「今度大事なイベントがあるんだけど生理と被りたくない…」
「生理を移動させるのにはピルがいいって本当?」
「誰かピルの使い方を教えてほしい」
このように悩んではいませんか?
女性にとって大切だけど毎月頭を悩ませる原因となる生理。旅行やイベントなど大事な予定と重なってしまうと当日が心配になることもありますよね。そこでこの記事では以下の内容を解説していきます。
- ピルが生理移動できる仕組み
- ピルの副作用や費用
- 生理を移動させる正しい服用方法
- 失敗しないための方法
生理移動は身体に負担をかけてしまう行為なのでむやみにおすすめできないものの、もしものときはずらせると知っていれば精神的にも肉体的にもラクになるはずです。ぜひ最後まで読んでお役立てください。
生理を移動させるピルとは
ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが配合されている薬です。配合量の違いによって以下の4つの種類に分かれています。
- 超低用量ピル
- 低用量ピル
- 中用量ピル
- アフターピル(緊急避妊薬)
避妊薬としても知られているピルですが、このうち生理を移動させるために使われるのは主に低用量ピルと中用量ピルの2種類です。中用量ピルは低用量ピルよりも卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が多く含まれています。
低用量ピルや中用量ピルを服用することで生理を早めることも遅らせることも可能ですが、「とくに大事なイベントや大会のために一時的に生理をずらしたい」という場合は中用量ピルが多く用いられます。
生理日をずらすことができる仕組み
ピルを服用すると体内のホルモン量を排卵後の状態=「生理前の状態」にキープできるため、「飲み終えた数日後に生理がくる」という状態がつくれます。
仕組みとしては、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含むピルを服用すると「体内に十分なホルモンがあるためこれ以上ホルモンを分泌しなくて良い」と脳が判断し、下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)が低下します。
これによって卵胞の発育が抑えられ卵巣から分泌されるエストロゲンが低下するため、結果として排卵が起こらなくなり、排卵後に分泌されるプロゲステロンも分泌されなくなります。つまり、ピルを飲んでいる間はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが低下するため、子宮内膜が薄くなり生理がこなくなるのです。
生理を移動することで副作用はある?
ピルを服用している間は吐き気や頭痛、倦怠感、乳房の張りを感じることがありますが、継続して服用しているうちに改善することがほとんどです。また、服用開始3か月以内は少量の不正出血が見られることがありますが、この症状もほとんどの方が次第に消失します。
ただし、あまりにもひどい症状が出る場合は医師に相談して注視するようにしてください。また、副作用としてとくに注意しなければならないのが血管の血が固まってしまう血栓症という病気です。
発生頻度は年間3~9人/10,000人とけっして多くはないものの、突然の足の痛みや腫れ、激しい頭痛、息切れ、胸の痛み、手足の麻痺などを自覚した場合はすぐに服用を中止し、医療機関を受診するようにしましょう。
生理を移動するピルの費用
ピルは月経困難症や子宮筋膜症などの病気の治療に使用される場合は保険適応となりますが、生理を移動する目的で服用する場合は自費診療となります。薬の種類や服用期間によって費用は変わるものの、低用量ピルと中用量ピルはそれぞれ下記の金額が相場です。
- 低用量ピル:2,500円~3,000円(約1カ月分)
- 中用量ピル:5,500円前後(約1カ月分)
これらの金額に加えて診察料1,000円~3,000円程度必要となります。
生理を早めるためのピルの服用方法は以下のとおりです。
- 服用開始時期:生理日移動をしたい日の直前の生理初日から5日目頃
- 服用方法:1日1錠、約10日間服用したらストップ
- 生理のタイミング:服用中止後2~3日後
上記のスケジュールのようにピルの服用を止めたると、その2~3日後に生理がくるため元々の予定より早めに生理を終えることができます。この方法だと生理を避けたい時期にピルを飲まずに済むため、副作用なく過ごせる点がメリットではあるものの、生理をずらしたい時期の約1か月前から準備が必要なためスケジュール管理が大切です。
生理を遅らせるピルの服用方法
生理を遅らせるためのピルの服用方法は以下のとおりです。
- 服用開始時期:次回生理予定日の遅くても5日前
- 服用方法:生理がきてほしくない期間中1日1錠内服
- 生理のタイミング:服用中止後2~3日後
生理前に服用し正しく続ければほぼ確実に生理日を移動することが可能です。ただし、生理が来てほしくない期間は服用を継続する必要があるため副作用には注意しましょう。
生理の移動に失敗しないためのポイント
ピルを服用すれば生理移動は可能ですが、少なからず失敗してしまうときもあります。成功率を上げるために下記の3つの点に注意して服用するようにしましょう。
【生理の移動に失敗しないためのポイント】
- 生理の周期をしっかり管理する
- 生理の移動は計画的に行う
- 日頃からピルを服用している場合は医師に相談しよう
それぞれ順番に解説していきます。
生理の周期をしっかり管理する
生理移動は、生理予定日をもとに逆算してピルを内服することで生理が来る日をずらすものです。しかし生理周期は個人差があるため、適切なタイミングで服用するためにはご自身の生理周期をしっかり把握する必要があります。
生理周期を把握するための簡単な方法は基礎体温を記録することです。基礎体温を毎朝布団から出る前に舌の裏で測定し記録をつけましょう。
通常、排卵がおこると基礎体温が上昇し生理がくる前日~当日に体温が低下します。生理周期をしっかり管理したうえで服用すれば失敗しにくくなるでしょう。
生理の移動は計画的に行う
生理をずらすためには前の月の整理時期から計算するため計画的に取り組む必要があります。とくに生理を早めたい場合は、前月の生理後5日目ぐらいまではピルを服用しなければならないためスケジュールをチェックしておきましょう。
生理移動はもともと身体に組み込まれている自然な仕組みを意図的にずらすものです。むやみに移動させるものではなくご自身の生活状況を踏まえて必要なときのみに留めるようにしてください。
もし前日に飲み忘れがあった場合は、気づいた時点で前日分を内服し、当日分はいつも通り飲むようにしてください。ただし同日2錠服用することになるため副作用が出る場合もあり、できるだけ飲み忘れないように気をつけることが大切です。
日頃からピルを服用している場合は医師に相談しよう
日頃からピルを飲んでいる方でもピルで生理日をずらすことは可能です。ただし、自己判断で行ってしまうと失敗したり、失敗時の対処法が分からなかったりなど、トラブルが起こる可能性もあるため事前に医師に相談するようにしましょう。
生理移動は早めるか遅らせるかどちらがいい?
生理を早めるためには、事前に避けたい時期が分かっている必要性があります。早めに内服が必要となりスケジュール管理が大変になる一方、大事な予定日にはピルを飲む必要がないため副作用の心配がいらないメリットがあります。
一方で、生理を遅らせる方法は生理開始5日前からで間に合うため比較的管理しやすい点がメリットです。ただし、大事な日にもピルを飲む必要があり副作用が出る可能性もあるため、可能であれば生理移動を早める方を選択するのがおすすめです。
まとめ
避妊薬として知られているピルは生理移動の手段としても有効な薬です。スケジュール管理が大変な面もありますが、大事な日に生理を気にせず生活できるというのは女性にとって大きなメリットといえます。
副作用が出ることもあるため、ピルを服用するときには注意が必要ですが、次第に改善していくことがほとんどです。しかし、まれに重篤な副作用がでることもあるため必ず医師に相談しながら服用するようにしましょう。
生理は女性にとって大切なものですが、つらく感じることも確かです。どうしても大切なイベントや予定が重なってしまうときには我慢せず、生理をずらすことも検討してくださいね。
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