「生理と排卵はなにが違うの?」
「生理の2週間くらい前に体調が悪くなるのはどうして?」
生理と同じように毎月起こる「排卵」ですが、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
今回の記事では排卵に焦点を当て、生理との違いや体調の変化、生理周期について分かりやすく解説します。
生理周期の数え方も紹介するので「自分の生理周期がわからない」という方も安心して目を通してください。
排卵について知ることで、もっと楽に自分の身体と付き合っていけるでしょう。
排卵とは?
排卵とは、卵胞(卵子を育てる袋)から卵子が飛び出すことを言い、排卵が起こった日を「排卵日」と呼びます。
以下で排卵の流れを見てみましょう。(図1)
① 卵胞の中で原子卵胞が18~20㎜ほどに育つ
② 脳が「黄体化ホルモン(LH)」を大量に分泌し「排卵しなさい」という命令を出す
③ 卵巣が刺激される
④ 卵胞の壁が破れて卵子が飛び出す=排卵日
排卵された卵子は卵管に入り精子との受精を待ち、排卵後の卵胞は受精したときに備え、受精卵が着床しやすい状態を整え始めます。
卵胞から「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を分泌し、子宮内膜をフカフカのベッドのように厚くするのです。
このように排卵は、卵子を放出して受精したり、受精卵が着床しやすい状態を整えたりして妊娠に向けた準備をします。
生理と排卵の違い
生理と排卵には以下のような違いがあります。
- 生理:剥がれ落ちた子宮内膜が身体の外に排出されること
- 排卵:卵胞(卵子を育てる袋)から卵子が飛び出すこと
生理と排卵は別物ですが、両者には密接な関係があります。排卵後の卵子が着床(受精卵が子宮内膜に着くこと=妊娠成立)するかどうかにより、以下のように生理の有無が決まるのです。
- 卵子と精子が出会い着床した場合:子宮内膜が剥がれ落ちないため生理は起こらない
- 着床しなかった場合:子宮内膜が剥がれ落ち身体の外へと排出される=生理
生理周期を把握することで、排卵日を計算することもできます。正常な生理周期(生理初日〜次の生理の前日まで)は、25〜38日の範囲です。
排卵からおよそ14日後に生理がくるため、排卵日は【自分の生理周期-14日】で計算しましょう。
例)
・生理周期が25日の方:「25‐14」で11日目に排卵
・生理周期が38日の方:「38‐14」で24日目に排卵
排卵日または前後に起こる体調の変化
生理中に生理痛や頭痛、吐き気などが生じるように、排卵日やその前後も体調が変化しやすくなります。
排卵日またはその前後に起こる体調の変化は、以下のとおりです。
- おりものの増加
- 排卵痛
- 排卵出血
- 便秘
- 吐き気
- 倦怠感
- 冷え・むくみ
それぞれ解説します。
おりものの増加
排卵期は、排卵に伴い卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量がピークを迎えるため、一時的におりものの量が増加します。
以下で時期のおりものの特徴を見てみましょう。
- 無色透明である
- 粘性が高くドロッとしている
- よく伸びる
排卵に合わせておりものが増えることで、精子が子宮に入りやすくなり妊娠の可能性を高められます。
排卵期におりものの量や状態が変化するのは、妊娠に備えた正常な反応であるため、心配する必要はありません。
排卵痛
排卵時にお腹が痛むことを「排卵痛」といいます。
排卵痛を生じるのは、排卵する際に卵巣の膜が破れるためです。
多くはチクチクとした軽い腹痛ですが、体質によっては強い痛みを感じる方もいます。
そのような場合は、以下の方法で対処しましょう。
- 市販の痛み止めを使う
- 医師に相談して低用量ピルを処方してもらう
痛み止めでも我慢できないような強い腹痛や腰痛がある場合は、病気が隠れている可能性があるため、我慢せずに早めに医師の診察を受けましょう。
排卵出血
排卵出血とは、排卵時にみられる少量の出血で、生理と生理の間にみられることから「中間期出血」ともいわれています。
排卵出血の原因として、以下の2つが考えられます。
- 排卵時に破れた卵胞の膜から出血している
- ホルモンバランスの乱れにより、子宮内膜が部分的に剥がれ落ちて出血している
排卵出血は、数時間~3日程度でみられなくなります。
出血量は少量で、おりものシートで対応できる程度の量でしょう。
排卵出血は病気ではないため、出血量が少ないときや症状が気にならないときは治療の必要はありません。ただし、出血量が多い場合や出血期間が長引く場合、毎月のように出血する場合は医師への相談が必要です。
便秘
排卵期には排卵期に黄体ホルモン(プロゲステロン)が増え、腸の動きが鈍くなったり刺激を感じづらくなったりするため便秘が生じやすくなります。
以下で便秘の対策を確認しましょう。
- 睡眠を十分にとって腸を休ませる
