初めてピルを飲む方のなかには、どのくらいの費用がかかるか気になる方も多いでしょう。
費用は、服用するピルの種類によって異なります。
この記事では、各種ピルの値段や、保険適用の条件、安く購入する方法を詳しく解説しています。
【種類別】ピルの費用一覧
ピルの費用は、自費診療か保険適用かのいずれかで異なります。基本的に保険が適用される場合は薬価が決まっているため、どこの病院で処方してもらっても値段は変わりません。
一方で、自費診療の場合は病院が独自に価格を設定できることから、病院によって費用に差があります。
また、薬の値段に加えて、初診1,000円・再診500円程度の診察代がかかる場合があります。
ここでは、ピルの費用を下記の種類別に紹介します。
- 中用量ピル
- 低用量ピル
- ミニピル
- アフターピル
中用量ピルの費用
中用量ピルの代表的な薬として、プラノバールがあります。生理日の調整(月経移動)によく使用されますが、月経移動用のピルは自費購入になります。プラノバール(成分名:ノルゲストレル・エチニルエストラジオール)による月経移動の料金は、3,000〜5,000円程度が相場です。
月経困難症や月経周期異常などで保険が適用になる場合は、ひと月約90円で処方できます。
低用量ピルの費用
避妊目的でピルを服用する場合は、低用量ピルを使うのが一般的です。マーベロン、トリキュラー、アンジュ、シンフェーズなどの名前で販売されています。低用量ピルは自費となり、1ヶ月あたりの薬の値段は2,500円が目安です。
少しでも費用を安くしたい場合はジェネリック医薬品(GE)を選びましょう。ジェネリック医薬品とは、先に発売されている薬の特許が切れた後に同じ有効成分を使って作られる薬のことです。ちなみにマーベロンのジェネリック医薬品はファボワールといい、トリキュラーのジェネリック医薬品はラベルフィーユといいます。
避妊効果は変わりませんが、開発費が削減できるため安く販売されます。添加物や製造法は一部異なることから、アレルギーがある方はジェネリック医薬品を服用できないこともあります。
ミニピルの費用
ミニピルは、黄体ホルモンのみが入った薬で、卵胞ホルモンであるエストロゲンは入っていません。そのため、肥満や喫煙などを理由に低用量ピルを服用できない人に向いているピルです。
とはいえ、ミニピルは肌荒れが発生したり、不正出血が続いたりする可能性があります。また、毎日同時間に服用する必要があるため、服用には注意しなければなりません。
日本では認可されていない薬であることから、処方している病院があまりないでしょう。とはいえ、ミニピルのセラゼッタは、病院で購入できる場合があります。保険適用外の薬であるため、値段は自費で1ヶ月あたり3,000円程度です。
アフターピルの費用
アフターピルは、性交時に避妊に失敗するなど、やむをえない場合にのみ妊娠を回避するためのピルです。
アフターピルには、性交後72時間以内に服用する必要がある「ノルレボ」と、120時間以内で効果を発揮する「エラワン」があります。料金は自費となっており、相場は11,000円前後とほかのピルに比べて高額となっています。
アフターピルのノルレボは、ジェネリック医薬品のレボノルゲストレルが販売されており、費用は9,000円程度です。最も費用が安いのはプラノバールを使った緊急避妊のヤッペ法で、費用は4,000円ほどです。ただし、ヤッペ法は避妊率が60%ほど低くなることが確認されています。
ピルは保険適用になる?
