身近な感染症である「梅毒」は、放置すると命にかかわる重篤な症状を引き起こす病気です。2022年には10,000例を超える感染報告があり、他人事とは思えない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、梅毒の詳しい症状や、男女別の症状などを詳しく解説します。夫婦やパートナーとともに家族を大切にしたい方はぜひ参考にしてください。すぐにできる予防法や、心配な時に役立つ検査方法などもまとめましたので正しく対策しましょう。
梅毒とは?
性感染症の1つとして知られる「梅毒(ばいどく)」は、主に性的交渉により、粘膜や皮膚をとおして感染します。国内では、2011年ごろから増加傾向にあり、2022年の報告数は10,000例を超えています。梅毒は完治しても再感染する可能性があるため、夫婦やパートナー間でも気をつけたい病気です。
梅毒は、進行性の病のため自然治癒はしません。そのため、感染しているかもしれないと感じたら、必ず医療機関を受診しましょう。とはいえ、適切な治療を受けていれば完治するので、過度な心配は必要ありません。
【男女別】梅毒の症状
梅毒は、病期により症状が現れる場所や、内容が変わります。「無症状性梅毒」と呼ばれるように、自然に軽快したような状態になることもありますが、病気は進行している場合があるため、注意が必要です。
治療をおこなわない場合にあらわれる症状の経過は以下の通りです。
- 第1期梅毒
- 第2期梅毒
- 第3期梅毒
- 第4期梅毒
感染から10年近く経過すると第4期梅毒となり、最悪の場合は命の危険もあり得ます。とはいえ、現代では、第2期までに発見できるケースが多く、国内で第3期梅毒以降の進行をみることはほとんどありません。
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第1期梅毒(感染後から約3週間~3か月)
梅毒に感染後3週間ほど経過すると、細菌の侵入部位から症状があらわれます。硬いしこりのようなものができる「初期硬結(しょきこうけつ)」や、初期硬結ができた部位を中心にできる「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼ばれる潰瘍です。
痛みが伴わないことが多く、自然に軽快していくため症状に気づかない場合もあります。しかし、梅毒が治ったわけではなく第2期へ移行している可能性があるため、注意しましょう。
また、これらの症状は口唇や咽頭粘膜にあらわれるケースのほか、男女で発現部位が異なります。
【男性】特徴的な症状
男性の初期症状では、初期硬結や硬性下疳ができます。初期硬結は、軟骨程度の硬さと中心が盛り上がるようなしこりのことで、ニキビと間違える方も多くいます。男性の場合、亀頭や陰茎、あいだの部分である冠状溝など性器周辺にあらわれるのが特徴です。
また、皮膚や粘膜の症状が現れたあとは、鼠径部のリンパ節が腫れてくることもあります。
【女性】特徴的な症状
男性と同じく、女性にも初期硬結や硬性下疳と呼ばれる症状が現れます。女性の場合、膣の中や大陰唇、小陰唇の周辺の皮膚に多くみられます。
特に気をつけたいのが、妊娠中の感染です。万が一、妊娠中に梅毒に罹患すると、母親だけでなく胎児にも影響が現れる場合があります。死産や早産になるだけでなく、生まれてきた子どもの神経や骨に異常をきたす可能性も考えられます。生まれてすぐに症状がなくても、数年単位で遅れて発症するケースもあるので、注意が必要です。
第2期梅毒(感染後から約3か月以上経過)
第1期を経て梅毒が全身へ移行すると、さまざまな症状があらわれるようになります。風邪に似た症状もあるため、見分け方がわからない場合もあるでしょう。しかし、適切や検査や治療をしないと第3期へと移行する恐れがあるため注意しましょう。
梅毒性バラ疹 | 手足や身体、性器に無痛性の紅斑ができる |
梅毒性脱毛 | 頭部全体に脱毛症状がおきる |
扁平コンジローマ | 肛門周辺や外陰部にイボができる軽い痛みやかゆみなどの不快感がある |
梅毒性粘膜疹 | 口周りや性器などの粘膜にできる口内炎のような赤や白の斑点ただれたり潰瘍を伴う場合もある |
発熱・頭痛・リンパの腫れ | バラ疹などの症状とともにあらわれることも |
これらの症状も、第1期と同じく時間の経過とともに症状が消えていく場合があります。しかしながら、第1期で治っていなかったのと同じように、放置すると第3期へと移行してしまいます。
第3期梅毒(感染後から約3年~10年以上経過)
現代では、第2期までに発見・治療ができるケースが多いため、第3期まで進行する方はほとんどいません。
しかし、注意すべきは「結節性梅毒」です。腫瘤が筋肉や皮膚、骨にでき周辺の組織を破壊します。ゴムのような質感からゴム腫と呼ばれています。ゴム腫は皮膚や筋肉だけでなく、肝臓や腎臓にもできる可能性があります。とはいえ、現在は抗菌薬が普及しているため、酷くなる前の治療が可能です。
第4期梅毒(感染後から約10年以上経過)
第4期まで進行してしまうと、日常生活が困難になり命の危険があります。心臓系の血管や中枢神経が侵され、大動脈瘤形成や大動脈瘤破裂などの重篤な症状につながるリスクが高まるでしょう。さらに、脊髄癆により麻痺や認知症の症状があらわれることもあります。
第3期同様、現代の日本ではここまで進行した例はほとんどみられません。
梅毒の感染経路