- 起床後に朝食をとって腸を大きく動かす
- ウォーキングやストレッチなどの適度な運動をする
- 1日1.5リットルほどを目安に水分をとる
排卵期は体調が不安定になりやすいため、無理なくできるものから生活に取り入れましょう。
吐き気
排卵期に吐き気を感じる方もいます。
この時期は「プロスタグランジン」という物質が増えるため、胃腸の動きが活発になり吐き気を感じるのです。
吐き気に対する効果的な対策法は、以下のとおりです。
- お腹を締め付けない服を着る
- 1日5~6回に分けて食事をとる(胃の中に食べ物があると吐き気を感じやすいため)
- 消化のよい食材を食べる(ヨーグルト、卵豆腐、プリン、りんごなど)
- 少しずつ水分をとって脱水を予防する
軽い吐き気を感じるときは、実践しやすい対策をおこないながらゆっくりと過ごしましょう。
ただし、食事がとれないような強い吐き気がある場合は注意が必要です。排卵日とは関連のない、ほかの病気が隠れている可能性があるため、我慢せず早めに病院を受診してください。
倦怠感
排卵期には、身体がだるく1日中眠いような倦怠感が強まります。
この時期は黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加し、1日を通して深部体温(身体の内部の温度)のリズムにメリハリがなくなります。その結果、休息モードと活動モードの切り替えがうまくできず、だるさや眠気を強く感じるのです。
倦怠感が強い時期は、以下を意識して過ごしましょう。
- 体調に合わせたスケジュールを組む
- 湯船につかって身体を温める
- 無理せずリラックスして過ごす
身体が心地よいと感じることを積極的に行い、心身をいたわることが大切です。
冷え・むくみ
排卵期は身体に水分をためる黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増えるため、冷えやむくみを感じることがあります。
以下のような対策で全身の血行をよくしましょう。
- 湯船につかって身体を温める
- 身体を締め付けない服を着る
- ストレッチやウォーキングなどの適度な運動をする
普段から血行をよくしておくことも、排卵時の症状軽減につながります。簡単に始められることから生活に取り入れてください。
生理周期が乱れる原因
生理周期(生理初日〜次の生理の前日まで)が乱れる原因は、排卵から生理までの日数が「短い」場合と「長い」場合で異なります。
正常の生理周期は25~38日ですが、何日を目安に生理周期が短い(長い)とされるのでしょうか。
それぞれの原因と合わせて解説します。
排卵から生理までの日数が短くなる原因
排卵から生理までの期間が短くなる原因として、以下の2つが挙げられます。
■卵胞期短縮症
排卵から生理までの期間が短くなる状態
加齢により卵巣の機能が低下した方に多くみられる
■黄体機能不全
排卵後に卵巣から黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に出ず、生理間隔が短くなる状態
ホルモンバランスの乱れやストレスなど、さまざまな原因で引き起こされる
排卵から生理までの期間は通常11〜24日のため、11日以内で排卵していると生理周期が短くなります。
前の生理から24日以内に生理が始まった場合は、生理周期が短いと判断しましょう。
中には排卵をしていない「無排卵周期症」の場合もあるため、基礎体温の記録も重要です。生理周期と基礎体温は診断の参考となるため、記録を持参したうえで受診してください。
排卵から生理までの日数が長くなる原因
排卵から生理までの日数が長くなる原因として、以下の2つを解説します。
■ホルモンバランスの乱れ
強いストレスや食生活の乱れ、過度な運動などが原因で引き起こされる
■多嚢胞性卵巣症候群
月経不順や男性ホルモン値の上昇などがみられる状態
定期的な排卵が起こらないため不妊の原因となる
排卵から生理までの日数が25日以上の場合、生理周期が長くなります。前の生理から39日以上経っても生理が来ない場合は、生理周期が長いと判断しましょう。
排卵がスムーズに起こっていない可能性があるため、生理周期や基礎体温の記録を持参して医師の診察を受けてください。
まとめ
卵胞(卵子を育てる袋)から卵子が飛び出すことを「排卵」といい、剥がれ落ちた子宮内膜が身体の外に排出されることを「生理」といいます。
排卵期はおりものの増加や排卵痛、倦怠感などの体調の変化が起こりやすい時期です。排卵日は「生理周期-14日」で計算できるため、この前後は予定を詰め込まずゆっくり過ごすのがよいでしょう。
排卵から生理までの間隔が短くなったり長くなったりすると、生理周期が乱れてしまいます。自分の生理周期を記録し、生理周期が「24日以内」または「39日以上」の場合は医師の診察を受けましょう。
ルナレディースクリニックでは、排卵期の体調不良や生理不順に関するご相談も受け付けています。
ぜひお気軽にご相談ください。