赤痢とは?症状や治療法について解説

「激しい腹痛に襲われ、下痢や嘔吐がおさまらない」「便に血や膿、粘液が混ざる」そんな症状がある方は、赤痢を疑ったほうがよいかもしれません。赤痢かもしれない、と思ったときは、重症化や合併症を引き起こす前に、早急に処置を施す必要があります。この記事では、赤痢とはどんな病気か、感染経路や症状・治療方法などについて解説します。

赤痢とは?

赤痢とは、大腸が患う急性感染症の一種です。感染すると、血の混じった下痢を伴うことがあるため赤痢と呼ばれます。世界中で症例が見られ、日本国内でも、明治時代ごろから感染者があらわれています。直近のピークは1940年代で、年に10万人以上が感染し、2万人近くもの人が死亡しました。環境衛生の向上により、感染者数は減少に向かっていますが、現在も年に1,000人前後が感染しています。特に学校や保育園、ホテルといった公共の場では集団感染が起こっており、決して私たちと無縁な存在であるとはいえません。

この恐ろしい感染症は、感染のきっかけとなる病原体によって、「アメーバ赤痢」と「細菌性赤痢」に分類されます。以下でそれぞれの違いについて見ていきましょう。

アメーバ赤痢

赤痢アメーバという原虫によって感染する赤痢です。発展途上国、特に熱帯地域でよく見られ、21世紀後半になると先進国でも発生するようになりました。主な感染原因は、途上国の場合は衛生問題、先進国の場合は男性の同性愛者どうしによる性行為です。赤痢アメーバには「嚢子」と「栄養体」の2種の形態があります。

  • 嚢子

赤痢アメーバの初期形態で、「シスト」とも呼ばれます。侵入した嚢子は胃から小腸へ移動し、脱嚢して栄養体に形を変えます。

  • 栄養体

分裂と増殖を繰り返した栄養体は、大腸の粘膜を攻撃します。粘膜面に潰瘍ができると、腸炎を引き起こして症状があらわれます。一部の栄養体は再び嚢子となり、便として外に出たあと新たな感染源となります。

細菌性赤痢

赤痢菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる赤痢です。1897年、志賀潔が赤痢菌を発見したことから、「Shigella」という属名がついています。感染菌量は通常100個以下と極めて少数で、若年層に感染する場合がほとんどです。また前述のように、国内では細菌性赤痢の集団感染がたびたび見られます。2018年10月から翌2019年1月にかけては、東京都で4事例の集団感染が相次いで起こりました。

  • 事例1:A保育園にて、園児とその家族・職員ら合計36名が感染
  • 事例2:B保育園にて、園児とその家族ら合計26名が感染
  • 事例3:C幼稚園にて、園児と職員ら合計4名が感染(初発患者に海外での滞在歴あり)
  • 事例4:山梨県のD宿泊施設にて、合計34名が感染。同施設利用後、都内に戻った人の中から3名の感染を確認(同施設で提供された惣菜に赤痢菌が付着していたことを起因とする食中毒と見られる)

赤痢の感染経路

アメーバ赤痢、細菌性赤痢ともに、経口感染によって発症します。病原体が付着した手や指から、または汚染された食品等を介して感染するパターンが一般的です。病原体は、発展途上国への渡航歴がある人により持ち込まれることがあります。またアメーバ赤痢の場合、前項でも触れたように、男性どうしの肛門性交よって感染するリスクも存在します。

赤痢の症状

赤痢に感染すると、一定の潜伏期間を経て、徐々に症状があらわれはじめます。

  • アメーバ赤痢の潜伏期間:2~4週間前後(数日、または数年の場合もある)
  • 細菌性赤痢の潜伏期間:1~3日程度

典型的な症状としては、全身のだるさ、発熱、腹痛や下痢が挙げられます。また便意はあるにもかかわらず、なかなか便が出ない、いわゆる「しぶり腹」も赤痢の特徴的な症状です。ほかには血便や粘液便が出るようになることもあります。症状は数日~数週間のスパンで改善したり、また悪化したりと波があるのが通常です。本人も知らないうちに、病原体を拡散してしまうおそれがあります。

さらに、細菌性赤痢はまれに腸管外にも感染が広がり、深刻な症状を引き起こすリスクもはらんでいます。ごく低確率ではあるものの、肝膿瘍や肺、脳にまで影響を及ぼすこともあります。

治療方法

ここからは赤痢の治療方法について解説します。基本的には薬剤投与による治療を行い、様子を見ることになりますが、治療にあたっていくつか注意点も存在します。アメーバ赤痢と細菌性赤痢で使用する薬剤が異なるため、違いに着目しながら見ていきましょう。