梅毒は、主に性行為で感染します。粘膜や皮膚の接触が原因のため、挿入がなくても、キスやオーラルセックス、アナルセックスなどでも感染する可能性があります。
また、性交渉などの心当たりがない場合は、普段の生活の中で感染しているかもしれません。梅毒トレポネーマは、体外に現れると数時間で死滅するといわれているため、過度な心配はいりませんが、昨今の感染増加をふまえて、知っておくとよいでしょう。また、家族にうつるリスクを減らすこともかないます。
温泉やプールに入ったり、感染者が使用したあとのトイレを使ったりする場合、感染する可能性はゼロではありません。くしゃみや咳がかかる、握手するなどの粘膜や皮膚の接触もこれに該当します。さらに、忘れてはならないのが、母子感染です。妊娠中の女性から胎児に感染すると「先天性梅毒」と診断され、障害が残るリスクがあります。
梅毒の感染確率
感染確率で一番高いのは、妊娠中の女性から胎児への母子感染です。胎児に感染する「先天性梅毒」の可能性は60~80%といわれています。先天性梅毒は、早産や死産を招くほか、出生後に障害が残る可能性も否めません。母体は感染しているかどうかが、妊婦健診の検査でわかります。万が一発覚した場合は、早期治療を目指しましょう。
また、一般的な性交渉での感染は、感染者が罹患して1年未満だと感染率が高く、コンドーム未装着の状態で行為した際の感染確率は15~30%だといわれています。挿入せずとも、キスやオーラルセックスなど、粘膜や皮膚の接触で感染するリスクもあります。
梅毒の潜伏期間
感染後3週間ほどで発症する方が多くいます。しかし個人差があるようで、早い方で1週間、遅い方だと13週間の潜伏期間といわれています。母子感染の「先天性梅毒」は、多くの場合3ヶ月以内に発症します。稀に、出生から数年後に発症するケースもあります。
どちらも個人差に開きがあるため、感染しているかどうかを短期間で判断するのは難しいでしょう。
梅毒の感染者数
日本では、1948年から梅毒に感染した方の数を追っています。年間11,000人を記録した1967年以降減少をたどっていた梅毒患者は、2011年からふたたび増加傾向にあります。直近では、2021年以降大きく増加しており、2022年10月時点で、10,000例を超える報告がありました。
実際に、2010年は報告例が621例であったのに対し、2022年は10,743例です。たった10年でこれだけ増えているため、日常生活での感染予防を心がける方がよいでしょう。
年代別では男女とも20~30代が多く、婚活世代に影響が出ているといえるでしょう。特に、妊娠中の女性が感染すると、母子感染のリスクが高まるため注意が必要です。
梅毒の検査方法
検査には、医療機関や保健所でおこなうほか、インターネットや郵送を利用する機関などさまざまです。検査キットを使用して郵送するタイプは、都合のよいタイミングでおこなえるのがメリットといえます。平日は仕事で忙しくて医療機関を受診できない方や、パートナーと一緒に自宅で検査したい方にも最適です。
検査項目により費用は異なるものの、梅毒検査だけなら5,000円程度で調べられる機関もあります。検査結果は最短翌日にインターネット上で確認できるのも手軽に検査できる魅力です。
また、病院や保健所なら、即日検査で結果がわかる方法を取り入れています。特に病院なら、検査だけでなく医師の診察のうえ梅毒かどうか診断するため、より信頼性があるといえます。すぐに正確な情報が知りたい方は、医療機関を受診するのが向いているでしょう。
梅毒の治療
梅毒の治療は、主にペニシリン系の抗菌薬を服用します。病状の進行具合により服用期間が異なり、進行が進むほど期間は伸びます。
第1期 | 2~4週間 |
第2期 | 4~8週間 |
第3期 | 約12週間 |
第1期に治療を開始すれば、第3期に治療を開始した場合と比較して、服用期間が1/3以下になります。梅毒の治療は、早期発見・早期治療がポイントといえるでしょう。
また、大切なのは完治するまで治療を続けることです。梅毒は自然治癒しない病気なので、治療を途中でやめてしまうと進行が再開されます。必ず医師の指示のもと、正しく服用を続けましょう。
梅毒の予防策
予防策として一番にあげれられるのは、性交渉を控えることです。しかし、夫婦やパートナーとのコミュニケーションでもあるため、控えるのは難しいという方もいるでしょう。
性交渉をする際は、コンドームを正しく使用することを心がけましょう。適切に使用しても100%防げるわけではありませんが、一定の予防効果は期待できます。また、コンドームを使用しているからと不特定多数の性行為は避けたいものです。行為をする相手が増えるほど、感染のリスクは高まります。
予防をしていても何か変だと感じたら、すぐに医療機関の受診や検査を心がけることも大切です。罹患してしまっても早期発見できれば、完治も早くなります。
まとめ
梅毒は身近な性感染症の1つです。性行為だけでなく日常生活で感染する可能性も否めません。夫婦やパートナー間で感染する可能性も高く、妊娠中の女性が感染すると胎児への影響も心配です。大切な家族を守り、健やかに過ごすためにも、今日からできる予防策を取り入れましょう。
梅毒への正しい知識や対策を知りつつ、もしもの時は早期治療で素早い完治を目指しましょう。
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