赤痢アメーバ症とは?原因や症状について詳しく解説!

世界中にまん延している性病の一つ「赤痢アメーバ症」は、発展途上国といった流行地域へ出国する方や流行地域から帰国する方、その周りの方が特に注意しなければならない病気です。とはいえ、感染経路や予防方法などの正しい知識を持っておけば、十分に対策できます。

この記事では、赤痢アメーバ症の概要や症状・感染経路に加えて、治療方法・予防方法などを解説します。

赤痢アメーバ症(アメーバ赤痢)とは

赤痢アメーバ症(アメーバ赤痢)とは、寄生虫の赤痢アメーバに感染することで引き起こす感染症のことです。症状は下痢や血便、排便時の下腹部痛などが見られ、中でもイチゴゼリー状の粘血便が特徴的です。感染経路は経口感染と糞口感染があり、主に福祉施設での集団感染や男性の同性愛者間などによる感染が増加しています。

赤痢アメーバ症は世界中にまん延している病気で、毎年約10万人が赤痢アメーバ症により死亡しています。とはいえ、日本での致死率は0.65%です。適切な治療を行えば治らないわけではありませんが、赤痢は感染力が強いため2次感染のリスクがあります。

赤痢アメーバ症の原因

赤痢アメーバ症は、腸管寄生原虫の「赤痢アメーバ」という病原体により引き起こされる病気です。赤痢アメーバは「嚢子(シスト)」と「栄養体」の二つの形態に分類されており、嚢子を経口摂取することで感染し、嚢子が小腸に達すると栄養体に変化するのが特徴です。

大腸で増殖した栄養体は、大腸粘膜を破壊し、アメーバ赤痢に特徴的なつぼ型の潰瘍を形成します。そして、大腸に寄生している栄養体の一部が嚢子となり排便されることで、再び糞便が感染源となるのです。なお、嚢子は、臨床症状がない感染者の便にも認められます。

赤痢アメーバ症の潜伏期間

赤痢アメーバ症の潜伏期間は、通常2~4週間です。また、長期間無症状であっても突然症状が現れるなど、数ヶ月~数年に及ぶケースもあります。

赤痢アメーバ症の感染経路

赤痢アメーバ症の感染経路には「経口感染」と「糞口感染」があります。経口感染とは、病原体が付着または混入した飲食物を摂取した場合や、病原体が付着した手指や物が口に触れたときに起こる感染のことです。また、糞口感染とは、感染者の糞便に触れ、病原体が口から体内に入る感染経路のことをいいます。

赤痢アメーバ症は、主に発展途上国の衛生的によくない地域で流行しており、日本でも海外からの帰国者などが感染しています。汚染された生肉や生野菜、水を摂取したり、同性間または異性間で性的接触をしたりすることで病原体がうつるケースがほとんどです。感染者の男女比は男性が約9割、女性が約1割で、報告されている発症者の約8割が国内で感染しています。

赤痢アメーバ症で見られる主な症状

赤痢アメーバ症で見られる主な症状は、以下の通りです。

・イチゴゼリー状の粘血便

・下痢

・排便時の下腹部痛・不快感

・テネスムス(しぶり腹)

・体重減少 など

大腸粘膜の潰瘍により大腸炎が起こり、下痢や血便、下腹部痛などの症状が現れます。また、赤痢アメーバ症ではイチゴゼリー状の粘血便が特徴的です。なお、アメーバ腸炎の場合発熱症状は、細菌性赤痢に比べて少ない傾向です。臨床症状が現れるのは、感染者の約5~10%といわれています。

症状は数日から数週間の間、周期的に寛解と増悪を繰り返しますが、全身状態は保たれているため通常の日常生活を送れる場合もあります。

また、合併症として腸管外病変を引き起こすことがあり、中でも最も高頻度で見られるのがアメーバ性肝膿瘍です。アメーバ性肝膿瘍では発熱や右季肋部痛などが生じる一方、下痢などの消化器症状が現れないケースもあるため注意が必要です。

大腸炎

大腸炎は大腸に炎症を生じる病気で、病状の原因によって以下のように種類が分かれます。

・感染性腸炎

・虚血性腸炎

・潰瘍性大腸炎

・クローン病

赤痢アメーバ症は、ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体に感染しさまざまな炎症が起こる「感染性腸炎」に分類されます。赤痢アメーバ性大腸炎の主な症状は、粘血便や下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛などがあり、まれに発熱を生じます。

病変の好発部位が大腸であるため、小腸性の下痢と比べて排便量は少ない傾向です。例として、便意が頻回であるが糞便は伴わず、少量の粘血のみを排出するといったケースがあります。

