避妊だけでなく生理日のコントロールにも使われるピルですが、ピル服用中にもし生理がきたら飲み続けるべきなのかどうか、対処の仕方がわかない方も多いのではないでしょうか。
ピル服用中の出血は、もしかすると生理ではなく不正出血をともなう病気が隠れている恐れもあるため、注意が必要です。
ここではピル服用中に生理がくる原因や、生理がきたときのピルの飲み方などの疑問について説明します。
ピルの服用中に生理がくる原因
まずはピルの服用中に生理がくる原因について紹介します。
1. 消退出血
消退出血はピルの休薬期間中に起こる出血で、基本的に生理と同じと考えて良いものです。
ピルは女性ホルモンが含まれたホルモン剤であり、これを1日1錠、21日間連続で服用する期間と7日間の何も飲まない休薬期間の合計28日で1サイクルが成り立っています。
休薬期間の7日間は、ピルから女性ホルモンが摂取されないため子宮内膜が剥がれ落ちることにより消退出血が起こります。
2. 不正出血
不正出血とは生理以外の理由で性器から出血することです。ピルを服用している場合は実薬を飲んでいる21日の間に起こる出血が不正出血である可能性があります。
不正出血には原因がいくつかあるため、ここではピルの副作用による出血・病気による出血・妊娠による出血に分けてそれぞれ説明します。
ピルの副作用による出血
ピルの副作用に不正出血があります。ピルの飲み始めにはホルモンバランスの変化により、頭痛や胸の張り、吐き気などつわりに似た症状が現れるのですが、それらと同様に不正出血もみられやすいです。
ただし、副作用はピルの飲み始めの一時的な症状であることが多く、1ヶ月〜3ヶ月ほどで落ち着く方が多いため心配しすぎる必要はありません。
注意が必要なのは、もし3ヶ月以上にわたって症状が続くときや、症状が悪化するときです。別の病気が原因となっている恐れやピルの種類が体質に合っていない可能性があるため、医師に相談しましょう。
またピル以外でも、避妊リングのミレーナの副作用で不正出血がみられることがあります。
何らかの病気による出血
何らかの病気が不正出血を起こしている可能性もあります。
具体的には、細菌やウイルスによる感染症、ホルモン異常、ポリープや子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がんなどが不正出血をともなう病気です。
なかには子宮頸がんのように、出血が起こる頃には重大な病気が進行している恐れもあるため、定期検診を行なって早期に発見することが大切な場合もあります。
また病気が原因ではない不正出血には、排卵期にホルモン分泌が急に増減することで起こる排卵期出血(中間期出血)、ストレスや環境によるホルモンバランスの乱れで起こる無排卵性出血、更年期のホルモンバランスの乱れで起こる不正出血などもあります。
妊娠による出血
妊娠中に出血をともなう病気として、下記のものが挙げられます。
- 着床出血
- 絨毛膜下出血
- 胞状奇胎
- 切迫流産、早期流産
- 子宮警部びらん
- 子宮頸部ポリープ
- 子宮頸がん
絨毛膜下出血は着床出血がたまって血腫ができる病気であり、大きさによっては出血量が多くなることがあります。また、子宮外妊娠や切迫流産・早期流産も大量の出血が起こる場合があります。
出血量が少なくても、胞状奇胎のように妊娠の継続が難しくなる病気もあるため、長期間の出血やひどいつわりなど出血量以外の症状がともなう場合も注意が必要です。
妊娠中の出血は胎児への影響が心配になる方が多いですが、必ずしも流産につながるものばかりではありません。
少量の出血は珍しいものではなく、妊娠初期には全体の2割が出血を経験したお母さんです。トイレットペーパーに付く程度やおりものに少し混ざる程度であれば心配しすぎず、落ち着いて医師の指示を聞きましょう。
ピルの服用中に生理がきた場合の対処
ピルの服用を始めたタイミングで出血した場合
ピルの服用を始めた頃の不正出血はホルモンバランスの変化によるものであることが多いため、そのままピルの服用を続けます。出血量としてはおりものに混ざって茶色になるくらいの量でしょう。
1ヶ月〜2ヶ月でおさまることが多いですが、それより長引く場合は一度医師に相談が必要です。
休薬期間中に出血した場合
また、休薬期間中に起こる出血は消退出血である可能性が高いため、そのまま休薬します。
ピルを服用している21日間に飲み忘れがあると、子宮内膜が剥がれて消退出血(生理)が始まってしまうことがあります。その場合は一度ピルの服用をストップし、消退出血が終わってから服用を再開するなどの対処が取られますので、一度医師に相談しましょう。
ピルを継続服用している間に出血した場合
ピルを服用している期間の出血は生理ではなく、不正出血や妊娠が理由となっている場合があります。出血の原因を知るため、またその後のピルの服用についても知る必要があるため、やはり一度医師に相談しましょう。
ピルの服用中の生理に関するよくある質問
最後にピル服用中に起こる生理について、よくある質問を紹介します。
生理がきても同じシートを飲み続けてもよい?
出血の理由より対応が異なります。
ピルを飲み始めた頃に生理がきた場合はホルモンバランスの変化が理由の不正出血であることが多いため、同じシートで服用を続けます。
飲み忘れなどがあって休薬期間前に生理がきてしまった場合はそのシートの服用をストップし、新しいシートから1錠目を服用しましょう。
ピルを正しく服用しているにも関わらず不正出血があった場合は、不正出血の原因を明らかにするため、またその後のピル服用について医師に相談する必要があります。
休薬期間中でプラセボを服用しているときに生理がきた場合、プラセボを飲み切るか休薬期間が終わったときに次のシートに移ります。もし休薬期間が終わっても出血が止まらないときは何か病気が隠れている可能性があるため医師に相談しましょう。
出血がある間に性行為をしてもよい?
出血があるときは性行為を控えましょう。
生理中であれば、出血があるときは子宮内膜が剥がれて膣内や子宮がいつもより傷つきやすい状態です。この状態の性交渉は細菌感染などが起こりやすいタイミングなので推奨されません。
まとめ
ピル服用中に生理がくる原因や、生理がきたときのピルの飲み方、またそれらに関係する質問について説明しました。
ピル服用中に生理が起こる原因には消退出血(生理)と不正出血の2つがあります。消退出血はピルにより留められていた子宮内膜が休薬期間中に剥がれ落ちて出血になる生理のようなものです。
一方、不正出血にはさまざまな理由があります。なかには病気が原因となっている場合もあるため、出血量の多さなどに関係なく注意が必要です。
ピル服用中に生理がきたときのピルの飲み方については、経緯や考えられる理由によって異なります。服用初期や休薬期間中の出血はそのまま服用を続けても問題ないことが多いですが、実薬服用中の不正出血や、飲み忘れにより消退出血が起こった場合は医師に相談しましょう。
いきなり出血があると驚くこともあるかもしれませんが、状況によって医師に相談し、落ち着いて対処することが大切です。