流行中の梅毒に注意!原因と治療法を解説

近年、梅毒の感染者が急増しています。梅毒は、他人の粘膜や皮膚と直接接触する性行為によって、梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こります。1967年に約11,000人の感染者が報告されて以降、感染者数は減少していましたが、2011年頃から再び増加傾向にあるのです。

特に2021年以降大きく増加し、2022年には10月下旬の時点で10,000人を超える報告がありました。中でも20~50代の男性と20代女性の感染が突出して増えています。この記事では、梅毒の概要、感染者数増加の背景、検査・治療・予防の方法について解説するため、梅毒について気になっている方は参考にしてください。

流行中の梅毒とは

梅毒とは、「梅毒トレポネーマ」という病原体に感染し引き起こされる感染症です。主にセックスなどの性行為によって口や性器の粘膜や皮膚から感染します。オーラルセックスやアナルセックスでも感染し、治っても再び感染するリスクのある病気です。

梅毒に感染すると、口や性器に小豆から指先くらいのしこりができたり、かゆみや痛みはないものの、体中に発疹が広がることがあったりします。治療せずに放置していると、数年から数十年の間に脳や血管、心臓など複数の臓器に病変が生じる恐れがあり、最悪の場合は死に至ることもあるのです。また、妊婦の感染は特に危険で、生まれてくる子どもの骨や神経などに異常をきたす恐れがあり、死産や早産の原因にもなってしまいます。

梅毒の原因

梅毒の原因は、性行為などによって梅毒トレポネーマという病原体に感染することです。空気感染は起こらず、皮膚や粘膜の接触時に感染します。病原体は粘膜や皮膚から体内に侵入し、数時間でリンパ節に達します。そこから血液によって全身に広がっていくため、時間の経過と共に全身に症状が現れます。なお、梅毒トレポネーマは温度・湿度の変化に弱く、粘膜や皮膚から離れてしまうと、数時間で感染力を失い死滅してします。

梅毒の感染経路

梅毒の感染経路の中心は性行為やそれに似た行為によるものです。具体的には性器と性器、性器と肛門、性器と口の接触などです。

母体が梅毒に感染している際に胎児に感染する(母子感染)ケースもあります。胎児への感染を「先天梅毒」といい、奇形や早産、死産のリスクが高いです。

まれなケースではありますが、食器を共用したり輸血したりすることで感染するケースもあります。

患者数が増加している理由

梅毒の感染者は2011年以降に急増し、2019年と2020年に減少したものの、2021年以降また増加に転じました。

近年、患者数が増加している理由としては、SNSやマッチングアプリなどによって出会いの場が増えたことが挙げられます。それに比例して不特定多数の相手と性行為をする機会が増えているのです。

加えて、メディアで「梅毒が増加している」という情報が流され注目されるようになり、不安を覚えて医療機関を受診する人々が増えたことも、増加している理由の一つです。梅毒は、保健所への届け出が義務付けられている感染症ですが、いまだに感染していても検査しないケースや、医療機関が保健所への届け出義務を怠っているケースがあります。そのため、現在の感染者数はまだ氷山の一角で、水面下では感染している人が相当数いると考えられます。

梅毒の症状

梅毒は、感染している粘膜やキズのある皮膚に直接触れることでうつります。感染後の潜伏期間は1~3週間で、症状が現れたり消えたりしながら、徐々に全身を侵していく感染症です。症状が一時的に消えるため見逃してしまい、感染をさらに広げてしまう危険性があるといえます。経過は、第1期から第4期に分けられます。

第1期

梅毒は、感染から約3週間の潜伏期間を経て、症状が現れます。最初に症状が現れる時期が第1期です。

第1期には、梅毒トレポネーマが侵入した部位に「初期硬結」と呼ばれる小さなしこりが現れます。赤く腫れ、コリコリと硬いのが特徴です。まほとんどの場合痛みはありませんが、太腿のつけ根辺りのリンパ節が腫れることがあります。

なお、これらの症状は治療をせずに放置していたとしても、数週間で自然に消えてしまいます。完治したと考え、放置してしまう人が出てくるのはこの特徴のためです。ただし、梅毒が自然治癒をすることはありません。その症状が本当に梅毒であった場合は、治療をしないと梅毒は進行を続けていきます。

第2期

感染から約3か月で現れる症状が第2期です。「バラ疹」と呼ばれる淡い赤色の発疹が、手のひらや足の裏、顔など全身にできるのが特徴です。この症状は、梅毒トレポネーマが全身に広がっていることを意味します。また、発熱や倦怠感、喉の腫れなどの症状が現れる場合もあります。