医師が「治療が必要」と判断した場合はピルが治療薬扱いになるため、ピルは保険適用になります。ここでは、以下の3点について詳しく説明します。
・ ピルが保険適用になる条件
・ 保険適用になるピルの費用
・ 自費と保険適用のピルの違い
ピルが保険適用になる条件
ピルが保険適用になるのは、月経困難症や子宮内膜症で、医師が「治療が必要」と判断した場合のみです。これは病気の治療にピルが必要だと考えられるためです。月経困難症や子宮内膜症の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・ 激しい月経痛
・ 月経以外の出血(不正出血)
・ 頭痛
・ 吐き気
・ 便秘もしくは下痢
・ 腰痛
・ 頻尿
このような症状がある方は、一度医師による診察を受けてみましょう。
保険適用になるピルの費用
保険診療では薬価基準によって薬の料金が決まっているため、保険適用になった場合、どこの病院で処方してもらってもピルの値段は同じです。
保険で利用できるピルの値段は、以下の通りです。
・ ルナベルLD/ULD:約1,300円
・ フリウェルLD/ULD:約600円
・ ヤーズ/ヤーズフレックス:約2,000円
・ ジェミーナ配合錠:約2,000円
ピル自体の値段はどこの病院でも一律ですが、初診料や処方料などは診療体制によって病院ごとに多少異なります。薬の値段とは別に初診で1,100円、再診で400円ほど費用がかかると考えてよいでしょう。
自費と保険適用のピルの違い
自費のピルは、主に避妊を目的として服用するものです。これに対し保険適用のピルは、月経困難症や子宮内膜症による痛みの治療薬として処方されるものです。また、料金は、自費の場合は全額自己負担になります。保険適用の場合は区分に応じて自己負担が決まっていて、3割負担が基本です。
ただし、負担割合が少ないからといって、必ずしも保険診療の方が安くなるということではありません。自費診療ではピルの料金はもちろん、初診料や情報提供料なども病院が自由に設定できるため、トータルで見ると自費の方が安くなることもあります。
ピルの処方までの流れ
ピルを処方してもらうには医師の診察が必要です。ピルは市販されていないため、必ず病院で処方してもらう必要があります。保険適用の場合と自由診療の場合に分けてピルが処方されるまでの流れを見ていきましょう。
保険適用の場合
保険適用の場合は、医師によって「治療が必要である」と診断してもらう必要があります。流れとしては、病気や怪我をした時に病院に行くのと同じです。診察を受け、症状を説明しましょう。
必要があれば検査をして、医師によって診断が下ったら、処方されるという流れになります。ピルの種類に希望がある場合、相談することはできますが、最終的に処方を決めるのは医師になります。
自由診療の場合
自由診療の場合は、病気の治療以外の理由でもピルを購入することができます。避妊目的であったり、月経困難症ではないけれど生理痛や月経不順などで困っていたりする場合に利用します。
どんな目的で、どのようなピルを購入したいのかあらかじめ考えておきましょう。病院によって扱っているピルの種類は異なります。自分が購入したいピルを取り扱っているか確認してから受診するとよいでしょう。
流れとしては、ピル購入の希望を伝え、血圧測定・体重測定・問診などを行います。必要に応じて子宮がん検診や超音波検査、性感染症検査などの検査を受け、問題なければ希望のピルを購入できます。1ヶ月後に血液検査を行い副作用がでていないかチェックする場合もあります。また、半年から1年に1回ほどの頻度で、血液検査や子宮がん検診を勧める病院も多くなっています。
ピルの値段を安く抑える方法
ピルの値段を抑えるためのポイントは2つあります。1つ目は、ピル単体の値段ではなく、診察にかかる費用も含めたトータルの費用で考えることです。2つ目は、オンライン診療の利用を検討することです。
ここでは、それぞれの場合について詳しく見ていきしょう。
ピルだけでなくトータルの費用で考える
ピルを購入するためには、医師の診察が必要です。診察には、初診料もしくは再診料といったピルの処方代とは別の料金がかかります。自費診療の場合は診察料が病院によって異なるため、診察料の安い病院を選べば、費用を安く抑えられます。
初診の場合は1,000円、再診の場合は500円程度の費用がかかることが多くなっています。また、血液検査や子宮がん検診などは追加で必要な病院も多いため、事前の確認をおすすめします、ピル自体の値段だけでなく、診察料や検査料も含めたトータルの費用を計算しておきましょう。
オンライン診療を利用する
オンライン診療では、一般的な対面の病院に比べて安く価格設定をしている場合があります。また、通院の必要がないため交通費がかかりません。金銭的にも時間的にも無駄がないことから、病院に通って処方してもらうことが負担に感じる方は、検討してみるとよいでしょう。
ピルを服用する際の注意点
ピルは、毎日決まった時間に継続して服用することで効果を発揮します。継続して服用するとなると年間でまとまった金額になるため、続けて服用できる値段か事前にシミュレーションしておくと安心です。
また、吐き気などのマイナートラブルが起こることがあります。これらは2〜3週間で改善する場合が多いですが、改善が見られない場合は違う種類のピルに変更するなど医師と相談してみましょう。まれに血栓症のような大きな副作用が起こることがあります。異変を感じたらすぐに受診してください。
まとめ
ピルの値段は、どのピルを服用するかによって異なります。一般的に、避妊目的などで使用されるピルは保険適用外となりますが、月経困難症や子宮内膜症などを発症した場合など医師が「治療が必要」と判断した場合は保険適用です。具体的な症状がある場合は、まず医師に相談しましょう。
この記事を参考に、ピルの費用を把握し、処方を検討してみてはいかがでしょうか。