赤痢アメーバ症とは。検査方法についても解説

赤痢アメーバ症は、発展途上国だけではなく、日本を含む先進国でも流行している感染症です。その症状は、腹痛や下痢といった消化器官に関連するものだけではなく、その他のさまざまな臓器にも影響が出ます。また、人から人へ感染するため、適切な予防法を知ることは、自分やパートナーの健康を守ることにも繋がるでしょう。この記事では、赤痢アメーバ症の主な症状と、感染経路、検査方法、治療方法について解説します。

赤痢アメーバ症とは

赤痢アメーバ症とは、原虫である赤痢アメ−バを病原体とする感染症のことです。発展途上国を中心に世界中で流行していて、世界で毎年10万人ほどが、赤痢アメーバを原因に死亡しています。日本では感染者の約8割が国内感染で、約2割が国外感染です。

感染経路は、感染した人が排泄する便中の、赤痢アメ-バに汚染された飲食物を生で食べた場合と、同性間・異性間の性的接触です。赤痢アメーバの感染嚢子(シスト)が付着している肛門を直接舐める、肛門に触れた手で口に触れる、などの糞口感染が原因となっています。シストが消化管に入ると、小腸で脱嚢してさまざまな症状を引き起こします。

赤痢アメーバ症の症状

赤痢アメーバ症は大腸炎と肝膿瘍を引き起こします。その症状は、大腸の粘膜の潰瘍、血便や下痢、排便時に下腹部の痛みが特徴です。症状は比較的軽症なことが多いですが、脳、心臓、肺といった部位に影響が出た場合は命に関わります。一方で症状が現れる確率は約5~10%と、非常に低い水準となっていることも、アメーバ赤痢の特徴です。

具体的に、赤痢アメーバを疑う際のポイントは、以下のとおりです。

  • 下痢が続く
  • イチゴゼリー状の血が混じった粘血便が出た
  • 便意が常に続いている感覚がある
  • 排便時に急な腹痛が起きる
  • 繰り返し腹痛と吐き気がする

これらのポイント以外にも、赤痢アメーバ症感染には多くの症状があります。ここでは、赤痢アメーバ症の主な症状である、「大腸炎」と「肝膿瘍」について、詳しく解説します。

大腸炎

赤痢アメーバ性大腸炎の潜伏期間はおよそ2〜3週とされていますが、場合によっては数ヶ月〜数年におよぶこともあります。また急性腹症に該当する重傷例から自覚症状がほとんどない例まであります。

典型的な症状は、下痢や粘血便、下腹部疼痛、テネスムスです。テネスムスとは、便意はあっても便が出ない状態や、少量しか出ないのに、何度も便意をもよおす状態です。下痢の症状は、一般にゆっくりと進行し、1日に2〜3回粘血が混じった粘血の排便から、テネスムスを伴い、1日に20回以上の粘血便が排便されることもあります。

これらの症状は多くの場合、数週間程度の周期で増悪・寛解を繰り返し、経過は慢性です。全身症状は出ず、罹患しても通常の社会生活を営めます。

見た目がイチゴゼリー状での粘血便が排便されると、赤痢アメーバ性大腸炎の可能性は高いといえます。

肝膿瘍

肝膿瘍の潜伏期間は通常数ヶ月~数年です。主要症状は発熱や上腹部痛、肝腫大などを伴います。最も多い症状が、38℃以上の発熱です。右胸膜炎や横隔膜挙上を示す症例や、喀痰を伴わない乾いた咳を訴えることもあります。初期には原因不明の発熱のみが症状なので、インフルエンザなどの誤診もあり、注意が必要です。

また、症状として貧血、AST、ALT、ALPの上昇が認められます。アメ−バ性肝膿瘍の、下痢や粘血便といった腸管症状の発症は10~35%程度と少ないです。つまり、腸管症状が出現しなくても、赤痢アメーバへの感染は否定できません。

発熱に関して、治療を始めてから解熱までは通常3~5日間かかります。予後は良好ですが、膿瘍破裂や、潰瘍に穴が空き、死に至ることもあります。肝膿瘍以外のアメーバ症として、脳膿瘍、肺膿瘍、心外膜炎、皮下膿瘍に注意が必要です。

原因

赤痢アメーバに感染する原因は、赤痢アメーバに汚染された肥料で栽培された野菜、汚染された水で洗った食べ物、加熱されていない汚染された飲食物の摂取です。そのため、衛生環境の悪い、発展途上国で食事をした際に、発症するケースが多くなっています。

一方先進国では、男性同性愛者の口と肛門を使った性交での感染や、デイケア施設、老人ホームといった福祉施設での集団感染が見られます。

「赤痢アメーバ」は、肉眼では見ることができない、病原性原虫による感染症です。病原性原虫に対しては、有効で安全なワクチンや治療薬がほとんどありません。そのため、より良い予防方法の開発が強く望まれています。

検査方法

赤痢アメーバ症は、自覚症状がなくても糞便中に病原体が排出されることがあります。そのため、無自覚で家族やパートナーといった、大切な人へ感染させるリスクがあります。赤痢アメーバは、歩行が困難になるほど衰弱はしませんが、重篤化すれば命の危険があります。体に異変があれば、早めに医療機関に相談しましょう。

赤痢アメーバの検査料金は、保険適用外であればおおよそ3,500円〜です。保険適用されるかは、病院の治療方針により異なるので、確認しましょう。ここでは検査方法にあたる、「糞便検査」「画像診断」「血液検査」について解説します。

糞便検査

赤痢アメーバという原虫は、糞便中に排泄されます。そのため検査方法は、検便、大腸内視鏡、ドレナージによる糞便検査です。検便では、顕微鏡下で病原体があるかを調べます。アメーバ赤痢では、検便を最低3回、繰り返して行います。

大腸内視鏡は大腸の最深部である盲腸まで内視鏡を挿入し、空気で大腸のヒダを伸ばしながら、大腸粘膜を観察する検査です。赤痢アメーバは、粘膜が浅く欠損した状態になるといった大きな特徴があり、それを大腸内視鏡検査で調べることができます。大腸内視鏡検査では診断の確定はできませんが、赤痢アメーバを疑う重要な手掛かりとなります。

「ドレナージ」とは、体内に貯まった血液・膿・浸出液を体外に排出する医療行為です。赤痢アメーバの糞便検査では、膿汁の中にアメーバが検出されるかを調べます。

画像診断

画像診断とは超音波やCT検査で肝膿瘍を証明する方法です。肝膿瘍は腹部超音波検査や腹部CT検査で巨大な膿瘍の確認ができるため、画像診断が有効です。

赤痢アメーバ症は、発病してすぐは腹痛などの消化器官の症状が確認されず、風邪やインフルエンザなどに誤診されることもあります。病気が進行すると上腹部に痛みが起きます。この時点で超音波やCT検査が行われることが多いです。

画像診断では病原体の診断までは得られませんが、赤痢アメーバ症に特徴的な形の膿瘍を調べることができます。

血液検査

アメーバ赤痢では、血液検査で血清中のアメーバ抗体を検出します。血清アメーバ抗体の陽性率が大腸炎でおよそ50~90%、肝膿瘍ではおよそ95%以上と、高い精度の検査です。

しかし、感染初期の場合に陰性となることもあるので注意しましょう。また、赤痢アメーバ症が治った後にも、陽性反応が出ることがあります。この点も予め留意しておきましょう。

血清抗体検査は非常に有用ですが、試薬製造が中止されており、2019年3月時点で検査不可能となっています。また、抗原検出法やPCR法による検出は一部の施設に依頼可能です。

治療

アメーバ赤痢の治療には、抗アメーバ薬を用いるのが一般的です。アメーバ赤痢症に伴う大腸炎と肝膿瘍のどちらにも有効な薬剤にメトロニダゾールがあります。メトロニダゾールは、細菌だけではなく原虫といった、病原微生物にも効果がある数少ない薬です。重症例や薬を飲み込めない状態であれば、メトロニダゾールには注射剤もあります。

感染していると診断された後の薬を服用は約7~10日間です。治療終了後は2~3ヶ月様子を見て、症状の再発がなく、糞便中で赤痢アメーバが検出されなければ治ったことになります。

メトロニダゾールの服用を行うと、アルコールの代謝を阻害して悪酔いさせることがあります。薬剤使用期間中から治療終了後の1週間、飲酒は禁止です。

予防

アメーバ赤痢を防ぐワクチンはありませんが、予防する方法はあります。アメーバ赤痢は熱に弱いため、十分に加熱された飲食物を摂取することで感染リスクを下げることができます。海外に行くときは感染が流行・拡大している地域をよく調べ、十分に加熱された飲食物を摂取しましょう。

  • 生水、氷、生野菜、カットフルーツ、生肉や生の魚介類を摂取しない
  • 発展途上国ではビン入りミネラルウォーターや、一度沸騰させた水を飲む
  • フルーツは皮の痛んでいないものを自分でむいて食べる
  • 食事の前には十分に手を洗う

肛門性交などの糞口感染でも感染リスクがあるため、性的接触からの予防もしっかりと行いましょう。

  • 肛門への口腔性交を避ける
  • 不特定多数との行為を避ける
  • コンドームを使用する
  • 性風俗の利用を控える
  • 体を清潔に保つ

まとめ

赤痢アメーバ症は多くの症状が軽症のため、発見が遅れ、気が付かないで生活してしまうことがあります。日本国内にいても性的接触で感染することがあるので、普段から不特定多数との性行為はしない、コンドームを着用するといった予防が大切です。

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