梅毒とは、梅毒トレポーマという細菌が粘膜に感染することによって起こる性感染症です。
性行為からの感染だけでなく、妊娠中の母子感染によって子どもに感染するケースもあります。
梅毒は、戦前までは「不治の病」と恐れられていましたが、現代では治療薬があるため、治療することができる病気です。
そのためには梅毒の早期発見が重要になります。
この記事では、梅毒の皮膚症状や治療法、予防法を紹介します。
梅毒によくある主な皮膚症状
梅毒に感染すると、皮膚にしこり・潰瘍・発疹のような症状がでます。
梅毒は感染して起こる症状を第1期~第4期に分け、初期症状では感染した部位にしこりや発疹の症状がでてきます。症状は時間の経過とともに症状が全身に現れるようになり、最終的に心臓や脳、骨や神経などに症状がでる危険性があるため、早期発見がポイントです。
この項では早期発見につながる以下の4つの皮膚症状を詳しく解説します。
- 性器や口唇にしこり
- 性器や口唇に厚みのある潰瘍
- 手の平や足の裏に発疹
- 脚の付け根のリンパ節(鼠径リンパ節)にしこり
性器や口唇にしこり
感染から約3か月で出現するとして、性器や口唇、肛門に3ミリから3センチほどのしこりが現れます。これを「初期硬結」といい、梅毒の代表的な症状です。
初期硬結は痛みやかゆみを伴うことはほとんどなく、1か所だけにぽつんと現れることが多いです。男性では男性器、女性では大小陰唇や膣内にできることがありますが、男女共通して口唇に現れることもあります。
性器や口唇に厚みのある潰瘍
上項で述べた初期硬結を中心に、皮膚がただれぐじゅぐじゅとした潰瘍が現れるようになります。
これが「硬性下疳」です。
初期硬結も硬性下疳も、放置していると2週間〜3週間で身体から消えます。
しかし、菌が消えたわけではなく、この時期に性接触をした場合は他人が感染してしまう可能性がある状態です。
手の平や足の裏に発疹
感染後3か月以上梅毒を放置すると、手の平や足の裏、身体全体に皮むけを伴ううっすらと赤い発疹がでる可能性があります。形状が小さなバラの花に似ていることから、バラ疹と呼ばれています。
この発疹も放置すると数週間以内で消えることで、「治った」と勘違いを起こすため危険です。
上項2つよりも梅毒を疑いやすいため、必ず病院に受診し抗菌薬を服用する必要があります。
脚の付け根のリンパ節(鼠径リンパ節)にしこり
上述したしこりが現れたあとやや遅れて、感染部位周辺の鼠径部や頸部といったリンパ節にしこりが出現します。
これを扁性コンジローマと呼び、この時期に口内炎のような発疹ができることを「梅毒性粘膜疹」と呼びます。
これらも無痛のため、放置されるケースが多く出現後数週間で消えるため、早期発見を難しくしている要因です。
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梅毒に似た皮膚症状がでる病気とその見分け方
上述で梅毒の症状を紹介しましたが、これらは日常的に起こる軽い病気と見分けがつかず、早期発見を困難にします。
皮膚に起こる炎症にはさまざまな種類があり、梅毒を見落とす原因にもなるでしょう。
この項では、梅毒に似た皮膚の症状と、その見分け方を詳しく紹介します。
ニキビ
ニキビは、多くの人に出現する皮膚症状の1つです。実際にニキビに悩んでいる方も多いかもしれません。
ニキビができる原因は皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖が関係しています。
ニキビは重症化すると跡が残るため、決して軽視できる病気ではありません。
梅毒の初期症状とニキビの症状は非常に似ており、見分けることは困難です。
しかし、全身に発疹が現れることや、事前に性接触があったかなどが重要なポイントになります。
梅毒の可能性がわずかでもある場合、早急に病院へ行くのがよいでしょう。
乾癬(かんせん)
乾癬は慢性的な皮膚病で、症状は赤く盛り上がった紅斑が発生し、それらに銀箔上の鱗屑が伴います。
原因は遺伝的なものに薬剤投与や気候変化などの環境的な要因が加わり発症します。
乾癬は肘・膝・頭・臀部に起こる症状で、梅毒性乾癬の場合は手や足の裏に発生することがほとんどです。
ニキビと同様、見分けることが大変難しい症状ですが、乾癬が手の平や足の裏に発生することは珍しいため、疑いがある症状の場合はすぐに病院で検査を受けてみましょう。
水虫
水虫は、白癬菌という種類のカビに感染して発生する皮膚症状です。白癬菌はほとんどの場合、足に感染しますが、これは靴を履くことで蒸れた足が白癬菌にとって過ごしやすい環境になるためです。
水虫の症状はかかとや指の間、足底から足のフチと広範囲でみられます。乾燥して皮膚がむけて赤くなってしまう症状は、梅毒の症状にも似ています。
上述した2つとは異なり、ほとんどの場合が足に出現する症状なので、見分けることがそこまで難しくありません。
しかし、水虫は足だけではなく、手にも感染する場合があるため、少しでも疑いがある場合は病院での検査をおすすめします。
ジベルばら色粃糠疹
ジベルばら色粃糠疹「じべるばらいろひこうしん」についてはあまり詳しくわかっておらず、ウイルス感染による二次的な反応とされています。
症状としては、初期症状で「ヘラルドパッチ」と呼ばれる親指ほどの、楕円形の赤みが出現します。
その後、胸、おなか、背中を中心に紅班がたくさんでてきたらジベルばら色粃糠疹です。
梅毒の2期とは、専門医でも識別が難しいため、性接触があったかなどの事前の情報と照らし合わせ、疑わしい場合は即座に受診しましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹を主な症状として、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す病気です。
