C型肝炎という病気をご存じでしょうか?C型肝炎は、治療をせずに放置すると肝硬変や肝細胞癌の原因になる病気です。そのため、C型肝炎は予防や早期発見、早期治療が重要な病気といえます。C型肝炎を予防するためには感染経路や潜伏期間を知っておくことが必要です。
今回は、C型肝炎の感染経路や潜伏期間を解説していきます。
C型肝炎は血液が感染経路になる
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により起こる肝臓の病気です。C型肝炎ウイルスは感染者の血液を介して感染します。C型肝炎ウイルスの感染経路として考えられるものをご紹介します。
覚醒剤や麻薬の中毒者は、複数人で注射器を使い回していることがあります。使用済みの注射器の針には血液が付着しているため注射器を使い回すことでC型肝炎ウイルスに感染するリスクが高くなります。違法薬物の使用は、人体に取り返しのつかない影響を残してしまうので絶対に使用してはいけません。
刺青を入れる行為、ピアス穴をあける行為、針治療などは器具で人体に傷をつけます。そのため、器具の消毒が十分でないとC型肝炎ウイルスの感染リスクが高くなります。
刺青は、社会生活の様々な場面で制約のある行為であるため、好ましくないですが、どうしても入れる場合には信頼できる業者で施術してもらうことが重要です。ピアス穴をあける時も器具を他人と共有したり、自分であけたりせずに医療機関であけた方がいいでしょう。
輸血に使用する血液製剤によりC型肝炎を発症し、国と患者さんとの訴訟問題がニュースになったことを知っている人は多いのではないでしょうか。
以前、輸血などに使用されていた血液製剤は血液感染への対策が不十分であったため、多数のC型肝炎ウイルスの感染者を出したことがあり、社会問題化しました。
特に、1992年以前の輸血、1994年以前のフィブリノゲン製剤、1998年以前の血液凝固因子製剤による治療を受けたことがある場合はC型肝炎に感染している可能性が比較的高い状態です。
なお、現在輸血などに使用されている血液製剤は過去の薬害に対する反省から高精度の検査を行って十分に対策を行われていますので感染リスクはほとんどありません。
性行為でC型肝炎ウイルスが感染することはありますが、可能性は低いとされています。性行為による感染の可能性が低い理由は、男性の精液や女性の腟分泌液に感染源となるC型肝炎ウイルスが含まれていないからです。キスなどの唾液からうつることもありません。
では、なぜ性行為に感染のリスクがあるのでしょうか。それは、アナルセックスや女性の生理中などの性行為で、出血(=血液の接触)を伴うことがあるからです。
その他にも体が弱っているときや、性器に何らかの症状があるときなどは、粘膜も弱っていることがあり出血しやすくなるため感染のリスクが生じます。性交渉による感染の可能性は低いもののゼロではありません。感染を防ぐ方法として他の性感染症と同様にコンドームの使用が有効です。不特定多数との性行為を避けることも重要です。
日常生活でのC型肝炎ウイルスの感染リスクは低い
C型肝炎は、他人の血液に直接触れなければ感染する恐れはありません。普段の生活の中で他人の血液に触れる機会はそうそうないため、感染する可能性は低いのです。
握手や抱擁、食器の共有、入浴、トイレなど日常生活においてC型肝炎ウイルスを他人に感染させるリスクは非常に低いといえます。そのため、C型肝炎を理由に差別することは許されることではありません。
C型肝炎ウイルスには潜伏期間がある
潜伏期間とは、ウイルスや細菌などの病原体に感染してから症状が現れたり、他人への感染力を持つようになったりするまでの期間のことをいいます。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染してもすぐに発症するわけでありません。C型肝炎ウイルスにも潜伏期間やC型肝炎の症状についてご紹介します。
潜伏期間は2週間〜6ヶ月です。万が一、C型肝炎に感染した場合、その潜伏期間は約2週間~6カ月といわれています。しかし、自覚症状が現れない場合が多く、感染者のおよそ80%では症状が全く現れません。
潜伏期間後に現れる急性の症状は、発熱、易疲労性、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹痛、暗色尿、灰白色便、関節痛、黄疸(皮膚や白目の部分の黄染)などです。その後、約7割の感染者が慢性肝炎となり、10〜30年かけて肝硬変や肝細胞癌へと進行します。
C型肝炎を予防するには?
C型肝炎ウイルスは、血液を介して感染するため他人の血液に直接触れないように対策をすることが重要です。C型肝炎の予防としてできることは以下があります。
- 歯ブラシやカミソリなど血液が付着している可能性のあるものは共用しない
- 血液を素手で触らない
- 非合法の薬物を使用しない
- 注射器や針を共用しない
- 刺青やピアスをするときに器具の消毒など十分な対策を行う
- 不特定多数と性行為をしない
- 性行為時にはコンドームを使用する
感染経路の中には、違法のものが存在するので必ず法律を守るようにしましょう。C型肝炎は、感染経路を知ることで十分に予防ができる病気です。
気になることがあれば医療機関で相談する
C型肝炎は自覚症状が現れにくい病気です。しかし感染源が「血液」ということを知っておけば感染のリスクは回避ができます。感染した場合や、感染した恐れがある場合は、放置しないことが大切です。現在では、C型肝炎に対する治療薬もどんどんと進歩しています。
治療に対する助成制度も整備されているので、心当たりがある場合は病院で医師に相談しましょう。
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参考文献
肝炎診療ガイドライン第7版:
https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8_20201005.pdf
肝臓病の理解のために(日本肝臓病学会):https://www.jsh.or.jp/lib/files/citizens/booklet/understanding_liver_disease.pdf
NIID 国立感染症研究所:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/322-hepatitis-c-intro.html
NIID 国立感染症研究所 疫学:慢性C型肝炎:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2535-related-articles/related-articles-491/10126-491r01.html
厚生労働省検疫所 C型肝炎について(ファクトシート):https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2016/07260959.html
肝炎情報センター C型肝炎とは:
http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/c_gata.html
C型肝炎サポートネット:
http://cgatakanen-support.net/before/index.html
ウイルス肝炎研究財団 C型肝炎について: