症とは、生理時に出血はあるものの、排卵が伴っていない状態のことです。
このときよくみられる症状は「過長月経」「過多月経」「過小月経」「過短月経」などが挙げられます。

無排卵周期症の原因としては、過度の運動や環境変化によるストレス、ダイエットや多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)と呼ばれる病気が考えられます。

【無排卵周期症の特徴】
①生理異常(短い・長い・多い・少ないなど)
②生理の出血はあるが、排卵していない
③不正出血
④不妊
⑤基礎体温に低温期と高温期の変化がない

②子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋(へいかつきん)と呼ばれる筋肉組織が関係している良性の腫瘍です。幅広い年齢層で起こりやすい病気で、無症状の方もいます。

しかし、経血を排出する際の子宮収縮機能に異常が出たり、子宮内膜が厚く形成されたりすることによって、出血が止まらなくなってしまう場合もあります。

【子宮筋腫の特徴】
①過長月経
②経血の量が通常よりも増加している(過多月経)
③レバーのようなプルプルとした血液の塊が出てくる
④頻尿になる
⑤貧血になりやすい

③子宮ポリープ

子宮にできるポリープには「子宮頸管(けいかん)ポリープ」「子宮内膜ポリープ」があります。子宮頸管ポリープは、子宮頚部の組織が増殖し、子宮頸管内に指のような形で突き出た良性の腫瘍です。

子宮内膜ポリープは、炎症や分娩、流産、女性ホルモンが原因で起こりやすいとされていますが、初期症状が全くない方も多いです。

【子宮頸管・内膜ポリープ】
①過長月経
②膿のようなおりものが出る
③生理痛が強くなる
④過多月経
⑤運動・性交・排便時のいきみで出血しやすい

④子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に類似した組織が子宮平滑筋と呼ばれる組織の中にできる病気です。
この子宮腺筋症は、エストロゲンが症状を進展・悪化させるため、生理がある限り、進行が止まらないどころか、病気によって心身に変化があると、その部分の子宮筋層が厚くなります。

また子宮腺筋症が大きくなると、周囲にある臓器を圧迫してしまうため「便秘」「頻尿」などの症状が出現する可能性も高いです。加えて、不妊症や流産を繰り返す原因にも繋がる病気です。

【子宮腺筋症の特徴】
①過長月経
②便秘
③頻尿
④段々と症状が激しくなる
⑤痛みが下腹部以外にも足や肛門へと広がる

⑤子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜という組織が子宮以外の場所で増加してしまう病気です。
本来、子宮内膜は子宮の内壁の1番表面にあるものですが、子宮内膜症になると、元々は子宮内膜からの出血が、卵巣や腸の腹膜から起こってしまいます。

子宮内膜症は、病気が進行すると生理痛が段々と強くなり、生理時以外にも下腹部や腰が痛みを感じるようになります。特に、排便痛や性行為時の強い痛み、不妊は子宮内膜症特有の症状です。

【子宮内膜症の特徴】
①過長月経
②腹痛
③以前よりも生理痛が強くなった
④過多月経
⑤妊娠を望んでも叶わなかった経験がある

⑥子宮がん

子宮がんは主に「子宮体がん」「子宮頸がん」の総称です。子宮体がんは、年間1万5,000人以上が診断されている病気で、生理期間外に血の臭いが強いおりものが出たり腹痛になったりします。

そして子宮頸がんは、子宮の入り口部分にある子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって起こる病気で、茶色や黒褐色でネバつきのある悪臭のおりものが出ます。
どちらに関してもなるべく早い治療が必要です。

【子宮がんの特徴】
①生理と見分けがつきにくい
②茶色~黒褐色でネバツきのある悪臭のおりものが出る
③生理期間外に血の臭いが強いおりものが出る
④子宮体がんは高齢者、子宮頸がんは20代~30代で発症しやすい
⑤足腰の痛みを伴う

病院の受診目安

生理が終わらないまま次の生理が始まってしまう

生理がダラダラと続いた状態で、次の生理が始まってしまう場合、何らかの病気が原因の可能性があります。また、ひどい貧血を引き起こすこともあるため、なるべく早く病院を受診しましょう。

生理での出血以外に気になる症状がある

生理の出血以外にも、下腹部痛やおりものの変化など気になる症状がある場合、子宮内膜症や子宮がんなど、重大な病気が隠れている可能性があります。

出血量が多い

生理時の出血が多い場合、貧血を引き起こす可能性や何らかの病気が隠れている可能性があります。症状を軽く考えず、病院を受診してください。

生理が終わらないときによくある質問【Q&A】

生理が終わらないときは何科へ行けば良いですか?
生理が終わらないときや、生理全般の悩みは婦人科を受診してください。
生理が終わらないまま放置すると、どうなりますか?
生理が終わらないまま放置していると、貧血を引き起こす可能性や、病気が悪化して妊娠が困難になるなどのリスクが高くなります。また、妊娠以外にも重大な病気の場合、命に係わる可能性もありますので、なるべく早く病院を受診してください。
生理の出血が出ている状態でも病院を受診して良いですか?
はい。大丈夫です。
生理中でも内診はしますか?
出血しているときは内診はせず、問診や視診、超音波検査を行います。
診察内容は、病院によって異なりますので、気になった方は一度受診したい病院へ問い合わせてみてください。
生理が終わらないときに病院を受診する場合、服装は何が良いですか?
下着を脱ぎ着しやすいようにスカートワンピースがおすすめです。
過長月経になりやすい人はいますか?
不規則な生活をしている方や、何らかの病気を発症している方は過長月経になりやすいと言えますが、明確な基準はありません。

生理が終わらないことについて詳しく知りたい方はルナレディースクリニックへ

今回は生理が終わらない5つの原因や、よくある質問などを解説しました。
ルナレディースクリニックはお客様一人ひとりの悩みに寄り添い、ベストな対処法を提案させていただきます。今回の記事も、参考になれば幸いです。

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