これは、もともとアレルギーを起こしやすい人や、皮膚のバリア機能が弱い方に起こりやすく、主に湿疹とかゆみで悩まされます。
梅毒との見分け方としてはかゆみの有無です。見た目だけでは区別が困難ですが、慢性的かつかゆみを伴う場合はアトピー性皮膚炎の可能性があります。
梅毒を疑った場合の対処法
「身体に発疹ができた」などの症状がでた場合、ほかの症状や病気の可能性もありますが、まず病院で受診することが大切です。梅毒はほかの病気との見分けがつきにくい症状がでてから、数週間~半年で症状が消えます。ここで治ったと放置してしまうと第2期へと進行してしまい、様々な症状が全身に現れ始めてしまいます。このことから、梅毒治療には早期発見が最も有効であるといえます。
梅毒を疑った場合、頻尿器科・性感染症内科・皮膚科にかかるとよいでしょう。
女性である場合は、婦人科も視野に入れましょう。
また、梅毒やHIVなどの性感染症は自分で検査できる市販の「検査キット」での検査もおすすめです。
まずランセットとよばれる器具で指先を刺し、血液を採取します。
採取した血液をサンプルウェルに滴下したあと、希釈液を一滴滴下して、15分放置すると検査結果がでます。
検査キットだけでは完全な結果がでるとは限らないため、梅毒の疑いが出たらまず医療機関を受診するよう心掛けましょう。
実際に梅毒だった場合の治療法
実際に検査を行い、梅毒だった場合、早期の薬物治療が有効です。
ペニシリン系の抗菌薬を服用、または注射することで治療を行います。
梅毒は、上述したように不治の病として恐れられていましたが、ペニシリン登場後は早期発見とペニシリンの投与により完治する病気になりました。
しかし、一部ではペニシリンアレルギーを持つ人がいるため、そのような場合は別の抗生物質での治療となります。
症状の状態によって治療期間が変わるため、医師の許可を得られるまでは独断での内服中断などはしないようにしましょう。
この項では、実際の服薬・注射それぞれの治療について詳しく解説します。
服薬による治療
上述のように、梅毒の治療薬として有効なのが「ペニシリン」で、治療に実際に使用される最も代表的なペニシリン系抗生物質は「アモキシシリン」であり、ほかにも「ビクシリン」・「バイシリン」などがあります。
アモキシシリンを使用した治療初期では、38℃前後の発熱や全身の倦怠感、頭痛、発疹、悪寒、筋肉痛などの症状が起こりますが、これは薬の副作用ではなく、病原菌である梅毒トレポネーマが破壊されていく際に起こる「ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応」と呼ばれる現象です。
また、ペニシリンアレルギーを抱えている人は「塩酸ミノサイクリン」あるいは「ドキシサイクリン」を服用し治療します。
梅毒の治療薬は、効果の高さから医師の処方せんが必要な処方せん治療薬であり、国内ではドラッグストアやネット通販では入手できません。
このように効果が優れた医薬品は、副作用にも気を配る必要があるため、一般消費者が使用するにあたっては医師や薬剤師の説明が必要になります。
梅毒を疑う症状が出た場合、必ず病院を受診し、医師の判断を仰ぎましょう。
注射による治療
注射による治療も服薬治療同様、ペニシリンを使用したベンザチンを使用します。
早期梅毒では、筋肉注射一回分だけで治療が可能で、患者の負担が低いというメリットがあります。
後期梅毒では週に1回を3回に分けて注射する治療法が一般的です。
副作用は、上述のヤーリッシュ・へルクスハイマー反応のほかに、下痢や注射部位に軽い痛みが生じるなどが挙げられます。
2021年に国内で梅毒が急増したことを受け、厚生労働省に承認された新しい薬として「ステルイズ水性懸濁筋注シリンジ」が登場しました。
ステルイズもベンザチンやアモキシシリンと同様第一の選択薬として位置づけられます。
梅毒の検査・治療にかかる費用
梅毒の検査を受ける場合、保健所であれば無料で検査できるメリットがありますが、検査できる病気の範囲が病院ほど広くないというデメリットがあります。
一方病院では、検査に費用がかかるデメリットはあるものの、広範囲の検査と、検査後すぐに治療が可能というメリットがあります。
また、検査・治療には保険が適用され、自己負担費用は保険証の負担割合にもよりますが、普段かかっていない病院であれば検査費用は初診料合わせて3,000円~5,000円です。
梅毒の治療が必要になった場合も負担費用によりますが、1,000円~3,000円で治療できるでしょう。
保険を使用したくない場合では10,000円〜15,000円の治療費がかかります。
梅毒の予防方法
不特定多数の人との性交渉は控え、コンドームを適切に使用しましょう。
粘膜や皮膚が梅毒の病変部分と接触しないようにしましょう。
ただし、コンドームで覆われていない部分から感染する可能性もあるため、100%の予防にはなりません。
皮膚や粘膜に異常が見つかった場合、性接触は控え、早急に医療機関を受診しましょう。
まとめ
梅毒は治療可能となったものの、早期発見と適切な治療をしなければ命をむしばむ危険な病気です。
近年、日本で梅毒の流行が急増しています。これは、インターネットの普及によってSNSやマッチングアプリで人と出会い、性接触の機会が増えたことが原因とされています。
性感染症の知識を事前に知っておくことは予防において最も重要です。
「自分は大丈夫」と思うのではなく、感染症は他人の生活にも影響を与えるものだと捉え、適切な処置の方法を知っておくのが大切です。
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