「20代になっても生理不順になる原因は?」
「生理不順の改善方法を知りたい」
20代女性のなかには、上記のように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論として、20代になっても生理が安定しないケースは多々あります。ホルモンバランスの乱れや生活習慣の影響など原因はさまざまです。
場合によっては婦人科系の病気が隠れていることもあるため、生理不順が長く続いている方は医療機関への受診を検討する必要があります。
本記事では生理不順を引き起こす主な原因と、改善方法を解説します。生理不順に悩んでいる、生理周期が安定しないと感じている20代女性は参考にしてください。
20代~30代でも生理不順になりうる
20代〜30代になると女性ホルモンの働きが安定し、生理周期が定まってくる場合がほとんどです。
しかし、なかには生理不順の方も多くいます。
正常な生理周期の間隔は25~38日までといわれ、1週間前後のズレは問題ありません。
しかし、生理周期が24日以内なら頻発月経、39日以上3か月未満なら稀発月経(希発月経)と呼び、生理不順とみなされます。3か月以上も生理が来ない場合は無月経といい、妊娠率が低下するおそれがあります。
将来妊娠を望んでいたり、生理不順によって体調に影響を及ぼしていたりする場合は医師への相談がおすすめです。病気の早期発見にもつながるため、不安を感じている方は受診を検討してみましょう。
20代で生理不順になる主な原因
20代で生理不順になる主な原因は、下記のとおりです。
- ホルモンバランスの乱れ
- ストレスや過度なダイエット
- 体重の急激な変化
- 生活習慣の影響
- 更年期の症状
- 病気の可能性
それぞれ詳しく解説します。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、生理不順の主な原因のひとつです。女性ホルモンの分泌が乱れると、排卵や月経のタイミングが乱れて生理不順を引き起こします。
仕事やプライベートでのストレスが蓄積されると、食で発散する女性も多くいるのではないでしょうか。不規則な生活や過度なストレスが続くとホルモンバランスが不安定になってしまいます。
ホルモンバランスの乱れを放置すると、将来的な不妊リスクや骨密度の低下などにつながる可能性があります。定期的な婦人科検診で早期にホルモンバランスの乱れを発見できれば適切に対処できるため、受診を検討してみてください。
ストレスや過度なダイエット
強いストレスは体内のホルモンバランスを崩し、生理周期に影響を及ぼします。ストレスは自律神経を乱して、女性ホルモンの分泌を抑制するからです。
また、過度なダイエットは体脂肪率を低下させ、卵巣機能が正常に働かなくなります。
20代は仕事や人間関係などストレスを感じやすい時期です。さらに美容や健康に気をつかい、無理なダイエットをする女性も多くいるでしょう。
生理周期を安定させるためにも適度にストレス発散し、行きすぎたダイエットは控える必要があります。
体重の急激な変化
前述したように過度なダイエットで体重が減ると、卵巣機能に異常をきたします。さらに、極端な体重増加によって肥満になると、ホルモンバランスが乱れたり排卵できなくなったりして、生理不順を引き起こします。
20代は10代の頃より基礎代謝が落ちて太りやすい時期です。体重の急激な変化は生理不順の原因になるため、
適正体重を維持する必要があります。
適度な運動とバランスの取れた食事を心がけ、健康的な体重管理をおこないましょう。
生活習慣の影響
食生活の乱れや睡眠不足、過度の運動などは生理不順を引き起こす要因です。
不規則な生活習慣はホルモンバランスを乱してしまいます。排卵や月経のタイミングが不安定になれば、生理周期も定まりません。さらに、極端に激しい運動はストレスになるだけでなくエネルギー不足につながり、生理が止まってしまう場合があります。
20代女性のなかには仕事が忙しく、コンビニ弁当やファストフードなどに頼るケースも多くあるでしょう。帰る時間が遅くなると睡眠不足にもなり、ホルモンバランスはどんどん乱れてしまいます。
生理周期を安定させるためにも、バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動を心がけることが大切です。
更年期の症状
更年期は40代後半〜50代にかけて訪れるのが一般的です。しかし、まれに20代や30代で早期更年期症状が現れることがあり、早発閉経といわれています。
早発閉経は遺伝的要因や自己免疫疾患などで引き起こります。主な兆候は生理不順や不妊、更年期障害のような症状です。生理不順だけではなく、のぼせやほてり、意味もなくイライラするといった症状がある方は早めに婦人科を受診しましょう。
早期閉経は自然妊娠する確率が低下するといわれています。20代女性でこれから妊娠を希望する場合は、適切に治療をおこなっていくことが重要です。
病気の可能性
生理不順が起きているときは病気の可能性も考えられます。
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 無排卵周期症
- 黄体機能不全
- 甲状腺機能障害
- 高プロラクチン血症
- 機能性子宮出血
それぞれ詳しく解説します。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)は卵胞の成長が途中で止まり、卵巣に多数の小さな嚢胞(のうほう)がとどまる病気です。卵巣内での男性ホルモン過多が原因のひとつです。
通常の月経周期では、十分に成長した1個だけが排卵されます。多嚢胞性卵巣症候群は安定した排卵がなく、不妊の原因にもなります。
主な症状は不規則な月経や多毛、にきびや肥満などがあげられ、20代〜45歳のうち5~8%の女性にみられる病気[紗田7] です。
多嚢胞性卵巣症候群は妊娠希望の有無にかかわらず、子宮体がんやメタボリックシンドロームなどのリスクが高くなるため、気になる症状があるなら婦人科を受診しましょう。
無排卵周期症
無排卵周期症は、排卵が起こらないまま月経のような出血が起こる状態です。過度なストレスや乱れた生活習慣が原因で引き起こり、なかには多嚢胞性卵巣症候群が関係している場合もあります。
主な症状は生理周期が安定しない、避妊をしていないにかかわらず1年以上妊娠しないなどがあげられます。
無排卵周期症は卵巣機能が徐々に衰え妊娠しにくくなるほか、骨粗しょう症になるリスクが高くなるため適切な治療が必要です。
多くの場合、ホルモン療法や排卵誘発剤の使用により排卵機能を回復できます。また、普段から健康的な生活習慣を送ることを心がけましょう。
黄体機能不全
黄体機能不全とは黄体機能が正常に働かない状態のことです。生活習慣の乱れやストレス、遺伝的要因など引き起こる原因はさまざまです。
黄体機能不全は排卵〜生理前までの黄体期が短くなり、頻発月経になっているケースをいいます。正常な量の黄体ホルモンを分泌できなくなるため、子宮内膜の準備が十分にできません。妊娠にそなえた身体づくりができず、不妊や流産につながるおそれがあります。
主な症状は不正出血や月経周期の短縮などです。ホルモン補充療法などの適切な治療により、多くの場合で症状の改善が見られます。
甲状腺機能障害
甲状腺機能障害は、のど仏の下にある甲状腺ホルモンの分泌異常によって引き起こされます。甲状腺ホルモンが過剰につくられるバセドウ病は代表的な疾患のひとつで、自己免疫疾患が原因と考えられています。自己免疫疾患とは自分の細胞を異物だと認識し、攻撃してしまう病気です。
甲状腺の病気は20代〜30代女性に多い傾向があり、主な症状は疲れやすさや筋力の低下、生理が止まるなどがあげられます。
服薬、甲状腺の除去手術などで治療をおこなうことが一般的です。甲状腺機能が正常化すると、生理不順も改善されるでしょう。
高プロラクチン血症
高プロラクチン血症は、プロラクチンといわれる母乳を分泌するホルモンが過剰になる状態です。
本来プロラクチンは母乳を促すほか、性腺機能を抑制する働きがあるため、授乳中は無月経になります。しかし、高プロラクチン血症が引き起こると産後でないにもかかわらず生理が周期通り来ない、母乳が分泌される症状が現れます。
主な原因はホルモンバランスの乱れや甲状腺機能の低下、薬剤などです。
多くの場合、薬物療法でプロラクチン値は正常化し生理周期の改善も期待できます。
機能性子宮出血
機能性子宮出血は、子宮がんや子宮筋腫などの疾患を認められない子宮から不規則な出血が起こる状態です。
機能性子宮出血は排卵性子宮出血と無排卵性子宮出血の2つに分けられます。
排卵性子宮出血は排卵期や黄体期に出血が見られ、エストロゲンやプロゲステロンの分泌不足が原因です。20~30代の性成熟期に起こる場合が多く、排卵はしています。出血量は少なく比較的短期間でおさまります。
一方、無排卵性子宮出血は排卵が起きていません。プロゲステロンの分泌が少なく、エストロゲンの過剰分泌が原因で引き起こります。思春期や更年期に見られ、出血量が多く期間も長めです。
主な症状は生理以外の出血です。不規則に何度も生じるケースもあるため貧血になる方もいるでしょう。
多くの場合でホルモン療法による治療がおこなわれ、症状が軽いと止血剤で経過を見ていくケースもあります。
生理不順を改善する具体的な方法
生理不順を改善する主な方法は下記の5つです。
- 食生活の改善
- 睡眠の質の向上
- 運動の習慣づくり
- ストレスコントロール
- 婦人科の受診・治療
それぞれ詳しく解説するため、生理不順に悩む方は参考にしてください。
食生活の改善
バランスのよい食事は心と身体の健康に欠かせません。とくに、生理不順の方は下記の食べ物がおすすめです。
食品 | 効果 |
大豆製品 | 大豆イソフラボンがエストロゲンと似た働きをし、女性ホルモンを整える。 |
牡蠣・赤身肉・小魚 | 女性ホルモンの分泌を高める亜鉛を多く含む。 |
青魚・レバー | ・ビタミンB群とE群を豊富に含む。 ・正常な代謝をサポートして女性ホルモンを調整する。 |
卵・乳製品 | 動物性たんぱく質は女性ホルモンのもとになる。 |
過度な糖質制限や脂質制限は控え、バランスのよい食生活を心がけましょう。
睡眠の質の向上
質のよい睡眠はホルモンバランスの調整に重要な役割を果たします。睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、ホルモンバランスの崩れにつながります。
寝る直前までパソコンやスマートフォンを見ていると、ブルーライトの影響により睡眠の質が低下するおそれがあるため、なるべく使用は控えましょう。
また起床時間を一定にすると体内時計が調整され、睡眠の質が向上します。
生理不順を改善するためにも寝るまでの環境を整え、良質な睡眠時間の確保が大切です。
運動の習慣づくり
適度な運動は、ホルモンバランスの調整や血行促進に効果が期待できます。
- ウォーキング
- ジョギング
- ヨガ
- ストレッチ
有酸素運動や簡単な筋トレなどを習慣化し、継続して運動する必要があります。
ただし、過度な運動はストレスとなり生理不順を引き起こすため適度な運動を心がけましょう。
ストレスコントロール
ストレスは生理不順の大きな要因のひとつです。現代人は仕事や人間関係など多くのストレスを抱えながら生活しています。ストレスとうまく付き合うためにも、自分に合った発散方法を探しておくことが大切です。
たとえば趣味や好きなことをする、美味しいものを食べるなど心がリラックスできる時間をつくってみましょう。もし精神的なダメージが大きく、心身がつらい状態が続くなら必要に応じてカウンセリングを受けることもおすすめです。
ストレスをコントロールできると、ホルモンバランスの改善が期待できます。
婦人科の受診・治療
生理不順が続く場合は婦人科を受診し、適切な診断と治療を受ける必要があります。受診の目安は下記のとおりです。
- 3か月以上生理が来ない
- 生理周期がいつも定まらない
- 運動やダイエット後に生理が来なくなった
自分の身体の状態を把握するためには、基礎体温を記録するのがおすすめです。基礎体温をつけると生理周期はもちろん、排卵の有無や女性ホルモンのバランスなどがわかります。さらに、病気を見つける手がかかりになるケースもあるため、生理不順の方は日頃から基礎体温をつけておきましょう。
まとめ
生理不順は20代や30代でも起こりうる症状です。
ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣の影響などさまざまな要因が関係しています。規則正しい生活、適度な運動とストレスコントロールを心がけることが大切です。
ただし、生理不順は病気が原因の場合もあるため婦人科の受診を検討しましょう。早期発見と治療は生理周期が安定するほか、身体の健康にとっても重要です。 20代女性の生理不順は珍しい症状ではありません。しかし、思いがけない病気や不妊に悩むことのないように、気になる症状がある方は一度医師へ相談する必要があります。