アメーバ赤痢の治療方法

メトロニダゾールを用いた治療がもっとも一般的です。メトロニダゾールのアメーバ赤痢に対する有効性は、世界的に広く認められており、日本でも頻繁に使用されています。内服薬としてだけでなく、静脈内投与も可能です。10日間程度投与したのち、検査で赤痢アメーバの有無を確認します。

メトロニダゾールの代わりに用いられることのある薬剤がチニダゾールです。チニダゾールはメトロニダゾールと同様の効果があり、より高い忍容性を持ちます。投与方法は内服薬のみとなります。いずれの薬剤も、投与中と投与終了後3日間ほど、飲酒を控えなければならず、また妊婦には投与できません。

また必要に応じて、腸管内に残る嚢子を除去することを目的として、2つめの薬剤を用いる場合があります。ヨードキノール、パロモマイシン、フロ酸ジロキサニドなどが主な候補です。

細菌性赤痢の治療方法 

細菌性赤痢の治療には、成人の場合はニューキノロン系抗菌薬が有効です。発症後、早期に投与することで、症状の回復を早める効果が期待できます。注意点としては、ニューキノロン系抗菌薬と解熱剤を併用すると、けいれんを起こす可能性があることです。解熱剤の種類によっては併用可能な場合があるため、医師や薬剤師のアドバイスを聞き、慎重に判断しましょう。

小児に対してはノルフロキサシンが有効で、適応のない場合はホスホマイシンを用います。5日間ほど服用するとすぐれた効果を発揮します。

下痢の回数が増えると、体内の水分と塩分が急速に失われてしまうため、こまめな水分・塩分補給が不可欠です。スポーツドリンクや経口補水液は、効率的な水分・塩分補給に適しています。万が一、著しい脱水症状があらわれたときは、すぐに救急外来を受診しましょう。

2次感染の予防方法

赤痢は強い感染力を持つため、家庭や職場、学校などで2次感染を引き起こすおそれがあります。感染拡大を防ぐためには、念入りな予防策を実施することが必要です。

  • 食べ物はしっかりと加熱調理する
  • こまめに石鹸を使った手洗いをする(食事の前後・料理の合間・トイレのあとなど)
  • 感染拡大が疑われる地域では、生もの・生野菜・生水・氷などを口に入れない

一人ひとりが感染を予防する意識を高く持ち、常に対策を怠らないことが大切です。特に手洗いの徹底は、赤痢のみならず、さまざまな病気を予防するためのもっとも基本的な方法です。誰でもすぐに実践でき、かつ高い予防効果があるため、ぜひ習慣づけましょう。

赤痢に有効な消毒薬

手洗いを行うだけでも十分な感染予防になりますが、消毒薬をあわせて使うとさらに効果が高まります。以下のような、薬局等で手軽に入手できる消毒薬も有効です。

  • 消毒用エタノール
  • 第四級アンモニウム塩
  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • 両性界面活性剤

種類によって、適した使用用途も異なります。以下の表にまとめましたので参考にしてください。


トイレ内の拭き取り衣類のつけ置き台所の拭き取り手指の消毒
消毒用エタノール×
第四級アンモニウム塩
次亜塩素酸ナトリウム×
両性界面活性剤××

消毒方法

ここでは具体的な消毒方法を紹介します。

  • トイレ:薄めた消毒液を雑巾などに浸し拭き取る。ドアノブ・水洗レバーなど、手がよく触れる箇所を中心に、壁や床なども念入りに拭く。手指用の消毒液を設置し、手洗い後に使用する。
  • 衣類:洗濯する前に、消毒液に浸しておく。服だけでなく、ハンカチやタオルも同様。
  • 台所:食器棚や、冷蔵庫・電子レンジの扉など、手が触れやすい箇所を中心に拭き取る。流しや蛇口などの水回りまで全体的に消毒する。食器類は通常どおり洗剤を使って洗う。
  • 手指:スプレータイプやジェルタイプの消毒液を、手指や爪の間にすりこむ。外出先や手洗い後はもちろん、基本的にどのタイミングでも有効。

まとめ

この記事では、赤痢とはどんな病気か、症状や治療方法、予防方法まで解説しました。少しでも赤痢と疑われるときは、なるべく早く医療機関を受診しましょう。もし感染しても、短期間で通常の生活に戻れる場合がほとんどですが、重症化するリスクがまったくないわけではありません。赤痢の苦しみから逃れるには、「そもそも感染しない」ことが重要です。大切な人を守るためにも、日頃から予防を徹底し、感染を防ぎましょう。

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