これらの症状も第1期と同様に数週間で消えていきます。同様に放置していると梅毒トレポネーマが体内に潜伏したままになり病気が進行していくため、注意が必要です。通常はこの段階までに、梅毒は発見され、治療が行われる傾向にあります。

第3期

感染から約3年経つと第3期に入ります。ほとんどの場合この時期までに何かしらの治療を受けますが、放置していれば「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができ、皮膚だけでなく筋肉や内臓、骨にまで広がっていきます。このゴム腫は周りの細胞を破壊していきます。鼻骨周辺にゴム腫が形成されると鼻の欠損に繋がることがあるため、江戸時代には梅毒にかかると「鼻が落ちる」といわれていました。

第4期

感染から10年以上経過すると第4期といわれ、末期症状が現れます。多くの場合は第3期までに治療が開始され、この第4期へと進行することはほぼありません。末期症状の例としては、脳梗塞や心不全、神経障害などです。第4期まで進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、命に関わることがあります。

梅毒の検査方法

不安に思ったら、感染症専門の科や皮膚科、泌尿器科、産婦人科などを受診しましょう。また、自治体によって異なりますが、保健所でHIVの検査と一緒に梅毒検査を実施しているところもあります。

検査方法は、問診や視診、血液検査で抗体を検出する血清診断です。梅毒の血清反応は、「TP抗原法」という梅毒トレポネーマの抗原を用いる方法と、「脂質抗原法」という非特異的な脂質抗原であるカルジオリピンを用いる方法の2種類があります。検査はこの2つの方法を組み合わせて実施されます。TP抗原法は特異抗体のため、梅毒感染の証拠となり、確定診断に必要です。脂質抗原法は、病気の進行具合の判定や、治療効果の予測に有効とされています。

ただし、どちらの検査も感染から約4週以上経過しないと陽性反応が出ません。

梅毒の治療方法

梅毒には、ペニシリン系の抗菌薬が有効で、国内では一般的に抗菌薬の内服治療が行われてきました。アモキシシリンやサワシリンなどの薬を、1日3回、2~4週間ほど(病期によってはそれ以上)服用する方法です。この場合、服用期間は患者の病期などを考慮して、医師が判断します。したがって、医師の許可が出るまでは、症状が良くなっても服用を中断してはいけません。

他の治療方法としては、2021年9月に承認された梅毒の世界的な標準治療薬「ベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤」が有効です。第1期と第2期の早期梅毒であれば、1回注射するだけで完治が望めます。症状が第3期まで進んでいても、1週間間隔で3回ほど注射すれば効果が見られるでしょう。

なお、神経梅毒の場合は、抗菌薬の点滴による治療が10~14日間行われます。

梅毒の予防方法 

梅毒の予防方法として挙げられるのは、感染力が強いとされる早期の梅毒患者との性行為(セックス、アナルセックス、オーラルセックスなど)を避けることです。

加えて、不特定多数との性交渉はしないようにする必要もあります。性交渉を行う場合でも、粘膜や皮膚が梅毒の病変に直接触れないように、適切にコンドームを使用しましょう。ただし、コンドームをしたからといって、100%予防できるとは限りません。もし、粘膜や皮膚に異常がある場合は、性行為を控えて、医療機関を受診する必要があります。医師に相談し、必要であれば速やかに検査を受けましょう。先天梅毒による胎児の発症を予防するのであれば、梅毒の検査を同時に行う妊婦検診が最適です。

また、治療後の性交渉で梅毒に再感染する場合もあります。感染した人の血液には、一定の抗体ができますが、これらの抗体で再感染を完全に予防できるわけではありません。一度感染したからといって、コンドームの使用などの予防策がないがしろになってしまえば、梅毒に再感染してしまうでしょう。

まとめ

梅毒の感染者数は、2011年以降に再び増え始めました。2019年と2020年には一時的に減少したものの、2021年以降また増加に転じています。患者数が増加している理由は、SNSやマッチングアプリなどによって、出会いの場が増えたのに伴い、不特定多数の相手と性行為をする機会が増えたことが挙げられます。

この急増している梅毒の症状として特徴的なのは、治療を受けなくても一時的に症状が消える場合があることです。しかし、症状が消えたからといって梅毒が自然治癒することはありません。梅毒トレポネーマは体内にとどまるため、治療せずに放置しておくと再び症状が悪化して現れます。勝手な自己判断で治療を止めてしまわずに、医師の指示に従い治療を継続しましょう。また、自分の感染が確認されたら、パートナーも検査が必要です。

不特定多数の人と性交渉をしない、コンドームの使用を徹底するなど、普段からできる予防が大切です。

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