アメーバ性肝膿瘍

アメーバ性肝膿瘍は、腸管に侵入した赤痢アメーバが門脈を通り、肝臓に移行することで肝膿瘍を形成する病気です。

赤痢アメーバ症の合併症である腸管外アメーバ症のうち、アメーバ性肝膿瘍が最も報告されています。アメーバ性肝膿瘍の主な症状は、以下の通りです。

・発熱

・右季肋部痛

・肝腫大

・肝叩打痛

・咳嗽

・胸痛

潜伏期間は通常数ヶ月~数年で、アメーバ性赤痢より長い傾向です。感染後の初期症状として発熱のみ現れるため、インフルエンザや風邪と誤診されるケースも少なくありません。

また、血液検査では白血球の増加を認めますが、好酸球は上昇しないという特徴があります。加えて、AST、ALP、ALTの上昇や貧血を認める場合が多くを占めます。

赤痢アメーバ症の検査方法

赤痢アメーバ症は、糞便検査を行って診断します。原虫(嚢子または栄養体)が検出されれば、診断が確定します。しかし、糞便検査の精度は25~60%と低い傾向にあるため、一般的には3回以上の検査が必要です。

大腸炎の場合、大腸の内視鏡検査やPCR法、ELISA法に加えて、顕微鏡などで検査が行われる場合もあります。

また、アメーバ性肝膿瘍の場合、腹部超音波や腹部CTなどの画像検査を行います。

なお、以前は血清抗体検査が有用でしたが、2017年末に試薬製造中止となり、現在は行われていません。

赤痢アメーバ症の治療方法

赤痢アメーバ症の治療では症状によって治療薬を使い分けますが、通常はメトロニダゾール(抗原虫薬)の内服です。しかし、内服が困難な場合は、点滴静注による治療を行います。

メトロニダゾールは組織内に侵入した赤痢アメーバの栄養体に作用するため、大腸炎または肝膿瘍の両方に有効な治療薬です。治療終了1~2週間後、糞便検査で赤痢アメーバの陰性化を確認します。その後は、パロモマイシン(抗嚢子薬)を使用し、腸管内の嚢子を駆除します。

また、アメーバ性肝膿瘍に対して通常は適応となりませんが、穿刺ドレナージが考慮される場合があります。穿刺ドレナージが検討されるケースは、以下の通りです。

・5~7日間治療を行っても症状が全く改善されない場合

・細菌性肝膿瘍と鑑別しなければならない場合

・腫瘍径が5cm以上で破裂の危険性がある場合

・肝膿瘍が左様に存在し、心膜腔へ穿破する恐れがある場合

など

赤痢アメーバ症の予防方法

赤痢アメーバ症には予防のワクチンがなく、1次感染かつ2次感染の予防が大切です。赤痢アメーバ症の予防方法には、以下の3点が挙げられます。

アニリングスといったオーラルセックスは控える

赤痢アメーバ症を予防するためには、アニリングスといったオーラルセックスは控えましょう。感染の原因として、男性の同性愛者間での性行為が非常に多く、中でもオーラルセックスが要因となっています。肛門と口唇が直接接触するアニリングスによって糞口感染が広がります。性病は、性器同士の接触以外でも咽頭への感染リスクなどが考えられるため、性行為時は注意しましょう。

性行為時はコンドームを正しく使用する

性行為時は、コンドームを正しく使用することも大事です。コンドームの着用は性器の一部を保護する役割があり、肛門と直接の接触を避けることで感染リスクが軽減し、性病の予防に効果的です。しかし、正しい使い方をしなければ感染リスクは減らせません。説明書に記載されている使用方法を守って着用しましょう。

十分に加熱した食材を摂取する 

食材の十分な加熱調理は赤痢アメーバ症の予防につながるため、特に生肉や生野菜、生の魚介類などは加熱調理して食べることが大切です。作り置きも感染の原因になるため、できるだけ早く食べるか、適切に保存しましょう。

また、赤痢アメーバ症が流行している発展途上国では生水を避け、ビンやペットボトルに入ったミネラルウォーターを飲むことをおすすめします。水を1分以上沸騰させて飲むと予防方法として有効です。

さらに、カットフルーツなども汚染された水で洗われていれば感染リスクが高くなるため、傷んでいない果物をミネラルウォーターなどで洗い、自分で皮をむいて食べましょう。

まとめ

赤痢アメーバ症とは、寄生虫の赤痢アメーバによって発症する感染症のことです。症状は下痢や腹痛、テネスムスなどがあり、数日から数週間の間に増悪と寛解を繰り返します。また、感染経路は経口感染と糞口感染があり、病原体が付着した飲食物を摂取したり、オーラルセックスなどの性行為をしたりすることで感染します。

赤痢アメーバ症には予防ワクチンがありません。石けんで手を洗う、アルコール消毒するなど、手指衛生を励行しましょう。また、性行為時にはオーラルセックスを控えたり、赤痢アメーバ症の流行地域では食材を十分加熱調理して飲食したりするなど、日常生活でできる感染予防が大切です。

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