アフターピル(モーニングアフターピル・緊急避妊薬)は、妊娠のリスクがある性行為から72時間以内に服用することで、予定外の妊娠を回避するためのホルモン剤です。
まだOTC化、つまり、処方箋なしで薬局で購入できる薬剤には認定されていません。そのため、緊急避妊薬を購入するには医師の診療を受ける必要があります。
この記事では、緊急避妊薬の購入の流れや、効果・副作用について解説します。
アフターピル(緊急避妊薬)とは
アフターピル(緊急避妊薬)は、妊娠のリスクがある行為から72時間以内に服用することで、直前の性行為による妊娠を回避するためのホルモン剤です。「妊娠のリスクがある行為」とは、コンドームを使用せずに性行為を行った・コンドームが外れた・コンドームが破れた・性被害にあった、などのケースです。
緊急避妊の目的で発売されているホルモン剤を、できるだけ早く1錠服用します。
アフターピル(緊急避妊薬)の成分は、卵巣で作られている「黄体ホルモン」です。避妊用の低用量ピルには「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2種類のホルモンが含まれていますが、アフターピル(緊急避妊薬)には「黄体ホルモン」しか入っていません。そのため、副作用が非常に少なく、低用量ピルに比べて安全に服用できるホルモン剤です。
アフターピルは薬局で買える?
現時点では、アフターピルを、医師の診察を受けずに薬局で購入することはできません。
医師の処方箋がなくても薬局で購入できる薬として認定する「OTC化」の動きはありますが、検証内容が不十分であるなどの理由から、認定が見送られ続けています。海外では緊急避妊薬を薬局で購入できる国も多く、今後一定の条件を満たせば、日本でも薬局で購入できるようになる可能性はあります。
現在は、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらわないとアフターピルを購入できないため、病院で診察を受けてそのまま院内処方してもらうケースがほとんどです。オンライン診療と組み合わせれば、医師の診察はオンライン診療で受け、処方箋を薬局にFAXしてもらうことで、薬剤を薬局で受け取ることは可能です。
アフターピルの購入には処方箋が必要
アフターピルがOTC化されるまでは、購入するには必ず医師の診察を受けて処方箋を発行してもらう必要があります。
処方箋がなくてもドラッグストアで購入できる胃薬や鎮痛剤は、いずれも厚生労働省が「処方箋がなくても購入してよい薬」として認定しているものです。それ以外の薬剤を処方箋なしで購入することはできません。
医師の診察を受けていなくても薬剤を購入しているケースがありますが、これは「個人輸入」と呼ばれる入手方法です。
アフターピルの購入方法
アフターピルの購入方法には、2つの選択肢があります。
病院を受診して対面診察を受けるか、オンライン診療で医師の診察を受けて薬剤の配送や処方箋のFAXをしてもらうかのいずれかです。
対面診療の場合
対面診療の場合は、病院を受診して医師の診察を受け、その場で薬剤を受け取ります。
医師の診察時に、内診や超音波検査は不要です。最終月経や普段の月経周期、今回の性行為のタイミングや避妊方法、薬剤へのアレルギーの有無について、問診で確認するのみです。ただし、受診した時点ですでに妊娠している可能性がある場合は、妊娠の除外のための検査を行うことがあります。
緊急避妊薬の避妊効果は、性行為から服用するまでの時間が短いほど避妊効果が高くなります。そのため、通常は院内で薬剤を受け取ったらできるだけ早く服用します。医師や看護師の「面前服用」は必須ではありませんので、院外で服用したい場合はその旨を医師や看護師に伝えましょう。
オンライン診療の場合
緊急避妊薬をオンライン処方している病院が限られているため、まずは対応可能な病院を探す必要があります。
オンラインで対応してくれる病院が見つかったら、その病院のシステムに従ってオンライン診療を受けます。医師から確認される内容は、対面診療と同様に、最終月経・月経周期・直近の性行為の時期・その時の避妊方法・アレルギーの有無、などです。
電話やビデオチャットで診察を受けたら、緊急避妊薬を配送してもらうか、処方箋を薬局にFAXしてもらいます。処方箋をFAXしてもらう場合は、薬局から確認の電話が入り次第、薬局で薬剤を購入します。薬剤を配送する場合、発送場所から受け取り場所の距離や天候などにより、薬剤を受け取るタイミングが遅くなる場合があります。そのため、できるだけ早く服用するには処方箋を薬局にFAXしてもらう方がよいでしょう。
アフターピルの種類
現在、日本で承認されている緊急避妊薬は「ノルレボ錠」と「レボノルゲストレル錠」の2種類です。レボノルゲストレル錠はノルレボ錠のジェネリック(後発薬品)です。両方同じ成分ですが、ジェネリックの方が値段が安くなります。
日本では承認されておらず、個人輸入薬として一部のクリニックで処方してもらえるのが、「エラワン錠」です。ノルレボ錠やレボノルゲストレル錠より高い避妊効果が期待でき、服用のリミットも120時間以内となっています。また、BMI30以上の高度肥満の場合も十分な避妊効果が得られるという特徴があります。
アフターピルの費用
アフターピルは自費診療のため、診察代や薬剤代が全て自費になります。
処方してもらう薬剤の種類や病院によって料金が異なります。
対面診療で、診察料と薬剤料をすべてその病院で支払う場合の費用の目安はこちら。
- ノルレボ錠の場合→15000円~20000円
- レボノルゲストレルの場合→8000円~10000円
オンライン診療で、病院で医師の診療を受け、薬剤は薬局で受け取る場合はこちら。
- オンライン診療(初診料)→3000円前後
- オンライン診療のシステム利用料→0~330円
- 処方箋の郵送料→84円
- アフターピル代(薬局で購入時に支払う薬剤料)→5000円~6000円
アフターピルの服用方法
性行為から72時間以内に、アフターピルを1錠服用するだけです。性行為から服用までの時間が短いほど、避妊効果は高くなります。
万が一、服用してから2時間以内に嘔吐してしまった場合は、追加で1錠服用します。
アフターピルの効果
アフターピルの避妊効果は、100%ではありません。服用までの時間を問わず、全体の平均では、避妊率は85%です(日本産科婦人科学会 緊急避妊法の適正使用に関する指針より)。
服用までの時間と、服用したタイミングが排卵日に近いかどうかで、避妊率が異なります。
- 服用までの時間が24時間以内:95%
- 24時間~48時間:85%
- 48時間~72時間:58%
服用後7~21日のうちのどこかで、生理のような出血が起きます。出血が起きたら避妊に成功したと考えられますが、まれに妊娠初期の少量出血を緊急避妊による出血と勘違いしてしまうケースがあります。
出血の有無にかかわらず、アフターピル服用から3週間後に妊娠反応を確認しましょう。
アフターピルの副作用
ノルレボ錠やレボノルゲストレル錠は、含まれているホルモンが黄体ホルモンのみのため、副作用がほとんどありません。
報告されているデータ上は、悪心(吐き気)2.25%、下腹部痛0.69%、頭痛1.38%などが、主な副作用とされています。
まとめ
アフターピルは、妊娠のリスクが高い性行為から72時間以内に服用することで、85%の確率で避妊することができる方法です。
服用までの時間が短いほど高い避妊効果が得られるため、コンドームの破損など、避妊に不安を感じた時は直ちに婦人科でアフターピルを処方してもらいましょう。
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